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六都府県機動隊沖縄派遣違法

 
住民訴訟不当判決を許さない!

2020年6月
                                                                                 

                                              

                                         (福岡市民・原告)

 警察機動隊を沖縄に違法に派遣したことに対する住民訴訟で、敗訴の不当判決が続いている。ヘリパッド建設と機動隊派遣をみとめ、住民の抗議活動を危険視・違法視する反動判決を許すことはできない。
 沖縄・高江で集落を「標的」にした訓練のためのヘリパッドが建設されれば、事故続きの米軍機オスプレイが人家数十メートル上空を飛び回り命と生活を一層危険にさらすものだと、住民は一〇年にわたり監視テントを構えて反対してきた。基地建設反対の参議院議員が当選したばかりの二〇一六年七月一一日から、四ヵ所(N1地区、G地区、H地区)のヘリパッド建設を阻止するために懸命の闘いが続いてきた。
 政府―沖縄防衛局は東京・愛知・大阪・福岡など六都府県から五〇〇名の機動隊を含め総勢千人もの機動隊・警察官を動員し、七月二二日住民らが座り込んでいたN1ゲートのテント・車両などを強制撤去し、ヘリパッド予定地に向かう進入路の造成工事からヘリパッド本体工事を強行した。
 それ以後も、六都府県機動隊は高江集落をかこむ「県」道七〇号線を封鎖し、住民や反対派市民を通行妨害規制した。住民の監視行動や抗議行動に何ら法的根拠も示さず違法な逮捕・排除を繰り返し、住民の反対運動を弾圧しながらヘリパッド建設工事をすすめた。
 ヘリパッド建設完成をむりやり宣言し、一二月二二日駐米大使ケネディ(当時)の離任に合わせ、返還式を沖縄人民が抗議する中で開催した。しかし工事はずさんで、完成宣言後も続行されている。住民は日常的な監視活動と抗議行動を続けている。

 ●1 福岡住民訴訟

 ヘリパッド建設工事と機動隊派遣に抗議する行動が全国の都府県警察本部などに対し取り組まれた。さらに公金支出にかかる住民監査請求、それに続く住民訴訟がそれぞれたたかわれた。
 東京都・愛知県・福岡県において、ヘリパッド建設と住民を弾圧するために機動隊を派遣したことは警察法違反だとして派遣費用の賠償請求命令を求めた住民訴訟は、現在第1審原告請求棄却の敗訴判決がいずれも出され、控訴している。福岡訴訟控訴審では一回で結審、三月不当判決が出された。これら不当判決は、国策としてのヘリパッド建設と住民の反対運動を弾圧してきた機動隊派遣と警察の警備活動を「適法」とみとめ、住民の抗議と抵抗活動を「違法」と断罪した。
 福岡訴訟は、住民監査請求却下決定ののち、弁護士をつけない原告(九団体と四三人)による本人訴訟が福岡地裁でおこなわれてきた。訴えの内容として、福岡県知事は福岡県警察本部長に、支出した派遣機動隊員給与額を県損害額として賠償請求し、同時に原告ら各自に一万円の賠償を求めたものだ。
 一一回の口頭弁論が開かれ、原告団は日米安保体制のもと住民の命と生活を破壊するヘリパッド建設が違法であること、六都府県機動隊派遣、住民テントの撤去・交通規制・住民排除などの警察の警備活動、機動隊派遣決定手続き(公安委員会)、財務会計行為(公金支出)が違法であることを争点に主張してきた。また出訴期間徒過について、原告は福岡県監査委員会の不当な請求却下の事由により訴訟準備の支障となり出訴期間を過ぎることを余儀なくされるも、追完規定を定めた民事訴訟法に適法するとの主張をおこなってきた。
 ところが裁判長は原告の釈明要求について再三被告県にこたえさせず、さらに機動隊派遣の違法や損害賠償などを明らかにする原告証人申請をみとめず、突如打ち切り結審を強行した。原告の証人申請権すら奪い、原告に主張・立証の機会をあたえず、真実追及の権利、憲法が定める裁判を受ける権利を侵害する強権的訴訟指揮をおこなったのである。原告団は裁判官の忌避を申立てたが、棄却された。
 昨年一〇月福岡地裁判決は、住民訴訟にかかる機動隊派遣について、出訴期間徒過を理由に「判断するまでもなく不適法である」として切り捨て、却下した。また賠償請求について「損害賠償の対象となり得る法的利益の侵害によるものではない」と棄却した。
 福岡県監査請求却下を認め、被告福岡県の「機動隊派遣が各種警備事象への対応であり、沖縄県公安委員会の援助要求に応じた機動隊派遣や公金支出に違法はない」とする主張を追認した。控訴審でも証人申請を必要ないとして控訴請求を退け、一審判決を踏襲した。

