■戦旗1688号(2026年3月5日)
空港拡張反対! 農地を奪うな!
3・29芝山現地闘争に結集しよう
三里塚闘争は、一九六六年の突然の閣議決定に決然と叛旗を翻して、農地死守―空港絶対反対の闘いを貫き、六〇年に至ろうとしている。三里塚芝山連合空港反対同盟が先頭に立ち、当初の空港建設計画を阻み続けてきた。
本年年頭一月一一日に開催された新年団結旗開きで、反対同盟は六〇年貫いた闘いを積極的に捉えた上で、成田空港会社が今強行している空港機能強化工事による廃村化攻撃に対して、これを断固粉砕していく決意を固めた。会場にあふれる二〇〇名の結集の中、市東孝雄さんが耕作権裁判控訴審闘争に向けた決意を鮮明にした。加えて、反対同盟の空港拡張差し止め訴訟と、周辺住民の訴訟が併合して闘われる状況が生まれている。六〇年目の三里塚闘争は、信頼と運動の拡大を結実させてきている。
成田空港拡張を絶対阻止すべく、3・29芝山現地闘争に結集しよう。
第1章 耕作権裁判控訴審闘争を闘い抜こう
市東さんの南台の農地をめぐる耕作権裁判は昨年三月二四日、千葉地裁裁判長斉藤顕によって土地明け渡しを命ずる反動判決が出された。
この一審の過程で、空港会社側は、証拠とした「同意書」「境界確認書」の作成過程の記録を提出することを拒み続け、証拠としての根拠を失った。空港会社は、市東さんの耕作地を間違え、位置を特定することができなかった。しかし、千葉地裁の判決は、空港会社が農地の位置を特定できないことを不問に付して、市東さんの耕作権を否定し、市東さんに対して土地明け渡しを命じた。不公正で不公平、前代未聞の反動判決だ。
市東さんと弁護団は控訴した。現在、弁護団が控訴趣意書を作成中であり、今夏にも、東京高裁で控訴審が始まろうとしている。
市東さん自身は、一月一一日の団結旗開きにおいて、「国、空港会社が何と言おうと、正義はわれわれにあります。何も間違ったことはしていないんです」と自らの正義に確信をもって、勝利に向けて闘う決意を述べた。天神峰の地で農業を続けている市東さんに、農民としての権利と正義がある。
昨年七月には、団結街道裁判での不当判決も出された。天神峰地区、東峰地区の人々が営農、生活に利用してきた市道(団結街道)を成田市が廃道にしたことに対する取り消し訴訟である。市東孝雄さんにとっては、南台の農地に毎日行き来する道路が突然閉鎖されてしまったのだ。千葉地裁判決は、この廃道取り消しの訴えを却下したのだ。団結街道裁判も控訴しており、闘いが続く。
司法権力が、空港会社や行政の意図に沿った訴訟指揮を行ない、不当判決を重ねている。反対同盟と弁護団は、この反動状況に屈することなく、三里塚闘争の正当性を前面に押し出して闘ってきている。現地闘争と結びついた法廷闘争は、本年も重要な意義を有している。農地強奪を絶対に阻止するために闘い抜こう。
第2章 廃村化攻撃の激化許すな
成田空港会社は昨年五月、第3滑走路建設とB滑走路再延伸を基軸とする空港機能強化の工事に本格着工した。滑走路が南北に二本連なる計画であり、空港敷地を南北に拡張するものだ。面積は現在の約二倍の二二九八ヘクタールになるとし、二〇二八年度末(二九年三月)に完成するとしている。そのために、二五年度中には「用地全てを確保する」としてきた。
政府と成田空港会社、千葉県、成田市、芝山町、多古町で形成されている「成田空港滑走路新増設推進協議会」(以下、推進協議会)の一〇月一七日の会合で、空港会社は、二五年九月末段階での「用地」確保率が86・2%であると報告した。七月末時点の85・3%から0・9%しか増えていない。
「用地」買収が進まない中で、昨年一二月二一日に国交相・金子が成田空港を視察し、空港機能強化に向け必要な「用地」確保を加速するよう成田空港会社に指示した。金子は、成田、芝山、多古の首長、千葉県知事・熊谷と意見交換し、「機能強化は不可欠。地元関係者と一丸となって取り組んで欲しい」と語った。しかし、直後の一二月二四日の「推進協議会」で、空港会社は一一月末時点での「用地」確保率が86・9%と公表した。期限としている二六年三月までに「用地」確保が絶望的な状況の中で、成田空港、国、県、周辺市町は、地権者に対して「用地」提供を呼びかける共同声明を出した。
