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                                                                   2021年1月
農地を守り抜き空港廃港へ

二〇二一年反対同盟のあいさつ

   


    


 ●空港拡張は時代遅れ 廃港し農地に戻せ

  事務局員、「用地内」東峰 萩原富夫
さん


 新年おめでとうございます。旧年中は多大なご支援ありがとうございました。
 昨年一二月一七日の東京高裁菅野裁判長による控訴棄却、執行停止取り消しの不当判決は絶対に許せません。強制的に農地を取り上げるやり方を許すわけにはいきません。今後も市東さんの農地を守り、空港廃港まで闘っていきます。
 コロナ禍で経済は縮小しています。外国からの観光客も激減しています。そういう状況で成田空港は本当に必要なくなりました。それでも、成田空港会社は農民から農地を奪い、空港の拡張を進めようとしています。空港会社は「空港が拡張されれば利用客は戻る」というへ理屈を言っています。
 いまさら空港を拡張してどうするのか。住民や農民は本当に苦しんでいる。本当に成田空港はいらない。農地に戻せ。私たちはこれをみなさんに大きく訴えていきたい。
 このような誤った政策を一刻も早く撤回させ、成田空港廃港に向かって共に進んでいきましょう。
 もう成田空港のようなものは時代に合いません。自然環境を破壊し、農業を破壊し、そして無理やり経済を回していこうという考え方は変えなければいけません。住民本位、農民本位、人々の命と生活を大切にする政治が必要だと思います。
 私たちは市東さんの農地を守る闘いの中から、「農地は命」であり、そういう考え方を大切にする社会を目指していきたいと思います。
 三里塚の闘いは沖縄の辺野古新基地建設や原発再稼働反対と繋がる闘いです。それは国家権力を前に出して、農民・住民の声を無視して、無理やり事業を進めることに対して絶対に許さないという闘いです。
 本年も、成田空港反対、農地を守れ、という闘いを進めていきます。ともに闘いましょう。


 ●天神峰で畑を耕し闘い続ける

 事務局員、「用地内」天神峰 市東孝雄さん



 昨年は裁判などのご支援ありがとうございました。本年も変わらぬご支援よろしくお願いします。
 昨年一二月に請求異議裁判控訴審において、東京高裁は「控訴棄却、執行停止取り消し」という全く不当な判決を出しました。絶対に許せません。地裁の判決と同様に期待はしていませんでしたが、内容があまりにもひどい。しかし、これで負けたわけではありません。
 私は天神峰で畑を耕して闘っていきます。私は親父から農業を引き継いで無農薬野菜を作ってきました。しかし、空港会社は私が「不法耕作」しているという。天神峰と南台の農地は私の命です。政府と成田空港会社は命である農地を私から取り上げようとしています。私は農民として生きていきます。政府、空港会社には、こうした私の決意を示していきたいと思っています。
 耕作権裁判では空港会社に文書提出命令が出ています。しかし空港会社はこの命令を無視し、重要書類を隠し続けています。まったく空港会社は裁判所を冒とくしているとしか思えません。全ての重要書類が出せないのなら、それは公正な裁判とはいえません。裁判所は空港会社の不誠実な態度を改めさせるべきです。
 いま、成田空港で飛んでいる飛行機の数は、これまでの二~三割です。これまでのような、航空需要は右肩あがりという幻想は通用しません。これまでのあり方が問われているのは成田空港です。私の農地は有機農法で完全無農薬野菜です。玉ねぎ、カブ、小松菜、青首大根、三浦大根など六〇種類を栽培しています。こうした農地をコンクリートで埋めることを許せるはずがありません。
 地元では空港会社による強制執行の動きに住民の怒りがうずまいています。東峰地区では裁判所に対して住民一同の名で「要望書」が出されました。そこでは私の闘いに対して連帯する意思が明らかにされています。これらの「要望書」は私の気持ちを代弁しています。
 今後も空港反対で農地を守りながら闘います。ともに闘っていきましょう。


