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   PSL主催の社会主義全国集会に参加


PSLが開催した社会主義全国集会

 十二月六、七日に米国カリフォルニア州ロサンゼルス市で社会主義全国集会が開かれた。主催は社会主義解放党(Party for Socialism and Liberation. 以下PSL)。同党の招きを受け、共産主義者同盟(Japan Communist League. 以下JCL)の一員として参加した。



  ●1章 社会主義解放党(PSL)とは


 PSLは、五〇年後半に結成された労働者世界党(Worker's World Party. 以下WWP)で二〇〇一年以降に起こった党内闘争を経て脱党した部分が二〇〇四年に結成した党派。月二回の機関紙『解放』(Liberation)と年四回の季刊誌のほかに主題ごとのパンフレットを随時発行。綱領も二〇〇六年に出した。マルクス主義を掲げ、米国における社会主義革命の実現を目指している。イラクとアフガニスタンなど全世界における米帝国主義の侵略戦争に反対する闘争を組織し、同時に黒人(注)・ラテン系・アジア系などに対する人種差別(racism)およびLGBTなど被抑圧人民に対する差別に反対する運動に取り組んでいる。さらに、パレスチナ解放闘争を支持し、社会主義キューバ、ベネゼエラ、ボリビアをはじめとするラテンアメリカ民衆運動との連帯に力を注いでいる。反戦反差別を実践の基軸にすえた反帝国際主義派だ。(注:PSL党員に、「ブラック」「ブラック・ピープル」という言い方が会議資料にも頻繁に出ていたが「アフリカンアメリカン」という言い方をするのではないか? と訊いたところ、「ブラック」「ブラック・ピープル」という表現に問題はない、使って大丈夫だ、「アフリカンアメリカン」にはカリブ諸国など中南米から来た「ブラック」やアフリカから来た移住労働者が含まれないので、範囲がより広い「ブラック」を使っている――という答えが返ってきた。)

 加えて、二〇〇一年9・11事件の三日後にさまざまな党派と大衆組織によって結成され、その後今日に至るまで数十万人規模のイラク反戦闘争を組織してきているアンサー連合(The ANSWER coalition)にも、PSLは運営委員会の一員としてWWPから分岐する前より参加している。



 ●2章 イスラエル領事館前抗議行動に参加


 十二月四日、アンサー連合ロサンゼルス支部兼PSLロサンゼルス支部事務所に到着。ロッカーにゲバラとマルコムXの写真が貼ってある。米国の同志たちと握手し、PSLの機関紙誌、それに最近出した中国分析の小冊子をもらった。

 ざっと読んだ後、幾人かと一緒にイスラエル領事館前へ移動。パレスチナ・ガザ地区に対するイスラエルの経済封鎖に抗議する昼休み行動だ。スピーカーを設置しようとすると警察が待ったをかけてきた。プラカードを掲げて抗議するのはかまわないが、スピーカーは使うなという規制だ。最初は地声でシュプレヒコールをあげたが、途中からハンドマイクでがんがんアジっていた。参加者が次第に集まり、プラカードや横断幕を掲げる。パレスチナ支援団体やアラブ人の団体を中心に、アンサーといった大衆団体、社会主義解放党・労働者世界党・国際社会主義者組織などの党派が結集した。年代は若者から六〇―七〇代まで、ベトナム反戦世代が中心だ。人種もさまざまで、みな元気がいい。次々にシュプレヒコールがあがり、途切れない。五十人ぐらい集まった。

 「イラクからパレスチナにいたる占領は犯罪だ!」
 「占領を中止しろ!」
 「殺しを止めろ! 犯罪を止めろ!」
 「パレスチナに自由を! パレスチナ万歳! インティファーダ万歳!」
 やり方と雰囲気が日本とほぼ一緒だ。

 車を運転する人がクラクションを鳴らしてエールを送ったり、車窓からVサインをした手を突き出したりして呼応する。

 道を挟んだ向こう側にはイスラエルを支持するシオニスト十人強が結集し、プラカードを持っている。PSLの活動家によると「ファシスト」の彼ら彼女らも、「ガザをテロリストの基地として使うな!」「子どもを人間の盾に使うな!」と叫んでいた。