 ●2 機動隊派遣を「正当化」する不当判決

 政府―沖縄防衛局は二〇一六年春ごろヘリパッド工事再開の準備を進めていた。六都府県警察の機動隊派遣は警察庁の主導のもとですすめられた。警察庁は、沖縄「県」警察警備部長に警察庁出身者を送り込んだ。
 同年六月沖縄「県」警察は福岡県警察車両燃料費を負担するとした「予算執行伺い(本庁)」を決裁していた。予算執行伺いとは、公金を支出するために必ず必要になる重要な手続きであり、支出を前提としたものである。また燃料費以外に交通費・宿泊費・食費は国費から負担されていた。
 沖縄「県」公安委員会が機動隊の援助要求を発出する前日に、警察庁は各警察本部に派遣準備の通知をおこなった。機動隊派遣を決裁するのは福岡県公安委員会とされるものの、人員や車両等の準備を整え、公安委員会の派遣決済を主導したのは「県」警察本部であり、決裁したとされる公安委員会も沖縄「県」公安委員会からの援助要求も届いておらず口頭による違法決済だった。事実審理をおこなわず、不当判決が強行されたのである。
 沖縄「県」警察が六都府県から機動隊派遣を援助要求する理由は「各種警備事象への対応」としている。「工事車両への妨害が想定される」などとして住民の抗議活動への敵視・違法視をあらわに機動隊派遣が強行されたが、工事再開までは高江は交通の混乱や住民の監視行動も平穏な状態だったことは東京訴訟で沖縄警察も認めている。二〇一六年七月工事再開と派遣された六都府県機動隊により住民と支援者が高江に集まり始め、住民の監視行動と抗議行動に対し機動隊の実力行使が行われたのである。住民・市民の抗議行動は住民の意思を無視して再開されたヘリパッド建設への正当なたたかいであり、意思表示だ。
 昨年十二月東京訴訟地裁判決では、七月二二日機動隊のN1ゲート座り込み市民強制排除について「適法性に疑問が残る」としつつも、国策を推進するために機動隊を派遣することは認めた。多数のけが人と不当逮捕があったことなど機動隊の住民への対応について「適正だったとはいいがたい」と一部認めたものの、派遣決定そのものに違法はないと強弁する極めて不当な判決である。
 本年三月愛知訴訟名古屋地裁判決では、工事再開後の住民・市民の抗議行動を「道路交通法違反・威力業務妨害罪等の犯罪行為に該当し、多数の警察官が必要」として六都府県機動隊の派遣を容認した。またテント・車両等の撤去などの警察活動についても認めている。何が何でも高江のヘリパッド基地建設反対を力ずくで抑え、警察や機動隊による暴力的な排除は違法ではないとしているのだ。
 やんばるの命の森にヘリパッドはいらない! これが今も住民の声だ。住民は今も続くヘリパッド工事を許さない声を上げ続けている。昨年米軍はN1ゲート前の住民のテントを二回にわたり破壊した。北部訓練場への住民の監視行動に不当な弾圧が強行されている。
 莫大な税金が住民の弾圧につかわれることを拒否して全国で多くの人々が住民監査請求や住民訴訟に立ち上がった。高江現地への行動に参加した。二度と機動隊派遣を繰り返さない。これが私たちの声だ。不当判決許さず、辺野古新基地建設反対、ヘリパッド建設に反対していこう!
    


    
    

 

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