年が明けてもこの状況は変わっていない。空港会社社長・藤井直樹は一月五日の年始訓示で、「用地取得に全力挙げなければならない」とし「今年度末にめどを」と再確認した。
空港機能強化を掲げてから、その「用地」確保に右往左往しているのである。金と政治力で拡張工事を強行しようとしていることは、六〇年前と同様だ。
成田空港機能強化のための「用地」とされて新たな移転対象になっているのは、芝山町で約一三〇世帯、多古町で約六〇世帯である。藤井の「用地取得に全力」という訓示は、芝山、多古の住民にとっては、移転を迫られるということだ。営農の問題だけでなく、これまでの集落ゆえの関係が破壊されることを意味する。廃村化攻撃だ。
成田空港会社は昨年一〇月二六日、年間発着枠を拡大した。冬ダイヤへの改定に合わせて、年間三〇万回を三四万回に拡大した。「管制機能の高度化、高速離脱誘導路の整備」で実現できるとし、今回は発着時間枠は変えないとしている。空港機能強化そのものは、滑走路工事だけでなく、早朝五時から二四時三〇分までに時間枠を拡大して、年間発着枠を五〇万回にするとしている。航空機騒音が空間的にも時間的にも拡大することになる。「用地」問題での移転に加えて、一〇〇〇世帯が騒音拡大のために移転対象となっている。
成田商工会議所など空港拡張に利害を持つ地元ブルジョアジーなどで構成する成田空港対策協議会は昨年一二月一〇日、「用地」確保を早期に終えるよう千葉県に要望する方針を明らかにした。空港拡張推進派の中には、「土地収用法に基づく強制収用」を主張する者まで出てきている。
生活破壊、営農破壊の廃村化攻撃の中で、新たな「用地内」の農民は、空港会社の攻撃に屈伏してはいない。「用地全てを確保」とされた地域の中で、農民たちは今年の稲作の準備を始めている。田植えは「今年度末」の先だ。農地を手放す気がない人々は、空港会社の「用地」提供呼びかけをはねのけている。
第3章 空港反対運動の新たな展望
六〇年前、ベトナム侵略反革命戦争が続く中で、成田空港建設は閣議決定された。羽田空港に米軍チャーター機が発着する状況を見た反対同盟は、空港建設は軍事目的であると喝破した。高市政権が大軍拡に拍車をかけ戦争準備に突き進む中で、成田空港は直截的な軍事目的と同時に、経済安全保障のためと位置付け直されているのだ。
経済安全保障を位置づけるがゆえに、物流拠点としての機能の強化・再編が始まっている。
千葉県と空港会社は一二月一五日、成田に自動物流道路を導入するための実験を、天神峰トンネルで行った。「エアポートシティ構想」における物流効率化を図るためだ。藤井社長は「知見を積み重ね、一日も早く実用化したい」と話した。
成田空港会社は一月二〇日、新貨物地区検討協議会を設置した。「第2の開港プロジェクト」の一環で、現在は空港の北と南に分散している貨物地区を、三〇年代に空港東側に集約するための実務的な協議・検討を目的とするものだ。
港湾、空港は、「武力攻撃事態」「存立危機事態」に際しては軍事使用される。加えて、経済安全保障の拠点としても位置付け直される。三里塚闘争六〇年目の今、高市極反動政権が独裁的政治に踏み込もうとする中で、農地死守―実力闘争、軍事空港粉砕の闘いが改めて問われる。反帝闘争の拠点―三里塚闘争を断固闘い抜こう。
成田空港をめぐる裁判において、昨秋から画期的な状況が生まれている。反対同盟が提訴して千葉地裁で、国、成田空港会社と争ってきた空港拡張差し止め訴訟と、成田市、芝山町、横芝光町、茨城県稲敷市の住民三〇名が新たに提訴した機能強化・新滑走路建設差し止め訴訟とが併合されて、同じ法廷で裁判闘争が闘われることになったのである。
本年一月二〇日の弁論では、新たな原告三〇名を代表した意見陳述が行われた。国、空港会社の代理人を圧倒した(今号二面の報告記事を参照)。
改めて、市東さんの農地を守る闘い、反対同盟の農地死守闘争は、成田空港周辺住民総体の空港騒音反対、空港拡張反対の要求と結びついた闘いに発展している。反対同盟が貫いてきた六〇年の闘い、さらに現在においては毎月の一斉行動での周辺地域への宣伝、働きかけが、新たな希望を生み出しているのだ。
3・29芝山現地闘争は、成田空港反対闘争の新たな拡大の展望をさらに切り拓く闘いだ。断固結集し、反対同盟とともに闘い抜こう。