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■10・14安保理「北朝鮮制裁決議」弾劾!/米日帝の朝鮮侵略戦争策動を粉砕しよう!

 きわめて重大な局面がやってきた。帝国主義は朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国と略す)にたいする政治的・軍事的包囲を飛躍的に強化し、先制攻撃をも辞さず、あわよくば共和国の体制転覆(レジューム・チェンジ)をはかろうとしている。帝国主義による朝鮮侵略戦争策動が具体化し始めた。この先頭に立っているのが米帝ブッシュ政権であり、そしてこれに追随しつつ独自の軍事大国化の道をつき進む日帝・安倍政権である。安倍新政権のもとで進行する排外主義扇動、朝鮮侵略戦争攻撃にたいして、日本の労働者階級人民はいまこそ全力をあげて立ち向かわねばならない。

●米日主導下で国連安保理・制裁決議採択を強行

 さる十月十四日、共和国の核実験発表を受けて、国連安全保障理事会は対共和国制裁決議一七一八を採択した。十月九日の核実験発表いらい六日目の出来事であった。この安保理決議は、共和国による「核実験実施宣言」が「国際平和と安全への明確な脅威」であるとして、「国連憲章第七章に基づき行動し、第四十一条のもとに以下の措置をとる」としている。すなわち共和国にたいして、「すべての核兵器と実存する核開発計画」「実存するすべての大量破壊兵器、弾道ミサイル計画を」「完全かつ検証可能で、逆戻りできない形で廃棄」することを義務づけ、同時に国連加盟国にたいしては、戦車、戦闘機、核・ミサイル関連物資などの共和国への輸出禁止、共和国の大量破壊兵器開発に関与した個人・団体の資産凍結と関係者の入国・通過禁止、さらに「必要であれば北朝鮮に出入りする貨物の検査を含む協調行動」などを呼びかけた。一見して厳しい内容の制裁である。このような措置が安保理十五ヵ国の全会一致で、異例のスピードをもって決定されたというのはまさに恐るべき事態である。安保理は帝国主義大国の道具にすぎないということを、今回の事態は全世界にあらためて教えることになった。共和国とは盟友関係にあることを自認してきた中国は、米日などの制裁案に一定の抵抗を示しながらも、基本的にこれを受け入れた。

 われわれは、今回の安保理決議の内容に全面的に反対する。共和国が核実験をおこなったかどうかすら確証されていない段階で制裁決議を採択したことは、まさに大国の暴挙である。たとえ実際に実験がおこなわれていたとしても、現在の安保理にこれを非難する資格などない。安保理常任理事国(米、英、仏、露、中)は現在までに合計二千回を越える核実験をおこない、他の国々の核保有を抑止・禁止しながら、核独占体制を形成してきた。そのような国々が、「国際社会」の名をもって一方的に共和国の核実験発表を非難するのは笑止千万である。とりわけ現在もなお一万発をこえる核弾頭を保有する超核大国・米国に、共和国を非難する権利などいっさいない。米国は一九九六年までに千三十回もの核実験をくり返し、九七年以降は通算二十三回の未臨界核実験を強行してきた。二十三回目の未臨界核実験は、本年八月三十日にネバダ州でおこなわれたばかりである。加えて米国は、初めて核爆弾を実戦に使用した国でもある。広島・長崎での核爆弾の投下・大量虐殺を一片たりとも反省せずに正当化してきた米帝は、戦後においても朝鮮戦争、キューバ危機、ベトナム戦争などで、危機におちいるたびに核のボタンを押そうとしつづけてきた。最近では米帝は、「より使いやすい」小型核爆弾の開発を進め、イラクにおける二度の戦争にあっては、大量の劣化ウラン弾を使用して放射性物質をまき散らし、はかりしれないほど大きな被害を住民に与えつづけてきた。このような国の核兵器こそが「国際平和」にとっては最大の脅威である。いまだ保有も定かでない小国家・共和国の核実験こそがもっとも危険視されねばならないなどと、どうして言えるのか。

