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■『戦旗』1668号(11月5日号)6面
  
 

 
改憲と軍拡への突進を許すな!
   
アジア人民と連帯し石破政権を打倒しよう

              
内田 洋     
 


 一〇月一日に石破政権が発足した。石破は裏金問題で揺れる自民党内の総裁選で総裁に就任し新たな首相として政権の座についた。そして総裁選で公言した内容を反故にして早期の衆議院解散・総選挙に突入した。自民党の総裁選なるものが総選挙に向けた政治的パフォーマンスでしかなかったことはあまりにも明らかだ。
 われわれは石破の登場によって自民党が変わる等というような類のデマゴギーを全く信用しない。むしろ石破の登場は日帝が軍拡と改憲に向けて突撃する象徴に他ならないと位置づけなければならない。すなわち、反戦と改憲反対を掲げて闘う反帝勢力にとって、石破政権は明確に打倒の対象でしかないということだ。
 あらためて石破政権に対する批判を強化し、政権打倒闘争を掲げた反戦・反改憲のより大きな高揚をかちとっていこうではないか。左派共闘の路線を堅持し、アジア人民と連帯した反戦運動を闘っていこう!

「アジア版NATO」構想を許すな

 石破は首相就任以前から「アジア版NATO」構想を掲げていた。九月二七日付けで米シンクタンク「ハドソン研究所」のホームページに「アジア版NATO」の構想を寄稿している。そこでは、この枠組みでの核兵器の共有と持ち込みをも主張している。
「アジア版NATO」とは何か。具体的には核武装を進める中国や朝鮮民主主義人民共和国、ロシアなどを念頭にした軍事同盟である。米帝を中心として日本や韓国、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピンなどが加盟国となり、加盟国間で「相互防衛体制」で対応するというものである。
 そもそも北大西洋条約機構(NATO)は一九四九年四月に発足した軍事同盟であり、現在の加盟国は三二カ国で「相互防衛」を掲げている。NATO条約はその第五条で、加盟国のうち一国でも他国に攻撃された場合、それは全加盟国への攻撃とみなし、軍事的反撃などの対応をとることが明記されている。すなわち、NATOは集団的自衛権の行使を集団防衛体制でできることを前提とした軍事同盟である。
 現在の日帝は、改悪されたとはいえ集団的自衛権を限定的に解釈しており、NATO諸国のように制限なく集団的自衛権を行使できるわけではない。石破の主張する「アジア版NATO」構想というものは、現在のNATOに習い、日帝の「集団的自衛権」なるものの際限なき拡大を意味するということだ。同時にそれは、東アジアにおける軍事的緊張を最大限に引き上げるということでもある。東アジア総体の軍拡競争の拡大、そして一触即発の軍事衝突を意識的に設定するという構想が「アジア版NATO」にほかならない。
 しかし、このような「アジア版NATO」構想であるが、日帝による植民地時代を経験したアジア各国・地域では「日本の軍隊」が自国内で活動をするということに本質的に反発があるのは当然である。
 石破が首相として外交デビューした一〇月一〇日の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会合では、「アジア版NATO」構想は全く無視され拒否された。マレーシアのモハマド外相は記者団に「われわれはすでにASEANだ。ASEANにNATOは必要ない」と語り、明確な反対の意志をしめした。日米豪印の四カ国軍事協力―クアッドの構成国であるインドのジャイシンカル外相は「われわれはいかなる国とも(安保)条約を結んでいない。戦略的枠組みは念頭にない」と「アジア版NATO」構想を支持しない旨を表明している。韓国やフィリピンも「アジア版NATO」構想には冷ややかな対応に終始している。すなわち「アジア版NATO」はアジア諸国ではあまりにも現実離れした構想という評価なのだ。
 しかしながら、われわれは、たとえ現実離れした構想だとしても、極めて危険な構想を堂々と主張した石破の考え方をこそ問題視する。「アジア版NATO」構想には、石破の対中国を意識した日帝の無制限無制約の軍事展開を希求する考え方が透けている。核武装も含めた際限なき軍拡路線が「アジア版NATO」構想だ。
 また「アジア版NATO」構想が全くの絵空事ではないことも確認しなければならない。近年、日帝はNATOとの関係強化を行ってきている。度重なる首相、防衛相のNATO会合への参加と演説。そして、立ち消えになったとはいえ、岸田政権時代にはNATO事務所の東京開設案までが公然と計画されていたのは事実である。現在的には絵空事の構想であろうとも、米帝との確認が取れればいつでも「アジア版NATO」に踏みこもうとしているのだということをこそ、危機感をもって批判しなければならない。

反戦―反基地闘争を強化し、石破政権を打倒しよう!

 石破は一〇月一日、首相就任の記者会見を行った。その中でフジテレビ記者が「(日米)地位協定の議論をどのように進めていくのか」という質問を行っている。石破は「地位協定を改定していくことが日米同盟の強化につながる」「例えば……合衆国に自衛隊の訓練基地をつくるということ」「合衆国に訓練場をつくるということは……軍事的合理性があるものだ」と答えている。このやり取りに対してTBS記者が「それは逆に日本がアメリカを防衛する義務を負うということにつながるのでは」とい質問を重ねた。これに対し石破は「全くつながりません」と即座に否定。集団的自衛権とはまったく別のものであると強弁している。しかし自衛隊の米本土訓練とは、日米軍事一体化の段階を画する考え方であることは間違いない。石破は「地位協定の改定」を日本の軍事力拡大のてことして利用しようとしている。
 「アジア版NATO」構想で核共有をも主張している石破は、日米軍事一体化という以上に自衛隊の米軍化ともいうべき軍事大国を希求していると思われる。「アジア版NATO」構想や核共有論、さらには米本土における自衛隊訓練場建設という発想は、軍事的に米帝に従属するのではなく、日帝の独自武装の拡大―米帝と同等の軍事力の保持という発想にほかならない。石破は米帝と肩を並べる超軍事大国としての日帝を夢想しているのだ。こうした発想の行き着く先は日帝の公然たる核武装でしかない。
 当然、改憲に向けて前のめりで対応してくるのは必至である。すでに自民党は憲法審会に提出するための改憲草案を書き上げているといわれている。石破が衆議院選挙の結果にかかわらず改憲を本格化させることは明らかだ。
 一部では「防衛内閣」とも揶揄されているぐらいに、新たに組織された石破内閣は、自身も含めて防衛畑出身者で占められている。こうした石破の政治指向からすれば、新たに設置しようとする「防災庁」なるものも防災の名を借りた国内総動員と治安対策強化が目的であることは明白だ。それはそのまま、人民の戦争動員として作用する。前述した改憲―緊急事態条項新設攻撃と相まって改憲攻撃がより強まることは必至だ。戦争と治安の結合を許すな。
 石破政権打倒を掲げ、左派共闘の力で反戦運動の前進をかちとっていこう!

 



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