(2026年新年号論文) 『戦旗1686号』(2026年1月1日号)
戦争と排斥の現代帝国主義を突き破り共産主義運動再生へ
革命的祖国敗北主義貫き高市極右反動政権打倒を
世界は大きく激動し、戦争と分断、大国間対立が国際情勢の前面に押し出される新たな一時代を迎えている。米帝―トランプ政権の動向は、このような状況にいっそう拍車をかけている。日本においては、新たに発足した高市極右反動政権が、差別排外主義、民族排外主義を煽り立てながら、琉球弧の島々を最前線にした侵略戦争体制づくりをますます加速させている。同時にわれわれは、帝国主義の攻撃に対する労働者階級人民の闘いが様々な形をとって世界各地で前進していることを見ておかなくてはならない。
この激動の時代にあって、われわれはプロレタリア国際主義の旗の下、アジア・全世界の労働者階級人民の闘いと固く連帯し、排外主義煽動と対決して、自国帝国主義の打倒に向けた闘いを前進させていかなくてはならない。国際階級闘争の一翼としての日本階級闘争の前進を勝ち取り、資本主義・帝国主義の打倒と新たな社会の建設に向けた現代共産主義運動の飛躍を実現していくことこそ、今われわれに問われている任務である。
二〇二六年の年頭にあたり、われわれ共産主義者同盟(統一委員会)は、全国の闘う仲間、『戦旗』読者の皆さんに、われわれの総括、情勢分析、闘争方針を提起する。同時に、われわれと共に帝国主義の反動攻撃と対決して闘い抜いていくことをあらためて訴える。共に二〇二六年階級闘争を最前線で闘おう。
■ 第一章 二〇二五年の総括
国際階級情勢は、一方での帝国主義の世界支配体制の根底的な動揺の始まりと、それゆえの帝国主義の攻撃のいっそうの凶暴化、他方での国際的な労働者階級・被抑圧人民の闘いの新たな高揚の歴史的開始、として特徴づけられる。
第二次トランプ政権は、「関税戦争」の発動や国際機関・国際協定からの離脱によって、既存の政治・経済秩序を揺さぶっている。「米国第一主義」は、米帝の危機の表現に他ならない。同時に、米帝自らが第二次世界大戦以来の国際的な政治・経済秩序を掘り崩していることのなかに、今日の帝国主義の世界支配体制の深刻な危機と動揺を読みとることができる。
米帝は今なお資本主義世界体制の中での中心国の位置を占めているが、資本主義の不均等発展がもたらす中国などBRICSやグローバル・サウス諸国の政治的・経済的な台頭のなかで、その歴史的没落のすう勢はいっそう鮮明なものになっている。このような歴史的変動は、戦争と大国間対立が国際情勢の前面に押し出される一時代を招来させている。今なお続くロシア・ウクライナ戦争とイスラエルによるパレスチナ人民への大量虐殺戦争は、そのような時代の転換を世界史のなかに刻印した。
他方、ますますはっきりとする帝国主義の世界支配の暴虐性、資本主義の歴史的限界は、現状変革を求める労働者階級人民の声と闘いを国際的に拡大してきた。パレスチナ人民の抵抗闘争とそれに対する国際的な連帯運動は、帝国主義とその植民地主義の歴史を鋭く告発している。ネパール、インドネシア、フィリピンでの青年層を中心にした政府の腐敗に対する決起は、闘いの波及性と連動性をあらためて示した。また、ニューヨーク市長選での「民主社会主義」を掲げるゾーラン・マムダニの勝利は、根深い反共風土を形成してきた米国において画期的な意味をもつが、それはこのかん米国における階級闘争の前進を反映したものとして捉えるべきである。
同時に、帝国主義諸国を中心に、差別排外主義、民族排外主義の激化と極右勢力の政治的台頭、マイノリティー集団への迫害の強化がもたらされていることが、現在の階級情勢の大きな特徴である。米国や日本を含め、極右政治家が政権の座に就く事態が続いている。それゆえ、差別排外主義との対決は、国際階級闘争の前進の共通の課題であり、それは日本における闘いにとっても同様である。それはまた、差別分断支配を打ち破り、新たな社会の建設に向けて労働者階級人民の闘いの内実を形成・深化させていくための課題でもある。
差別排外主義、民族排外主義と対決し、階級的利害に立脚した闘いとその国際的な結合をおし進め、反帝国主義・プロレタリア国際主義にもとづいて労働者階級人民を階級的に組織していくことこそ、現下の国際情勢のなかでのわれわれの基本的な任務に他ならない。それを引き受け、資本主義・帝国主義を打倒し、階級解放―全人民解放の実現に向かって進む共産主義運動の新たな前進と飛躍こそが今、切実に求められている。
<共産同(統一委)の再建と新たな出発>
われわれ共産主義者同盟(統一委員会)にあっては、昨年六月、一部の政治局員らが「分党宣言」なる文章をもって、党建設から脱落・逃亡するという事態が発生した。われわれが機関紙『戦旗』二〇二五年一〇月号(第一六八三号)の声明で明らかにしたように、その核心は、脱落派指導部による差別とその居直り、擁護にある。セックスワーク差別、トランスジェンダー女性差別を契機にした約二年間にわたる党内での論争と闘争は、脱落派の党建設からの逃亡としていったん決着付けられることになった。
脱落派は、党建設からの逃亡と同時に、反帝国主義・プロレタリア国際主義に基づくアジア人民との具体的な国際連帯の実践を軽々と投げ捨てた。さらに、このかん党の大きな力量を割いて取り組んできた岩国反基地闘争から撤退することで、日米軍事同盟との対決を後景化させた。国内外の情勢が差別排外主義、民族排外主義との対決をますます鮮明に要求するなかで、差別を差別と認めず、自己保身を行動原理として、階級的任務を放り出してきた脱落派には、何の未来への展望もない。
