共産主義者同盟(統一委員会)






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      ■帝国主義のアフガン侵略戦争・占領の破たん
    米軍の撤退とタリバンの権力掌握が示すもの



 アフガニスタンにおける米軍の完全撤退とタリバンによる権力掌握は、「対テロ」戦争という名の帝国主義による侵略戦争・占領の破たんを鮮明に示すものである。同時にそれは、米帝の歴史的没落のすう勢をまたひとつ印象付けた。

●1章 米軍の撤退とタリバンによる権力掌握

 米軍の撤退期限が近づく中、アフガニスタンの各州都を次々と制圧してきたタリバンは、八月一五日、アフガニスタンの首都カブールを包囲した。ガニ大統領はただちに国外に逃亡し、政府軍による目立った抵抗もないまま、米帝に支援されたガニ政権は瞬時に崩壊した。
 国外に避難しようとする人々が空港に殺到するなど混乱が続き、欧州各国の帝国主義政府などからは、米軍の撤退期限の延長を求める声も上がった。しかし、米大統領バイデンは「アフガン政府軍が戦おうとしない戦争で、米兵が戦って死ぬべきではない」といったことを繰り返し述べ、八月三一日をもって米軍を完全に撤退させた。
 タリバンはその後、抵抗勢力の残るパンジール州を制圧し、九月三日にアフガニスタン全土の完全掌握を表明した。
 タリバンが最初に州都を制圧してから首都カブールを陥落させるまでの期間はわずか一〇日間ほどであり、情勢はきわめてドラスティックに展開した。

●2章 「対テロ」戦争の破綻と人民の犠牲

 このかんの事態は何よりも、「対テロ」戦争という名の米帝を先頭とした帝国主義のアフガニスタン侵略戦争と、それに続く占領政策の破たんを鮮明に示している。
 二〇〇一年九月一一日に起こった米貿易センタービルや米国防総省への同時攻撃を受けて、当時の米帝ブッシュ政権は、それに対する「報復」を掲げ、この事件の実行主体ではない当時のタリバン政権を標的にしてアフガニスタン侵略戦争を発動した。英帝、仏帝などNATОを構成する欧州諸国も参戦した。日帝―小泉政権(当時)もまた、自衛隊の艦船をアラビア海に派兵して米欧帝国主義の侵略戦争・占領に荷担した。
 それから二〇年後、タリバンが再びアフガニスタン全土を掌握する状況を目にしつつ、米軍・NATО軍はアフガニスタンから撤退するに至った。
 米ブラウン大学の「コスト・オブ・ウォー」プロジェクトの報告によれば、米国はこの二〇年間でアフガニスタン(とパキスタン)での「対テロ」戦争のために総額二・三兆ドル(約二五〇兆円)、一日あたり三億ドル(約三三〇億円)を浪費した。それは、帝国主義の侵略戦争・占領の破たん性、その無意味さを物語る指標のひとつである。
 しかしより重大なことは、この帝国主義のアフガニスタン侵略戦争・占領が、たんに無意味なだけでなく、人民の命を含む膨大な犠牲をもたらしてきたという現実である。
 アフガニスタンにおける二〇年間の「対テロ」戦争の中で、米軍・NATО軍による空爆やアフガニスタン政府軍による攻撃によって、数万人の民間人の命が奪われてきた。負傷者やタリバンをはじめ対抗する武装勢力の死者を加えればさらに多くの人々が帝国主義による侵略戦争・占領の犠牲となってきた。米軍による病院や学校への空爆の事例もある。
 このような現実は、アフガニスタン人民の占領軍に対する怒り、反米感情を、年を追うごとに拡大させた。また、帝国主義に支援された政府関係者や軍閥の腐敗は、人民からの指弾の対象であり続けた。ガニ大統領が自ら率先して逃亡したのと同様に、米軍に育成され、莫大な兵器を供給されてきたアフガン政府軍もまた自らの戦うべき大義を持っていなかった。これらを背景にして、タリバンは全面攻勢を開始してから実に短期間のうちにアフガニスタン全土を制圧・掌握することに成功した。

