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沖縄・高江の座り込みに参加して
   

2014年4月

                                                                                 




                                                    

 二月中旬、ヘリパッド建設を巡り緊迫する、沖縄・高江の座り込み運動に参加した。
 二〇〇七年から続く闘いの現状について説明すると、二月現在、ヘリパッドは二基目の完成を目前としている。防衛局としては天然記念物ノグチゲラが繁殖期に入り、重機の使用ができなくなる前に工事を終了させる算段であるから、砂利(クラッシャーランと呼ばれる)やパッド表面に敷設する芝生など、工事資材の搬入阻止が闘争の大きな課題となっている。「本土」では目にすることのない原生林の一本道で、私は工事車両の所属と積載物を確認しつつゲート前に張り付く作業を担当した。
 沖縄とはいえ肌寒い暗がりの中、ナンバープレートに目を凝らし、リストと丹念に照らし合わせていく。さらにゲートの向こうで進む作業の進捗を本部に報告せねばならない。十五時間の監視活動で気が休まることはなかった。
 こうした地道な活動を七年近くやり抜いてきた住民の会と支援者の意欲は殊更、印象的だった。
 映画『標的の村』で周知の通りだが、高江は人口わずか百六十人の村落でありながら、原生林を利用した米軍北部訓練場に隣接し、日米安保体制の構造的差別・矛盾にさらされている。一九六四年には住民がベトナム兵役として演習に参加させられる等の戦争協力があったが、そのような負担の最たるものがオスプレイ配備を見込んだ、もはや騙し討ちに近いヘリパッド受け入れなのだ。
 「美しい山原(やんばる)を守りたい」という純粋な思いもさることながら、こうした理不尽さに対する怒りこそが、住民を実力の闘いに駆り立てる契機となっていることは疑いようがない。私は「本土」の人間として、住民と共に攻防の最前線に足を踏み入れて初めてこの実感を得ることになった。特に、ゲートを米兵が行き交う際に、連日座り込んでいる人が彼らに激烈な怒りをぶつけているのを目撃した時、ウチナーンチュの抱える苦しみ、怒りの一端を味わうことになったのであり、今回の訪沖はその経験だけでも価値あるものだったように思える。
 また、住民運動が高揚期を迎えていくと共に、高江は辺野古と並んで安倍政権の秘密保護法制定に続く改憲策動・戦争準備を迎え撃つ主戦場へ押し上げられつつある。
 事実、『標的の村』が人気を博して以来、老若男女多様な人々が高江に訪れている。滞在中に訪問者が途絶えることはなく、一日二十人近いこともざらだった。中でも私が交流した方々の多くに通底するのは、原発・基地問題、ひいては安倍政権の戦争国家化策動に抗して闘おうとする姿勢、そして高江の実力の攻防に対する圧倒的共感だ。
 確かに、スラップ訴訟をはじめとする苛烈な権力の弾圧によって、住民は相当に消耗しているし、運動に一定の動揺も存在する。だからこそ私たちは、あくまでも住民と連帯しながら、運動を全人民的な課題として押し上げ、粘り強く闘うことが求められているのではないか。

        

 

 

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