この状況のなかで、昨年後半期、脱落派による党破壊策動と闘い、党を再建することそのものが、われわれにとっての大きな課題となった。それはまず、昨年八月の第七回臨時党大会の成功裡の開催として結実した。大会は、約二年にわたる党内論争・党内闘争の経過と核心点を明らかにし、それに対する党の立場を声明としてまとめあげた。また、脱落派指導部が大衆運動場面で引き起こしたハラスメント問題に対する党の立場をあらためて確認した。そして、当面する政治闘争の方針を確認し、今後の党建設上の課題を確認し、全国的な組織体制を整え、中央指導部を選出して、共産同(統一委員会)の全国的再建の糸口に着いた。
われわれは、勝ち取られた第七回臨時大会の成果を基礎に、党建設と階級闘争、共産主義運動のさらなる前進をめざして全力で闘っていく。同時に、「分党」なる党破壊策動を先頭に立って推進してきた腐敗した脱落分子が党の中央指導部から生み出されてきたという現実は、われわれのこれまでの党建設のあり方を検証し、その弱点や限界を克服していく必要性を示している。それを切開し、党建設の新しい段階を切り拓いていかなくてはならない。また、脱落派の党建設からの逃亡が、ジェンダーをめぐる論争と対立をひとつの大きな契機としていることを踏まえ、この領域での実践的・理論的な前進を勝ち取り、あらゆる性差別・性暴力を許さない闘いを推進していく。
党の再建に向けたこの過程は、同時に、われわれの闘争実践を後景化させるものでは決してなかった。そもそも階級闘争の鉄火の試練のなかでこそ党は鍛えられ前進するというのが、われわれの立場である。われわれは、反戦・反基地闘争、反原発闘争などの闘いを全国各地で責任をもって推進し、パレスチナ人民への連帯闘争をはじめ国際連帯の実践に取り組んできた。また、AWC運動を支え、韓国APEC反対闘争など、反帝国際共同闘争のさらなる前進のための闘いを進めてきた。
われわれはまた、政治過程における闘いと同時に、革命的労働者党としての闘争体系を堅持して闘い抜いてきた。われわれは、「反戦の砦」、反帝国主義闘争の拠点としての三里塚闘争を現地に常駐する現闘・行動隊を先頭に守り抜いてきた。同時に、階級的労働運動、被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争の前進のための闘いに日々取り組んできたのである。
これらの闘いの昨年度の集約環として、われわれはアジア共同行動(AWC)日本連絡会議と岩国・労働者反戦交流集会実行委が呼びかけた2025岩国行動に各地から全力で決起し、全国の仲間、海外の仲間と共にその成功を勝ち取った。民族排外主義煽動と戦争準備を加速させる高市政権と対決し、沖縄人民、アジア人民と連帯して、日米軍事同盟の粉砕とアジアからの米軍総撤収の実現をめざす闘いとして、岩国住民と結合した基地強化を許さない闘いとして、階級的労働運動と労働者反戦闘争の前進に向けた闘いとして、そして、アジア太平洋地域の民衆運動との反帝国際共同闘争として、岩国闘争は大きく成功した。結集は前年を少し下回ったものの、各地から多くの新たな参加者を迎え、豊かな政治内容をもって、今後の拡大・発展の展望を示した。
われわれは、昨年の闘いの成果、とりわけ昨年後半期の階級闘争と党建設における組織実践の成果を踏まえ、二〇二六年を全力で闘い抜いていく。大きな時代の転換期にあって、情勢と現実の階級闘争がわれわれと現代共産主義運動に要求する任務と課題に全力で立ち向かい、実践的、組織的、綱領的な飛躍を成し遂げ、労働者階級、被抑圧人民・被差別大衆の解放に向けた闘いの前進を勝ち取っていく。共に、二〇二六年階級闘争を闘おう。
■ 第二章 世界情勢
<戦争の激化と拡大>
昨二〇二五年、現代世界は戦争が続く中で、さらに分断と対立が国際的にも各国的にも進んだ。
まずもって、二〇二二年からのロシア・ウクライナ戦争、二〇二三年からのイスラエルのパレスチナ虐殺戦争がより激烈に進行した。昨年再び米大統領に就任したトランプは、いずれの戦争も自らが停戦させると豪語した。しかし、トランプ政権がやってきたことは、この戦争を自国の支配階級に有利に利用することでしかなかった。トランプの「停戦」は、支配者=強国側が軍事力をもって制圧することである。平和を実現したのではなく、軍事的圧制、軍事的侵略を既定のこととして確認するものでしかない。軍事的強国がその利害を確認し合うこと以外ではない。支配される側にとっては軍事占領であり、戦争の継続だ。
トランプの中東政策は、中東の平和を追求するものではなく、イスラエル極右ネタニヤフ政権を擁護し続け、かつ、そこで米帝の利害を貫くものだった。
二〇二三年一〇月七日の「アルアクサの洪水」作戦を口実にしたイスラエル軍のガザ侵攻は、二年以上に及ぶイスラエルのパレスチナ虐殺戦争として続いている。昨年一〇月一〇日に「停戦」が発効したが、イスラエルはガザへの攻撃を続けている。米帝の支援を受けたイスラエル―ネタニヤフ政権のパレスチナ人民殺戮が続いているのだ。
一一月一七日、国連安保理は米国主導の「ガザ和平計画」なる決議を採択した(中国、ロシアは棄権)。「平和評議会」なる機関が「和平計画」を進めるとしている。評議会トップにはトランプが就任することになっている。停戦と治安の維持を「国際安定化部隊(ISF)」が担うとしているが、ISFを構成する国は決まっていない。「和平計画」は、ハマスを武装解除しガザを非軍事化するとしている。イスラエルがガザを軍事的に包囲し制圧する中でハマスを武装解除する任務を負う部隊に、アラブ諸国、イスラム諸国が参加できるはずがない。一方で、「将来的なパレスチナ国家樹立の可能性」に対してネタニヤフが強く反対している。
トランプ政権が「停戦」と称してガザで強行しようとしていることは、パレスチナ解放に真っ向から敵対するものだ。そもそも、昨年米帝は、イスラエルとの軍事同盟を根拠にして、イランへの軍事攻撃を強行した。イスラエルのイラン攻撃を抑制するどころか、イスラエルの要請に応えて、イラン核施設に対して地中貫通爆弾バンカーバスターとトマホークによる攻撃を強行した。トランプ政権はイランとの核協議ではなく、戦争をもって「無条件降伏」を迫ったのである。
