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  ■原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀母港化阻止!

  



 全国で闘い抜いている同志・友人の皆さん! 米帝国主義の原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀母港化攻撃を迎え撃つ陣形はできているか? 米海軍の原子力空母を中心に巡洋艦や駆逐艦などによって構成される空母打撃群は、湾岸戦争からアフガニスタン、イラクにいたる侵略反革命戦争のなかで人民虐殺の先兵となってきた兵器群である。空母艦載機による空爆やミサイル巡洋艦や駆逐艦による巡航ミサイル・トマホーク攻撃によって夥しい人民が殺されてきた。

 現在策動されているジョージ・ワシントンの横須賀母港化攻撃は、空母打撃群がアジア太平洋地域を我が物顔に徘徊し、侵略反革命戦争の強行や民族解放闘争の圧殺―人民虐殺態勢の飛躍的強化を許すのか否かが、日本の労働者階級人民に突きつけられているということだ。反帝国際連帯の最重要の課題として、総力で取り組まなければならない。地元横須賀をはじめとする原子力空母配備に反対する広範な闘いと結合して、ジョージ・ワシントンの配備―横須賀母港化を何としても阻止しようではないか!

 ジョージ・ワシントンは、まさに自らの危険性を露す事態を引き起こした。四月にアメリカ東海岸のノーフォーク基地を横須賀に向けて出航したジョージ・ワシントンは、五月南米沖で大規模な火災事故を起こし、修理と調査のためにサンディエゴ基地に停泊していたのだが、六月十九日の報道によれば、後部の艦載機用エレベーターなど重要設備に激しい損傷があったことがわかり、修理とその後の性能点検のために九月中旬以降に横須賀配備がずれ込むことになった。

 当初「ぼや程度」とされていた火災が、船内の一部で高熱によって鉄製の内壁がとけたり、ゆがみが生じたりなどの大きな損傷が起こるほどの火災であり、原子炉を搭載し、膨大な航空機燃料や弾薬を貯蔵する空母では大事故になる可能性もあったのである。米軍は「原子炉の安全性に問題は発生しなかった」としているが、機密に覆われた空母内部のことで火災状況もはっきりしないし、火災の原因も特定されておらず、もし消火が遅れていればどのような事態になっていたのかなど、安全の確保という点からは何も明確になっていない。火災事故を徹底的に弾劾するとともに、米軍に対して事故の詳細な報告と事故原因の究明を要求しなければならない。

 われわれは火災事故で明らかになったジョージ・ワシントンの危険性を徹底的に暴露する。与えられた時間で徹底的な暴露と弾劾を組織し、横須賀母港化攻撃を阻止する闘いの強化と拡大に立ち上がろう。七月十九日の横須賀現地集会、アジア共同行動日本連が呼びかける横須賀現地での八月反戦合宿の成功、そして母港化を許さない入港阻止闘争への決起と連続する闘いに断固として立ち上がろう!



 ●第1章 ジョージ・ワシントンが属する第七艦隊の役割



 まず原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀母港化が、米帝が構想する世界軍事戦略の中でどのように位置づけられ、いかなる役割を担わされているのかをはじめに確認していきたい。

 全世界に配置された米軍総体は現在、六つの地域別統合軍と四つの機能別統合軍で構成されている(統合軍というのは、陸海空各軍と海兵隊によって構成される)。北米大陸を担当する北方軍、欧州から北東ロシアまでを担当する欧州軍、中東から中央アジアまでを担当する中央軍、エジプトをのぞくアフリカ全土を担当するアフリカ軍、南米大陸を担当する南方軍、太平洋全域とインド洋・東アジア・オセアニア地域・南極大陸を担当する太平洋軍が六つの地域統合軍である。そして、統合兵力軍、特殊作戦軍、輸送軍、核戦略を担う宇宙軍が四つの機能別統合軍である。まさにこのような米軍の配置からも、地球全域に軍事支配力を及ぼし、意のままに世界をコントロールしようとする米帝の度し難い野望が窺える。

 この中で太平洋軍の傘下に、太平洋艦隊と在日米軍、在韓米軍、さらには沖縄に駐留する太平洋海兵隊などが配置されている。統合軍のなかでも太平洋軍は、最大の規模を誇る。米国西海岸から太平洋、インド洋、アフリカの東部近海に至る地球表面の50%以上をカバーする広大な領域を責任区域とする。

