トランプ政権のベネズエラ軍事侵攻弾劾
戦争準備に突き進む高市政権を打倒しよう
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米帝のべネズエラ侵略弾劾
米国トランプ政権は一月三日、ベネズエラ・ボリバル共和国に軍事攻撃を行った。就寝中のマドゥロ大統領夫妻を拉致して手錠をはめ目と耳をふさいだ状態で米国内へ連行し、ニューヨーク市の連邦拘置所に拘留して、麻薬裁判への出廷を強いた。ベネズエラ各地で爆発と炎上をもたらした米軍の破壊攻撃により約一〇〇人が死亡した。「米国がベネズエラを運営する」とトランプはほざいている。
米政府はこれまで、空母をはじめとする軍事力をカリブ海へ大挙動員したうえで、三〇隻以上の漁船を麻薬運搬船と決めつけ、警告せずに軍事攻撃して一〇〇人以上の漁民を殺害した。また、石油タンカー二隻を拿捕して同時にその全面封鎖命令を出し、一二月には港湾施設へのドローン攻撃を強行していた。
米帝のベネズエラ侵略反革命は、国際法と国内法を踏みしだき、中南米諸国を「縄張り」とみなして暴虐非道を極める植民地主義的暴挙だ。しかし高市政権は、「邦人保護に万全を期するとともに、ベネズエラにおける民主主義の回復及び情勢の安定化に向けた外交努力を進めて」いくとつぶやくだけで、米政府の蛮行を非難も批判もせず容認した。これは戦争への加担だ。日米両政府の暴挙を徹底的に弾劾する。
トランプの狙いは、世界一の埋蔵量とされる石油利権を「奪い返す」ことである。また、ベネズエラの最大債権国である中国に対して米国が優位に立つことだ(ただし、中国の石油権益は認め、その完全排除ではないことに留意)。だが、数多くのコミューナ(地域権力組織)を基盤とするベネズエラ民衆のボリバル革命は継続している。暫定指導者に就任したロドリゲス副大統領は「この国に大統領はニコラス・マドゥロ・モロスただ一人だ。われわれは帝国の植民地に二度とならない」と宣言し、反帝国主義の人民武装を堅持したうえで米政府との交渉に応じている。また、同国外務省は「帝国主義の侵略を打ち負かすため、国全体が行動を起こさなければならない」、「われわれは、ラテンアメリカ、カリブ海地域、そして全世界の民衆と政府に、この帝国主義的侵略に対して積極的な連帯行動を起こすよう呼びかける」と反帝国際連帯を訴えている。
ベネズエラの人々の訴えを受け止め、これに応える闘いに起ち上がろう。米国政府はベネズエラから手を引け! 侵略反革命戦争に加担する高市政権を打ち倒そう!