 ●民衆を犠牲にする空港会社を打ち倒そう

 事務局員 伊藤信晴さん



 新年の1・1アピールをさせていただきます。
 コロナ禍の中で菅政権は「自助、共助、公助」と言って誕生しました。非正規労働者が四割で、日々の生活が精一杯の労働者に何をしろというのでしょう。
 みなさんもご存じのように三里塚でもとんでもないことがおこっています。
 成田空港会社(NAA)はばく大な赤字を出しながらも駐機料を無料にし、飛行機を一機でもとばそうとしています。空港機能強化は中・長期的には必要だとNAAの田村社長は平然と言いはなち、市東さんの親子三代が耕した農地をうばおうとしています。
 さらに周辺自治体の長は空港の危機を救うために国交省におもむき機能強化を訴えています。周辺の騒音下住民に対して五〇万回飛行し、朝五時から深夜一時まで飛ばす。まさに北総一帯を騒音地獄におとしこめようとしています。
 民衆を犠牲にして延命をはかる日帝―空港会社をうちたおしましょう。
 そのために市東さんの農地を守りぬく決意です。皆さんの協力をおねがいします。


 ●三里塚の闘いは資本主義批判の闘い

 事務局員 太郎良陽一さん


 共産同(統一委員会)の皆さん、本年もよろしくお願いします。二〇二一年も農地死守―空港廃港を闘っていく年頭のアピールを出します。
 昨年一二月一七日の東京高裁菅野裁判長による請求異議控訴審不当判決を許せません。しかし反対同盟は不当判決に屈することなく闘っていきます。控訴審判決の直後、同盟と支援は市東宅離れに集まり「座り込み」体制をもって泊まり込みました。沖縄から駆けつけてきてくださったキムチミョンさんとともに、大衆的に市東さん農地を防衛しようという形が作られたと思います。「座り込み」は千葉地裁による執行停止の仮決定が出る一二月二一日まで続けました。
 今回控訴審判決に向けて東峰地区住民一同名で「要望書」が裁判所に提出されました。東峰地区住民総体の意思として、市東さん農地の強奪に反対したわけです。
 経済効果だけを最優先にしてきた成田空港は、コロナの感染拡大のなかで破産的状況に追い込まれています。滑走路は駐機場となり、空港内に人はほとんどおらず、空港関連労働者はリストラ、賃下げ、配置転換の憂き目にあっています。成田空港の存在意義が根本から揺らいでいます。それでもなお、空港会社は空港を拡張し新たな滑走路を造ろうとしている。そして空港「完成」のため市東さんの農地を奪おうとしている。こんなことは絶対に許してはなりません。
 成田空港建設のために多くの農地がコンクリートの下に埋もれてしまいました。また、地域の共同体・人と人の繋がりがズタズタに破壊されてきました。そうして工事を強行してきた成田空港はいまや巨大なコンクリートの廃墟になろうとしています。これまでの右肩上がりのイメージだけで運営されてきた空港の限界が露わになっています。
 三里塚の闘いは資本主義批判の闘いです。金儲け主義、経済優先主義に対して、これからは農地と農作物や人と人の繋がりを大切にする社会にしなければならないという闘いです。大きく言えば、資本主義に対する批判とこれを乗り越える闘いです。
 今回の裁判において不当判決は許せないですが、市東さんの農地強奪を許さないために全国の仲間たち、そして地元農民・住民が声をあげてくれたことは、人々の連帯の闘いとして重要な意義があったと思います。裁判では加瀬さん、小泉さん、平野さん等が立場の違いを乗り越えて、農地の強制収用に反対する証人として出廷してくれました。また、全国から抗議の声が上げられました。
 今、三里塚に問われているのは市東さんの農地を人民が包囲して守ることだと思います。多くの闘いの現場から三里塚現地に駆けつける、または地元で抗議の声をあげる、そうした住民の闘いが権力の暴力を阻止する力です。
 執行停止の仮決定は勝ち取りましたが、本年三月末日までの期限付きです。また、上告したので最高裁判決がいつ出るかわからない状況になります。しかし、今回の高裁控訴審での闘いでできた中身を根拠にして闘っていきます。
 本年も皆さんの協力とご支援をお願いします。二〇二一年、空港廃港に向けてともに闘っていきましょう!