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  ■韓国の総選挙と進歩陣営、そしてわれわれの任務




 ●1章 保守派=ブルジョア右派が圧勝した08総選挙



 二〇〇八年四月九日に韓国で第十八代国会議員選挙(一院制、任期四年、総二百九十九議席)の投票が行われ、即日開票された。その結果、保守派=ブルジョア右派が圧勝した。中道改革派=ブルジョア左派の統合民主党は惨敗し、進歩政党の民主労働党は前回と比べ議席が半減した。投票率は46%と史上最低を記録した。

 まず保守派だ。李明博(イ・ミョンバク)政権の与党であるハンナラ党が議席を選挙前の百十二から過半数の百五十三へ増やし、第一党になった。同党党内闘争の結果、公認候補からはずされた朴槿恵(パク・クネ)派議員らが作った政党「親朴連帯」が三から十四に増加。これとは別に朴派系無所属が十二人当選した(ハンナラ党内の朴派三十三人を合わせると、したがって朴槿恵派は総五十九人になる)。他に、ハンナラ党元総裁の李会昌(イ・フェチャン)率いる自由先進党はニューライトを基盤とし、対北強硬政策を主張する極右政党だが、九から十八へ議席を倍増させた。その他の保守系無所属をあわせ、保守派の総数は改憲ラインである二百を超えた。ちなみに統一教会を基盤とする平和統一家庭党は政党支持率2%未満で議席を得られなかった。

 次に、第一野党の統合民主党は百三十六から八十一に減らし、惨敗した。同党内の一勢力だった民主化運動の元闘士たちの多くが落選もしくは不出馬によって国政の場を去った。他に、環境市民団体に支持された創造韓国党が一から三へ議席を伸ばした。

 そして進歩政党は、民主労働党が政党得票率6%、五議席(地方区二、比例区三)だった。選挙前に民主労働党から分裂して結成された進歩新党は同2・9%で議席を獲得できなかった。「緑の左派」を掲げた共和主義綱領の韓国社会党も同様だった。四年前の前回総選挙では民主労働党の政党得票率は約13%で十人が当選した(分裂などにより総選挙直前は六議席)。その後、世論調査では政党支持率が20%を超えたときもあったが、それから大きく後退した。



 ●2章 資本の利益拡大掲げ登場した李明博政権


 こうした選挙結果は、今後四年間にわたって李明博ブルジョア政権の安定化をもたらすだろうといわれている。

 昨年十二月の大統領選挙で当選した李明博の政権が今年二月二十五日に発足した。しかし、この間、支持率は急落している。不正にまみれた人間を相次いで閣僚候補に立てて世論の猛反発を食らった。ハンナラ党内の総選挙候補選びでは朴槿恵派つぶしを強行して党内対立が激化。株式暴落に対しても「金融危機の始まりだ」とつぶやくだけで有効な手立てを何一つ行えないなど、金看板の経済政策を遂行する能力にも大きな疑問符がついた。その結果、発足当時70%を超えていた支持率はわずか一カ月で40―50%へ激減した。同じようにハンナラ党の政党支持率も50%以上から総選挙直前には40%を割っていた。しかし、同党への批判票の大半は投票所まで届かず、史上最低の投票率すなわち政治への不信と無関心の深刻化として表現された。その結果、保守派が圧勝した。韓国の国会に解散はない。そのため、議会内の勢力図に今後四年間、変化はないであろうということは確かだ。

 だが、李明博政権の強権的な国内外政策は韓国労働者民衆の憤激を呼び起こさずにはおかないだろう。

 李明博政権は、李明博自身が大資本家である資本家政権だ。それゆえ、ブルジョアジーの利害を露骨に掲げながら新自由主義政策を前、前々政権を数倍する激しさを持って推進するだろう。 

 第一に経済政策だ。米帝のサブプライムローン問題は韓国経済を直撃し、三高(油、レート、物価)状態になっている。そしてそれは同政権の七四七政策(経済成長率7%、国民所得二万ドルから四万ドルへ、国家の経済規模をOECDにおいて十二位から七位へ引き上げる)に深い影を落としている。そうした中で、資本の規制撤廃、非正規拡大、民営化、FTA推進、生活必需品・教育・医療値上げが進められ、貧富の格差がさらに拡大し続けている。