 シュプレヒコールの応酬の中、「国際社会主義者組織」の人が話しかけてきた。

 「オバマ次期政権は資本家の政権だ。閣僚予定者を見るとみな新自由主義者だ。米国の資本家階級は今回の恐慌を利用して資本の集中・独占化を進めると同時に労組を弾圧し、年金や社会保険などを削減しようと狙っている。労組指導部の労組貴族は民主党から資金を提供され、結託している。」

 総括集会ではパレスチナ連帯組織とアンサー連合が発言した。

 五日、もらった資料を読みながら一日中事務所で過ごす。各地から党員がぞくぞくと結集し、再会を喜び合っていた。昼食をとりながらいろいろ話す。ラテンアメリカからもゲストが到着。

 大学教授で党員のLさん曰く、「学者の中には進歩的な人間は多いが、ほとんどが社会民主主義だ。イラク戦争には反対するが、社会主義ではなく改良を要求する。」



 ●3章 集会一日目、開会前に参加者と歓談


 十二月六日午前七時、一日目の会場であるUCLAのDe Neveプラザビルに到着。地元ロサンゼルス支部を中心としたスタッフが準備に取り掛かっていた。会場の隅で集会資料を読んだ。八時半ごろ登録が始まった。ロビーに参加者が集まり、ごった返している。登録すると、受付の人が手の甲にスマイルマークのスタンプを押し、名刺大のシールに名前を書いて胸に貼る。これはいい。日本でも使える。出店では党の機関紙誌・パンフ、マルクス・エンゲルス・レーニンの著作も売っている。レーニンの『左翼共産主義批判』を手に取ると、売り手が「それはすごくいいよ」といってきた。受付で赤い表紙の資料をもらって食事コーナーへ行き、パンとコーヒーで簡単な朝食をとった。すると、隣にいた男が突然話しかけてきた。ボストンから来たCさん。二十歳代半ばだ。

 「ハイ。日本の共産主義者同盟から来たんだよね。歓迎するよ。」

 「ありがとう。PSLからいろいろ学ぼうと思ってきたんだ。数日前にはイスラエル領事館前の抗議行動に参加して、『パレスチナに自由を!』と叫んできたよ。日本でも時々イスラエル大使館前で抗議行動をするよ」

 「学ぶのはお互い様だよ。パレスチナ人を支援する取り組みは全世界で行われている。とても重要だ」

 「そうだね。君たちの党の闘いは全世界に影響するから、すごく大切だ」
 「わかってる。米帝の影響は全世界に及ぶからね」

 「米帝は最悪のテロリストだし。全世界の人民がPSLとアンサーの闘争に注目しているよ」

 「そうなんだよ。だから肩の荷が重くて重くて」]

 「PSLがキューバやベネゼエラなどラテンアメリカの闘いとの連帯を重視しているように、ぼくたちもアジア人民との連帯に焦点を当てているんだ」

 「アメリカも日本も同じような闘いをしているんだね。話は聞いているよ。君たちは米軍基地撤去を求めているんだろ」

 「よく知っているね。米軍基地がある限り、アジアの平和はない」

 「そのとおりだ。全世界から米軍基地をたたき出さないと」


 「ところでボストンでの闘いの状況はどうなの」
……
話は尽きない。



 ●4章 全体集会、次々と闘いの報告


 開会の時間が近づいたので会場に入った。参加者の大半は二十―三十歳代だ。会場の一角からスペイン語通訳の声が聞こえる。司会と演説者の計八人のうち五人が女性だ。

 全体集会が始まった。まず司会の挨拶だ。ロサンゼルス支部の彼女は、ブッシュ政権と米軍のイラク占領に対する痛烈な批判、オバマが大統領選で勝利した意味、ロサンゼルスでの取り組みの紹介などを語った。「L・Aにはさまざまな人種の人々が住み働いている。多国籍労働者階級が存在しているのだ。雇用者との労働者階級の闘いの先頭にわれわれは立つ。」

 次に、パレスチナ支援を行っている党員が演説した。米帝の支援を受けたイスラエルによるガザに対する経済封鎖への糾弾、資本主義批判、革命的・社会主義的変革が鍵であること、移民労働者と性的少数者の権利擁護の闘い、キューバ、ベネゼエラなどラテンアメリカとの連帯を訴えた。