ロシア・ウクライナ戦争は収束せぬまま、プーチンは占領地の軍事的拡張のために戦争を続けている。トランプ政権が提示した和平案は、ロシア政府が作成したプランを基にしたものだとも報じられている。自国の利害を押し通すためには、戦争も関税も手段を選ばないトランプ政権は、ロシア・ウクライナ戦争に対しても、米帝とロシアが最大限の利益を得ることを目的に対処しているのだ。
さらに今、トランプ政権は、「麻薬対策」を口実にして、空母打撃群を中南米沖に配備している。実態は、ベネズエラに対する戦争挑発だ。実際に「麻薬運搬船」とみなした船に対して空爆を行っている。トランプはベネズエラへの陸上攻撃も示唆している。「麻薬対策」だと強弁して侵略戦争を強行する構えなのだ。
<支配階級のグローバリゼーション否定>
昨年四月二日の「相互関税」の一方的な発表から始まったトランプ関税外交は、世界の経済と政治に新たな混乱を生み出した。
米帝金融資本の利害を全世界規模で押し通す経済政策こそ新自由主義グローバリゼーションだった。とくに、ソ連・東欧圏が瓦解し、中国スターリン主義が「社会主義市場経済」を公然と掲げた一九九〇年代以降は、帝国主義の金融資本があらゆる障壁を取り払って市場を拡大し、資本輸出を増大させてきた。それは、資本と賃労働の関係を世界規模で広め、資本主義的生産のための資源収奪をさらに拡大するものだった。
現代資本主義は、工業生産における直接投資をなすだけではない。資本の流れを国際化し、投資、投機の資金が地球規模で流動するシステムを作り出してきた。搾取、収奪によって集積された資本はさらに収益をあげるために金融システムを通して世界中を駆け巡る。この資本の投機的流れから見捨てられれば破綻する。残酷な資本主義だ。
二〇〇八年恐慌でG20各国政府がとった政策に明らかなように、現代帝国主義は、この破綻を引き起こした金融システムを、あらゆる手段を尽くして守ろうとした。プロレタリアートにとっては世界規模での搾取・収奪システムが、ブルジョアジーにとっては存立基盤なのだ。世界規模の市場を維持し、資本の自由な移動を保障することが、現代資本主義の生命線なのだ。
資本主義は、その利害ゆえに分断を作り出す。収益が上がらない産業には投資しない。同じ国民かどうかではない。収益が上がるかどうかだ。米国自動車産業を見捨てているのは欧州やアジアの消費者ではない。金融資本が見捨てているのだ。
米国内でも引き起こされてきた悲惨な状況を、関税政策で他国に矛盾を押し付ければ「解決できる」と、トランプは考えた。トランプ関税外交は、新自由主義グローバリゼーションの矛盾が国内階級矛盾として跳ね返り、対立と分断の果てに、共和党トランプが権力を握り直して、対外的な押し付けによって解決しようとしたものだ。
トランプ政権は、国内階級支配、資本と賃労働の関係においては新自由主義政策を徹底させながら、世界的な通商関係においては、これまで推進してきたグローバリゼーションを否定し破砕する手段を行使している。貿易と投資の自由を地球規模で押し広げて、経済力で優位に立つ米帝が資本主義総体を支配していこうとしてきたグローバリゼーションを、自ら否定しなくてはならない。このような事態に、米帝が追い詰められているということだ。
英帝、日帝、EU=欧州各国帝は、米帝トランプの関税外交に対して、それぞれ個別に対応し、さまざまな貿易と投資の譲歩をもって対処し、基軸通貨国であり続ける米帝との通商関係を維持している。これまで米帝が主導し、新自由主義グローバリゼーションを推進する場となってきたG7やG20、APECなどの多国間枠組みをトランプは徹底的に無視、または軽視する対応をとっている。逆説的ではあるが、他帝に対するトランプ関税外交が効力を発揮しているのは、この地球規模の枠組みの中心に今も米帝があるからだ。
帝国主義各国をはじめ現代資本主義各国は、ドルを基軸通貨とした自由貿易、資本移動の自由を相互に認め合った世界経済を現代資本主義の基底と確認しており、それを分断することは相互の利益にならないとの共通認識が未だ存在している。ただし、トランプ関税外交は、米帝を中心国とした体制を前提としながら、それを破壊する脅しをかけて通商交渉を進めるというものなのである。
<新たな矛盾と対立>
中心国米帝が推進してきた新自由主義グローバリゼーションの上に立ちながら、これを否定するトランプ関税外交は、その自己矛盾ゆえに、トランプの思い描いた通りには進まない。
第一には、中国がトランプに安易な譲歩をしなかったことだ。
トランプ関税外交に徹底的に対抗し、トランプに譲歩させたのが、中国の習近平政権だった。昨年四月のトランプの「相互関税」に対して、習近平政権は米農産物などへの関税で報復した。米側の関税は145%、中国側の対米報復関税も125%に達した。その後の米中貿易交渉で関税引き下げに合意した。しかし、中国は一〇月にレアアース輸出規制の強化を発表した。米帝は対抗して一一月一日から100%の追加関税を示唆した。一〇月三一日、韓国・釜山での米中首脳会談において、双方が対抗措置を緩和することで合意した。米帝は100%追加関税発動を見送るとし、中国側はレアアース輸出規制を一年間延期した。米国産大豆の輸入を中国が再開することとなった。
第二には、トランプの自国第一主義、より具体的に言えば、自国ブルジョアジーの利害を押し通す政治が、これまでの国際政治の一定の調整さえも破壊する流れを生み出してきていることだ。
