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 ■関東大震災85周年―朝鮮人虐殺を忘れるな!

 防災に名を借りた治安訓練・戦争動員訓練にNO!

 東京都の総合防災訓練に反対しよう!





 1 自衛隊・米軍の参加を弾劾する!


 東京都の江東区、中央区をメイン会場として行われる東京都〇八年防災訓練は近年にない大規模訓練として行われる。わざわざ例年の九月一日をはずして休日の八月三十一日に行うと東京都は七月三十一日に発表した。その中で訓練の特徴として上げられているのは①陸・海・空を活用した救援部隊の迅速な展開、②羽田空港等を活用した広域支援部隊の受け入れ、③在日米軍に加え、アジア大都市ネットワーク21のうちの二都市(ソウル市・台北市)が参加、となっている。具体的な参加部隊とは、自衛隊三軍、米軍、海上保安庁をさし、メイン会場四カ所以外に羽田空港、横田基地、赤坂プレスセンター、東京港臨海部が入っており、まさに防災とは名ばかりの軍事演習並みの体制となっているのである。中央区・銀座会場では地下鉄を使っての訓練で陸自の参加が明記されている。一般民衆をも巻き込んでやろうという計画だ。二〇〇〇年「ビッグ・レスキュー」では武装自衛隊が地下鉄に大挙乗り込むやら、装甲車を伴って銀座をパレードをするやらで批判をあびたが、軍事信奉者の石原はまたもやそのような暴挙を強行しようとしている。

 自衛隊の参加は年々拡大しているが、昨年多摩地区のメイン会場であった昭島市では自衛隊三軍がしっかりとイラク派遣を宣伝し、なおかつ自衛隊員の募集も行うといったことを堂々と行っているのである。在日米軍参加は〇六年から常態化している。しかしその実態は防災とはかけ離れたものだ。昨年は東京港に一万五千トンの艦船をだし、水上強襲艇で帰宅困難者を収容するというものだが、実際は東京都が許可した者だけを乗せて運ぶというものであり、米軍参加それ自体を宣伝するがためのショーでしかないのだ。また昨年はじめて行なわれた横田基地の使用も常態化しようとしている。自衛隊、米軍の詳細な行動計画は秘密にされなかなか発表されない。まさにそのことが「防災」に名を借りた事実上の軍事演習であることを意味しているのだ。

 「米軍・自衛隊参加の〇八年東京都総合防災訓練に反対する実行委」は東京都に『申し入れ書』を提出し八月十九日に交渉を行った。席上、防災担当の課長は米軍参加の要請は東京都からの要請であることを明言した。また海自も海上保安庁も船を出すことを明らかにした。驚くべきことに、練馬駐屯地の自衛隊員が地下鉄に乗り込み、会場の一つである木場会場に乗り込むというのである。二〇〇〇年「ビッグレスキュー」の再現だ。これにたいして当然にも、大震災を想定しながら、地下鉄で都心に向かうという、自衛隊参加の宣伝のための行動ではないかとの批判も出された。実行委はこうした防災を名目にして戦争動員訓練に向かう都の姿勢をきびしく批判した。

 また、野宿者の排除やテントの撤去、当日の監視団への排除や弾圧を行わないことを強く要請し確認させた。米軍・自衛隊参加の東京都防災訓練に反対しよう。


 ●2 「国民保護法」による戦争協力体制構築を粉砕

 最近の傾向としてハッキリと見ておかなければならないのが有事立法の一つである「国民保護法」のもとでおこなわれる国民保護訓練なるものである。今や防災訓練はこうした訓練の一環に組み込まれている。末端行政では防災訓練の責任担当部署は大概が防災課である。しかし、昨年の東京都との交渉において出てきた責任者は国民保護運動担当の参事であった。こうして知らずしらずの内に防災訓練が戦争訓練へと再編されているのが現状である。自衛隊、米軍の参加がそのことを示しているのだ。昨年初使用された米軍・横田基地には将来「日米共同統合作戦センター」が設置されることが日米安保協議委員会(2プラス2)で合意されているのだ。関東各地に迎撃ミサイルPAC3の配備が強行されているが、その作戦管理指令の中枢が横田基地に置かれるのである。そしてこうした基地への攻撃として想定されているものの一つが弾道ミサイル攻撃であり、もう一つは「テロ攻撃」である核・化学・生物攻撃(NBC攻撃)と言われるものなのである。米軍参加の本音は防災訓練や災害救出にあるのではなく、あらたな戦争にたいする防衛、反撃体制の構築と自衛隊との共同行動の推進にあるのだ。まさに防災の名のもとに住民動員体制・戦争協力体制を着々と準備しているのである。米軍の参加は現在強権的に進められている「米軍再編」と無関係ではないのだ。治安訓練から戦争協力訓練へと変質する防災訓練を断固拒否し粉砕しよう。そもそもありもしない戦争攻撃を想定し危機をあおりつづける日米こそ、世界に戦争の種をまきしらしているのだ。