●3章 歴史的没落の道を歩むアメリカ帝国主義

 バイデンは八月末の米軍のアフガニスタンからの完全撤退に際して、「米国史上最長の戦争を終わらせた」と自らの判断の正当性をあらためて誇示した。しかし現実にはそれは、米帝が膨大な人民の犠牲をともなう「米国史上最長の戦争」を継続してきたあげく、タリバンなどの武装勢力をはじめ人民の抵抗の前に最終的にアフガニスタン侵略戦争に敗北した、ということを意味している。米帝はかつてのベトナム侵略反革命戦争の敗北、およびアフガニスタンの歴史から何ひとつ教訓を学ぶことができなかった。
 しばしばメディアで引き合いに出されている当時のサイゴン陥落―ベトナム解放革命戦争の勝利は、第二次大戦を前後して世界第一の帝国主義国に成り上がった米帝の歴史的没落の始まりを告げるものだった。いま現実のものになったアフガニスタン侵略戦争における米帝の敗北は、このかん進んできたこの歴史的すう勢をあらためて強く印象づけ、さらに加速させるものとなる。
 米帝―バイデン政権はアフガニスタンから撤退することで、その軍事力を中国への軍事的包囲網の強化に振り向けようとしている。他方、中国はタリバン政権への接近を図り、「一帯一路」構想を背景に、アフガニスタンへの影響力を強めようとしている。ロシアもまた米軍の撤退を見越してタリバンとの関係を強化してきた。米軍のアフガニスタンからの撤退によって、「米中対立」はさらに加速し、国際的な「大国間競争」はいっそう加速しようとしている。
 アフガニスタンは歴史的に諸大国による「グレート・ゲーム」と呼ばれる覇権争いの舞台となってきた。しかし、一九世紀以降の英国、ソ連、米国など、アフガニスタンに駐留した外国軍はすべてが人民の抵抗に直面し最後的に撤退を強制されている。いかなる国にせよ、アフガニスタン人民を支配し隷属させようという試みは失敗に終わるだろう。

●4章 タリバンを批判する帝国主義の欺瞞

 アフガニスタン全土を掌握したタリバン指導部の言動は、確かにかつてとは異なるところが見られる。それはかつての教訓を踏まえて、タリバン主導の政権への諸外国からの承認を取り付けるためだと思われる。同時に、タリバン指導部は「民主主義制度は導入しない」と明言している。この点についてわれわれは、それをブルジョア民主主義の尺度では価値判断しない。ブルジョア民主主義の欺まんと限界は明らかだからである。問題なのは人民の自己決定権とその行使が真に尊重されるのかどうかということである。それができなければ、タリバン政権は、帝国主義の軍事力によってではなく、人民の抵抗によって打倒されることになるだろう。
 それは、いま日本を含む帝国主義とブルジョア・メディアが盛んにキャンペーンしている「女性の権利」をめぐる問題においても同様である。われわれは当然にも女性と女性の権利の抑圧の一切に反対する。ただここで指摘しておくべきは、この問題をめぐる帝国主義の態度の欺まん性である。例えば米帝は、女性の権利を厳しく制限しているサウジアラビア政府などを支援し続けてきた。米帝にとっては、「女性の権利」ではなく、その政府が親米か否かが問題なのである。また、日本政府が女性差別の撤廃に積極的なのか否かを考えてみれば、その欺まんはおのずと明らかになるだろう。

●5章 侵略戦争・占領への日帝の荷担弾劾

 米帝を先頭にしたアフガニスタン侵略戦争の発動を受けて、日帝―小泉政権(当時)はただちに「テロ対策特措法」を成立させ、二〇〇一年一一月には米軍などへの海上給油活動のために自衛隊の艦船をアラビア海に派兵した(〇七年一〇月まで)。日帝はまた、政府開発援助など総額七〇〇〇億円を腐敗したアフガニスタン政府に向けて拠出している。いま帝国主義によるアフガニスタン侵略戦争・占領の最後的な破たんが明らかになるなかで、このような日帝の侵略戦争・占領への荷担があらためて問われなければならない。
 日帝はまた、今次のタリバンによる権力掌握に際して、現地に残る邦人および日本大使館やJICA(国際協力機構)で働くアフガニスタン人スタッフとその家族の退避に向け、自衛隊法八四条の四(「在外邦人の輸送等」)を根拠に、アフガニスタンに自衛隊輸送機を派兵した。政府は数百人の輸送を想定していたが、法制度上の制約もあり実際には計一五人ほどをアフガニスタン国外に輸送しただけで軍事作戦としては失敗した。しかし、それを口実に自衛隊法の改悪、自衛隊の海外派兵体制の拡大につながる議論が支配階級の中で起こり始めている。われわれはこのような動きに断固として反対して闘っていかなくてはならない。

 



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