トランプは、帝国主義が世界支配を貫くための枠組みとなってきたG7、APEC、G20の首脳会議を欠席し、あるいは途中退席している。前述したように、他帝国主義も中国も、これらの枠組みにおいて世界規模の主導権をめぐって争っており、資本間の競争、国家間の覇権争闘の具体的な展開がなされている。帝国主義が主導してきた枠組みが相対的に弱まる中で、中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカが形成してきたBRICS、あるいは上海協力機構などの枠組みが、参加国を拡大するとともに、単なる協議の場ではなく制度化された国際機関として形成されつつある。BRICSは、五カ国に加えて一昨年イラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピアが参加、昨年にはインドネシアが参加して、一〇カ国に拡大している。独自の国際決済制度も持っている。基軸通貨ドルからの離脱が進んでいるのだ。
第三には、国内階級矛盾の激化である。
トランプの「相互関税」は、排外主義的な移民排斥や反戦闘争への弾圧ともあいまって、米国内での反発を招いている。高率関税は物価高騰として労働者人民総体に負担を強いることになる。「相互関税」をトランプ政権が独断で決定したことの違法性に対して米国内で裁判闘争が続いている。米国の関税に関する権限は議会にある。トランプは国際緊急経済事態権限法に基づいて大統領権限で高率の「相互関税」を決定して発動した。五つの企業と一三の州が昨年四月、このトランプ関税の差し止めを求めて提訴した。五月には米国際貿易裁判所が、トランプ関税を「違法であり無効」とする判決を出した。八月には控訴審も違法・無効の判決を是認した。最高裁での審理が行われている。
<権力の排外主義とそれに対決する闘い>
戦争が続き、世界各国で格差が拡大する状況の中で、支配階級の側が排外主義を容認し、あるいは煽動して、支配を貫いていこうとする動きが鮮明になっている。これまでの階級支配のあり方を右から批判し、排外主義を公然と押し出した極右勢力が、労働者人民の不満を反動的に包摂しようとしている。
米トランプ政権に顕著であるが、欧州各国においても、国家権力が公然と移民を敵視し、反戦闘争を「反ユダヤ主義」と決め付けて弾圧する反動が始まっている。この激しい弾圧は、社会全体を分断し、排外主義の激化を再生産している。
理不尽な弾圧に対して抵抗、反撃が闘われている。各国において、その闘争形態は異なるが、階級支配の反動化に対する闘いが開始されている。これまでの中道左派、既成左翼が、国家権力の右傾化に迎合する状況の中で、排外主義と対決し反戦闘争を闘い、ブルジョア階級との対決を鮮明にする政党、勢力が、労働者下層、とりわけ青年層からの支持を集めている。
社会全体の反動化、排外主義化に抗する闘いが、今こそ問われている。
戦争と排外主義、独善的な経済政策に対する抵抗闘争は、米帝―トランプの下で始まっている。イスラエルのパレスチナ虐殺戦争に対する反戦闘争、パレスチナ人民に対する連帯闘争が、米国内で拡大してきた。これに恐怖したトランプは、この反戦闘争を「反ユダヤ主義」と決め付けて弾圧した。反戦闘争が取り組まれた大学に対して留学生の受け入れ資格を停止し、助成金を凍結。あるいは、気候変動研究の資金の削減までが強行されている。
トランプ政権は対立する勢力に対して、公然と排除し、敵視し、弾圧してきた。昨年六月、トランプ政権はカリフォルニア州に対して移民の一斉摘発を強行した。抵抗運動が起こる中、州知事の同意なしに、州兵を動員し、さらには海兵隊をも動員した。カリフォルニア州が移民に寛容だということと同時に、前述した「相互関税」差し止め裁判の原告の一つがカリフォルニア州であり、民主党の知事ニューサムを「政敵」と捉えたからだった。トランプはまた、DEI(多様性、公正性、包摂性)政策の見直しを通してトランスジェンダー差別をはじめとする性差別を強めてきた。
昨年一一月のニューヨーク市長選では、「民主社会主義」を掲げる民主党のゾーラン・マムダニが勝利し、一月一日からニューヨーク市長に就任する。一昨年の米大統領選で、民主党候補カマラ・ハリスは、最終的にはウォール街や大企業から巨額の献金を受け、労働者人民の側に立つ政策ではなくなり、とくに青年層の支持を失った。マムダニは、インド系でイスラム教徒であり、民主社会主義を公言し、多様な住民との対話を重ねて支持を伸ばした。物価高に対応した具体的な政策を打ち出し、財源として企業や富裕層への課税強化を打ち出した。トランプはマムダニを「共産主義者」と呼んで攻撃しているが、トランプの政策に真っ向から対決するマムダニの勝利は、米国の最大都市ニューヨークの労働者人民、とりわけ青年層が、反トランプの政治選択をしたということだ。
イスラエルのガザ侵攻―パレスチナ虐殺戦争が始まると、欧州各国帝はイスラエル支持を掲げた。これまでもあったイスラム憎悪が、さらに激化している。一方で、元々は反ユダヤ主義であった欧州の極右政党が、パレスチナ虐殺戦争に際してイスラエル支持の立場をとりはじめた。
欧州各国の支配階級は、左翼勢力の伸張の中で、これまでは政権が一線を画してきた極右勢力を容認し、取り込む動きを始めている。階級支配の危機と戦争状況の中で、支配階級が、極右排外主義と親和し始めているのだ。
ドイツでは貧富の格差が拡大する中で、昨年二月の連邦議会選挙で、与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第一党になったが、極右「ドイツのための選択(AfD)が第二党となった。これに対抗して票を伸ばしたのは、社民党でも緑の党でもなく、排外主義との対決を鮮明にした左翼党だった。とくに、一八~二四歳の若年有権者についてみると27%の支持を得ている。左翼党は、メルツ政権が移民・難民政策をめぐってAfDと協力しようとしたことに対して徹底的に批判し、注目を集めている。
フランスでは、左翼連合「新人民戦線」(NFP)が一昨年の総選挙で首位になった。しかし、マクロンは左翼政府を認めず、何度も政権の組みなおしを行ってきた。マクロンは、移民・難民排斥、イスラム憎悪などの右翼の主張を一定受け入れてきた。マクロンは新自由主義政策を貫くために、極右を取り込んだ政権運営に踏み込んでいるのだ。