 首都ワシントンで活動する党員が演壇に立った。PSLは大統領選挙で独自候補を立てて宣伝戦を展開した。その報告だ。成功したようだ。オバマの当選については、「初のアフリカアメリカンの大統領の誕生で、これまでの差別が制度的にあった中で画期的な出来事だ。だが同時に見るべきなのは、共和も民主も完全な資本主義政党だということだ」と述べた。

 ニューヨークの教育労働者がマイクを握り、人種差別反対闘争について語った。「被抑圧人民に対する警察の弾圧がひどい。エクアドル、メキシコ、イスラム移民に対する警察の殺人行為が頻発している。ラティーノに対する憎悪殺人は高い水準だ。KKKによる憎悪リンチ攻撃が続いている。アフリカンアメリカンは全米人口の12%にすぎないが、獄中者の40%がアフリカンアメリカンだ。制度的な人種差別は米資本主義の本質であることを理解するべきだ。ブルジョアマスコミはオバマの当選を人種的アメリカの終焉だと賞賛している(ブーイングが起きる)。組織し、組織し、反撃しよう。」

 ロサンゼルスのラティーノの活動家がLGBT(レスビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)の権利を擁護する闘いを報告した。「闘いを通じてのみLGBTの権利擁護は可能だ。ブラック、ラティーノコミュニティーへの差別に反対する闘いとLGBTの闘いは根が一つだ。資本家はLGBTに対する攻撃を継続するだろう。革命を通じてのみ資本家の分断攻撃を打ち破れる。確固たる基盤を持った社会主義運動を建設しよう。社会主義政党を作り、勝利しよう。」

 サウスダコタの党員がイラク反戦闘争について演説した。「イラク人民の抵抗は続いている。イラク人民に対する拷問、ドアを蹴破っての家宅捜査。殺人などの犯罪をわれわれは忘れない。天然資源を米資本は手に入れようとしているが、反撃し、人民のためのものとして取り戻そう。ごく少数の米資本は世界中の富を歴史的に独り占めにしてきた。イラク戦争は極右保守勢力に支えられたブッシュによって行われた。経済危機は深まっている。その矛盾が労働者に向けられている。民衆の革命的意識を覚醒させよう。革命を通して人間の連帯を取り戻そう。反撃しよう。」

 ロサンゼルスのラティーノの活動家がLGBT(レスビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)の権利を擁護する闘いを報告した。「闘いを通じてのみLGBTの権利擁護は可能だ。ブラック、ラティーノコミュニティーへの差別に反対する闘いとLGBTの闘いは根が一つだ。資本家はLGBTに対する攻撃を継続するだろう。革命を通じてのみ資本家の分断攻撃を打ち破れる。確固たる基盤を持った社会主義運動を建設しよう。社会主義政党を作り、勝利しよう。」

 サウスダコタの党員がイラク反戦闘争について演説した。「イラク人民の抵抗は続いている。イラク人民に対する拷問、ドアを蹴破っての家宅捜査。殺人などの犯罪をわれわれは忘れない。天然資源を米資本は手に入れようとしているが、反撃し、人民のためのものとして取り戻そう。ごく少数の米資本は世界中の富を歴史的に独り占めにしてきた。イラク戦争は極右保守勢力に支えられたブッシュによって行われた。経済危機は深まっている。その矛盾が労働者に向けられている。民衆の革命的意識を覚醒させよう。革命を通して人間の連帯を取り戻そう。反撃しよう。」

 高校と大学で活動し、今年党員になった学生が登壇した。彼女は自分の経験を中心に訴えた。「LGBTの権利擁護、人種差別反対、反戦の活動を行っている。イラク反戦デモは楽しかった。六カ月の党員候補向けの党員養成過程を経て党員になった。党員養成過程の中で同志たちとともに活動し、多くのことを学んだ。資本主義の中での女性のおかれている状況についても学んだ。友人たちに党員候補になるよう話をしている。民衆をわれわれの側に獲得することが課題だ。反撃に立ち上がろう。」

