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                                                                   2012年1月
2012年を闘う決意

三里塚芝山連合空港反対同盟

   



  


 事務局長 北原鉱治さん

 命あるものを殺す国の犯罪を許さず闘い抜く



 二〇一二年を迎えるにあたって、三里塚の地から「生きる者の権利」ということを訴えるものであります。ひとりひとりが「自分には関係ないこと」という意識を捨て、世界情勢を見据えて立ち上がり、声ある者は声を、勇気ある者は勇気を持って新しい時代を切り拓かなければ、若い労働者や学生、幼子たちが安心して暮らせる世の中にはなりません。このままでは、日本は沈没してしまうのではないでしょうか。
 昨年、第二次世界大戦末期に原爆が投下されたのと同じ八月六日、天神峰の現闘本部に強制執行が行われ、夜陰に紛れて建物の破壊・撤去が強行されました。法律を守るべき国家権力が、法律まで破って強制執行を行ったのです。このような社会は根本から変えなければならないのではないでしょうか。これからも三里塚は未来のために、政治を国民大衆のものとするべくたたかい続ける決意です。
 成田空港会社は市東さんの地所を空港の中に囲い込もうとしています。こんなに愚かなことがあるでしょうか。農民には土を耕して生きる権利があります。命ある者を殺すかのような国の犯罪に対して、われわれは抵抗する権利があります。このような攻撃を許せば、国が農民の土地を好き勝手に使えるという前例になってしまいます。
 自分自身が動かなければ何も変わりはしません。人々を苦しめる悪政を変えなければ、若い人たちにも将来が見えません。そのために三里塚は四十六年間たたかい続けています。これからも、生ある限りみなさんからの支援を受けながらたたかい続けることをお約束します。



 事務局次長・「用地内」東峰 萩原進さん

 反動の攻撃に対し、今こそ、福島・三里塚・沖縄の共同闘争を


 昨年、3・11東日本大震災という事態が発生したけれども、日本だけじゃなくて、リーマンショック以上の危機が、経済・政治・社会、全世界に波及した。まだまだ日本はそういうふうにならないが、世界の各地で民衆の決起が大胆にかちとられている。民衆の解放がかちとられてきている。全世界が同じ状況に叩き込まれている。今までの支配の仕方では支配しきれない状況が誰の目から見ても出てきている。そういう中で、日本では大震災が発生し、よりいっそう政治も社会も財政も厳しさを増した。震災の中で、原発という問題が起きて、それに対する政府の対応の仕方があまりにもひどく、誰も信用するという人がいなくなっている。国を信用するということができない状況が生まれてきた。
 先日の大阪の選挙で表れたように、世の中変える、体制をぶち壊す新たな歩みをするんだという動きが出てきている。橋下の言っている内容はともかく、期待せざるを得ない民衆の声が上がっている。今までの支配の仕方では支配者はやっていけない。同じように、闘う側にとっても、今までの闘いの仕方を点検しつつ、大胆に歩んでいく方向性が、反面教師的に表れてきている。
 「歴史は繰り返される」じゃないけど、ヒトラー、天皇制の下に吸引されていく、戦争へ持っていく、そういうやり方が闊歩する時代に入ってきている。事態が厳しければ厳しいほど、反動を強化せざるを得ない。だけども民衆との激突を想定した上でやっていかなくちゃいけない時代が来てしまった。それが福島であり、もう一つは沖縄である。誰が見てもおかしな事態を押し通さざるを得ない。
 TPPの問題でも、参加せざるを得ない。引くこともできないし、座して待っているわけにもいかないジレンマの中で、参加せざるを得ない。そういう中で、人民との激突は避けることができない。問題性を含んで突き進まなくちゃいけない。
 三里塚についても、そういう時代の中で、闘いの歴史があったからこそ、超反動的に攻撃がかけられてきた。それが昨年の現闘本部破壊であり、五月の大量逮捕であった。一般的な常識から言えば想定できない状況だけれども、押し通さなくてはいけなかった闘いには想定外はない。今こそ福島・三里塚・沖縄を結びつけながら、それを急速に盛り上げて、共同闘争として闘いぬく中で、三里塚の勝利もかちとられる。全世界で決起している民衆とのあくなき連帯を求め、闘いぬく。
 資本主義体制そのものが崩壊の過程に突入している時代の中で、超ウルトラ反動の攻撃があるだろう。小手先の技術でごまかすことはできない。民衆との真正面からの激突を念頭に入れて、舵取りしなくちゃしょうがない。そういう中で三里塚は、旗振りを十分に慎重に、しかし大胆に行っていく必要がある。
 今、空港会社は第三誘導路建設を強行している。実際には航空産業の立ち遅れの中で、三里塚の空港の形を整える工事に過ぎない。羽田の国際化が進む中で、地元の反発を抑えるための工事だ。「できたんだ」ということをもって、運動を破壊しようとしている。そのためには湯水のごとくお金を使い、時間もかける、反動の攻撃も行う。それをわれわれはよしとし、受けて立って闘いぬけば、勝利の展望はある。
 裁判はいい例だ。普通の裁判であれば勝利できる内容だ。それをごり押しして反動判決を出さざるを得ない。それは彼らの脆弱性である。反動性を批判できる状況である。それを一つの民衆の決起の材料にしながら、現地攻防を闘いぬく陣形を作り上げていく。
 そのためには三里塚だけじゃなく、福島の闘いや沖縄の闘いを同時並行的に作り上げていくことが必要だ。まだまだ闘いは始まったばかりだが、昨年、一昨年から打ち込んできているこの闘いを強化・拡大していかなければならない。全国の皆さん、本年もともに闘いぬいていこう。