 原子力空母ジョージ・ワシントンが属する第七艦隊は、日本の横須賀や佐世保などを拠点にしているが在日米軍司令部から作戦統制を受けず、ハワイ・パールハーバーに司令部がある太平洋艦隊の傘下にある。太平洋艦隊は、六隻の空母とその艦載機、約九十隻の戦闘艦、水陸両用艦、補給艦、さらには三十隻弱の原子力潜水艦を擁し、兵力規模は海兵隊を合わせると二十三万九千人を越える世界最大の海軍部隊であり、第三艦隊と第七艦隊の二つを有する。両艦隊は、日付変更線の以東の海域を第三艦隊が、以西の西太平洋、インド洋、アラビア海を第七艦隊が任務海域としているが、第三艦隊が訓練を含む兵力の供給部隊という性格が強いことに対し、第七艦隊はまさに侵略反革命戦争を担う艦隊なのである。

 より詳しく第七艦隊の体制を見てみるならば、揚陸指揮艦ブルーリッジ(第七艦隊司令部が置かれている)、第五空母群(退役するキティホークと交代で原子力空母ジョージ・ワシントンが配備予定)、両方とも横須賀が母港。第五空母航空団(空母艦載機部隊。厚木から岩国基地へ移転予定)、第一哨戒航空団(対潜哨戒機、偵察機部隊)、第一水陸両用群(強襲揚陸艦、ドック型揚陸艦、ドック型揚陸輸送艦を擁し、海兵隊とヘリや車両、物資の輸送、揚陸を担う)、第七潜水艦群(グアムが母港。ロサンゼルス級原子力潜水艦が配備されている)、第十五駆逐艦群(九隻のミサイル巡洋艦、ミサイル駆逐艦で構成され、すべてイージス艦で、横須賀を母港としている)、第十一掃海船隊分隊(機雷の除去。佐世保が母港)。

 実際の戦闘においては、空母打撃群(航空団を搭載した空母――これまではキティホーク――を中心に、六~八隻のミサイル巡洋艦・駆逐艦、原子力潜水艦、補給艦)と水陸両用即戦団(強襲揚陸艦エセックスを中心に三~四隻の揚陸艦に、ヘリや軍用車両、海兵隊を載せる)という戦闘部隊を編成する。この空母打撃群と水陸両用即戦団は、米帝がもっとも重視し、多用している戦闘部隊である。

 両戦闘部隊は、ソ連・東欧圏の崩壊による冷戦構造の終焉以降、米帝が構想した新たな軍事における世界支配戦略のなかに形成されてきた。それは、米帝が技術的優位をもつ情報通信技術やロケット技術などの新技術の応用による「軍事における革命」(RMA)あるいは、冷戦以降の帝国主義的グローバリゼーションによって全世界に拡大した米帝の搾取体制・権益を防衛するための新たな軍事戦略の策定―「四年毎の国防見直し」(QDR2001、2006)を通して、「いつどこで誰が引き起こすかわからない米帝にとっての多様な脅威」に対して、それがいかなる地域で起こったとしても即座に対応できる―あるいは先制攻撃ができる―前方展開態勢をつくりあげるということだ。湾岸戦争からアフガニスタンとイラクと連続する侵略反革命戦争が強行されたが、その最前線には、空母打撃群と水陸両用即戦団が配置されていた。特に空母打撃群は、「動く海上基地」として公海上に配置され、「海上から陸上への力の投射」として威嚇と攻撃を行うことで、絶大な威力を発揮している。

 第七艦隊は、アメリカ海軍の艦隊の中では、最大の規模と戦力を誇っている。それは、米帝にとって世界を支配する帝国主義としての死活的な利害が、この第七艦隊の任務海域であるアジア太平洋地域に存在するからであり、最大戦力の配備を必然化させているのである。アジア太平洋地域には、現代にあってもっとも重要な戦略資源である石油の安定的な確保、米帝が「支配への挑戦者」とみなす中国の軍事的封じ込め、反帝民族解放闘争の鎮圧、巨大な市場の形成と防衛、などなど米帝にとって今後の世界支配を展望する上で極めて重要な政治的経済的要因が存在している。