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世界支配秩序の動揺と再編
トランプは続いて、北極圏で中国とロシアに対する優位を築くこととレアアースなど鉱物資源が米国の国益にとって必須だという名分を掲げて、軍事行動も選択肢として掲げつつ、デンマークの自治領であるグリーンランド領有に向けて動き始めた。これに対して、デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・フランス・ドイツ・英国・オランダ・フィンランドが軍事要員をグリーンランドへ派兵すると発表したが、米政府はこの八カ国への追加関税を課す方針を明らかにした。典型的な帝国主義諸国間の領土再分割戦だ。その後、追加関税は取り下げられたが、トランプ政権の「ドンロー主義」(トランプ版モンロー主義)によって、米欧帝国主義間の矛盾と対立が広がっている。
また、昨年一〇月の停戦以降も米国の支援するシオニスト・イスラエルがパレスチナ人民虐殺(停戦から一月一三日までで四四七人を殺害)と救援物資の不当な差し止め、建物の破壊(停戦以降二五〇〇棟以上)を続けている。生活物資が絶対的に不足し、医療も崩壊して、凍死者・餓死者が多数出ている。
そうした状況の中で米政府は一月一四日、ガザ「和平」計画を「第二段階」(ハマスの「完全な武装解除」とガザの統治体制構築など)に移行すると発表した。ガザの暫定統治を指揮する「平和評議会」が発足したことを明らかにし、その監督の下で動く暫定委員会(委員長はパレスチナ自治政府元高官シャース)の設置に着手した。
米政府はトランプを長とする「平和評議会」の創設メンバーに、米国務長官ルビオ、米和平交渉担当特使ウィットコフ、米大統領副補佐官ガブリエル、クシュナー(トランプの娘婿)、米実業家ローワン(資産運用会社最高責任者)、世界銀行総裁バンガ(インド系米国人、マスターカード最高責任者)、元英首相ブレアを任命した。七人のうち六人が米国人だ。アングロサクソンによる世界支配、という構図だが、同評議会への参加要請は中国とロシアにもなされている。
さらに、世界各国に発送された「平和評議会」憲章にはガザ地区についての言及がなく、「紛争地域に合法的統治体制を構築し、平和を達成する機構」と自らを位置づけている。国連(安全保障理事会)にとって代わり、米帝が世界政府に、トランプが世界の大統領になって「力による平和」を全世界で実現するという意図だ。「反米勢力の巣窟となって米国の国益に反する」国連を無力化して解体し、自らを頂点とする新たな国際秩序を構築するための第一歩を米帝が踏み出した、ということだ。
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米帝の「国家安全保障戦略」
アジアに転じよう。中国の両岸(大陸と台湾)問題に関する米帝のこの数年間の戦略は、バイデン前政権の前と後、トランプ第二次政権の発足から「国家安全保障戦略」と国務省による「戦略計画」の発表までとそれ以降、の四つの時期を経て大きく転換した。
「民主主義、人権、法による支配」を掲げたバイデン政権の「インド太平洋戦略」すなわち対中国政策の核心は、同政権の「国家安全保障戦略」(二〇二二年九月)によれば次の三点だった。第一に、一〇年またはそれ以上に及ぶだろう中国との競争に勝つ。そのために、①軍事的に同盟国及び「パートナー」(友好国)との協力を強めて台湾・南中国海・東中国海などでの中国の軍事的「脅威」を抑止する。②経済安保という観点から安全保障と結びついた経済分野(半導体・バッテリー・生物工学の各最先端技術および重要鉱物・クリーンエネルギーなど)で中国に勝ち、それらの供給網を確立する。第二に、上記以外の経済分野、および、気候変動、食糧安保などの国際的課題については中国と協力・協働して取り組む。第三に「必要な時」「抑止が失敗した時」は「紛争に勝利する」。同政権の前半は軍事的抑止に重点が置かれたが、後半では中国との協力関係の再建にまい進した。
