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                                                                2019年9月
資料/〈AWC韓国委員会の記者会見文〉 
米・日帝国主義の経済戦争に立ち向かい
韓・日労働者民衆の連帯を強化しよう!

  
    


 
記者会見文
 
 日本の極右安倍政権は、韓国大法院の強制徴用判決に対する報復として、韓国をホワイト国から除外した。韓国への経済報復として輸出規制措置を取ることで韓国に対して経済戦争を宣言した。これは日本帝国主義の韓国への経済侵略戦争を越えて、米国を中心とする帝国主義経済戦争の一環だ。日本は、一九六五年日韓条約当時の三億ドル無償供与で全てが解決されたと主張するが、このお金を呼び水にして日本資本は韓国を下請け化して労働者を絞り取り、より多くの利潤をさらっていった。
 地球上に存在する資本主義世界体制は、それ自体の矛盾によって周期的景気変動を起こし、恐慌的危機状況をむき出しにしている。資本主義が世界化して、第一次・第二次世界大戦という帝国主義戦争を体験したが、一九七〇年代から半世紀の間、資本主義体制の危機は持続している。二〇〇八年米国発の金融危機が鎮静化するどころか、米中貿易戦争に続く韓日経済戦争へと広がっている。
 日本はアベノミクスを通じて経済成長を企て、雇用創出による失業率の減少を主張してきたが、通貨増発によるバブル経済の弊害があらわれている。日本の労働者民衆の生活は、さらに悪化している。一方、安倍政権は、歴代政権でも最悪の労働弾圧を行っている。韓国との経済戦争宣言で、韓国に対する民族排外主義とヘイト主義を呼び起こしている。
 ろうそく抗争で誕生した文在寅(ムンジェイン)政府は、労働の尊重と所得主導の成長を掲げたが、内的・外的要因によって成長率が鈍化するや、資本に対する規制緩和と労働条件改悪を試みている。最低賃金削減法の成立と一万ウォン公約破棄、公共部門での非正規職ゼロ公約の破棄、ILO条約批准の約束破棄、弾力労働制の拡大を試みている。日本の経済報復を理由として労働時間延長など、IMF通貨危機の当時のように労働者に苦痛をおしつけようとしている。
 二〇一五年に戦争法を成立させた日本の極右安倍政権は、平和憲法九条改悪を通じて軍国主義化の道に進もうとしている。先日の参院選で三分の二の議席数に達せず改憲の試みはひとまず失敗に終わったが、日本を「戦争できる国」にするという日本極右主義者(特に「日本会議」グループ)の野望は決して消えないだろう。このような雰囲気を作るために韓国との緊張を作り出し、すでに衆議院で三分の二を確保している政権与党は、野党を説得して参議院でも三分二以上を占めて憲法九条改悪を試みようとするだろう。
 日本は米国との日米同盟で結束している。韓国は米国との韓米同盟を強調しているが、米国の立場では米日同盟の下位の概念である韓米パートナーシップ程度だと考えている。日米同盟は軍事外交同盟だけでなく経済同盟を含んでいる。したがって今回の日本の韓国に対する経済報復が米国の暗黙の同意の下に進められたという疑いを消すことはできない。
 米国は中国との貿易戦争を通して、中国が米国に先んじることができないようにするという意図を露骨に表わした。米国は韓米日同盟関係において、その序列を明確に決めている。東北アジアで朝・中・ロを牽制し包囲する韓米日同盟を強化するが、米国の下位に日本があり、日本の下位に韓国がある関係だ。米日帝国主義の東北アジア戦略だと見ることができる。米国は東アジアで中国を牽制するために日本の軍事力増強を必要としている。一方、南北交流の進展により韓国が韓米日同盟から離脱することを嫌がっている。
 米国は日本の韓国への経済報復に対して、仲裁ではなく中立的位置で見守っている。韓米日同盟からだけは抜け出さない線で管理している。それと共に韓国に対する防衛費分担金の画期的増額を要求している。駐韓米軍駐留費を越えて、米国の戦略資産の移動や全世界帝国主義戦争の費用まで負担させようとしている。朝鮮半島非核化のための朝米交渉を進めながらも、米国とロシア間の中距離核戦力条約(INF)を破棄し、韓国と日本にミサイルを追加配備することを明らかにしている。イランとの核協約破棄の後、ホルムズ海峡に韓国軍派兵を要請するなど中東戦争に韓国を引き込むことによって韓国を韓米同盟から抜け出せないよう強制している。
 韓日軍事情報保護協定と関連して日本は破棄しないと言い、米国が破棄を望まないということもまた、北東アジアの新冷戦秩序の下で、韓米日同盟下で、経済的序列化構造を固定化させるという意図を明確にしている。文在寅政府もまた、朴槿恵(パククネ)政権末期に締結した韓日軍事情報保護協定を維持してきた。やはり同じ時期に配備されたTHAADをそのまま維持しているように、韓米日同盟の構造は変わることがない。
 日本の韓国に対する経済報復は、米日帝国主義の経済戦争であり、本質的には資本主義階級戦争だ。それがたとえ国家間・民族間の対立や戦争と表現されるとしても、帝国主義勢力や支配勢力の権力やヘゲモニー闘争に動員されるのは労働者民衆だ。安倍政権は、韓国の正面対応に対抗して日本の労働者民衆を総動員している。文在寅政府もまた、日本の経済報復に対抗して、韓国の財閥経済体制を全面的に革新するのではなく、財閥を前面に出して労働者に犠牲を強要するやり方で経済戦争を繰り広げている。
 両国の支配勢力は、今回の経済戦争の費用や物資に充てるために労働者民衆に苦痛に耐えることを要求するだろう。そして戦争の成果物は自分たちの体制や権力を維持強化するのに使うだろう。日米同盟の利害関係の中で進められる日本の安倍政権の韓国への経済報復は、米日帝国主義と恐慌的危機状況に陥った新自由主義的金融資本主義の労働者民衆に対する収奪と搾取につながる。よって韓国と日本の労働者民衆は、米日帝国主義経済戦争に反対し、連帯を強化していかなければならない。

                   二〇一九年八月一五日(木)