 副大統領候補になったアフリカンアメリカンの党員がアジった。「オバマが大統領になっても、労働者の生活を破壊する政策は今後も続くだろう。『変革』という言葉は聞こえがいいが、オバマが手本にしているクリントン前政権は何をしたか? 社会保障の削減であり、コソボへの爆撃だった。ただし、大統領選の中で人々の意識は変わった。ブッシュの八年間、多くの人々は闘っても無駄だと思ってきたが、それが、やればできると思うようになった。意識の転換だ。革命的変革のために人種差別に反対してマルチナショナル労働者階級の団結を作ろう。それが社会主義者の任務だ。それによって社会主義的変革は可能になる。資本主義に鉄槌を振り下ろそう。」

 大統領候補だったグロリアがマイクを握った。「大統領選挙は終わったが、闘いを続けよう。人々はどうしていいか、その方法が分からないでいる。しかし、潜在的に革命的な力を持っている。もっと若い仲間を、今日から獲得していこう。数多くの人が家を失う危機に直面している。問題は資本主義による私的所有だ。問題に対する答えは明快だ。社会主義だ。

 アメリカでは教育費がどんどん上がっていって、子どもが十分な教育を受けられないでいる。子どもは教育費を稼ぐために働いている。アメリカの学生は教育を受けるために働かなければならない。しかしキューバ国立大の学生はアルバイトをせずに勉強に専念できる。社会主義キューバでは教育と医療が無料だからだ。ベネゼエラでもそれが試みられている。ほかのラテンアメリカでもそうしようとする試みが続いている。キューバ、ベネゼエラ、ボリビアではアメリカでは想像もできないほど進んだそうしたシステムが導入されている。アメリカと同様に台風の被害に苦しむキューバにはアメリカと違って食糧難に苦しむ人が存在しない。社会主義キューバの革命的政府は、カトリーナで被害を受けた人々を支援するための医療部隊を準備している。これが真の国際主義だ。しかし、アメリカはその派遣を拒否している。キューバに対して米国は経済封鎖を続けている。オバマもそれを継続する。許せない。」

 最後に基調演説があった。熱烈だった。

 「新時代の闘いを準備すべきだ。過剰生産が今回の金融危機の原因だ。アメリカでも、ドイツでも、カナダでも失業者が増大している。仕事を、家を、福祉をなくし、災害になっても支援を受けられないでいる。労働者の生活が破壊されている。農民は生活ができなくなり、貧民はますます貧しくなる。食料は過剰生産されているのに、だ。それは資本主義の自由市場が原因だ。危機は深い。貧富の格差は拡大している。一握りの金持ちが富のほとんどを独占し、数多くの人間が飢えている。労働者階級が覚醒し、立ち上がり、こうした現実を変革しよう。

 UAW(全米自動車労働組合)は、経営(マネジメント)は労働者を必要とし労働者は経営を必要としていると宣伝する。(会場から『ノー』という声)こんなときに労組が防衛的態度をなぜとるのか? UAWの指導者は経営陣とともにワシントンに行き、政府に支援要請を行っている。そして賃金低下に協力するといっている。歴史的にUAWは労働者のストやピケットを破壊して来た。今、すべての自動車労働者が、ストをしないまま最低賃金まで賃金が下がり、さらには工場が海外に移転し、職を失うだろうと予感している。

 労働者の闘いをもう一段階引き上げる必要がある。賃金闘争から政治的闘争へ、資本家の独占を打ち破る闘いへと。問題は、どのようにしてそれを実現するかだ。一九三五年、自動車労働者は今と同じ状況に直面した。この労働者は工場を占拠し、ストに打って出た。警察が暴力的に襲撃した。被害者が続出した。それを見たほかの工場労働者が連帯闘争に続々と立ち上がった。経営は工場を止めようとしたが労組が操業を継続した。

 いかにして、革命的社会主義者は労働者階級の闘いを底の底から立ち上がらせることができるのかをこの二日間で考え、討論しよう。
 社会主義的意識だけが資本主義を打ち破れるのだ!」(スタンディングオベーション)。

 その後、質疑応答があった。その大半が中南米諸国の階級闘争に関するものだった。また一方で、労働運動の推進、一九三〇年代の米国階級闘争の経験に関する質問や、フィリピンでのNPAの武装闘争を支持するといった意見も出された。