 米帝―ブッシュ政権はQDR2006(四年毎の国防見直し)のなかで、アジア太平洋地域における米軍の前方展開体制の強化を明確に打ち出している。それは①日本とグアムを在外米軍の重要で中心的な拠点である「兵力投入根拠地」としたうえで、②太平洋への追加的な機動展開海上能力の前方配備、③高度な打撃力の西太平洋への配置の実現、④北東アジアにおける米軍の展開態勢および指揮機能の再編、⑤東南アジア等において訓練施設や緊急アクセス拠点を確保する、⑥ミサイル防衛(MD)システムの配備と同盟国との統合運用の推進、などであり、これらの方針がまさに在日・在韓米軍再編、あるいはフィリピンにおける対「テロ」戦争の強行や米軍再駐留策動として強行されていることは容易にわかることである。

 原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀母港化攻撃は、米帝のアジア太平洋地域を見据えた軍事戦略においてもっとも重要な意義を持っているのだ。原子力空母の配備は、第七艦隊の戦闘能力を大きく向上させ、米帝の軍事支配の強化に直結する攻撃だ。絶対に阻止しなければならない。



 ●第2章 空母ジョージ・ワシントンの横須賀母港化は何をもたらすか



 原子力空母ジョージ・ワシントン(士官・兵員三千二百人、航空要員二千四百八十人。満載排水量十万トンを超え、世界最大の軍艦)は、世界最初の量産原子力空母―ニミッツ級の六番艦として総額約五十億ドル(約五千百七十億円)かけて建造され、九二年就役した。熱出力が六百メガワット(六十万キロワット)以下―これは小規模な原子力発電所に相当―とされる軽水炉二基で動力を賄い、約十八年間燃料棒の交換なしに稼動が可能とされている。一般に原子力空母は、航空機の燃料や補給物資、それに乗組員の人件費などで、平時において年間一千億円もの費用がかかる代物である。保有しているのは米帝が十隻、フランスが一隻のみで、米帝の圧倒的な軍事力を象徴する兵器である。

 駐日大使シーファーは、ジョージ・ワシントンの配備について、「ニミッツ級空母は、航空機燃料や武器の貯蔵量が増加したことで、キティホークなどの化石燃料型空母より速くそして二倍の戦闘活動時間を維持できる。飛行甲板は10%拡大し、安全でより効率的な発着が可能になる」と増強される性能を自慢している。

 ジョージ・ワシントンは、イラクにおいてファルージャでのイラク人民虐殺作戦に参加するなど過去十五年間で海外での大規模作戦への参加回数は米空母の中でもトップの七回という戦績も持っている。

 横須賀に配備されるならば、キティホークに替わり、戦闘攻撃機ホーネット、改良型のホーネット、電子戦機ブラウアー、早期警戒機ホークアイ、など約七十機からなる第五空母航空団を搭載する。そして艦載機を積んだまま空母が基地に帰港すると、攻撃を受けた時に対処できないため、帰港時には艦載機は岩国基地に移ることになる。

 一九七三年のミッドウェーの母港化に伴い、艦載機の支援基地となった厚木基地の周辺住民は、それまで以上にジェット戦闘機の耐え難い爆音に苦しめられることになった。爆音は平均して百db(デシベル)―(電車通過時の線路の脇に匹敵)前後あり、昼間は学校の授業が中断を余儀なくされ、保育園では園児が昼寝もできない、病人や高齢者が血圧の上昇や吐き気を覚えるなどの被害がでている。地域住民の精神と身体に甚大な被害をもたらしている。

 一九八二年からはNLP(夜間離発着訓練)が強行されるようになり、被害はさらに深刻化していった。NLP訓練は、夜間に滑走路を空母の飛行甲板に見立てて、戦闘機の車輪が滑走路に着くと同時にエンジン全開で離陸する訓練で、凄まじい爆音が地域住民に襲いかかる。

 被害は爆音だけではない。米軍機の墜落による痛ましい被害が生まれている。一九七七年九月二七日、厚木基地を離陸した米海兵隊所属4Bファントム機が、相模湾航行中の空母キティホークに向かう途中に横浜市緑区(現在は青葉区)の宅地造成地に墜落、一歳と三歳の幼い兄弟が死亡、母親も四年にわたる治療の後、亡くなった。この事故に対する日米政府の犯罪的な対応は絶対に許すことはできない。