 ましてや、核実験発表をもって共和国に懲罰的な制裁を加える決議をあげるなどは言語道断である。今回の共和国の核実験発表には、米国との直接対話・交渉を引き出すという政治的目的が込められていた。これは多くの論者に共通するごく常識的な見方である。であるとするならば「国際社会」は、米国にこそ圧力をかけるべきなのだ。米国に圧力をかけて、米朝間の交渉を再開させるよう努めるべきなのだ。実験発表以前に、共和国が「核兵器計画放棄」への補償案として米国に求めていたのは、@敵視政策の撤回A経済制裁とテロ支援国家指定の解除Bエネルギー支援であり、それ自体きわめて控え目な要求であった。これらを米国が認めさえすれば、問題の解決をはかっていくことは可能だったのだ。だが米国はこれらをことごとく拒絶し、共和国が核保有宣言をおこなわざるをえないように意図的に追い込んできたのである。今回の安保理決議の真のねらいは、共和国をいっそう国際的に孤立させ、経済的・政治的なしめつけを一段と強化し、船舶検査などによって「合法的に」軍事挑発・戦争挑発を可能にしようとする点にある。そして、その次のオプションとして、軍事侵攻によって金正日体制を全面転覆するという道も当然考えられている。まさにこれらは、米帝がイラク戦争発動にさいして使った手口と同様である。

●独自の反動的役割はたす日帝・安倍政権

 今回の安保理決議採択において、日帝は共同提案国の中心となり、米帝とならんで最大の牽引者的役割をはたした。「十・九核実験発表」がおこなわれると、安倍政権はこれを好機到来と受けとめ、共和国包囲の攻勢にうって出た。十月九日十五時、自民・公明は「北朝鮮の発表は国際平和に対する重大かつ深刻な挑戦」とする与党声明をただちに発表した。つづく十日・十一日には連続して衆院・参院で、「北朝鮮の核実験に抗議する決議」がそれぞれ全会一致をもって採択された。また同十一日には政府は、すべての北朝鮮籍船の入港、北朝鮮からの輸入、北朝鮮籍をもつ者の入国などを禁止する新たな制裁措置を発表し、これらの措置を強行的に実施し始めた。他方では安保理で制裁決議が採択されるのを見越して、どのような方法で船舶検査などをおこなっていくのかの検討が始まり、当面、周辺事態法(一九九九年制定)などを適用して制裁決議を実行に移していく準備が進められてきた。さらにこのなかでは、周辺事態法の「限界」がこれみよがしに指摘され、この法律のもとでは米軍への後方支援しかできない、船舶検査に強制力が持たせられない、武器の使用もきわめて制限されている、だから特別措置法を新たに制定することが必要だとする意見が意識的に強められてきている。想定されているケースのひとつは、米日を中心とする多国籍軍の艦船、武装ヘリ、哨戒機などが東海(日本海)を制圧し、共和国周辺海域を海上封鎖し、出入りする船舶を重武装した兵士が重火器を突きつけて有無を言わさず「検査」するというような、いわゆる「臨検」の実施である。またこれにともなう共和国籍船舶や共和国軍との「衝突」の発生である。だが、こうした戦争的事態を回避するのではなく、むしろ積極的にたぐり寄せていくことで、日米安保大改編や改憲などの一連の動きにはずみをつけ、「戦後レジュームからの脱却」をはかろうとするのが、現在の日帝・安倍政権のもくろみだといえる。

 さらに指摘しておくべきは、今回の事態を利用して核武装必要論が意識的にあおり立てられているということである。安保理決議翌日の十月十五日、安倍の盟友である自民党政調会長・中川はテレビ番組で、「日本が攻められないようにするために、その選択肢として核兵器の保有という議論も大いにしなければいけない」と言い放った。現時点では安倍自身は、政府として「非核三原則」を守るとの態度を示してはいるが、彼もまた明確な核武装論者である。〇二年の早大での講演会で安倍が、「自衛のための核兵器を保有することは憲法でも認められている」と公言したことは広く知られている。また、安倍の外交ブレーンといわれる中西輝政・京大教授らは本年九月、『〈日本核武装〉の論点―国家存立の危機を生きぬく道』と題した本を出版し、核武装は必要とする気運をいっきに盛り上げようとしている。核武装は日帝ブルジョアジーの長年の「悲願」である。自民党内好戦派・核武装推進勢力は現在の情勢を利用して、この日帝の野望をいっきょに具体化しようと策動している。

