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 ■80年代的状況へと向かう韓国・李明博反動政権





 今年二月に発足した李明博政権は、四月の総選挙で与党・ハンナラ党が国会議席の過半数を占める勝利を機に、大統領選挙時に掲げた公約を実施する動きを本格的に開始した。朝鮮半島に大運河を掘りめぐらして経済成長を実現するという構想の推進、経済成長率7%という公約実現を目指し大企業の国際競争力を強化するためのウォン安誘導、エリート育成を軸とする教育の改悪、メディアと公共機関を完全に掌握するための大規模人事、韓米関係の戦略的同盟への発展という名の軍事同盟強化、朝鮮民主主義人民共和国(以下「共和国」と略)に対する条件付きの大規模経済援助などがそれだ。

 だが、その多くが失敗に終わり、支持率は急落した。大運河構想はあまりの不人気に頓挫したままだ。7%という数字はすでに撤回され、物価は上昇し、景気は下降している。にもかからず金持ちを優遇する政策は相次いで出されている。南北間の緊張は、共和国に対する強硬姿勢によりかつてなく高まった。

 だが、何よりも決定的だったのが米国産牛肉をめぐる民衆の総決起だった。五月はじめから約二カ月にわたり韓国全土を席巻したローソク集会・デモは政権退陣を求める反政府闘争へ自然発生的に発展した。そしてそれは歪曲報道を続ける朝鮮日報・中央日報・東亜日報に対する広告掲載企業不買運動も生み出し、保守系メディアの経営を揺るがすところにまで至った。

 これに対し李明博は国民に対する「謝罪」を口にしながらも、実際には弾圧をもって応えた。八〇年光州抗争への血の弾圧を想起させるほどの警察による暴力の行使と無差別大量拘束。国家保安法の乱発。民主労総指導部や社会主義者に対する指名手配と逮捕。インターネット上でローソク集会参加や不買運動を主導した人々に対する指名手配と逮捕・投獄。活動家だけでなく一般市民にまで及ぶ李明博政権の報復は今も続いている。

 同時に、メディアを掌握しようという策動もごり押しされた。国営放送である韓国放送の社長が「左派的」と攻撃され、八月には解雇された上、逮捕された。ニュース専門放送のYTNの社長も解雇された。両局の新社長はともに李明博の息のかかった人間だ。韓国文化放送(MBC)も米国産牛肉報道をめぐり政府とマスコミから執拗な攻撃を繰り返し受けた。MBC側は抵抗し続けたが、結局九月には謝罪放送を行い、屈した。

 また、エリート育成を柱とする教育内容の再編が進行中だ。学校間の格差と生徒同士の競争がひどくなっている。

 公共機関の民営化も推進されている。八月に発表された第一次案には水道・水・電気・医療の民営化は含まれていなかったが、現政権はそれを狙っている。

 露骨な、ブルジョアジーのブルジョアジーによるブルジョアジーのための李明博政権は、富裕層優遇政策を連発する一方で反対意見を封殺し、反対運動の根絶に力を注ぐ大反動政権だ。軍事独裁政権時代の七〇年代・八〇年代的状況、あるいはファシズム的ともいえる状況へ韓国社会は向かっている。他方、進歩陣営は、権力による弾圧の激化、民主労総内部の路線対立や本工主義の問題、また民主労働党の分裂などにより困難な状況を深めている。ローソク集会にも多くの労組・進歩政党が参加したが、運動の次元で結合できたわけではないというのが実情だ。

しかし、キリュン電子やKTX女性乗務員をはじめとする非正規職労働者の決死的な闘いは各地で次々に起こっている。活動家たちの粘り強い取り組みも続いている。宗教者も政権退陣を掲げて起ちあがった。私たちはこうした韓国の労働者民衆との連帯をさらに強め、ともに前進していこう。

次回は今年四―九月の動きをより具体的に見ていく。(高橋功作)

 

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