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■『戦旗』1673号(2月5日号)3面 反戦闘争・反基地闘争を闘い抜き 石破政権の戦争体制づくり阻止! 少数与党となった石破政権の下でも、戦争体制づくりは強力におし進められていこうとしている。これと対決し、石破政権の打倒に向けた闘いをおし進めよう。 ●八兆円を超える大軍拡予算 昨年末の一二月二七日に閣議決定された二〇二五年度防衛関係予算案には実に八兆七〇〇五億円となり、一一年連続で過去最大を更新した。昨年度の当初予算と比較して約七五〇〇億円、9・4%の増加だ。約五兆四〇〇〇億円であった二〇二二年度の防衛予算と比較すれば約三兆三〇〇〇億円の増加となる。自衛隊による敵基地攻撃能力の構築のために五年間で四三兆円という軍事費の大幅増額を打ち出した安保三文書(二〇二二年一二月)の下で軍事費は増大し続けている。 今年度予算案においては、敵の射程圏外からの攻撃を可能とする「スタンド・オフ防衛能力」の強化のためにあわせて九三九〇億円が計上された。三菱重工製の12式地対艦誘導弾の長距離化と改良および量産体制の確立、極超音速誘導弾の製造態勢の拡充、JSMやJASSMなど戦闘機に搭載するミサイルの取得のために巨額の税金が投下され、地上配備型の12式地対艦誘導弾能力向上型については今年度後半にその実際の配備が狙われている。また、「衛星コンステレーション」の構築費用として二八三二億円が計上されている。これは、目標の探知・追尾のために複数の人工衛星を連携させて情報を収集するシステムであり、実際の長距離ミサイル発射のために不可欠のものだ。 また、長距離ミサイルの取得・配備と一体となった弾薬庫の建設については、全国で新たに二一棟の新設が打ち出され、関連費用として三三六億円が盛り込まれた。安保三文書では「継戦能力の強化」として、二〇三二年ごろまでに全国で約一三〇棟の弾薬庫の増設を計画しており、今回の防衛予算案によって計五七棟の増設が具体的に打ち出されたことになる。そのなかでは、京都府北部の海自舞鶴基地で新たに三棟の増設(計六棟)、京都府南部の陸自祝園分屯地で新たに六棟の増設(計一四棟)が打ち出されるなど、既存の増設計画の拡充も狙われている。この弾薬庫の増設を含めて全国の自衛隊基地の強靭化のために六九八三億円が計上されている。 さらに、宇宙作戦団(仮称)の新編や次期防衛通信衛星の整備など宇宙領域での軍事態勢の強化、イギリス、イタリアとの次世代戦闘機の開発に向けた動きが進められようとしている。また、小型攻撃用無人機(ドローン)の取得およびその調達先の有力候補がイスラエルとされていることは重大な問題だ。パレスチナ人民大虐殺に荷担するこのような動きを日帝の戦争体制づくりもろとも打ち砕いていかなくてはならない。 ●戦争体制づくりとの対決を 一月二四日に始まった第二一七回通常国会では、当面はこの大軍拡予算を含む政府予算案が焦点となる。社会保障や教育をはじめ労働者人民の生活に直結する予算を圧迫しながら戦争体制づくりにまい進する石破政権の打倒に向けた闘いをおし進めていかなくてはならない。 石破政権は「能動的サイバー防御法案」を今通常国会に提出しようとしている。 「能動的サイバー防御」なる概念は、「サイバー安全保障分野における新たな取り組みの実現のために法制度の整備、運用の強化を図る」として安保三文書の「国家安全保障戦略」に登場した。石破政権は現在、昨年一一月の有識者会議の提言を受けて、それを法案としてまとめ上げようとしている。インターネットやコンピューター・ネットワークなどサイバー空間での攻撃を未然に防ぐという理由で、一定の条件の下で民間の通信情報を政府が収集・分析できるようにするというこの法案については、すでに憲法に定められた「通信の秘密」との関係での懸念が出されている。この国家による検閲体制の強化は、単に「サイバー攻撃を未然に防ぐ」といった受動的なものではない。それは、サイバー空間における戦争に国家として「能動的」に対処しようとするものであり、加速する戦争体制づくりの一部に他ならない。 今通常国会においてはまた、自衛隊のフィリピン駐留と米比合同軍事演習への正式参加に関係する「日比円滑化協定」(昨年七月調印)の国会での批准など、自衛隊の海外派兵体制の強化、アジア太平洋地域における二国間・多国間の安保協力体制の強化もおし進められていこうとしている。 一月一〇日、石破はマレーシアのクアラルンプールでアンワル首相と首脳会談を行い、二国間の海上訓練など安保協力の強化を確認した。それに続いて一一日にはインドネシアのプラボウォ大統領と首脳会談を行い、日本からインドネシアへの高速警備艇の供与や年内の2+2(外務・防衛大臣会合)の開催で合意した。インドネシアへの軍事支援を含め「同志国」の軍隊に防衛装備品を提供する「政府安全保障支援」(ОSA)の二〇二五年度予算案は、昨年度の五〇億円から一・六倍増の八〇億円に増額された。これらは中国を包囲するインド太平洋戦略の一環であり、この地域での日本の軍事的関与を強めていこうとするものである。また、一月一三日には日米比のオンライン首脳会談およびに日韓外相会談が行われ、日米比・日米韓の引き続く軍事的連携強化が確認されている。 石破政権がおし進めようとするアジアにおける二国間・多国間安保体制の強化を許さず、戦争体制づくりを阻止するための闘いを全国各地で推進していこう。 |
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