■『戦旗』1690号(2026年5月5日号)

京丹後・舞鶴・祝園
基地強化の現場から闘いの前進を

阿月道太郎


二〇二二年一二月に閣議決定された「安保関連三文書」は、日米安保体制のさらなる強化と同時に、自衛隊の「反撃能力(敵基地攻撃能力)の保持」や「継戦能力の確保」を強調している。その下で、軍事費の対GDP比2%ㇸの倍増とあわせて、長射程ミサイルの導入や弾薬庫の増設が打ち出された。それに伴って、全国各地で自衛隊基地の機能強化と強じん化が急速に進められている。京都府内でも自衛隊基地や在日米軍基地の強化が進められている。

こうした動きに抗して、この五月、「米軍Ⅹバンドレーダー基地撤去! 5・24京丹後現地集会」と「5・31ピースアクションin舞鶴」という二つの現地集会が連続して取り組まれる。これらの闘いに結集し、高市政権の戦争準備・改憲策動を許さない闘いへと共に立ち上がろう。

以下に、京都府内の三つの基地の強化の状況を見ていく。

問題多発の京丹後米軍基地

京都府の最北端・京丹後市宇川地区に配備された米軍Xバンドレーダーは、二〇一四年一二月に本格運用が始まった。運用開始と同時に、基地周辺の住民は、レーダーを稼働させる発電機による低周波騒音や、駐留する米陸軍第14ミサイル防衛中隊の軍人や軍属によって繰り返される交通事故などの被害に苦しめられてきた。また、「ドクターヘリの運航時にはレーダーを停止する」、「集団で居住し集団で通勤する」など、市長が基地受け入れの際に表明した「一〇条件」が無視されるなど、「安全・安心」が脅かされている状態が続いている。

こうした中、二〇二五年には基地をめぐって深刻な事態が連続して発生した。七月、基地に駐留する米陸軍と自衛隊による「部隊実動訓練」が京丹後市にも、さらには近畿中部防衛局にさえも事前連絡なく行われた。九月には、日米豪合同軍事演習「オリエント・シールド25」の一環として「日米共同基地警備訓練」が行われたが、その際、米軍人が小銃を携行したまま基地外の国道を歩行するという事件が起こった。また、昨年一〇月に「基地警備」という名目で行われた日米共同訓練では、前年に続いて、廃校となった地元の旧宇川中学校の建物とグランドが自衛隊の宿泊場所および駐車場として使用された。旧宇川中学には京丹後市の「基地対策室」などが置かれているが、期間中に自衛隊が勝手に「門番」を置き、出入りする市民に対して「何の用か」などと質問を繰り返すという事態まで起こっている。

二〇二三年、当時の在日米陸軍司令官は、京丹後の基地を訪れて「ここからキル・チェーンが始まる」と演説した。キル・チェーンとは敵の攻撃を先行的に察知し、破壊・切断することで自国を防御するという構想だが、それは先制攻撃戦略と密接に結びついている。この司令官の演説は米国を中心とした東アジアにおける「ミサイル防衛」(MD)体制の重要な一角を宇川のXバンドレーダー基地が担っていることを示している。実際、二三年末からの日米韓三国によるレーダー情報の即時共有開始によって、基地機能はいっそう強化されている。

舞鶴基地強化に反対しよう

京都府の北部、舞鶴湾にある海上自衛隊舞鶴基地は、横須賀、呉、佐世保とともに旧四大軍港のひとつであり、中国や朝鮮民主主義人民共和国をにらんだ海自の重要拠点を構成している。この基地もまた、大幅に強化されようとしている。

まず、海自舞鶴地方総監部庁舎の地下化がある。「核攻撃」などを想定し、三〇億円以上の税金を費やし司令部機能の「強じん化」を図るというものだ。自衛隊司令部の安全は核攻撃を受けても確保されるかもしれないが、もちろん周辺住民の命と安全は確保されない。

