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   三里塚の援農に参加して

   
「生き様そのものが国策を阻んでいる」
   

2013年9月

                                                                                 




                                                    一学生
 

 丸一日がかりの援農を総括したときにもっとも強調したいのは、三里塚闘争は農民が自らの人間らしい生活や尊厳を賭けたギリギリの抵抗から生まれる闘いであり、彼らの生き様そのものが国策を長年阻んでいるという紛れもない事実への驚きです。今回、初めて三里塚に入って農作業に携わり、農家の方々との交流を通して、この闘いの持つ力強さをしっかりと感じることができたと思っています。
 三里塚の歴史について資料でしか調べたことのない私は、畑に入った当初は不思議な感覚に襲われたものでした。市東さんの美しい畑が鉄板に取り囲まれ、そのそばを爆音を伴って飛行機が飛んで行く。そして遠目から私服警察がジロジロと様子をうかがってくる。はっきり言えば異様な光景です。ただ、それこそが国策のために平気で農民の生活を踏みにじり、分断してきた長年の国家権力の攻撃だと実感するにつれ、自分の不安感が怒りに変わるまでさほど時間はかからなかったように思います。
 農作業を通じてその思いは特に強まりました。
 まあ確かに援農は辛かったです。朝の八時から午後六時まで、地面を這ってネギ畑の草を刈り、出荷するジャガイモやタマネギを選別し、ピーマンの収穫までやる。私は一日で身体中が痛くなりましたが、これが農家の方々の毎日の仕事と聞いて頭が下がる思いです。
 しかし、無心で土にまみれて、野菜を一つ一つ手にとるうち、食べ物を作るということが当然の営みであって、人間の根源的な部分だと思い至りました。休憩中に市東さんが淡々と発する言葉の随所にも、野菜への愛情や仕事への自負が垣間見えただけに、「なんでここまでして土地を奪う必要があるんだ!」と叫びたくなる気持ちがしたものです。
 思えば、経済最優先の空港完成を農家が阻んでいるというのは象徴的な事でしょう。交換価値に換算できないものは切り捨てるというような世情にあっては、市東さんのような農家の生活は、常に問題を投げかけています。そしてひいては我々の生き方をも問うものだと思っています。絶対に潰されてはならない闘いだということは間違いありません。
         

        

 

 

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