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                                                                   2011年5月1日

フィリピン・KMUからのメーデー連帯メッセージ

   フィリピンのKMU(5月1日労働運動センター)が京都のメーデー集会に
  あてた連帯メッセージを掲載します


      
  ●連帯メッセージ



 ユニオンネットワーク京都の仲間のみなさん、そして福島地方をおそった三重の災害のただなかで、いのちと暮らしを守るためにたたかいつづける日本人民に対して、心からの連帯のあいさつを送ります。
 被災地を支援する労働者のみなさんに対し敬意を表します。真に戦闘的な労働組合が、お金や食料・衣服・日用品を集め、それらを被災地域に送るなどの救援活動を行っていることを私たちは高く評価します。労働組合はまた、解雇された労働者への労働相談を行ない、日本政府が労働者を保護するよう要求してきました。それらの組合は、労働者だけではなく、日本の民衆との団結を体現してきました。
 とくに私たちは、これ以上の放射能漏れや汚染を防ぐために、福島原発においてきわめて危険な状況のもとで勇敢に働きつづけている労働者たちをすばらしい人たちだと思います。
 私たちは深い悲しみをもって、最愛の人たちを失った人たちにお悔やみを申し上げます。
 集団的活動で発揮されるプロレタリア的精神をもって、日本の労働者・民衆は、地震、津波そして福島原発での放射能漏れという三重の災害にうち勝っていくでしょう。
 こうした三重の災害は、自然災害の被害に立ち向かうためには実に多くの労力が必要であることを、世界中の人々に知らせました。しかしそれより以上に強まっているのは、この恐ろしい災害がどれくらい人為的なものなのかという点についての人々の関心です。具体的に言えば、それらの災害は、帝国主義的な企業と、それを支える政府の拝金主義がもたらしたものなのです。
 帝国主義の強欲が非難されるべきなのは、次の二つの危険性が存在しているからです。ひとつは、原発が民衆の安全を脅かしているということです。ふたつは、賃金と福祉の削減、大規模な支出削減などによって、民衆の生活が脅かされているということです。

 核に反対する!

 人々の安全は、莫大な利益を生み出すことの前にはまったく価値のないものとされています。核技術は莫大な利益を生み出すので、原発や核兵器は製造されつづけ、帝国主義政府は都合のよい核政策を打ち出します。
 バラク・オバマの政府はまさにそういう政府です。この米国の大統領は、選挙キャンペーンの期間中においてさえ、原子力は米国のエネルギー計画の一部であるべきだと主張していました。彼は、原子力の使用、核廃棄物の貯蔵について安全なやり方を要求してはいますが、それは核技術がもたらしている結果に対する民衆の注意や潜在的な怒りをそらすための帝国主義的なプロパガンダにすぎません。民衆によって所有され管理下におかれないなら、どんな技術も安全性は保証されません。これが真実です。

 米日の軍事的策動に反対!

 あなたたちは、米日の政府が今回のいわゆる救援活動において、米軍を動員しながら軍事的な策動を企図していることに反対していますが、私たちはこれに賛同します。米軍は「トモダチ作戦」なるものを使って他国への干渉を正当化しようとしています。フィリピンでも米国は、米軍の駐留に反対する抵抗闘争が強力にたたかわれている地域に入り込んでいくための隠れ蓑として、いわゆる救援・復興活動のための「バリカタン(肩と肩を組んで)」なる作戦を使っています。実のところ、米政府の人道的活動とは、帝国主義的権益を防衛する目的で外国の領土に侵入しようとする自国軍隊の秘密活動にほかなりません。
 日本政府が現在の三重の災害を利用して、民衆に復興税を強制し、福祉予算を削減し、そして他方では、在日米軍に巨額の軍事予算と財政支援を注ぎつづけていることは恥ずべきことです。私たちは、こうした悪どい計画を暴露し、これに反対し、政府が被災地の人々を保護しその生活を保障するよう、強力に働きかけねばなりません。

 賃金カットと大規模な一時帰休に反対する!

 日本の労働者、そして在外日本企業のすべての労働者たちは、こうした自然災害・原発災害に関連して行なわれる労働者の権利に対する隠然たる攻撃への備えを強化しなければなりません。資本家は、三重の災害の被害を口実にして、コスト削減の手段を使うために現在の状況を利用しようとしています。
 フィリピンでは、日本から部品を調達している自動車や電機産業の労働者の状況が深刻になっています。会社が計画的休業を強行した結果、非正規雇用労働者や契約労働者たちは強制的な休暇や一時帰休を強いられています。たとえばフィリピン・ホンダやフィリピン・トヨタでは、生産の削減が行なわれています。フォード・グループ・フィリピンでも、5月までの18日間、生産停止が実施されることになっています。自動車部品供給会社のEMI−ヤザキ、ホンダ部品製造会社、Fテック、インターナショナル・ワイヤーリング・システムもまた強制的な休暇を実施しています。この場合、賃金はカットされているか支払われていません。労働者は生産低下がしだいに雇用の削減につながっていくのではないかと心配しています。中部ルソン地域のインターナショナル・ワイヤーリング・システム、南タガログ地域のフィリピナス・キョウリツでは、労働者の一時帰休を実施すると言われています。
 このような時期、日本の労働者と在外日本企業で働くすべての労働者には、警戒心と団結を強めることがもっとも重要になっています。
 私たちは、労働者の権利を保護する公式協議もなしに実施される生産削減や一時帰休のねらいを暴露し、これに反対する闘争なかで、正規・非正規雇用労働者の団結を強化していかねばなりません。賃金交渉をするのは三重の災害のあとでは早すぎるという考えや、そうした問題を反労働者的な政府と御用組合が必ず提出してくれるだろうという考えは間違っています。いまこそ労働者が賃金交渉を進めていくべき最良の時期です。労働者のために本当に尽くしている労働組合は、とくに災害によってすでに労働者が被害を受けているような時期において、労働者が資本家の食い物にされるような状態を放置することはありません。
 会社に経営の実情を明らかにさせ、生産削減や一時帰休を実施する前に労働者との協議を行なわせるよう私たちは政府に要求しなければなりません。政府は労働者の権利を守るべきだと、声を大にして主張しましょう。
 労働者はまた自分の職場での権利についてだけでなく、民衆の問題についても討論を行なうべきです。帝国主義が大衆を攻撃しているいろいろな方法についても理解を深めていきましょう。
 会社の状況について情報を交換し合い、労働者の権利侵害に抗議する行動を組織する、そうした相互支援活動を通じて私たちは国際連帯を強化しなければなりません。
 帝国主義政府は労働者の権利や社会の安全の問題に真剣に取り組むことはありません。その反対にかれらは、帝国主義の権益を守るためには嘘もつくのです。
 いくら災害がくり返され、犠牲者がどれほど出ようとも、私たち立ち上がるまで帝国主義は労働者・民衆を搾取し迫害しつづけるでしょう。五月一日のこの日、私たちは、自らの権利をかちとった労働者の歴史的な勝利を祝うだけでなく、希望と抵抗の精神を取り戻し、私たちの闘争を新たな高みへと押し上げていくことをめざします。
 原発はいらない!
 米日の軍事策動反対!
 賃金引き下げ・一時帰休反対!
 国際連帯、万歳!