次いで、舞鶴基地に所属する海自イージス艦への米国製巡航ミサイル・トマホークの配備の問題だ。海自は今年三月二三日付けで大規模な組織再編を行い、舞鶴基地は「第三水上戦群」の司令部となった。隷下には、舞鶴基地を定係港とするするイージス艦「みょうこう」と「あたご」がある。自衛隊が保有する八隻のイージス艦は、「トマホーク」発射機能を持つように順次改修工事がされているが、「あたご」と「みょうこう」の改修工事の費用(約八億円)は、二六年度予算案に計上されている。イージス艦が係留されている北吸(きたすい)係留所は、現在二隻が建造中の大型イージス艦(スーパーイージス艦)が係留できるように、水深を八メートルから一一メートルに浚渫された。

なお、第三水上戦群には、佐世保を定係港とする「ちょうかい」が所属しているが、すでに米国で改修工事を終え、訓練・試験の後、九月頃に帰国予定だという。

さらに、長浜地区にある「舞鶴弾薬整備補給所」内での弾薬庫三棟の増設、それに加えてその北側にもう一棟を新設するための工事・調査費四五億円が計上されている。

祝園ミサイル弾薬庫増設阻止

陸上自衛隊祝園(ほうその)分屯地(精華町、京田辺市)では、弾薬庫の大増設計画が進められている。

ここには現在一一棟の弾薬庫があるが、二三年一二月に、「大型弾薬庫八棟を増設し、海上自衛隊との協働運用とし、本州最大の補給拠点とする」と突如報道された。自衛隊による敵基地攻撃能力を構成する長射程ミサイルの保管のためだ。その後、六棟の増設が追加されると発表され、合計一四棟が増設されることとなった。さらなる追加の可能性も示唆されている。

海上自衛隊との協働運用ということは、当然にも、海自舞鶴基地に所属するイージス艦に搭載予定の米国製巡航ミサイル・トマホークの保管をも想定している。

また、二五年三月に発足した陸自と海自の共同部隊である海上輸送群第二海上輸送隊が、今年三月に呉基地から阪神基地(神戸市)に移転しており、祝園から九州・沖縄方面への弾薬輸送拠点として強化されようとしている。

祝園分屯地は京都府の南端にあり、大阪府や奈良県と接している。近畿各地の住民たちが反対運動に立ち上がり、広範な運動体「京都・祝園ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワーク」(ほうそのネット)が二四年三月に結成された。

ほうそのネットは、防衛省に対して住民への説明会の開催を繰り返し求めてきたが、近畿中部防衛局は工事に関する説明会を二カ所で計三回行っただけで(主催は自治体)、昨年八月、造成工事の着手を強行した。保管する弾薬の種類や数量など説明会での住民の多くの質問について、近畿防衛局は「自衛隊の能力が明らかになる」という口実で回答を拒否した。住民の安全を守ることや不安を解消することよりも、軍事機密を保守するという姿勢を明らかにしたのだ。決して許すことはできない。

昨年一〇月に開催された祝園全国集会には関西各地をはじめ、沖縄や熊本、愛知、静岡、神奈川など全国から二七〇〇人が結集した。直近の四月一二日には、ほうそのネットの第三回総会とあわせて、弾薬庫増設問題を考える「住民会議」を開催し、地元の保守派議員を含めて多くの人々を集めた。こうした取り組みを通じて、ほうそのネットは、「沖西ネット」など各地の反基地・反戦運動と結びついて、高市政権の戦争発動―侵略戦争に加担することに反対する闘いを進めている。

五月連続闘争に各地から結集を

冒頭で触れたように、この五月、京都府内で連続した反戦・反基地の現地闘争が取り組まれる。

一〇年を超えて継続的な取り組みを続けてきた米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会/近畿連絡会は五月二四日、京丹後現地集会を開催する。さらに五月三一日には、昨年の祝園全国集会の成功を引き継いで、全国・全関西からの結集で海自舞鶴基地を包囲する大規模な行動の準備が進められている。

これらの闘いに結集しよう。その成功を通して、高市政権の下でいっそう加速する戦争準備・改憲策動を粉砕する闘いのさらなる前進をかちとろう。