イギリスでは、労働党の前党首であったジェレミー・コービンが、「反ユダヤ主義」などを理由として二〇二〇年に党員資格停止処分を受けた。さらに、二四年の総選挙のマニフェストをめぐって、緊縮政策を進めるスターマー党首と、福祉拡充や環境政策をめぐって対立し、労働党を除名された。コービンは昨年七月、すでに労働党を離党していたザラ・スルタナとともに新党を組織する方針を発表し、昨年一一月三〇日、新党「あなたの党」を立ち上げた。スターマー労働党政権と対決する左派政党を目指しており、支持を伸ばしている。イギリスにおいても、一方で、極右排外主義の「リフォームUK」が勢力を拡大している状況がある。
トランプ政権登場の大きな問題は、排外主義の激化とともに、気候変動対策に対する放置、敵対という態度をとり続け、温暖化の進行に拍車をかけるような行為に踏み込んでいることだ。トランプ政権は国連気候変動枠組条約第三〇回締約国会議(COP30)に完全に背を向けた。トランプは、二酸化炭素など温室効果ガスの増加によって地球の温暖化が急激に進んできている事実を認めず、これを「詐欺だ」と決め付けている。世界第二の二酸化炭素排出国=米国の脱落は、地球温暖化抑止の努力に真っ向から敵対するものだ。
<東アジア情勢と階級闘争の前進>
アジア太平洋地域、そして東アジアをめぐる米帝の戦略は、共和党と民主党でその重心に差異はあるが、中国、ロシア、そして他帝の動向を踏まえた、その戦略の構図に根本的な変動が起こってきたわけではない。日米同盟関係は、一九九〇年代に再定義されて以降、軍事同盟としての強化を重ねてきており、日帝は、米帝の世界戦略を見据えながら、アジアにおける帝国主義としての軍事プレゼンスを拡張し続けてきた。
ロシア・ウクライナ戦争、イスラエルのパレスチナ虐殺戦争が続く世界情勢の中で、東アジアにおいても戦争が起こりうるものと想定して準備するという言説が、日本の政権政党や極右政党によって叫ばれている。中国、朝鮮民主主義人民共和国を敵視した戦争準備が急激に進められている。米バイデン前政権は「民主主義と専制主義の対決」を掲げて、東アジアにおいては米日豪印で対中国包囲を築いていくことを戦略とした。トランプ政権は、経済的にも軍事的にも対決姿勢を鮮明にしながら、ロシア、中国との取り引きを有利に進めようとしている。トランプにとっては、戦争も取り引きの一環である。
このような米帝と同盟を強化しつつ、東アジアを自国の「戦域」と捉えて、日帝は独自の軍事力強化を進めている。米帝、日帝の戦略こそが、東アジア地域の軍事的緊張を高めている。日米韓、日米比、日米豪という形で、周辺諸国を巻き込んだ対中国の戦争準備が急激に進められている。
その上で、日帝にとっても、米帝にとっても、東アジア地域が最重要の経済権益圏としてある。アジア諸国は貿易相手国であり、資本輸出先である。新自由主義グローバリゼーションの下で、帝国主義資本が投資・投機を拡大してきたのは、中国、インドも含めたアジア地域である。主要な経済圏であるからこそ、軍事力をもってその主導権を握ろうとするのだ。
対中国侵略反革命戦争準備も、朝鮮半島情勢も、帝国主義の戦略こそが大きく規定しているのである。だからこそ、東アジアにおける階級闘争は、日帝、米帝の動向を見据えた反帝闘争として闘い抜かれている。
韓国では一昨年、極右大統領・尹錫悦(ユンソギョル)が、反対勢力を一掃する目的で非常戒厳宣布を強行した。自らに批判的な野党、ジャーナリスト、運動圏、さらには与党代表をも「反国家勢力」と規定して、三〇〇〇人規模の拉致・殺害を計画し、壊滅しようとした。しかし、韓国民衆の決起によって粉砕された。この「光の革命」によって、内乱の首謀者・尹錫悦は弾劾、逮捕、罷免された。現在、裁判中だ。
昨年六月の大統領選では、野党候補・李在明(イジェミョン)が得票率49・42%で当選したが、敗れた与党候補も41・15%の票を獲得した。また、検察と裁判所には尹錫悦支持派が未だ多数を占め、国家権力内部のブルジョア右派と左派の対立・死闘は今も収まってはおらず、内乱は継続中だ。
李在明政権はブルジョア政権としての立場を鮮明にし、労働問題は実質棚上げしてきた。半導体とAIのみならず兵器と原発の輸出拡大のための外交を活発に展開している。一方で、在野=進歩勢力の内部にも李在明政権を支持もしくは連携する勢力が多数派として発生し、事実上の分裂状況となっている。極右内乱勢力との闘い、現政権と対決する労働者解放の闘い、朝鮮戦争・中国侵略戦争という帝国主義の戦争策動と対決する闘い、これら三つの課題を担う進歩左派勢力の実践に注目し、連帯していかなくてはならない。
昨年九月、フィリピンでは、防災事業費をめぐる汚職が明らかになって、マルコス・ジュニア政権の腐敗に対する抗議行動が闘われた。九月二一日の反汚職デモには五万人が参加した。フィリピン人民は、マルコス大統領とドゥテルテ副大統領の責任を問い、糾弾している。
分断と対立が激化する今日にあって、南北在外の朝鮮人民、中国(大陸・台湾)人民、フィリピン人民をはじめとしたアジア人民との国際連帯行動は、あらためてプロレタリア国際主義が問われる段階にある。
■ 第三章 国内情勢
<極右・高市政権の戦争と排外主義>
トランプ政権登場に顕著なように、世界的に大資本と富裕層を優遇する政策がとられ、貧富の格差が拡大し、労働者とりわけ下層の貧困化が進み、それと一体に排外主義勢力、極右勢力の跳梁跋扈が顕著になっている。日本においては、少数与党化という危機ゆえに、自民と維新の連立をもって極右―高市が首相に就任するという事態になった。ブルジョア支配階級の危機の中で、与党連立の組み直しが急遽なされ、極右政権が登場する事態となった。高市個人の政治的立場のみならず、日帝国家権力の支配構造の再編の攻撃としてあることを見据えなければならない。労働者階級人民の利害に立脚し、反戦闘争、排外主義との対決を全力で闘い、極右反動政権を打倒していく闘いが真に求められている。革命的祖国敗北主義に立脚した反戦闘争を組織し、闘い抜こうではないか。
