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                                                                   2014年1月
2013年を闘う決意

三里塚芝山連合空港反対同盟

   


  


  ●事務局長   北原鉱治さん

  生きるために闘ってきた。まさに正義である


 本二〇一四年、三里塚は、成田空港廃港に向けて、決戦の年を迎えます。
 今日本という国はどこに向かっているのでしょうか。
 四十八年間にわたる三里塚のたたかいは、多くの犠牲を出しつつ、今もたたかい続けている。土地を収奪しようとする権力に対し、農地を死守して生きるという執念をもってたたかってきた。地球上の国々で、農地強奪とのたたかいは、人民にとって、生きるか死ぬかのたたかいです。たたかうことは、当然の権利であり、国策によって生きる権利を奪おうとすることは絶対に許すわけにはいきません。成田空港そのものが、今も未完の空港として、むしろやめるべきものです。しかし空港会社は農地を奪い空港を広げようとしております。これに対し、生き残るためにたたかい続けることは、当然の権利であります。
 三年前の三月十一日、三陸沖の大地震にあい、大きな犠牲が起きた。原発が破壊され、放射性物質が日本列島に点々と覆いかぶさってしまった。福島の人々は、多くの人命を失い、住む家からも放り出されてしまった。散乱した放射性物質の対策ができないままで、安倍政権は、原発を再稼働しようとしている。かつての第二次大戦の広島、長崎のあの惨状を見たとき、一切の核を絶ち、廃炉にすべきである。反戦、反核の砦として三里塚は、多くの人々とともに生きるためにたたかってきた。まさに正義である。
 第二次大戦のとき、私は海軍の兵卒だった。日本兵を護衛し、アジア、南太平洋の各島々に輸送して行ったことが、昨日のことのようにまだ脳裏から消えていない。侵略戦争を行った日本は無条件降伏をもって敗戦に追い込まれた。二度と侵略を行ってはならない。それにも関わらず、安倍政権は、国家安全保障会議設置法、特定秘密保護法を制定させ、戦争体制を作り上げようとしている。沖縄においては、オスプレイが運び込まれ、辺野古移設に血眼になっている。韓国、中国と領土問題を争い、戦争の危機をあおっている。この動きは止めなければならない。朝鮮学校への無償化除外の差別をやめなければならない。
 日本の国は独立した島であり、自給自足ができる島です。しかしTPPに参加すれば、農産物は全面的に輸入になり、日本の農民、農業はなくなってしまう。これからの時代を背負う若い人々、また生まれ育ちつつある子どもたちの将来を見たときに何をすべきか。労働者人民にとって、未来が見える、安心して働ける、子どもたちを育てられる社会を作るにはどうしたらいいか。
 私はたえず言っている。「他力本願の時代は過ぎた。生きていく限り、未来・将来のため、一人一人が責任をもって立ち上がるべきである」。
 シリアにおいては現在も、何百何千という人々が、侵略戦争において死んでいっているではないか。反戦の砦・三里塚は、スローガンを掲げたたかい抜いている。労働者、農民の命を縮め、死を迎えることについて、痛みを共有し、闘わなければならない。被抑圧人民、被差別大衆の解放運動を進めることは当然の責任である。
 統一委の皆さん。現在に至るまで三里塚の軍事空港、成田闘争を支援共闘していることに、心から敬意を表します。二〇一四年年頭にあたり、全世界の人々に、三里塚はたたかい抜くことを宣言して、ご挨拶といたします。



 ●事務局次長・「用地内」東峰   萩原 進さん

 今年も沖縄、福島の闘いと連携し反国策の闘いを


 萩原進さんは十二月二十一日、急逝されました。このメッセージは、生前にいただいたものです。萩原さんの遺志をしっかりと受け継ぐために、ここに掲載することとしました。
 謹んで哀悼の意を表します。(『戦旗』編集局)