トランプ第二次政権の「国家安全保障戦略」(二〇二五年一二月)では、バイデン価値外交の象徴である「民主主義、人権、法による支配」という用語が消え、代わりに「力による平和」論が登場した。すなわち、大国(米中ロを指す)による地球の分割支配を構想し、その上で「西半球」(南北米大陸とグリーンランドを指す)を米国の権益圏と位置づけた。
インド太平洋戦略は維持されたが、バイデン政権時の上記の三点のうち、一点目はインドとの商業関係を強化する文句が加わって基本的に維持されたが、二点目は無くなり、三点目が大きく変化した。
すなわち、①台湾は第一列島線に接し、北東アジアと南東アジアの分岐点に位置しており、毎年世界の船舶の三分の一が南中国海を通過することを考えれば、これは米国経済に深く関わっている、だから軍事的優位を保つことで台湾に関する紛争を抑止することが最優先だ。②台湾海峡の現状を一方的に変更することはどんなものであれ支持しない。第一列島線を守る軍事力を打ち立てるが、それは米国単独ではできず、また、単独でするべきではない。侵略を抑止するために同盟諸国(日韓豪を指す)が軍事力を強めて第一列島線防衛に責任をもつべきだ。米国と同盟諸国は、台湾を掌握しようとするいかなる試みも、また、台湾島を防衛できなくなるという好ましくない軍事バランス(すなわち中国の軍事的優位)のすべてを阻止できるよう軍事力を強化する。加えて、③南中国海での自由な航行の保障がアジアにおける米国の利益拡大の前提だ、とも述べている。総じて、バイデン政権時にあった両岸問題への武力介入を意味・示唆する表現はどこにも無い。
さらに、同戦略発表後の今年一月一五日、米国務省は「戦略計画」(二〇二六~二〇三〇会計年度)を発表した。米国家防衛戦略の具体的計画を記したものだが、そこには「台湾」という言葉がない。上記の両文書で言及のない朝鮮民主主義人民共和国と同様、当面の戦略目標から「台湾有事」問題が外れたということだ。逆に、「中国との意思疎通の窓口を開けて誤解と危険性を減らす手段を持つことを国務省は常に追求する。国務省は頼もしい米国を擁護する」とまで言及した。ベネズエラ侵略とグリーンランド強奪という領土再分割に米国の政府・軍ともに集中しており、また、トランプにとってその後の命運を分ける一一月の中間選挙を前にしての最大のイベントである四月訪中と米中首脳会談の準備に余念がない結果だ。
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戦争に突き進む日帝と対決を
高市早苗は一月一九日、自維連立政権および自らの首相としての信を問うとして、衆議院解散を表明した。
高市が解散・総選挙を決めた要因には、統一教会と高市はじめ自民党国会議員との癒着問題に加えて、外交上の誤算と失敗がある。
高市は昨年一一月七日の衆議院予算委員会で、中国政府が「台湾政府を完全に」「支配下におく」ために「戦艦を使って、武力の行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースである」と発言した。
これは、第一に、「台湾有事」を存立危機事態と判断して日本が軍事介入(「自衛隊の武力の行使」と自衛隊による米軍への支援)するという中国侵略反革命戦争・台湾略奪への進軍ラッパを吹き鳴らす暴挙だ。
第二に、日中共同声明をはじめ日中間の諸協定とそれらに貫かれている「一つの中国」の原則を踏みにじり、大陸と台湾の両岸問題という中国の内政問題に外部から不当に干渉しようとするものだ。
第三に、歴史的には、明治維新から第二次帝国主義戦争およびアジア侵略戦争の敗戦に至るまで連綿と続いた中国に対する数々の軍事介入・干渉、日清戦争と台湾の略奪および五〇年間の植民地支配、幾度もの出兵、中国東北部侵略戦争と傀儡国「満洲国」でっち上げ、中国全面侵略戦争と南京大虐殺をはじめとした各地での虐殺行為、農地強奪などの生活破壊、七三一部隊などによる人体実験、中国人二〇〇〇万人の殺戮など、血塗られた戦争犯罪と蛮行を中国人民に対して再び行うのだという、帝国主義と植民地主義に貫かれた軍国主義復活の宣言だ。