政権与党―石破政権は昨年七月の参院選で敗北し、それまでの自公政権では、衆議院でも参議院でも過半数割れとなった。安倍政権以来の戦争法、日米同盟強化―大軍拡の推進、政治と金の問題の放置、アベノミクスの失敗による急激な円安、物価高騰を基底要因として、自公政権への批判が強まった結果である。しかし自民党右派は、自公政権の敗北の理由を、極右政党=参政党に「保守票」が流れたせいだと主観的に総括して、石破批判を強め、石破を辞任に追い込み、自民党総裁選を強行した。高市早苗が総裁に就任すると、公明党は連立条件の再確認を迫り、連立解消に進んだ。孤立した高市自民党は、日本維新の会と急速に接近し、自民・維新連立を合意し、一〇月二一日の臨時国会で高市早苗が首相に選出された。
こうして、自民党内右派が主導し、維新の会が「閣外協力」し、さらに極右排外主義の参政党、日本保守党が翼賛する、極右反動の高市政権が誕生した。
高市は、大軍拡、改憲、外国人排斥を鮮明にし、スパイ防止法制定に突き進もうとしている。トランプとの首脳会談では軍事同盟の強化、拡大を進めることを鮮明にした。高市は大軍拡予算を前倒しして進めようとしている。この大軍拡は、現在も進んでいる沖縄・琉球弧の「戦場化」をさらに促進するものだ。中国を敵視して敵基地攻撃能力を急激に強化しようとする攻撃である。
この高市の極右の本性が、昨秋臨時国会での「台湾有事」答弁で鮮明になった。一一月七日の衆院予算委員会の質疑において、高市は「台湾有事」について問われ、「それが戦艦を使い武力の行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と答弁した。
安倍政権が成立を強行した戦争法における「存立危機事態」とは、相手国の武力行使を判断するというだけの意味ではない。日本が直接攻撃を受けていなくとも、日本にとっての「存立危機」だと判断するということである。それは同時に「集団的自衛権」行使に踏み込んで参戦することを意味する。
台湾の問題を、日本の首相が「存立危機事態」と明言することは、日本が武力行使に踏み込むことの表明である。それ自体が内政干渉である。その上で、日本の参戦を企図した判断を明示するということは、中国にとっても、台湾の民衆にとっても、日本が侵略戦争に再び踏み込む宣言をするということである。絶対に許されないことだ。
<階級矛盾の深化と労働者階級の利害>
高市は、アベノミクスを継承する積極財政(国債増発)を経済政策の基軸に据えようとしている。日本がデフレ状況にあった安倍政権の時期とは経済状況が異なっているという問題があるが、それ以上に、安倍政権の経済政策が成功したと思い込んでいることが、高市が落ち込んでいる大きな陥穽である。
安倍政権と黒田日銀の異次元金融緩和こそが、現在にまで至る円安状況を恒常化し、物価の高騰を招いた大きな要因である。高市はそのことを批判的に総括することが全くできない。その高市が首相に就任したからこそ、円安はさらに進んできた。政府が財政出動をもっててこ入れしなければならないような経済が「強い経済」になりうるのか? 「強い経済」どころか、「弱い円」に突進しているのだ。
高市は昨秋の臨時国会における所信表明演説で、「強い経済」を構築するための「責任ある積極財政」を主張し、戦略的に財政出動を行うとした。しかも、高市が成長戦略の「肝」と位置付ける具体的な財政出動とは「大胆な『危機管理投資』」なるものだ。経済安保、食料安保、エネルギー安保、健康医療安保、国土強靭化対策を列挙している。そして、高市政権の下で、原発再稼働の動きが急速に進んでいる。危機管理投資の名の下に、軍事基地の増設・新設、原発再稼働、原発リプレース(建て直し)、あるいは成田空港拡張のような開発投資を際限なく拡大しようとしているのだ
何より、高市の反労働者性は、賃上げに対する態度に明確に表れている。物価対策が緊急の課題だとして「物価上昇を上回る賃上げが必要」としながら、賃上げ、あるいは、最低賃金の引き上げ、という政策を主導しようとはしない。高市は、「継続的に賃上げできる環境を整えることこそが、政府の役割」と主張する。賃上げに関して、あくまで経営者側、ブルジョアジーの側に立って、その条件整備の政策に限定することを強調する。もっとはっきり言えば、賃金引き上げについて政府が直接関与はしない、経営者の判断、努力に任せる、というものだ。そもそも、経営者の努力とは、経営の合理化であり、具体的には労働分配率をいかに引き下げるかの努力である。
現実に、労働者人民が物価高騰に直面し、実質賃金が低下し、とくに労働者下層の貧困が深刻化している。富裕層と労働者、労働者下層との格差の拡大という状況の中で、高市政権の労働政策を徹底的に批判し、賃金引き上げをかちとっていこうではないか。労働者階級人民の利害を対置して闘い、高市政権を打倒していこう。
■ 第四章 二〇二六年の闘争方針
<階級的反撃の組織化と前進を>
戦争と大国間対立が、世界各地の労働者階級、被抑圧人民・被差別大衆の生活と生命にさまざまな形で影響を与えている。日本においても、自民党と日本維新の会の連立による高市政権の発足が、労働者階級人民の犠牲を拡大し、差別排外主義を跋扈させ、東アジアの軍事>緊張をますます強めることは明らかである。そのような状況下、われわれは革命的労働者党、共産主義党として、日本階級闘争の前進を切り拓いていくために、以下の諸点を課題として二〇二六年の闘いを推進していく。
(全人民政治闘争)
第一に、戦争政策、原発推進、移民排斥、生活破壊をおし進める極右・高市政権と対決し、その打倒に向けた全人民的政治闘争の高揚を切り拓いていくことである。
