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河原涼の文章を読んで

2020年9月
                                                                                 
                                              

                                         (岩元哲治)

 私は地域で自立生活をしている重度の身体障害者です。私の場合、五月に母が死んで里帰りをしたときに、差別的な扱いを受けました。
 詳しく言うと、五月一九日に母が死に、二〇日に里帰りすることにしました。私も人の子ですから、母が死んでショックがないわけがなく、介護者と一緒に実家に向かいました。その日に訪問看護師から電話がありました。二週間リハビリに行かないという内容でした。自宅に帰ってからヘルパーは、新型コロナの感染者に対する服装のような格好で、来はじめました。私は、リハビリをしないと体がこわばり、動きが悪くなります。リハビリとマッサージを週三回づつすることで、何とか電動車いすを運転できる関節の可動域を維持しています。
 二週間ないと聞いて、新型コロナにかかっていなければ来てもらえると思い、保健所に電話しました。その時の保健所の態度は、症状が出ていない人に対して、PCR検査はしないとのことでした。確かに五月頃までは国の政策で、症状がある人を率先して検査することになっていたようです。
 私は一週間以上してから、障害者生活支援センターに電話し、何とかならないかと訴え、マッサージの人が来てくれるようになりました。リハビリはその次の週の六月八日にならないと始めてもらえませんでした。リハビリを二週間できなかったので体の調子が悪くなり、電動車いすにヘルパーさんが乗せるときに落ちてしまいました。今でも緊張が強く、電動車いすの運転に影響が出ています。
 私は県外に行ったといっても、飲み屋にも行かず、葬儀場の母の棺桶の傍にいただけで、二週間もリハビリをしてもらえなかったことが腑に落ちません。健康を守るはずの訪問看護師が二週間も来なかったわけです。それも新型コロナがうつるかもしれない場所に行っていたなら納得も行きますが、ただ母の遺体の傍にいただけです。河原さんが書いていたように、行政改革のもと、保健所の人たちを減らし、保健所を減らした結果、リハビリができなかったと思うと、腹立たしく思います。今の政府は、保健所だけでなく大学病院や研究所などに手伝ってもらって、PCR検査をできるように、先に対策を講ずるべきだったと思います。大資本家の利益を守るために無理やり経済を動かし、新型コロナを拡げてしまった責任は、安倍政権にあると思います。安倍政治を引き継いだ現政権に対して断固闘っていきます。
      

    
    

 

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