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   国立市

  
近所の小中学校にチラシを配りに行く
   

2013年4月

                                                                                 




                                            M・M

 国立市内には八つの小学校と三つの中学校、計十一の市立小中学校がある。毎年卒・入学式に来る生徒や保護者に対して、「日の丸」「君が代」強制反対のチラシを配る活動を続けている。活動自体は市内の小中学校の卒業式に一斉に「日の丸」が上げられ、その理由を聞いた生徒が右派系のマスコミに叩かれ、国立が右翼のターゲットにされた二〇〇〇年のずっと前から続いているそうだ。
 ぼくがチラシを配りはじめたのはここ十年ほどだ。当初は二〇〇〇年時の緊張の余韻があって、私服警官が何人も来たり、警察車輛の巡回があったりした。管理職が校門入ってすぐのところにゴミ箱を置いて生徒に受け取ったチラシを捨てるように促したりもした。そのころチラシを配りはじめたぼくも、父親の一人がチラシを受け取り、表題を見て破って突き返すという経験をはじめてした。
 「それでも黙らない市民」を敵視する行為は今も一部の学校では続いているが、ぼくがここ数年チラシを配りに行く近所の小中学校では、そのようなこともなく、今年も生徒も保護者も、受け取る人もそうじゃない人もいる。チラシを手に持った卒業生たちが、校門前で数人で記念写真を撮る光景を見ていると、やっててよかったなと思う。ほかの団体の人も助成についてのチラシを配っていることもあって、国立市では、卒・入学式ではチラシを配る人がいるものだという光景が定着している。
 十一校の学校すべての卒入学式で二人ずつ人を配置すれば、累計で四十四人の人間が必要になる。仕事を持つ人が大部分の仲間内で、この人数を確保することは難しく、特に同日に行われる八校の小学校の卒入学式では人が配置できないところも出てくる。それでも小さい市内なので、卒業式で行けなかった学校には入学式で行くというようなこともして、なんとかチラシを使った表現文化を、毎年国立市の小中学校の子どもたちは体験できているのではないかと思う。
 ぼくも毎回参加できているわけでもないが、毎年百枚くらいはチラシを配っているはずなので、十年もやれば千人の人にチラシを手渡したことになる。それがどのような効果を将来及ぼしていくのかは、今のところわからないが、何もしていないよりも効果があるには違いない。
 今年の入学式のチラシの裏面は、長野県の中川村で「国旗」に礼をしない村長の答弁を紹介していた。そういう人がいるということくらいは知っていたが、あらためて読んでみるといいことを言っていた。「もっとも問題なのは、名誉にかけて誓った理想を足蹴にして気にもしない今の日本を、一部の人たちが、ほめたたえ全面的に肯定させようとしている点です。この人たちは、国旗や国歌に対する一定の態度を声高に要求し、人々をそれに従わせる空気を作りだそうとしています」。
 そういう空気は、「言いなりにはならない」という感情を表現しなければ、具体的に体験できないことだ。体験したことがない人が、実際に自分が経験してみて、「あのときのチラシの意味はこれだったのか」とわかってからでは遅いのかもしれないが、それでもそれに気づくことは重要なことだ。
        

 

 

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