高市政権の下で、安保三文書の前倒し改定と軍事費のさらなる増額、スパイ防止法の制定策動、原発の再稼働と新増設の推進、差別的「外国人政策」と入管法改悪策動など、反動的諸政策が進められようとしている。それらひとつひとつに対する闘いを推進し、それを高市政権の打倒に向けた全国的な大きな奔流へと発展させていかなくてはならない。今日それは、各地での現場からの闘いの積み重ねとその結びつきの拡大を通して実現していくしかない。
これら反動諸政策との対決において、われわれは最も広範な共闘と統一戦線の形成、その闘いの全国的な結合と発展を追求し、促進する。それは現下の日本階級闘争の現実がわれわれに要請する最も基礎的な任務のひとつである。とりわけ、反戦・反基地闘争や反原発闘争の領域において、われわれはそのような闘いを推進していく。同時に、反帝国主義・プロレタリア国際主義の立場から、闘いの階級的・国際主義的な発展をたえず追求していかなくてはならない。
高市政権の極右反動政治と正面から対決し、政権打倒に向けた全人民的政治闘争を前進させていこう。
(階級的労働運動)
第二に、労働者階級人民の生活破壊・権利破壊を許さず、階級的労働運動の前進を勝ち取っていくことである。
労働者階級人民の困窮の深まりの一方、大企業・独占資本は内部留保を拡大させ続けている。増大する軍事予算が、「防衛増税」と社会保障の切り捨てを通して、労働者階級人民の生活をますます圧迫していこうとしている。高市はまた、就任早々に労働時間規制の緩和を打ち出した。最低賃金の増額についてもあからさまに消極的な態度を示している。
労働者の基本権の破壊・解体を許さず、未組織労働者の組織化、春闘勝利、一刻も早い最低賃金の全国一律一五〇〇円以上への引き上げ、均等待遇、外国人労働者の権利確立と組織化、職場でのパワハラ・セクハラの根絶など、直面する課題を実現していかなくてはならない。相対的下層の労働者の利害に立脚した階級的労働運動の役割が今こそ大きく発揮されるべきときだ。
同時に、労働者反戦闘争を推進していくことである。戦争体制づくりと労働者の戦争動員攻撃が強まるなかで、それは階級的労働運動の必須の任務だ。また、連帯労組関西生コン支部への弾圧をはじめ国家・資本の労働組合つぶしに対する反撃を共通の任務として取り組んでいかなくてはならない。さらに、現下の韓国オプティカル・ハイテック争議をはじめ日系侵出企業下での闘いへの支援連帯を進めよう。
(差別排外主義との闘い)
第三に、差別排外主義、民族排外主義と対決し、被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争をおし進めていくことである。
高校無償化制度からの朝鮮学校の除外など政府の差別的政策は、これまでも民間の排外主義集団による在日・滞日外国人への攻撃を助長してきた。加えて、昨年七月の参院選では、極右政党である参政党が躍進し、各政党が差別的な「外国人政策」を競い合う深刻な状況が生み出されてきた。高市政権の発足は、このような状況をさらに加速させている。
差別排外主義、民族排外主義との闘いの前進は、日本階級闘争の喫緊で不可欠の課題だ。あらゆる差別煽動、排外主義煽動と闘い抜き、労働者階級人民の階級的団結とそれにもとづく闘いを拡大していかなくてはならない。
われわれは「中国脅威論」などの民族排外主義、移民排斥と入管法改悪策動を許さず闘う。障害者・精神障害者の闘い、被爆者、被爆二世・三世の解放闘争はじめ、被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争と反差別共同闘争をさらに推進する。部落解放闘争をめぐっては、再審実現を果たさぬまま無念にも昨年三月一一日に逝去された無実の石川一雄さんの闘いと遺志を引き継ぎ、狭山再審闘争の勝利の実現に向けて闘う。トランスジェンダー女性をはじめセクシャル・マイノリティへの差別を許さず、あらゆる性差別・性暴力を許さない闘いを進めていく。同時に、日本における差別排外主義の根底にある天皇制・天皇制イデオロギー攻撃と断固として対決していかなくてはならない。
(反帝闘争拠点での闘い)
第四に、反帝国主義闘争の拠点における闘いを支え抜いていくことである。
三里塚闘争は農地死守・実力闘争の原則を堅持しつつ、国家権力と成田空港会社の攻撃と対峙してきた。その闘いは実に六〇年目を迎えようとしている。われわれは、三里塚現地に常駐する現闘・行動隊の日常的な活動を軸に、三里塚芝山連合空港反対同盟の闘いと営農を支え、空港廃港まで共に闘い抜く。全国から三里塚現地での闘いへと決起しよう。市東孝雄さんの南台の畑の強奪を阻止するために闘おう。新たに立ち上がる騒音下住民との結合を広げ、空港機能強化=第3滑走路建設を粉砕しよう。
あわせて、沖縄解放闘争を推進していかなくてはならない。沖縄人民の闘いに対する日帝―国家権力による体重をかけた攻撃が続いている。辺野古新基地建設をめぐっては、昨年一一月末に大浦湾での無謀な土砂投入が始まった。琉球弧の島々は、自衛隊による敵基地攻撃態勢づくりの最前線として、自衛隊部隊の配備増強と基地の建設・強化が進められ、軍事演習が拡大している。中谷元防衛大臣や宮古島駐屯地司令の発言など、沖縄・琉球弧での闘いに対する露骨な恫喝もなされている。これらを許さず、全国での連帯闘争をさらに強め、沖縄―「本土」を貫く闘いを前進させ、沖縄解放闘争の前進を勝ち取ろう。
(国際連帯闘争の推進)
第五に、労働者階級人民の国際連帯闘争、反帝国際共同闘争を前進させていくことである。
パレスチナ人民の民族解放闘争に連帯して立ち上がることは抑圧された全世界の労働者階級人民の共通の課題だ。「停戦合意」後もパレスチナ人民の殺戮を続けるシオニスト・イスラエルとそれを支える帝国主義を弾劾し、パレスチナ人民の抵抗闘争・民族解放闘争への継続的な連帯を組織しよう。日本政府・日本企業によるイスラエル支援を許さない闘いを進めよう。