 地域住民は、一九七六年の第一次爆音訴訟の提訴から四次にわたって損害賠償と飛行差し止めを求めて闘っている。第三次までの判決では、損害賠償は認められたが飛行差し止めは却下されている。第四次爆音訴訟では、六千人を超える原告が組織され、損害賠償と飛行差し止めを求める闘いが開始されている。

 また米軍再編のなかで、厚木基地の空母艦載機の移駐先となっている山口県の海兵隊岩国基地でも、岩国市民・地域住民による粘り強い反対運動が闘われている。日米政府は、騒音や事故の軽減のために滑走路沖合い移設工事と愛宕山の開発に協力した岩国市民の願いを踏みにじり、基地の機能強化―恒久化、米兵住宅建設を策動し、岩国市民・地域住民を米軍基地による被害に縛り付け、騒音地獄に叩き込もうとしている。

 岩国基地には、五十九機の移駐が予定されているが、既存の海兵隊の戦闘機を加えて空域は過密化し、さらに騒音や事故などの基地被害・負担が増えることは明らかだ。また艦載機がやってくるということは、NLP訓練もやってくることを意味し、いまだ訓練地は決まっていないが、部隊運用の自由度と訓練環境の整備を重視する米軍は、岩国基地周辺での確保を要求している。ジョージ・ワシントンの横須賀母港化攻撃と岩国基地への艦載機移駐攻撃は一体のものだ。両方とも粉砕あるのみだ。

 現在アメリカ海軍が軍艦の母港としている港湾は二十一カ所あるが、そのうち十六はアメリカ本土で、海外母港はバーレーン(一隻)、イタリアのガエタ、ラマダレーナ(各一隻)、そして佐世保、横須賀の五カ所だ。バーレーンとイタリアに配備された三隻は、掃海艦、支援艦であり、横須賀のように空母打撃群十一隻が丸ごと母港としている場所はどこにもないのである。このことは、思いやり予算など米軍駐留に年間六千億円を超える税金を拠出し、米軍を手厚く保護する日帝の政策の帰結であり、第七艦隊の侵略反革命戦争を全面的に支えているということである。

 横須賀は、一九七三年に空母ミッドウェーの母港化―配備が始まり、日本政府は当初ミッドウェーの配備は「おおむね三年」としていたが、実際には一九九一年まで居座り、その後もインディペンデンス(一九九一年九月~)、キティホーク(一九九八年八月~二〇〇八年六月)と、米空母は横須賀を拠点に、アジア太平洋地域への侵略反革命戦争―ミッドウェーはベトナム戦争、インディペンデンスは湾岸戦争、キティホークはイラク戦争―を継続してきた。逆に言えば、横須賀がなければ、米軍はこのような侵略反革命戦争を強行することはできなかったのだ。

 また横須賀は空母の母港という以外にも、佐世保とホワイトビーチ(沖縄)とともに、原子力艦船の寄港地となっており、一九六六年に原子力潜水艦「スヌーク」が初めて入港して以来、二〇〇七年十一月までに七百六十七回、通算滞港日数五千六百四十八日に達し、母港とはされてはいないがアジア太平洋地域を徘徊する原子力潜水艦の重要拠点となっている。

 米空母の母港化攻撃や原子力艦船の寄港に対して、地元横須賀市をはじめ日本の労働者階級も激しく闘いを展開してきた。ミッドウェーの母港化以前の一九六七年に原子力空母エンタープライズの寄港問題が発生すると、大きな反対運動が闘われ、エンタープライズは一九六八年一月に佐世保に入港したが、横須賀入港は阻止された。佐世保においては、ベトナム反戦闘争の一大闘争として、入港阻止の街頭武装闘争が闘い抜かれた。ミッドウェー母港化に対しても、一九七三年十月の入港に対して、三万人以上が結集する大集会が開催され、機動隊との激突が闘いぬかれた。その後十五年間にわたり、日帝と米軍は原子力空母を日本に入港させることができなかった。



 ●3章 原子力空母の危険性、原子炉の事故・汚染



 原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀母港化は、地域住民に原子炉事故による被爆被害や放射能汚染の被害をもたらすことになる。