 ベネゼエラについての応答では、「一九九八年の選挙以後、チャベスの手によって変革が進められてきた。それまで天然資源は企業のために使われてきたが、現在はでは民衆のために使われている。現在、貧富の格差が縮まり、大衆のための医療体制の整備が進められ、失業率は20%から8%に減り、教育を受ける子どもの率も上がった。しかし米国が反革命勢力に巨額の資金提供を長い間行ってきている。帝国主義はベネゼエラの資本家階級が権力を握るまで介入を続けるだろう。それに抗し、チャベスは社会の根本変革をこれからも続けるだろう」との意見が出された。ボリビアに関しては、これまで私的警察が労働者・農民・先住民に対するテロを行ってきたが、二〇〇六年に先住民出身のモラレスが大統領に就任して経済的独占の解体と政治的平等の確立のための政策を実施している、との発言があった。

 キューバに関しては数人から意見が出された。まとめると以下のようになる。

 「二〇〇九年一月一日のキューバ革命五十周年を祝賀する。米帝がさまざまなテロと戦争圧力をかけてきたが、キューバの社会主義を打ち負かすことはできなかった。キューバは多くのことを証明した。国際主義的連帯を発展させ、各国の革命的闘いを支援している。米国内の、ラテンアメリカの民衆組織がキューバを支援し連帯するのは、キューバが人民の立場に立っているからであり、それを米帝が破壊しようと狙っているからだ。アメリカでハリケーン被害が出たときにキューバは医療派遣団を送ろうとしたが米帝がこれを拒否した。エチオピアに対する支援も行った。キューバには資本主義的経済危機はない。90%以上の生産を労組が管理して行っている。教育と医療が無料で保障されている。人民が軍隊を選抜し、革命を防衛している。持続可能な環境という面でも世界の先頭に立っている。人種差別反対と性的少数者に対する平等があらゆる分野で保障されている。帝国主義的な植民地主義・資本主義に打ち勝っている。ベネゼエラに対する無料の医療支援を行っている。ボリビア・ニカラグア・エルサルバドルなどに対する医療・教育の支援を行っている。経済・防衛協定をベネゼエラ・ボリビア・ニカラグアと結んでいる。これにより米帝の新自由主義に対抗している。ラテンアメリカのあらゆる民衆の闘いを支援している。

 オバマのラテンアメリカ政策は支配階級の政策だ。キューバの現政権の転覆、社会主義の崩壊という方針に変わりはない。クリントン政権はキューバから米国に逃げて来る人を歓迎した。オバマ政権も踏襲するだろう。キューバ5を守ろう。できることをすべてして、全員の釈放を勝ち取ろう。キューバを支援しよう。」

 プエルトリコ移民である党員の発言は熱気に包まれていた。「まず最初に、米帝と対決して社会主義運動を前進させることを宣言する。プエルトリコの独立を勝ち取るために私はPSLに入党した。独立を勝ち取れば、スイスと同水準の福祉を労働者は享受できるだろう。プエルトリコの労働者は全面的に搾取され抑圧されている。それで、ここ米帝の中で独立を勝ち取るために闘っている。祖国が植民地になっているのは、ほかの国と同様に帝国主義が全世界で植民地支配体制を敷いているからだ。一九五〇年代の独立闘争を引き継ごう。プエルトリコの解放と社会主義のために闘おう。」

 パレスチナ闘争連帯もPSLの重要な課題で、関連発言が続いた。「米国の運動内部でもさまざまな見解がある。われわれはパレスチナの闘争を支持する。ナザレスではイスラムもクリスチャンもともに占領反対共同闘争に立ち上がった。きわめて積極的だ。米帝政府とくにCIAは、パレスチナをはじめとする民族解放闘争は全世界で弱体化していると宣伝しているが、事実は違う。帝国主義は資本家階級にのみ利益をもたらすのであって、労働者階級には利益をもたらさない。同時に労働者階級は帝国主義から利益を得ることはない。街頭をはじめあらゆるところで帝国主義の政策に反対し社会主義に突き進んでいこう。」