●翼賛体制打破、アジア人民連帯・新たな朝鮮戦争阻止へ

 「北朝鮮を制裁せよ」の怒号の高まりとともに、翼賛体制づくりが急速に進められている。十・九発表から間髪おかずに衆参両院で「抗議決議」が全会一致であげられたことはすでにふれたが、それは現在の翼賛体制化の深刻な状況を象徴している。ところが「唯一の野党」を自認してきたはずの日本共産党は、驚くべきことに、この国会決議は「国際社会の一致協力」「平和的・外交的解決」という自党の「二つの原則」が反映されたものであるとしてこれを持ち上げているのである。たしかに決議文にそのような文言は入ってはいるが、その文言の直前には「米国など関係各国と連携し国連憲章第七章に基づく措置も含め」と記述されているのだ。衆参両院決議はまぎれもなく「北朝鮮制裁宣言」である。両院決議はすばらしいものだとする日共はまた、制裁措置にも賛成している。十月十二日の記者会見において志位委員長は、「政府の追加制裁措置」への是非を問われ、「日本政府として、独自の外交的措置をとることはありうることだ」と回答し、制裁措置支持の立場を明確にした。かれらはただ、制裁が非軍事的におこなわれることだけを求めているのだ。社民党もまたこうした日共の態度と、五十歩百歩である。最大の「野党」民主党にいたっては、今回の事態にたいして「『国家的危機』という基本的スタンスで臨む」(民主党HP)との態度を示しており、これはむしろ自民党に近い。あらゆる野党勢力が、「北の脅威論」「国際社会への挑戦論」に取り込まれながら、帝国主義の政治に屈服・同調していっている。「一貫して戦争に反対してきた党」もまた、このようにして総動員体制に組み入れられ、このようにして祖国擁護派に転落していくのだ。

 われわれは共和国にたいするあらゆる制裁に反対する。それは、何よりも日本の労働者人民を排外主義・大国主義で汚染させ、朝鮮侵略戦争策動への人民動員をいっそう容易にさせるよう作用する。またそれはアジア諸国・地域の労働者人民のあいだに対立や憎しみを形成しそれを促進し、さらに統一を求めてたたかいつづけてきた南北朝鮮人民のあいだの分断の溝を深くしていく。われわれは、共和国へのあらゆる制裁反対、第二次朝鮮戦争阻止、日朝国交回復の実現をわれわれの基本的態度としてかかげる。

 同時にわれわれは共和国のいう「核実験」を容認せず、これを批判するものである。われわれはあらゆる核実験と核兵器の保有、そして原発などあらゆる核施設の存続・増設に反対する。広島・長崎への原爆投下、戦後の核軍拡競争と核実験がもたらした悲惨な事態、チェルノブイリをはじめとする終わりのない原発事故、冷戦終結以降もつづく核開発の現実をふまえ、そして何よりも被爆者解放運動をはじめとする全世界の人々の要求とたたかいに連帯して、われわれはいまこそ核廃絶の声を大にせねばならない。何よりも核大国にこそ核全廃の要求と闘争を突きつけねばならない。共和国の今回の「核実験発表」が米日をはじめとする帝国主義の抑圧・包囲によって追い込められた結果のものであり、それが防衛的なものであることは、共和国の「九・三声明」によっても明らかである。だがしかし、たとえそうであったとしても、共和国の核保有は国際プロレタリアートの団結や国際的な階級闘争を前進させていくことに役立つものではない。むしろそれをおし止めていくものである。現在のスターリン主義・一国主義の金正日体制下では、なおさらそうなるといわざるをえない。本来、社会主義者こそが核廃絶の先頭に立たねばならないのであり、その責を共和国は完全に放棄している。

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 わが共産主義者同盟は結成以来、自国帝国主義―日本帝国主義の復活とアジア再侵略の野望に警鐘を鳴らしつづけ、これとの闘争がプロレタリア国際主義の貫徹、日本帝国主義打倒の闘争にとって不可欠であることを確信し、これを徹底重視する立場に立ってきた。戦後六十余年をへて、復活した日本帝国主義は強大化し、いま、ふたたび朝鮮半島に向けてその牙をむこうとしている。ついに、日帝の侵略戦争への出動が現実のものとなろうとしている。日本労働者人民は、アジア人民の殺りく者の役割をになわされた戦前の轍をふたたび踏むことがあってはならない。いまこそ日本の人民はアジアの人民を友とし、肩をならべて帝国主義の策動に共同で反撃していかねばならない。われわれには韓国、フィリピン、台湾、インドネシア、ネパールなどアジア諸国・地域の人民と積み重ねてきた反帝国際連帯の経験がある。また、いまだささやかなものではあれ国際的な団結と闘争のネットワークが存在する。この国際連帯の経験を発展させ、国境を越えた絆をいっそう強め、第二次朝鮮戦争阻止のたたかいに断固として立ち上がろう。きたる十一月に予定される岩国国際集会の大成功をかちとることは、このたたかいにおいて大きな意義を占めている。(十月十七日・記)

 

 

 

 

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