 米軍と日本政府・横須賀市は、ジョージ・ワシントンの安全性を主張するが、その裏づけとなる具体的なデータは軍事機密として一切明らかにされてはいない。日本政府が安全とする根拠は、米軍が日本政府・外務省に提出した「合衆国原子力軍艦の安全性に関するファクトシート(情報提供に関する書類)」以外にはなく、まさに米帝が言っていることを鸚鵡(オウム)返しに言っているだけである。ニミッツ級の原子力空母には、「A4W」という型の加圧水型原子炉が二基搭載されているが、その原子炉システムについて構造はおろか正確な出力すら明らかにされていない。専門家が指摘する米軍艦の危険性として次の八点が出されている。①狭い船体内で炉心設計に余裕がない、②放射能防護の格納容器が不充分、③船の中で絶えず振動、衝撃にさらされる、④海難事故による原子炉破損の可能性、⑤軍事活動のための無理な出力調整、⑥原子炉と高性能火薬、航空燃料の同居、⑦戦闘による原子炉破壊の可能性、⑧燃料に核兵器級の高濃縮ウランを使用。

 横須賀では、これまで米帝の原子力軍艦の寄港中、異常放射能が繰り返し検出されてきた。米側の情報非開示と日本側の杜撰な対応によって「原因不明」とされてしまっただけである。

 横須賀が母港となれば、年間六カ月くらいは停泊することになり、市民生活のすぐそばの海上に原子炉があるということになる。日本の法令と専門機関によって「監視」がなされているはずの原子力発電所ですら、事故隠しが続いてきた。原子力空母の原子炉には、一切関与することができない。また今回のジョージ・ワシントンの母港化に当たって、横須賀市は米軍との間で形ばかりの共同防災訓練の実施で合意したが、これまで米軍は原子力艦船の事故はありえないと主張し、原子力艦船の事故を想定した訓練にも参加を拒んできたのである。

 現在専門家が指摘する事故は、大地震の時に発生する津波の前の引き潮、海での隆起などによって、原子炉を冷やす海水が取り入れられなくなったり、原子炉の冷却のための外部電力、冷却水の供給が断たれたときだ。事故でなくとも、一次冷却水の交換、フィルターの交換、放射化したさまざまな廃棄物処理、保管、原子炉のメンテナンスなどが、基地従業員や地域住民に被害を与える。また、ジョージ・ワシントンの二〇〇九年の修理をにらんで、米本土から大量の原子炉スタッフの移駐や、原子力空母建造会社の横須賀進出なども危惧されている。横須賀が、空母をはじめとする原子力艦船の兵站・出撃拠点として強化されることにつながる動きだ。

 これに対して原子力空母の母港化に反対する「原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会」をはじめとする地元・横須賀市民によるさまざまな取り組みも続いている。ジョージ・ワシントンが使用する一二号バースの浚渫工事差し止め訴訟や二度にわたる「原子力空母の是非等を問う住民投票条例」の市議会への提案などだ。

 浚渫工事差し止め訴訟で原告は、海底のヘドロの拡散による生命身体や漁業への被害や原子力空母の事故の危険性をもって工事の差し止めを求めたが、裁判所は、米軍や日本政府の主張を鵜呑みにして「認めるに足る証拠はない」と棄却する不当判決を出した。原子力空母の母港化に司法のお墨付きを与えるような不当判決を許すことはできない。

 原子力空母の配備の是非を問う住民投票条例を求め、市民にとって極めて重要な問題をみんなで決めようという至極当然の要求をかたくなに拒否する蒲谷市長や市議会の対応は、多くの市民が原子力空母の配備に反対し、基地のない横須賀を心から望んでいることが住民投票を通じて明らかになることを心底恐れているゆえだ。自らが本当に責任を負わなければならない市民の生命と生活の保護という使命から、国の圧力と米軍再編交付金に屈服して、逃避している。徹底的に弾劾しなければならない。

 全国で闘いぬく同志・友人の皆さん! ジョージ・ワシントン入港を阻止する、巨大な反対運動をつくりだすために奮闘しよう。アジア共同行動日本連の闘いを支え、沖縄、岩国での闘い同様に、横須賀で地元の闘いと結びつきながら、具体的実践的な反基地闘争、反帝国際連帯闘争として闘いを組織していこう。そして米軍再編を粉砕しよう! 米帝が誇る原子力空母を、幾重にも取り囲み、入港を許さない陣形を作り出そう! 横須賀現地闘争に総決起しよう!

 

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