■『戦旗』1692号(2026年7月5日号)
戦争・改憲に向かう高市政権と対決し
反戦・反差別・国際連帯闘争の推進を
六月一七日、イランと米国は戦闘終結に向けた覚書に署名し、六〇日間の交渉期間が始まった。しかし、イスラエルはレバノン攻撃やパレスチナ民衆に対する攻撃をやめようとしていない。
イラン戦争をめぐっては、在沖・在日米軍基地から米軍部隊が出撃した。さらに、高市政権は今も中東への自衛隊派兵を画策し、数の力に頼り様々な反動立法を今国会で成立させ続けている。
あらゆる現場から戦争反対の声をあげ、高市政権を追いつめる闘いをさらに強めていかなくてはならない。
第一章 5~6月連続闘争を闘い抜く
公表された一四項目の覚書の内容を見るまでもなく、米帝―トランプ政権のイラン侵略戦争の失敗は明白になった。
イラン侵略戦争に踏み込んで以来、トランプ政権は、イランの反撃と、米国内をはじめとする世界各地での反戦闘争に突き上げられてきた。ホルムズ海峡をはじめとして中東全域を巻き込む戦乱は、現代帝国主義の最重要資源である石油の供給に大混乱をもたらした。
一九七三年、七九年に次ぐ石油危機に突入するかという事態に直面したトランプは、自らが原因になって経済危機を引き起こすことを恐れ、イランを脅しながら、停戦交渉に入らざるを得なかった。トランプ政権にとってどれほど不都合でも、トランプが開始した戦争の末路は、ごまかしようもなく明らかになった。そのうえイスラエルは、米国トランプへの不満を露骨に表明しつつ合意項目に明白に違反して軍事行動を続けている。帝国主義の殺戮と破壊を必ず止めなければならない。
米国のイラン攻撃が開始されて以降、全国で新しい反戦闘争の高揚・活性化が起こってきた。私たちもまた、パレスチナやイランでの戦争を推進するトランプに同調しつつ戦争体制づくりをますます加速させている高市政権に対する闘いとして、五~六月の一連の闘争に決起してきた。
私たちはAWC日本連の闘いを支持し、宮古島でのフィールドワーク、五月一六日の「復帰七四年 5・15命とくらしを守る県民大会」や辺野古での座り込みへの参加、南部戦跡訪問など、五月沖縄現地行動を共に担った。高市が首相として沖縄を初訪問した六月二三日の「慰霊の日」の式典では、高市の発言に激しい抗議が叩きつけられた。
五月にはさらに、京都府内で5・24京丹後・米軍Xバンドレーダー反対闘争と5・31ピースアクションin舞鶴の、ふたつの反基地の闘いが取り組まれた。
米軍Xバンドレーダー基地反対闘争をめぐっては、京都府北部に米軍基地があることも一般的にはよく知られていない中で、その存在を知らせる活動や京丹後現地での宣伝活動、毎年の現地集会などが一〇年を超えて粘り強く継続されてきた。今年の現地集会後のデモの際に、手を振って応える住民が例年よりも多かったのは決して偶然ではない。イラン戦争が開始される中で、生活に苦痛を与える低周波騒音を発生させる米軍の発電機使用が増加したことや、日米政府の空約束とは違って、実際の戦争においてはレーダーが最初の攻撃対象となることが知られるようになったためだ。
また、海上自衛隊舞鶴基地に所属する二隻のイージス艦への米国製巡航ミサイル・トマホークの配備に反対して取り組まれた五月三一日のヒューマンチェーンと大集会には、情勢に対する危機感を反映して、二八〇〇人が集まった。この闘いはまた、トマホーク・ミサイルの保管先と予想させる京都府南部の陸自祝園分屯地での大型ミサイル弾薬庫建設反対運動と結びついている。
全国で進む軍事化は、互いに関連している。それぞれの地元の運動が孤立することなく闘い続けていくためにも、自衛隊基地だけでなく米軍基地の地元での闘いとも結合し、日米軍事同盟に対する闘いとして発展させていくことが重要だ。同時に、日本が戦場になることに反対するだけではなく、沖縄人民・アジア人民と連帯して、琉球弧やアジアを絶対に戦場にさせないために闘っていくことがますます重要になっている。
そのような観点から、四~五月のバリカタン26とそれへの自衛隊の大規模参加に反対する闘争に続いて、マルコス来日・日比首脳会談反対闘争が五月二六日と二八日、東京のフィリピン大使館と迎賓館に向かってそれぞれ実施され、東京の仲間がともに闘ったことは重要だ。
日比首脳会談では、対中国包囲網の強化のために日比関係を「格上げ」し準同盟関係とすることが確認され、日比間の円滑化協定(RAA)と物品役務相互融通協定(ACSA)に続いて、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結に向けた交渉の開始が合意された。フィリピンへの日本帝国主義の新植民地主義支配の上に展開されている日比軍事協力の拡大を許さず、フィリピン人民と共に闘おう。