私たちは高市の暴言を絶対に許さない。それは直ちに撤回されなければならない。同時に、琉球弧の軍事要塞化、長射程ミサイルの配備や弾薬庫建設、ほぼ毎日実施されている自衛隊と他国の軍隊との軍事演習など、中国と朝鮮に対するあらゆる侵略反革命戦争の準備を打ち砕く闘いを、反帝国主義・反植民地主義の立場からおし進めていく。
中国政府は高市発言を「日本軍国主義の復活」と規定して厳しく批判し、その撤回を求めている。中国の基本的立場は大陸と台湾の平和統一だ。台湾が独立を宣言すれば武力行使もありうるとするが、日本を攻撃するわけではない。そうする理由がないからだ。だが、外部勢力(日米)が台湾内の独立派を軍事的に支援するために介入すれば反撃する、という論理だ。高市が発言の撤回を拒むので、北京は対日経済制裁を発動し、その水位を次第に高め、現在はレアアースの実質禁輸にまで至った。
これまで高市はトランプとの数回にわたる直接及び電話での会談で、「台湾有事」問題に関する支援・支持を繰り返し求めたがことごとく拒否された。昨年末に中国人民解放軍が台湾周辺で行った大規模軍事演習についても、米国務省は非難したが、トランプは「何も心配していない。中国軍は二〇年も二五年も前からやっていた」と言ってのけた。年初の電話会談でもトランプは高市の要請を拒否し、自制を求めている。米政府内には中国を叩くべきとする強硬派も存在するが、現在は少数だ。
他方、韓国の李在明大統領が一月五日、国賓として中国を訪問して習近平主席と会談し、「戦略的パートナー関係」を発展させることで一致するとともに、「『一つの中国』政策を堅持する」と述べた。韓国政府は「台湾有事」に参戦する気がまったくない。加えて、自衛隊と韓国軍の関係は協力不能なほど悪化している。高市はすがる唯一の対象となった安倍晋三の遺影を持って伊勢神宮に参拝した。中国が軍民両用品目の対日輸出管理を強化し、レアアースが実質禁輸になった。一月一三日、日韓シャトル外交の一環で李在明が訪日し日韓首脳会談が行われた。日本側が異例の歓待をし、水没した長生炭鉱で回収された遺骨のDNA型鑑定に関する協力を確認した。共同記者会見で高市が「日米韓協力」にふれると李在明は「日中韓協力」に言及した。
総じて、「台湾有事」問題で日本政府は、米国と韓国から協力を得られず、日米韓の連携は崩れており、高市政権は独り中国への侵略反革命戦争準備に突進しようとしている。日本のブルジョアジーは、中国による経済制裁の解除を望んでいるが、そのために必須である高市発言の撤回は、現在はもちろんだが、与党が総選挙に勝利すればさらに困難になる。高市政権は、このような支配階級の内部の矛盾を抱えながらも、ますます戦争準備に突き進んでいこうとしている。
高市政権はさらに、スパイ防止法の制定を通した治安弾圧体制の構築、「緊急事態条項」の創設による憲法改悪を推し進めようとしている。非核三原則の見直しさえ画策されている。また、原発の再稼働と新増設をはじめとした反人民的諸政策を推進していこうとしている。加えて、民族排外主義を煽りながら移民労働者への管理・支配を強め、買春処罰法制定策動をはじめセックスワーカー差別、トランスジェンダー差別を強め、これらを通して労働者階級人民を分断し、戦争動員体制を構築しようとしている。
このような日帝―国家権力の戦争とファシズムの攻撃と全面的に対決し、反人民的政策の強行を許さず、プロレタリア国際主義の旗を掲げて日本帝国主義を打ち倒す闘いを前進させよう。
一月一二日~一五日、グローバルサウス学術フォーラム、三大陸社会研究所、台湾の労働党が沖縄島と宮古島を訪問した。戦跡を訪ね、米軍基地と自衛隊基地を見学し、地元の人々と交流し、討論会を持ち、「不戦共同体の構築」を目指して今後も連帯していくことを確認した。琉球弧とグローバルサウス(中国・インド・ブラジル)の民衆による反戦国際連帯が進展している。
私たちはアジア共同行動(AWC)を支持し、このような取り組みと連帯していく。また、国際民衆闘争同盟(ILPS)や、米帝の戦争に反対する「レジスト」など様々な国際組織とつながりながら、反帝国際連帯闘争を推し進めていく。
日中労働者民衆連帯の力で日帝の中国への侵略反革命戦争準備を阻止しよう! 沖縄・琉球弧、アジア太平洋各地の人民の闘いと連帯し、戦争準備にのめり込む高市極右反動政権を打倒しよう!