 第二に統一政策だが、李明博政権には明確な戦略がない。必然的に南北関係が不安定化し、六者協議も長期化する可能性が大きくなる。核兵器放棄と引き換えに共和国一人あたりの所得の三千ドル達成をぶち上げているが、実際は不透明だ。韓国国軍は米帝からの武器購入を進めて軍備を増強している。軍首脳が北に対する先制攻撃の可能性に言及するなど、朝鮮半島では軍事的緊張が近年になく高まっている。

 第三に、第二と重なるが、軍事外交政策だ。李明博政権は韓米軍事同盟強化を明言している。四月訪米でこの方向を強めるだろう。駐韓米軍移転で百年は維持できるという平澤(ピョンテク)基地拡張工事を強行している。基地建設の費用は韓国側の負担だ。駐韓米軍は「戦略的柔軟性」という名の下、全世界を展開対象とする侵略軍へ変化している。戦時作戦権が韓国側に委譲されたが、これは形式的なものにすぎない。加えて同政権はミサイル防衛構想への参加を表明した。韓国軍は大量破壊兵器や「対テロ」戦争に積極的によりなるだろう。さらに、イラクやアフガンニスタンへの派兵はその時々の派兵法を根拠にしたが、常時派兵法の成立をもくろんでいる。外交のモットーとして「国益」を掲げており、今後、韓米および日米の軍事同盟の強化を望むだろう。

 第四に労働政策だ。御用派を露骨に抱きこみ、たたかう労働運動への弾圧をすでに始めている。日本の連合とも緊密な連帯関係を持つ御用ナショナルセンター・韓国労総をしっかり抱擁している。韓国労総は、大統領選挙では李明博、総選挙ではハンナラ党への支持を組織決定した。かつ、ハンナラ党から組織候補を出馬させ、四人が国会議員として当選した。また、新委員長は、大企業労働者の賃上げを凍結すべきという主張だ。労使協調の極限形態だ。その一方で、韓国政府は民主労総を徹底的に排除し弾圧している。そして、正式名称は「逮捕組」(逮捕専門部隊)である白骨団を復活させるとまで明言した。軍事独裁政権時代、鉄パイプで武装し労働者を襲い拷問した白骨団によって数多くの人が死に、傷ついた。それをまた作るというのだ。独裁政権の手法の復興である。加えて、二〇一〇年一月一日に複数労組制が導入される。これを機に資本側は御用労組を続々と作り育成してくるだろう。民主労総傘下の労組に対する懐柔も加速するだろう。それは、同じ職場に複数の民主労総系労組が存在する事態をあちこちでもたらすことになる可能性が高い。韓国労総を抱き込みつつ、民主労総を分裂させ弱体化させる。これが李明博政権のねらいだ。



 ●3章 闘う韓国労働者民衆との国際連帯活動強めよう


 総選挙の約二カ月前である二月三日に民主労働党は臨時党大会を開いた。紙数の関係上、詳細は省くが、ともかくそこでいわゆる「自主派」と「平等派」との対立が頂点に達した。結局、後者が脱党を開始し、三月中旬に「人権・生態・平和・連帯」を掲げて進歩新党を結成。総選挙に臨んだが一敗地にまみれた。民主労働党は結党八年目に初めて分裂した。他方で、こうした事態とも連動しながら、民主労働党と進歩新党のいずれをも批判する左派諸グループ(労働者の力、解放連帯、社労連など)による社会主義労働者党建設に向けた動きが――多くの紆余曲折と困難が予想されるが――始まっている。

 いずれにせよ、労働運動の現場でも、反戦平和・統一の事業でも、韓国労働者民衆が主体力量を強化して強権的なブルジョア右派政権に対する抵抗闘争を発展させていくことをわれわれは心の底から願っている。いや、彼ら彼女らのたたかいは必ず発展していくのだ。そして、そうした観点をもち、かつ、本稿では言及できなかったわれわれの足元である日帝国内における在日に対する弾圧と権利剥奪という差別排外主義を許さずに反入管闘争を原則的に推し進め、帝国主義国労働者階級人民の責務として、反入管闘争と結合したものとしての日韓労働者民衆連帯運動をもっと前へ前へ推し進めるのだ。

 ともにたたかおう。

 

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