ホームへ
                                                                2021年1月
2020岩国行動―岩国国際連帯集会基調報告 
  
    


 
 今年二〇二〇年は、岩国基地が出撃拠点となった朝鮮戦争から七〇年です。また岩国基地の新滑走路運用開始から一〇年が経ちました。他方、毎月一の付く日の「愛宕山見守りの集い」が始まって一〇年、岩国住民が「米軍再編−厚木からの艦載機移転」に圧倒的なNO!を突きつけた岩国住民投票から一五年目に入り、その年から開始して毎年行ってきた岩国国際連帯集会(岩国行動)も今年で一五回目を迎えます。重要な節目の年に、コロナ禍の困難な時期ですが、私たちはこうして岩国現地に集まりました。

 ●朝鮮戦争七〇年、日米軍事同盟を破棄し、侵略戦争拠点=米軍基地を撤去しよう!

 岩国住民闘争の勝利に連帯すべく開始した岩国行動の中で、私たちは岩国基地の歴史を学びながら岩国行動を積み上げてきました。朝鮮戦争七〇年にあたる二〇二〇年の岩国行動に取り組むにあたって決して忘れてはならないことは、朝鮮戦争の原因が日本の朝鮮半島植民地支配にあったということです。その延長線上に、沖縄の嘉手納や板付・岩国・横田をはじめとした米軍基地が出撃拠点となって、朝鮮半島に爆撃の嵐が吹き荒れました。朝鮮戦争期間に岩国基地は大きく拡大され、朝鮮戦争での岩国基地の役割は、その後のベトナム戦争や湾岸戦争などへも引き継がれました。とくにその時期の岩国市民、女性がこうむった米軍犯罪被害はすさまじいものでした。侵略戦争のための岩国基地は、米軍再編によって二〇一八年米軍厚木基地から空母艦載機六二機が移駐を完了し、今、東アジア最大の航空基地へと強化されています。
 朝鮮戦争は休戦状態にあり、まだ終結していません。この間、南北・在外の朝鮮民衆が主導して停戦協定を平和協定へと転換するため、また自主的平和統一のために大きな前進がかちとられました。しかし日米安保条約と在日米軍基地、そして自衛隊の海外派兵を拡大し続ける日本政府が、その前進を妨害しています。今年八月には朝鮮民主主義人民共和国の体制転覆をめざす米韓合同軍事演習が再開され、日韓で共同抗議行動も闘いました。また日米合同軍事演習「キーン・ソード」が一〇月末から一一月初めまで、日本全土で四万六千人という大規模で実施されています。
 日本政府は、日本軍性奴隷制問題や徴用工問題をめぐり、民族差別に基づく排外主義を煽ることで、朝鮮半島への敵視政策を正当化しようとしています。日本の状況は、BLM運動の中で植民地支配の歴史の見直しが始まっているのとは真逆です。共和国敵視政策と闘い、在日朝鮮人・韓国人や朝鮮半島の民衆と連帯し、地元である岩国からこのような状況に反撃することで、朝鮮半島やアジア地域の平和を必ず実現することができます。

 ●岩国基地の新滑走路運用開始一〇年、増大する軍用機の爆音による生活破壊を許すな!

 さらに、今年は岩国基地の埋め立てが完了して新滑走路の運用が開始されてから一〇年になります。その前年には、埋め立て土砂採取のために崩された愛宕山開発跡地を米軍住宅に転用する案が国側から出されます。住民たちは5万人署名を呼びかけ、闘いつづけるために、翌年から愛宕山見守りの集いを開始します。今年は、愛宕山見守りの集いの開始から10年を迎えた年でもあります。ふりかえれば、岩国住民は、国の全体重をかけた岩国基地強化(米軍再編)と正面から向き合って、愛宕山見守りの集いを闘い抜いてきたことになります。岩国を運用拠点としたオスプレイの配備に対して、岩国と木更津を結ぶ抗議行動、岩国と山口県各地、広島の市民による岩国基地の戦闘機の監視抗議行動などが闘われてきました。また基地容認政策をとり続ける福田市長の沖縄公費出張問題を追及する裁判闘争では、岩国市政の本質や、安倍政権のもとで岩国住民に諦めを強いてきた支配の構造が明らかになるでしょう。
 追加配備により岩国にF35Bが二部隊配備となるなどアジアの軍拡競争を進め、東アジアの平和を破壊しています。激化する戦闘機の騒音と急増する米軍機の墜落事故の上に、今年はコロナ禍によって、ここ岩国でも基地を抱える町の矛盾がいっそう深まっています。在沖米軍内の感染拡大を見ても、日本の検疫法の適用を受けずにフリーパスで動き回る米軍は、新型コロナ感染拡大の一つの大きな要因です。さらに岩国では米軍への感染拡大を防止するために基地労働者の子供たちの教育の権利を奪う事態まで発生しています。米軍の特権的地位を許している日米地位協定の抜本改定こそ必要です。

 ●イージス・アショア配備の白紙撤回を沖縄辺野古新基地建設撤回につなげよう!
    岩国基地を撤去させよう!


 毎年の岩国行動を通じて、私たちは全国の反基地運動の実践的な相互連帯を追求してきました。岩国と沖縄辺野古、横田、神奈川、京丹後、佐世保の米軍基地、築城自衛隊基地に反対する人々が「反基地交流集会」で率直な討論をしてきました。中でも二〇一七年末に浮上した山口・秋田への配備問題は重要課題として連帯して闘いました。配備反対闘争にとって、韓国星州ソソン里のサード反対運動との交流・連帯も互いに大きな刺激・激励になりました。地元自治体と住民の地域の自立に立脚した粘り強い反対の前に、問題点が噴出して六月ついに白紙撤回されました。政府・米軍側は、米軍を軸としたミサイル防衛システムの破たんを、あたかも支配階級内の何らかの調整や別の兵器への切り替えという代替策で乗り越えられるかのように装っていますが、決してそうではありません。配備反対闘争での勝利は、Xバンドレーダー基地の撤去に、さらに、実現不可能な新基地建設計画であることが暴露されている沖縄辺野古での新基地建設の白紙撤回へとつなげなくてはなりません。そして岩国住民が、「戦争のための道具」、「負の遺産」と批判する岩国米軍基地を撤去させ、奪われた土地や故郷を取り戻す日を実現しましょう。

 ●敵基地攻撃能力保有は先制攻撃だ!
   戦争する国づくりを引き継ぐ菅政権と対決しよう!


 安倍首相は辞任しましたが、その継承を掲げる菅政権が発足しても、日米軍事同盟の強化、自衛隊海外派兵、憲法九条改悪という戦争をする国づくりの路線は何も変わっていません。医療や福祉や教育予算を削って、莫大な軍事費を使って東アジアの緊張を高める日本政府は許されません。なかでも配備白紙撤回を余儀なくされた政府-自民党が、「迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのか」「このさい日本も独自の敵基地攻撃能力を保持すべき」として敵基地攻撃能力の保有を云々する主張をすることなどはもってのほかです。何と言い換えようと敵基地攻撃能力とは先制攻撃そのものであり、そのような能力を保持することが抑止力となるとか、核兵器禁止条約に参加せずに「核の廃絶という最終目標は同じ」と言い放つような欺瞞を絶対に許してはなりません。また、トランプ以降、バイデン政権下でも強化される日米軍事同盟と闘っていかねばなりません。
 この場に集った人々、参加はできなかったが岩国との連帯に心を寄せる全国の仲間の力を集めて、2020岩国行動を成功させ、国際連帯の力で、アジアからすべての米軍基地を撤去させる闘いの前進を闘い取っていきましょう!