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                                                                               2010年3月28日
■共同アピール   

民族差別・外国人排斥に反対し、多民族共生社会をつくりだそう

朝鮮学校への攻撃をゆるさない!
   

      
 昨年十二月四日午後、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などが京都朝鮮第一初級学校に対して、学校前の児童公園を「不法占拠」していると言いがかりをつけ、門前におしかけました。この公園は、校庭のない朝鮮学校が管理者である京都市や周辺の住民と相談しつつ、五十年以上にわたって朝礼や体育の授業・運動会などに使わせてもらってきたものです。「不法占拠」というのは、まったくの言いがかりであり、朝鮮学校を攻撃するための口実に過ぎませんでした。彼らは、公園にあった学校の備品を暴力的に撤去・破壊し、学校の門前から大音量のマイクを使って、「こんなものは学校ではない」「スパイ養成学校だ」「キムチくさい」「朝鮮人を日本からたたきだせ」などあらんかぎりの罵声をあびせかけました。そして、力づくで学校におし入ろうとまでしたのです。このとき、学校では多くの子どもたちが交流会や勉強をしていました。とつぜん悪意に満ちた暴言をあびせかけられ、学校を襲われた子どもたちの恐怖と屈辱は、想像にあまりあります。彼らは、さらに一月十四日にも学校前の公園で集会をおこない、朝鮮学校にデモをしかけようとしました。
 朝鮮人であるということだけで、なぜこのような攻撃を受けねばならないのでしょうか。子どもたちが、民族教育によって朝鮮の歴史と言語・文化を学び、朝鮮民族の一員として胸を張って生きようとすることが、なぜ許されないのでしょうか。在日朝鮮人への民族差別と外国人排斥の立場から、朝鮮学校を攻撃することなど、絶対に認めることはできません。朝鮮学校を暴力的に襲撃することなど、決して許されることではありません。
 「在特会」などはこの間、「不逞鮮人をたたきだせ」などと叫んで、全国各地で在日朝鮮人を目の敵としてさまざまな攻撃をくり返してきました。その攻撃の対象は、在日朝鮮人だけではなく、中国人・フィリピン人などにまで及んでいます。また、元日本軍「慰安婦」への謝罪と補償を求める日本人の取り組みなどに対しても、妨害や攻撃をくり返してきました。日本社会においては、いまなおかつての朝鮮植民地支配を正当化する動きや在日朝鮮人への民族差別が存在しています。「在特会」などは、このような日本社会の土壌のなかから生み出され、それを肥やしとして成長してきました。
 私たちは、このような民族差別・外国人排斥に反対し、真の多民族共生社会をつくりだしていくことを呼びかけます。在日・滞日外国人は、それぞれが独自の民族性や文化をもっています。すべての在日・滞日外国人がその民族性や文化を尊重され、ともに生きていくことができる多民族共生社会をつくりだしていくために力をあわせましょう。それはまた、一人ひとりの個性と尊厳が尊重された、日本人にとっても生きやすい社会をつくりだすことでもあります。

                                     二〇一〇年三月二十八日

 
  【呼びかけ人】(二月十四日現在)

 浅野健一(同志社大学教員) 千葉宣義(日本キリスト教団八幡ぶどうの木教会) 大谷心基(バプテスト京都教会) 塚本誠一(弁護士・元京都弁護士会会長) 小笠原伸児(弁護士) 仲尾宏(朝鮮学校を支える会・京滋) 勝村誠(「韓国併合」100年市民ネットワーク) 本田克巳(朝鮮の自主的平和統一を支持する京都委員会) 黒木順子(京都YWCA) 駒込武(京都大学教員) 水野直樹(京都大学教員) 白井美喜子(I女性会議・京都) 宮城泰年(本山修験宗管長) 末本雛子(日朝友好促進京都婦人会議) 山根実紀(フェイスプロジェクト) 瀧川順朗(にっこりネット)