■戦旗1688号(2026年3月5日)
福島原発事故15カ年
全国で反原発闘争の新たな前進を


戦争体制づくりを加速する高市政権は、原発推進政権でもある。2・8衆議院総選挙での圧勝を受けて、高市政権が原発推進政策にますますのめり込んでいくことは必至だ。それは福島の原発事故被災者の切り捨てと一体のものである。

福島第一原発事故から一五年目を迎える今、反原発闘争の全人民的政治闘争としての前進をあらためてつくりだしていこう。


第1章 原発の再稼働加速を許すな

福島第一原発事故は終わっていない。二〇一一年三月一一日の事故直後に当時の民主党政権が発した「原子力緊急事態宣言」は、いまだ解除の目途が立たない。事故によって溶融した炉心など燃料デブリの本格的な取り出しの開始は、現在の国と東電の計画によっても一〇年以上先の二〇三〇年代後半であり、その不可能性を指摘する専門家もいる。永遠に故郷を奪われた原発隣接地域の住民をはじめ、避難を余儀なくされた人々の苦難は今も続いている。

福島原発事故の過酷さは、反原発の広範な街頭行動を全国各地でつくりだした。原発廃炉は圧倒的多数の世論になった。にもかかわらず、政府は二〇一二年七月の大飯原発3号機の再稼働を皮切りに、次々と原発再稼働を強行してきた。

とりわけ岸田政権は、原発の六〇年を超える運転を可能にする内容を含む「GX脱炭素電源法」を強行制定し、加えて、石破政権時に閣議決定されることになる「第七次エネルギー基本計画」の策定過程を通して、原発回帰を鮮明にした。岸田政権はまた、多くの反対の声を無視して放射能汚染水の海洋投棄に踏み出した。

第七次エネルギー基本計画は、福島第一原発事故の発生以降明記されてきた原発への依存度を「可能な限り低減させる」という文言を削除し、原発の「最大限活用」へと転換した。そして、電源構成に占める原発の比率を20%程度に増加させた。それは、大間原発など建設中の原発を含むすべての原発の再稼働を前提としている。さらに、既存の施設内での原発の建て替えと次世代革新炉の開発・設置を明記した。

このような原発推進政策を引き継ぐ高市は、二月二〇日の施政方針演説で、「原子炉の再稼働加速に向け、官民を挙げて取り組みます」、「原子力発電所のサイト内での建て替えに向け、次世代革新炉の開発・設置についても具体化を進めます」と宣言した。高市が語るように原発の再稼働はいっそう加速しようとしている。これと対決し、全国各地での反原発闘争の前進をかちとろう。


第2章 安全を犠牲にする政府・電力資本

二〇二四年の能登半島地震は、地震大国である日本で原発を稼働させることの危険性をあらためて想起させた。志賀原発が停止中であり、珠洲原発が反対闘争によって建設断念に追い込まれていなければ、とてつもない被害が発生した可能性があった。また、道路が寸断された現地の状況は、避難計画が空論であることを証明した。

原発の稼働は、安全を無視し、人命と環境を軽視することによってしか成立しない。そもそも原発は、現在の科学技術では制御できるものではない。とりわけ、長期間稼働を停止していた原発、老朽原発のリスクは高い。実際、これまで再稼働が強行されたほとんどの原発で大小のトラブルが発生している。

東京電力が一四年ぶりに再稼働させた柏崎刈羽原発6号機をめぐっても、当初の再稼働予定日の直前に制御棒警報システムのトラブルが発生し、一日遅れの一月二一日の再稼働となった。しかし、その数時間後には制御棒の引き抜き操作の際の異常で稼働を停止した。二月九日にあらためて再稼働させたが、その後も中性子測定機器の不具合が発生している。
また、今年一月の中部電力による浜岡原発3号機、4号機の耐震設計データの捏造・改ざん問題は、政府の後押しを受けて原発再稼働にのめりこむ電力資本の安全無視と隠ぺい体質をあらためて暴露した。同時にそれは、原子力規制委員会の「安全審査」の杜撰さを端的に示す事態でもある。浜岡原発でデータ捏造に関わったコンサルティング会社は他の原発でも地質調査の委託を受けている可能性が高く、稼働中のすべての原発の停止と事実調査が直ちになされるべきだ。

日本における原発の歴史は、政府と癒着し、利潤追求を優先する電力資本による安全無視と不正に満ちている。その究極的な事態が、福島第一原発の過酷事故として現れた。人間と環境の未来にとって、原発は廃炉以外に道はない。


第3章 原発依存から脱却した社会の実現を

政府・電力資本は現在、北海道の泊原発や茨城県の東海第二原発など新たな原発再稼働を追求している。同時に、原発運転期間を延長し、福井県の高浜原発や美浜原発、鹿児島県の川内原発など老朽原発の六〇年運転をおし進めようとしている。

原発の再稼働は、当然にも使用済み核燃料を増大させる。その水冷保管のために設置されている原発施設内に設置されている燃料プールは、例えば福井県若狭の原発群ではこのままでは三~五年で満杯になり、原発の運転できなくなる。それを回避し、原発を延命させるために、すでに開始されている伊方原発を含め、原発施設内での乾式貯蔵施設の建設を各地で推進していこうとしている。しかし、そもそも使用済み核燃料をリサイクルして利用しようとする「核燃料サイクル計画」は、青森県・六ヶ所村の再処理工場の完成目標の度重なる延期が象徴するようにすでに破たんしている。原発再稼働の推進は、行き場のない使用済み核燃料をますます増大させるだけだ。

原発の建て替え、新増設をめぐっては、昨年一一月、関西電力が美浜原発での原子炉の新設に向け、福島原発事故を受けて中断していた地質調査を再開した。中国電力は、四〇年以上の抵抗に直面しつつも、山口県での上関原発の建設策動をあきらめていない。上関では、関西電力の原発延命策動と関連した使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設も狙われている。

高市政権の下でいっそう強まろうとする原発推進策動を許さず、三月一一日を前後する各地での反原発闘争の成功を勝ち取ろう。原発のさらなる再稼働策動や新増設に対する闘いを推進し、すべての原発の廃炉に向けた展望を切り拓こう。原発依存を終わらせ、自然エネルギーへの転換を進めると同時に、エネルギーの浪費を前提とした社会のあり方を変革する闘いとして反原発運動の前進を勝ち取ろう。

二月一五日、京都で、老朽原発うごかすな!実行委員会が呼びかけて、各地の反原発運動の連帯強化と全国闘争の発展に向けて、「『原発依存加速をゆるさない』相談会」が開催され、青森から鹿児島まで、オンラインを含めて一〇〇近くが参加した。このような取り組みをはじめ、全国の反原発運動の交流と連帯・結合を拡大し、現場からの闘いの基礎にした反原発運動の新たな前進をつくりだそう。原発依存から脱却した社会展望を切り開いていくために共に闘おう。