八月三一日、省議決定の上公表された二〇二二年度防衛予算概算要求は、額面上は昨年公表の概算要求額を一〇〇〇億円以上下回るものとなった。例年通り米軍再編関連とSACO関連に加え、F15戦闘機の能力向上関連もが金額を示さない「事項要求」とされていることを差し引いても、冒頭の「考え方」に明記された「各種事業の実施をより一層加速し、防衛力を大幅に強化」と明らかに矛盾する金額である。同じく「考え方」に例年明記されてきた「中期防の○年度目として」が削除されたことと相まって、中国の軍拡路線を格好の口実として、「中期防」のみならず「防衛大綱」をも前倒しでの見直しを強行し、新規の軍事項目を新設して軍事予算の大幅な積み増しを行う意図が明らかである。現に、岸防衛相、菅首相ともに防衛費は「GDP1%枠にこだわらない」と公然と発言している。平和憲法の下での防衛の基本を一方的に破壊する、額面上の姑息な数字操作は許されるものではない。
さらに、これまた表面上は現れない「新規後年度負担」は過去最高額となり、その積算額はついに予算本体を上回るものとなった。「新領域」「ゲーム・チェンジャー」などと主権者の目を欺く空疎な用語を弄しつつ、無意味な高額兵器の「爆買い」を常態化し、そのツケを長期にわたって納税者に押しつける厚顔無恥な防衛省の体質も、ここに強く指弾せざるを得ない。
その中味を象徴するのが、引き続くヘリ空母「いずも」「かが」の空母化費用六七億円に、米軍からの技術支援経費一二億円が含まれていることである。岸防衛相、バーガー米海兵隊総司令官ともに、本年度内に「いずも」での米軍のF35B発着訓練を行う旨発表している。「これまでにない速度で厳しさを増す安全保障環境」などという常套句の裏で、菅・バイデン共同声明に露わになった日米軍事一体化をさらに推進する予算にほかならない。
バイデン政権下で、「第一列島線に沿った精密打撃ネットワーク」すなわち地上配備型中距離ミサイル網を構築する巨額な予算が六年計画で執行されようとしている。そうした中、本概算要求でも、石垣島の陸自地対艦ミサイル部隊の整備に一一〇億円、沖縄本島にも同様のミサイル部隊を配備し、奄美、本島、宮古、石垣のミサイル部隊を統括する「連隊本部」も設置する予算も計上されている。ここには、まさしく日米の対中国ミサイル包囲網が一体となって運用される見取り図が浮かび上がってくるのである。年内に開かれる2+2では「日米ガイドライン」の改訂が俎上に上がる可能性が高く、上述の「防衛大綱」「中期防」の前倒し見直しと平仄を一にしている。
私たち「大軍拡と基地強化にNO!アクション2021」は、徒に軍事力を強化し、日米同盟、中国封じこめなる虚妄に固執する我が国の安全保障政策のあり方に強く抗議する。平和憲法に則り、あくまでも対話と共生による東アジアの平和を希求する。
今回の防衛省概算要求の抜本的見直しをここに求めるものである。 二〇二一年九月二一日
大軍拡と基地強化にNO! アクション2021
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