 昨年は、六年間かけてたたかった裁判の、多見谷反動判決があった。三里塚の裁判では、司法、立法、行政が一体となって攻撃をかけていることが証明された。あるときは国、あるときは行政、またあるときは裁判所が前面に立って攻撃をかけるという繰り返しの歴史だったが、今は裁判所が正面に立っている。裁判所がもつ支配の体制が、三里塚でこういう形で出てきている。
 原発についても、裁判所が推進、擁護してきた。原発事故を起こした東電に対するたたかいにしても、一手に引き受けて、裁判所が反原発のたたかいを跳ね返そうとしている。国策裁判の最たるものとして、三里塚の裁判、市東さんの裁判がある。五十年にわたる農地取り上げの歴史の集大成のような形で、裁判所がやっている。国策を正面から打ち破るたたかいが、この裁判闘争で展開されている。東京オリンピックが決まったが、真正面からオリンピック粉砕を言っていく。
 福島原発の事故によって、これまで国策とか安全とか言っていたことが一気に崩れた。今、三里塚の農地取り上げについても、TPPの問題や減反の問題、食糧の問題、大きくは農業問題に取り組んできたときに、空港と農業の比重が改めて問われた。高度経済成長期には、経済優先の中で、農業、農地が大切だという声は全部つぶされてきた。多くの農民が工業部門に吸収されてきた。TPPはその集大成として今、農民が淘汰されるような状況になっている。空港なのか、農業・農村なのか、人の命なのか、金なのかが、福島の事故以来問われている。沖縄についても、人民があれだけ反対しているにも関わらず、押しつぶして基地を作ろうとしている。福島の人たちの声をつぶしながら、再稼動をし、高線量のところで住まわせようとしている。こんなやり方が通るような世の中になっては困るから、われわれは反対運動をする。
 反動判決が出たが、これで何か解決したり、結果がはっきりしたわけでもなく、三里塚の問題が解決したのでもない。大きな意味での始まりである。昨年のたたかいでは、反国策という形でのたたかいは正面きって定着してきた。福島、沖縄、あらゆるたたかいの中に浸透しつつある。このような戦線の拡大と、現地におけるたたかいの強化を並行してやってきて、形になりつつある。引き続き本年も取り組む。
 市東さんの農地を取り上げたとしても、空港自体が落ち目であることは変わらない。三十万回飛行といってもそれほど需要がない。内陸であるために二十四時間化はできない。大きな意味でわれわれが五十年間たたかいぬいた成果として、そういうところまで追い込んだ。追い詰められた窮余の策として、格安航空の導入や、第三誘導路や、駐機場の拡大、ターミナルの整備などをやっている。カジノを作るとか、羽田―成田間をリニアで結ぶとか言っています。われわれは容赦なく追及し、明らかにしていく。
 臨時国会では、強行採決でボンボン法案を通してしまった。今春、福島も、沖縄も、激突情勢になる。われわれの控訴審も始まる。われわれのたたかいは、その中で非常に大きな位置を占める。われわれの主張が人民の耳に入りやすい情勢になっている。
 本年も、周辺地域への署名集めや呼びかけを継続し、地元の人たちとの会話、対話を通し、空港を監視する。そこから、苦情や抗議を、闘争へと結びつける。沖縄、福島のたたかいと連携し、反対同盟のたたかいをもう一度作り、千葉県内いたるところに反対同盟を作る。周辺地域に呼びかけて、旗開きに誘い、三月の集会に誘う。そういう中で意識と思想性を共有し、反対同盟に入ってもらう。
 控訴審闘争が始まる。三月集会の直後に第一回口頭弁論が開かれる。霞ヶ関での、権力の中枢においての、反国策のたたかいを、あらためて全国闘争としてたたかいたい。本年もよろしくお願いします。



 ●「用地内」天神峰   市東孝雄さん

 控訴審では必ず勝利を勝ち取りたい


 新年明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。
 昨年七月二十九日の千葉地裁による農地強奪不当判決は、耕す者の権利を奪う暴挙であると、怒りをもって受け止めています。絶対に認められません。対象の土地は祖父の代から三代百年近く耕し続けてきた有機・無農薬の農地です。誰にも負けない肥沃な農地だと誇りにしてきました。広さはこの裁判と別件の裁判を合わせると、私が耕作する土地の約六割に当たります。
 作業場、農機具置き場、育苗ハウス、離れなど農業には欠かすことができないものも入っています。
 農地は私の命です。農地強奪判決は私から農地とともに農民としての誇りを奪い、死ねと言っていることに等しいものです。
 成田空港会社は、前身の公団の時に、小作人に無断で底地の売買を行い、転用目的で用地を取得しておきながら十五年もの間放置し、地代をだまし取り続けてきました。これらは明らかに農地法違反です。
 また千葉地裁の多見谷裁判長は空港会社と一体で裁判の指揮進行を行い、空港会社の裁判での違法不当な主張を全て認めてきました。
 空港会社そして千葉地裁の農地強奪は土地収用法なき事実上の強制収用です。
 しかし、判決では一審の段階で強制執行を行うことができる「仮執行」は付けることができませんでした。みなさんとともにたたかってきた力がここに表れたと思います。
 今年三月に供用開始が強行された第三誘導路は騒音が激しさを増しています。〇九年には東峰地区の入会地である「東峰の森」を無断で伐採し、そのために二百億かけて建設した東側誘導路はもう使わないと言っています。また内陸空港の条件である、夜間飛行制限の二十三時台をLCC(格安航空会社)に便宜を図るため、強制的に撤廃しました。また新たに年間発着回数を三十万回とか三十五万回に拡大し、二十四時間空港化を行おうとしています。飛行直下の住民には寝る時間はなくてかまわない、住民の健康はどうでもいいということなのでしょうか。成田空港だから何をやってもいいということではありません。
 また空港会社は暫定滑走路への字誘導路について、無理に無理を重ねて建設を強行した当初は「安全だ」と公言しておきながら、事故などが起き、都合が悪くなると「危険だ」と言ってきました。そして先日、空港会社の夏目社長は、への字に曲がった誘導路を「上から見ると見た目が悪い」と言って、直線化することを主張していましたが、空港建設そのものが間違っていたからこそ、このいびつな空港になっており、未だに完成していないのではないでしょうか。
 放射能とたたかう福島、基地とたたかう沖縄、そして私たちの三里塚のたたかいは根っこは同じだと思います。私がたたかうことで、福島、沖縄と繋がれると信じています。農地法を悪用して農地を奪うことなど絶対に認めるわけにはいきません。農地強奪には絶対屈しません。私はこの地で生きる権利を勝ち取りたいと思います。体を張ってたたかう決意です。
 耕す者に権利あり、空港のコンクリートを引きはがし、元の農地にして返せと言いたい。
 親父の遺志でもある空港廃港までたたかい続けていきたいと思います。
 東京高裁での控訴審裁判では、必ず勝利を勝ち取りたいと思いますので、みなさんこれからもご支援宜しくお願い致します。