 東京都はこの秋にも国民保護訓練をやろうとしている。昨年は、「大規模テロ災害」という名目で大井競馬場で実働訓練を、都庁内では図上訓練を行った。住民参加などなく、警察と自衛隊と都職員だけの訓練というもので、都庁内を迷彩服の自衛官が闊歩するという異様な光景であった。内容が公表もされない訓練がどうして「国民保護」などと言えるのだろうか。

 防災訓練反対を共に闘う「国民保護条例を考えるすみだ連絡会」の仲間が最近弾劾しているが、墨田区では全戸に『わが家の国民保護マニュアル』が配布されたが、そこにはなんともおぞましい無神経なことが書かれていた。「テロなど……核攻撃が起こったなら……失明する恐れが有るので閃光や火球を見ないでください……とっさに遮蔽物の陰に身を隠しましょう……窓を閉め・目張りをしましょう……」などといったことが言われている。核が一瞬のうちに人命をうばいあらゆる建造物を破壊したことを知らないとでも言うのか。なにより現在も多くの人が原爆症で苦しんでおり、政府が原爆症認定を拒否しているためいまだに苦しんでいる人々がいることを考えようともしていないのだ。原爆からどう身を守るかが問題ではなく、いかなる核兵器をも拒否するのが自治体としてもあたりまえの行為なのだ。墨田の仲間達は、墨田区が二十三区にさきがけて「保護条例」を制定しようとした時にも、この地がかつて関東大震災の際に多くの朝鮮人たちが虐殺された場所であり、いまだにその真相も明らかにされていない中で、そうした反省や真相が住民に明らかにされないまま警察や自衛隊参加で住民を保護するといったことが許されるのかと鋭く弾劾してきたのである。「国民保護」という耳ざわりのいい言葉に本音を隠し、戦争協力に住民を総動員する体制を作るのがこの保護法の狙いなのである。住民・企業・自治体が組織化され、動員されている。その要に警察・自衛隊が入り込んでいるのである。また「対テロ訓練」対策などたてられない自治体は軍事関係コンサルタント企業に大金を払って計画案の作成を委託しているのが現状なのだ。しかもこうした訓練は一自治体で対処できないので必ず広域・大規模にならざるを得ないのである。今後、全国でこの運動はますます大規模に計画され実行され、参加が強制されていくであろう。地域での共闘関係を強めながら共同で闘いぬいていこう。「戦争の出来る国家」づくりを断固拒否して闘おう。


 3 9・1関東大震災時の朝鮮人虐殺を忘れるな

 防災訓練は、いまから八十五年前に起こった関東大震災を教訓化しようとの名目で設定されてきた。関東大震災時には死者十万人以上という大変な被害を出した。しかし忘れてはならないのは、その陰で六千名以上の朝鮮人および中国人が虐殺されていることである。しかも許されないことにいまだにその真相はもとより虐殺の実態も正確な数も明らかではないのだ。日本政府は国家的謝罪も責任も取りきっていないのだ。

 二〇〇〇年の「ビッグレスキュー」反対闘争の継承として結成された「荒川―墨田―山谷&足立実行委」は、一貫して防災の陰にこうした朝鮮人虐殺の痛苦な歴史があることを訴え続けているし、反戦・反差別・反排外主義を原点に地域に運動を広げてきている。虐殺の隠蔽のため死体を埋めたとされる墨田・荒川の四つ木橋のたもとでは毎年「追悼」の行事が行われ、虐殺反省と弾劾の声が上げ続けられている。また当時の日本人社会主義者や労働組合運動家も虐殺された、いわゆる「亀戸事件」なるものもこの地域で起きているのである。日本のアジア侵略と戦争行為がこうした許しがたい悲劇を生み出し、いまだにその真実が隠蔽されていることが問題なのだ。戦争と差別・排外主義は表裏一体の関係にあることは、侵略戦争の実態をみれば判ることではある。しかし東京都・石原知事はなんの歴史の捉え返しも反省もないのである。むしろ日本のアジア植民地化を正当化し戦争を肯定してはばからない。防災訓練やテロ対策訓練などを繰り返して住民の組織化と戦争協力体制の構築を進めているのだ。私達は、9・1の朝鮮人虐殺の歴史を痛苦に捉え返し、こうした誤りを二度と繰り返してはならないことを歴史の教訓とし実践しなければならない。

 四地域の共闘関係はそうしたことを立脚点に、共に協力して反戦・反差別・反排外主義潮流の一翼を担うべく闘争を継続してきている。こんにち「戦争のできる国家」づくりの要として、「国民保護法」による訓練と動員の強制はますます強まってきている。先に見た墨田区の「国民保護パンフ」は全く許しがたい原爆の肯定と被爆者への差別を含む問題パンフではあるが、こうしたものが無批判的に、無神経に住民にバラまかれ、恐怖が煽り立てられている根拠となっているのが「国民保護法」なのだ。こうした実態を地域において暴露して注意を喚起していくことは重要である。四地域実は全都の闘う仲間とともに防災訓練反対の抗議行動に参加し、東京都への「抗議・要請文」提出行動に参加してきた。こんごも反戦・反差別・反排外主義の立場を堅持して地域・全都の闘いとして担っていかなければならない。共に闘おう。

 

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