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「用地内」天神峰 市東孝雄さん

 農地を守る正義を確信し、福島の怒りとつながり闘い抜く


 闘う仲間のみなさん、裁判傍聴、日頃のご支援、本当にありがとうございます。みなさんの力をもって、私も今、自然体でがんばっています。
 昨年の10・9集会において福島の農家から発言を受けました。福島の大地を、農民の主導権のもとで再生させるという、力強い発言でした。成田空港会社は、「国策」の名のもと、私の農地を力で取り上げようとしています。私は、この農地を守り抜くことが被災地に応えることだと、固く決意しています。
 農家の喜び、魅力とは一体何でしょうか。それは、手塩にかけた作物が消費者のみなさんのもとに届き、「おいしい」と言っていただけることであり、それが農家にとって一番の喜びだと思います。しかし、今、福島ではそれはできません。受け入れてもらえないのです。農家にとってこのことは一番、絶望的です。また警戒区域では、家畜を泣く泣く放置し、餓死や共食いのあげく、殺処分。牛肉は出荷停止になり、果物は半値に暴落。我が身のことと思えば、本当に胸の張り裂ける思いがします。農民や漁民、住民たちのどこに非があったのでしょうか。額に汗し、誠実に働いてきた農家のどこが罪だと言うのでしょうか。罪もないのに家を捨て、農地を置いて、故郷を去らなければならない。そして子どもたちには、被曝の恐怖。私は福島の人々の怒りと悔しさを我がものとしていく決意を何よりも明らかにします。
 一昨年の団結街道封鎖により、畑まで往復するのに大きく迂回を強いられるようになりました。昨年8・6ヒロシマの日、闘う人々が広島に結集する日を狙って天神峰現闘本部破壊が強行されました。そしてまた第三誘導路工事が始まりました。工事中からすでにそうですが、完成すればなおさら、私の家は騒音、振動、排気ガスにさらされ、陸の孤島になってしまいます。農地取り上げの圧力が日々強まっています。
 農地をめぐる裁判では、二十四人予定している証人をわずか二人に制限し、早期結審を狙っています。事の始まりの農業委員会や県の役人などの重要証人を全部切り捨て、私たちの側に正義があるのに、一つの事実も採用せず、正義の一かけらもない裁判が行われています。絶対、許せません。
 空港による農地取り上げと、原発による農地の破壊、特別区域の攻撃は違うでしょうか。さらにまた、関税ゼロのTPPによる市場開放はどうでしょうか。また沖縄におけるヘリパッド建設、辺野古の埋め立て、新基地建設の問題など、私は同じものが別の形で現れていると思います。そして何よりも資本による農業からの収奪、東電による迫害、これらは同一のものではないでしょうか。
 私は農地を守る正義を確信します。福島の労働者・農民の怒り、悔しさと手をつなぎ、全世界のたたかう労働者の力とともに、体を張って闘っていきたいと思います。ともに闘いましょう。



 中郷 鈴木謙太郎さん

 農民殺しを許さない、原発再稼働阻止、TPP阻止を


 全国の農民がTPP参加絶対反対を訴える中で、野田首相はTPP交渉への参加を表明しました。とんでもないことです。日本経団連は、大震災後の復興のためにもTPPへの参加を急ぐべきだとの提言をしています。全国紙はいずれも、TPPへの積極的参加を主張しています。中小の農家を潰して農地を強奪し、企業を引き入れて、強い農業に転換するということです。「強い農業」というのは、そういうものではないと思います。家族的経営で、日本古来種を大切にする、適地適作の循環型農業です。農業を金儲けの道具にしてはなりません。日本の農業はこれでは潰れてしまいます。
 津波にのまれた農地は宮城、福島、岩手の三県で二万ヘクタール。昨年、作付けできない農地もたくさんありました。津波だろうと、原発事故だろうと、大切に育ててきた農地でまた農業を続けたい、それが農民の気持ちです。三里塚を闘うわれわれ農民は、被災地農民の怒りと叫びを受け止めて、ともに闘う決意を新たにしています。被災地農民の気持ちを踏みにじるTPPには断固反対します。
 TPPを許して関税がゼロになったら、自給率は14%です。本当に日本の農業は潰れてしまいます。TPPは農民だけの問題ではありません。労働者にとっても重大な問題です。競争がもっと激しくなって低賃金や失業が増えることは明らかです。とんでもないことだと思います。
 反対同盟は一昨年十一月、横浜APECの時にTPP反対の声明を出しました。昨年、三里塚全国集会で「参加阻止」を訴えました。TPPは知れば知るほど許せない、その気持ちがますます強まってきています。原発再稼働阻止と共に、TPP参加絶対阻止のために闘いましょう。
 空港会社は裁判所を利用し、市東さんの畑を奪おうとしています。反対同盟は農地死守を掲げ、体を張って闘いぬきます。昨年十月から、危険な同時並行離着陸を始め、騒音が増大、被害地域も拡大しました。年間飛行回数を三十万回にすると言っています。これを許さず、騒音地域住民とともに反対の声をあげ、闘います。
 現闘本部裁判で不当判決を出した仲戸川裁判長のもとで、一坪共有地裁判を闘っています。一坪共有地が、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」に帰属するものであることを、仲戸川に認めさせるよう、徹底的に闘います。
 私は、有機無農薬野菜作り、産直方式に、誇りをもって取り組みます。中郷の農民として、市東さん、萩原さんとともに営農を貫きます。全国の皆さん、ともに闘いましょう。