反原発闘争をめぐっては、関西各地・全国からの結集で、「6・7原発のない明日を! 全国集会inおおさか」が取り組まれた。雨の中、一一〇〇名の参加者が、高市政権の原発依存社会への暴走に対して集会とデモを行った。全国からの参加者の発言に加えて、韓国や台湾、フィリピンからも原発全廃を共に闘う連帯メッセージが寄せられた。
三里塚闘争をめぐっては、政府・空港会社による新たな強制収用攻撃と対決する5・12千葉県庁デモ、5・13菱田デモが連続して取り組まれ、6・21農楽まつりが闘い抜かれた。
第二章 高市政権の反動攻勢を打ち破れ
このような、国際的・国内的な重要課題に全力で取り組んできた五~六月の闘いの上に、次々と反動攻勢を打ち出している高市政権との闘いをさらに強めていかなくてはならない。
中国包囲強化と武器輸出の推進
高市政権は四月二一日の閣議決定で、防「衛装備移転三原則」を改悪した。これまでの「5類型」を撤廃し、護衛艦やミサイルのような殺傷能力のある武器輸出を原則容認した。この決定直後の五月五日、小泉防衛相はフィリピンを訪問し、中古護衛艦の輸出の約束を取り付けた。
同時期に実施されたバリカタン26では、これまでオブザーバー参加だった自衛隊が、一四〇〇名という大部隊で参加した。かつての戦争で日本軍が占領し、性暴力や住民虐殺をはじめとしたあらゆる戦争犯罪を働いたフィリピンに対して、それだけでは足りず、中古兵器を売りつけようというのだ。
高市政権はさらに、ベトナム、インドネシアをはじめとして、侵略と植民地支配の歴史をそのままにして武器輸出外交を繰り広げている。
反動立法進める高市政権
高市政権は、五月二七日、国家情報局の設置等について定めた国家情報会議設置法を、参院本会議で与党と公明、国民、参政の賛成多数で可決させた。前日には政党事務所に反対せよとのファックスが殺到したといい、衆院では中道改革連合が賛成に回ったが、参院では立憲、共産党、れいわが反対した。
今回の国家情報会議設置法は第一段階であり、七月にもその中枢となる国家情報局を立ち上げ、第二段階として「スパイ防止関連法」や独立した諜報機関「対外情報庁」(仮称)の創設に向けた議論を本格化させる方針とされている。インターネット通信や電話、クレジットカードの取引情報などの電子信号を、当事者の同意なしに収集・分析する諜報活動についても含まれる。国家権力による情報管理によって労働者人民の情報を把握し管理統制する段階へと、高市政権は大きく踏み込もうとしている。
さらに、広範な反対の声を無視して入管法改悪が強行された。高市政権は多文化共生政策の「受益者負担」だというが、そもそも多文化共生というなら日本社会の側を変えていく取り組みでなければならない。そうではなく、負担を多くの外国人労働者とその家族に負わせるというのは筋違いも甚だしい。
この入管法改悪と並行して、法務省は二〇二四年入管法改悪での強制送還強化を受けて昨年策定した「不法滞在者ゼロプラン」に、摘発と通報の強化を加えた「不法滞在者ゼロプラン~強力推進パッケージ~」(通称「新ゼロプラン」)を公表した。それは外国人労働者とその家族への差別と排除、管理をますます強化するものであり、断固として反対していかなくてはならない。
さらに、「買春処罰法」(売春防止法改定)をめぐる動向にも注目していかなくてはならない。「買う側」を処罰するということで、セックスワーカーの労働条件を悪化させ、差別と偏見を助長し、セックスワーカーをより不利な状況へと追いやるものだ(本紙第一六九〇号(五月五日付)参照)。当初、秋の臨時国会での採択が目指され、今年春から法務省有識者検討会が四回行なわれたが、今も抗議が続いている。国家統制の強化ではなく、セックスワークの非犯罪化とセックスワーカーの労働者としての権利が勝ち取られていかなくてはならない。
加えて、六月一六日、自民、維新、国民、参政の四党が共同提出した「国旗損壊罪」法案は、極めて恣意的な運用が懸念されているにもかかわらず、今国会での強行採決が狙われている。
改憲発議めざす高市政権打倒
高市は、今年四月の自民党定期大会で「時は来た」と演説し、二〇二七年春までに改憲発議の「めど」を立てると宣言した。
これまで見てきたように、高市政権は戦争準備を加速させ、日本を「死の商人」国家へと改造しようとしている。それと一体のものとして、差別と排外主義の強化を通して日本の労働者階級人民を支配階級の利益のもとに組織していく極めて危険な仕組みをつくりだそうとしている。それゆえ、大軍拡・戦争体制づくりに対する闘いと差別・排外主義にもとづく社会づくりに反対する闘いを結びつけながら、日帝の侵略戦争体制づくりを粉砕し、憲法九条改悪を阻止する闘いをおし広げていかなくてはならない。
AWC日本連は六月下旬から七月初旬にかけて、フィリピン・韓国の民衆運動と連帯・結合して、六月アジア共同行動各地集会に取り組んできた。その成果の上に、大軍拡、アジア諸国との軍事同盟化を進めようとする高市政権の打倒に向けた闘いをさらに大きく前進させよう!