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■『戦旗』1618号(7月20日)3面

 
岸田首相、岸防衛相の
 アジア安全保障会議出席を弾劾する


                             
 小出一好
           






 ロシアによるウクライナ侵攻がもたらした世界情勢の大きな転換の中で、岸田政権は、米帝―バイデン政権の尖兵となって、中国・ロシア敵視の軍事外交を活発化させている。これは、中国・ロシアを排除し包囲する同盟の形成を目指し、世界を分断と戦争の対立構造に引きずり込もうとする米帝―バイデン政権の世界支配戦略の片棒を担ぎ、帝国主義として生き残ろうとするあがきに他ならない。本質的には安倍右翼反動政権と何ら変わらない、改憲と排外主義が政策の基軸となる岸田政権の本性が露わになってきている。
 岸田政権は、ウクライナ侵攻以前から、中国や朝鮮民主主義人民共和国(以下共和国)の「弾道ミサイル」に対処するとして敵基地攻撃能力(「反撃能力」と言い換えている)の保有の動きを始めていたが、ウクライナ戦争を奇貨として、この動きに拍車をかけている。中国や共和国の「脅威」を煽動し、自衛隊の増強と日米軍事同盟の強化に乗り出している。


「平和のための岸田ビジョン」なる大軍拡宣言

 岸田は六月一〇日から一二日にシンガポールで開催されたアジア安全保障会議に出席し、基調講演を行った。その講演で岸田は「平和のための岸田ビジョン」なるものを主張した。
 アジア安全保障会議は、イギリスの国際戦略研究所が主催する会議で、日中韓や欧米、東南アジア諸国の国防担当の閣僚や専門家が、シンガポールのシャングリラホテルに集って論議する国際会議である。
 基調講演の冒頭、ロシアのウクライナ侵略を「国際社会の根幹を揺るがす事態」と規定し、中国を名指ししていないが、東中国海での「力を背景とした一方的な現状変更の試み」や「台湾海峡の平和と安定」、共和国のミサイル実験を「国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦」と批判している。
 そのようなロシア、中国、共和国への対決を鮮明にした情勢認識を前提にした上で、岸田首相は、五本柱の「平和のための岸田ビジョン」を提起した。その五本柱を列挙すると、「第一が、ルールに基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化です。特に、『自由で開かれたインド太平洋』の新たな展開を進めます」。「第二が、安全保障の強化です。日本の防衛力の抜本的な強化、及び、日米同盟、有志国との安全保障協力の強化を車の両輪として進めます」。「第三が、『核兵器のない世界』に向けた現実的な取り組みの推進です」。「第四が、国連安保理改革を始めとした国連の機能強化です」。「第五が、経済安全保障など新しい分野での国際的な連携の強化です」。
 「岸田ビジョン」は、帝国主義の「国際秩序」に従わない中国・ロシア・共和国を批判し、自衛隊の増強、日米軍事同盟と欧州帝国主義各国との軍事協力を強化して、この三国を包囲する「国際社会」へとASEAN諸国を囲い込もうという意図に貫かれたものだ。
 第二の「安全保障の強化」では、ロシアのウクライナ侵略戦争を画期として、米帝―バイデン政権と一体に軍事外交を展開する岸田首相の心情が吐露されている。岸田は「『ウクライナは明日の東アジアかもしれない』という強い危機感を抱いている」、「他国の平和と安全を武力や威嚇によって踏みにじる者が現れる事態に備えなければなりません」と主張している。
 ロシアのウクライナ侵略戦争は弾劾しなければならないし、即時の停戦を要求しなければならない。しかしウクライナとロシアとの歴史的な関係やウクライナ東部地域における独立を志向する住民の問題など、侵略に至るまでに両国の対立はずっと続いてきたことは事実である。米帝や欧州各国帝は、一貫してウクライナを支援し武器輸出を含め、対立を煽ることはあっても、話し合い解決に向けた外交を意図的に怠ってきた。
 米帝を中心に行われているロシアに対する経済制裁に参加しない多くの諸国は、ロシアを一方的に断罪し、これまでの帝国主義の戦争荷担に頬かむりし、分断と対立を持ち込む米帝の戦略に抵抗している。ロシアのやったことが戦争犯罪ならば、リビアやアフガニスタン、シリアに対して米帝が行った侵略戦争も戦争犯罪だ。
 岸田首相は、一体に何を根拠に「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」などと言っているのか?
東アジアで、戦争の火種を煽り続けているのは日米帝国主義に他ならない。共和国を経済制裁で締め上げ、日米韓の軍事力による戦争重圧で体制崩壊を策動し、朝鮮戦争の終結を拒否し続けているのは米帝だ。中国と台湾の統一問題に介入し、「台湾有事」など煽って戦争の危機を意図的に作り出しているのも日米帝国主義に他ならない。
 岸田首相は、帝国主義に都合よく解釈された情勢認識の下、「日本の防衛力を五年以内に抜本的に強化する」「いわゆる『反撃能力』を含め、あらゆる選択肢を排除せず、検討していく」を表明し、自衛隊の増強を鮮明にしている。中国をロシアになぞらえ、中国の脅威を煽動し、米帝と一体となった対中国軍事包囲を強化することに狙いがあることは明らかだ。
 参議院選挙後、政権基盤を強化した岸田政権は、自衛隊増強―大軍拡に踏み出し、改憲へと突き進もうとしている。侵略反革命戦争に向け、一切の制約を取り払おうとする攻撃である。
 反帝国際主義に立脚し、排外主義を打ち砕き、改憲を阻止しよう。岸田政権を打倒しよう。


日米韓軍事同盟強化を許すな
8月共同軍事訓練阻止!


 アジア安保会議の場において、より具体的な軍事協力として、防衛相岸信夫、韓国国防部長官・李鐘燮(イ・ジョンソプ)、米国防長官オースティンの三者による会談も行なわれた。共和国との対決を中心課題としつつ、「インド太平洋地域」の軍事問題全般にわたる協議が行なわれた。
 日米韓は軍事問題における情報共有、政策協議、そして共同訓練に関して、協力を深化させることを合意している。
 日米韓三角軍事同盟を深化し、東アジアの軍事的緊張を高める動きを絶対に許してはならない。
 今夏、日米韓による共同軍事演習を絶対に阻止しよう。岸田政権が具体化しようとする戦争準備を一つひとつ打ち砕いていこう。

 


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