また、「インド太平洋戦略」の下で、「第一列島線」を軸に日米帝国主義の軍事展開が強化されるなかで、東アジアおよびアジア太平洋地域での反戦・反基地の国際共同闘争を発展させていくことである。AWCによる反帝国際共同闘争を支え推進していこう。韓国、フィリピン、台湾、インドネシアの民衆団体との連帯をさらに発展させ、加えて、中国大陸の人民、そして米帝足下で闘う人民との連帯・共同闘争のさらなる前進を勝ち取ろう。
同時に、現在の日帝による侵略戦争体制の構築、韓国やフィリピンなどとの軍事的連携強化は、日帝による植民地支配・侵略戦争およびその歴史の居直り、歪曲と一体のものとして進められている。われわれはこれを許さず、強制連行・強制労働の被害者や日本軍性奴隷制度被害者をはじめ日帝の植民地支配・侵略戦争のすべての被害者に対する日本政府による謝罪と国家賠償の実現に向けて闘っていかなくてはならない。
<階級闘争の新しい構造の建設を>
上記の課題を先頭に立って闘うと同時に、それを日本階級闘争の再編、階級闘争の新しい構造の建設へと結びつけていくことが求められている。われわれは、日帝―高市政権の反動諸政策に対して、労働者階級人民の断固たる街頭政治決起をつくりだしていくために闘う。同時に、広範な労働者階級人民の政治的・経済的闘争への立ち上がりを促進し、その階級形成をおし進めることで、日本階級闘争総体の構造的・戦略的な前進を勝ち取っていくための闘いを推進していく。
日本においても新たな一時代が始まっている。戦争政策と差別排外主義、民族排外主義を伴って戦争政策を一段と加速させようとする高市政権の登場はその象徴的な事態である。加えて、国民民主党、あるいは参政党、日本保守党などの勢力が直接的・間接的に高市政権を支えている。一方、野党第一党である立憲民主党は高市政権の極右反動政治と対決できず、野田路線の下でさらに右傾化を強め、第二保守党としての姿をいっそう鮮明にしている。
こうしたなかにあって、二〇一五年の戦争法反対闘争を契機に形成された「市民と野党の共闘」は、すでにその成立条件を失っている。闘いの新しい陣形、階級闘争の新しい構造を全国的・地域的につくりあげていくことが必要だ。労働者階級人民の現実の闘いに立脚し、現場からの階級的反撃を組織し、それを拡大・発展させていくことを基礎にして、日本階級闘争の新しい前進をつくりだしていかなくてはならない。それはまた、われわれにとっては、資本主義・帝国主義を打倒し、新たな社会を準備するプロレタリア革命の実現に向けて、その担い手である労働者階級、被抑圧人民・被差別大衆をひとつの政治勢力・階級的勢力として形成し、発展させていくという任務と一体のものである。同時に、日本階級闘争の戦略的課題として、すでにさまざまな領域において立ち上がっている青年の闘いとの結びつきを広げ、青年層の政治的・階級的決起を拡大していかなくてはならない。
日本階級闘争の総体としての前進、階級闘争の新しい構造の建設という事業は、ひとつの政治勢力の努力だけで実現できるものではない。われわれは、プロレタリア革命と共産主義の実現に向けて階級闘争をけん引する革命的労働者党として自らを建設し続けると同時に、階級闘争の前進という共通の目的をもって、広範な団体・個人との共闘を推進する。そのなかで、反帝国主義とプロレタリア国際主義、差別排外主義との闘争に基準づけられた闘争と共闘を前進させる。階級再編を実現し、新たな情勢のなかで階級闘争の新たな前進を切り拓くべき革命的な左派勢力の役割がいま問われている。
<共産主義運動の再生と前進を>
すでに見てきたように、米帝を中軸とした帝国主義が主導するこれまでの世界支配秩序が大きく揺らいでいる。第二次トランプ政権の振る舞いは、それをいっそう促進している。資本のあくなき利潤追求のために展開されてきた新自由主義グローバリゼーションは、国際的・国内的に貧困と格差を極限的に拡大した。その「限界」がトランプを国際的な政治舞台に登場させ、戦争と大国間対立が前面に押し出される歴史的な一時代が始まっている。自らの権益と覇権を何とかして維持しようとする帝国主義諸国の動向は、世界の分断と対立、戦乱をいっそう拡大しようとしている。
帝国主義の世界支配の根底的な動揺が始まり、資本主義の歴史的な行きづまりがますますあらわになるなかで、それに代わる社会と世界の展望としての共産主義の復権、共産主義運動の前進を日本においても実現していかねばならない。われわれは全国の闘う仲間の皆さんに、共産主義者同盟(統一委員会)に結集し、この歴史的な闘いを共にすることを心から呼びかける。同時に、階級解放―全人民解放に向けて、階級闘争をけん引し、日帝―国家権力の打倒に向けた闘いを共に推進していくことを訴える。
資本主義への批判とそれに代わる社会の構想、そこに向かう道について、日本でもその議論が増えている。しかし、その多くは国家の問題を捨象している。われわれは労働者階級人民の上にのしかかっている抑圧をひとつでも払い除けるために闘うが、ブルジョア国家が存続するかぎり、労働者階級人民の全面的な解放はないことは厳然たる事実だ。新たな社会の展望を切り拓くことができるのは労働者階級人民の階級闘争の前進であり、新たな社会を実現するためには、プロレタリア革命を通して労働者階級人民自身の権力を打ち立てなければならない。それゆえ、われわれはあくまで現実の階級闘争に立脚し、不可避に伴う国家権力の弾圧を粉砕しながら、労働者階級人民の闘いを共に担い、それを牽引することができる革命的で階級的な党の建設をめざしていく。
闘う仲間のみなさん、ますます激動する情勢のなかで、日本帝国主義の攻撃と対決し、労働者階級、被抑圧人民・被差別大衆の階級闘争を前進させ、資本主義の根底的変革と帝国主義の世界支配の打倒に向けた共産主義運動の新たな前進を勝ち取るために共に闘おう。共産主義者同盟(統一委員会)と共に、闘いの最前線へ!