 午後は分科会だった。前半は「キューバ、ベネゼエラ、ボリビアと左傾化するラテンアメリカで何が問題になっているか?」、後半は「帝国主義戦争と植民地支配に対する全世界での抵抗」に出た。



 ●5章 特別国際連帯集会


 夕食休憩の後、特別国際連帯集会があった。パレスチナ・フィリピン・エルサバドルの各支援組織、弁護士団体、元司法長官のラムゼイ・クラークが発言。キューバ共産党・メキシコ社会党・スペイン人民共産党の連帯メッセージが読み上げられた。

 機関紙局からの特別アピールもあった。「機関紙を通じてたくさんの仲間を作ろう。地域・職場・学園に機関紙を持ち込もう。みんなが革命的な報告者、書き手、イラストレーターになってほしい。社会主義機関紙は社会主義運動の重要な一部だ。みんなの手で革命的な機関紙を作っていこう。」

 カンパ要請もあった。カンパ隊がプラスチック製のクリーム色のバケツを持って集めて回った。後で訊いたら、バケツがアメリカ式だそうだ。

 集会半ばに共産同の発言時間があり、次のとおり発言した。

 「共産同を代表して連帯のあいさつをいたします。

 共産同は、イラク反戦闘争をはじめとするみなさんの闘いと存在を高く評価しています。私たちはPSLの綱領的文書を日本語に翻訳し研究しました。今回、この社会主義全国会議に参加できてとても光栄です。

 まず、JCLについて簡単に紹介します。

 JCLは一九五八年に結成されました。そのときのキーワードは「マルクス・レーニン主義」の復権でした。一九六〇年代から七〇年にかけてベトナム反戦闘争、日米安保条約反対闘争で日本において中心的な役割を果たしました。私たちの目標は世界プロレタリア社会主義革命の勝利、そしてその一環としての日本プロレタリア社会主義革命を実現することです。帝国主義国、植民地従属国、「労働者国家」の階級闘争を結びつけ、帝国主義を打倒することです。

 共産同の具体的な実践は大きく分けて四つあります。

 第一に、帝国主義による侵略戦争に反対しています。イラクとアフガニスタンに対する戦争、アジア各国での米軍の軍事演習、アジアに駐屯する米軍基地に反対しています。アジア共同行動(AWC)など日本の進歩的な団体は毎年三月にはイラク侵略戦争開始を弾劾する集会デモを行っています。第二に、新自由主義グローバリゼーションに反対しています。階級的労働運動を発展させ、労働者の階級形成を進めています。第三に、差別と排外主義に反対しています。在日コリアン・部落民・障害者・女性・外国人労働者の権利を守り、これらの人々に対する差別をなくするための闘いです。第四に、国際連帯闘争です。PSLが中南米の階級闘争との結合を重視しているように、JCLはアジアの階級闘争との結合を重視しています。今年七月にG8サミットは日本で開かれました。私たちは韓国・フィリピン・台湾の仲間、そしてみなさんの同志であるBさんとともにキャンプをしながら集会デモを三日間行い、ブッシュなど世界の強盗どもに「退場しろ!」の声をぶつけました。一昨年と昨年の米軍基地反対国際集会にはSさんとGさんが参加してくれました。 今回の訪米の目的は二つあります。

 第一に、PSLの実践と理論から多くのことを学ぶことです。PSLとJCLにはいくつかの共通点があります。ひとつは、帝国主義国内に存在している、帝国主義に反対し社会主義を掲げる政党であること。ふたつは、反戦闘争、国内のマイノリティーの権利問題、国際連帯の三つを重視していることです。

 第二に、PSLの社会主義理論を学ぶことです。社会主義こそ、世界の労働者人民にとって唯一の希望です。

 私たち共産同はPSLとの連帯を強めつつ、自国帝国主義打倒と社会主義革命勝利のために今後も努力します。

 日米の労働者階級と被抑圧人民は団結せよ!

 全世界の労働者階級と被抑圧人民は団結せよ!

 帝国主義打倒!

 (日本語で)テイコクシュギヲダトウスルゾ!」

 ありがたいことに、PSLの同志たちは満場総立ちの拍手で歓迎してくれた。



 ●6章 集会2日目


 十二月七日午前中、二つの分科会に出た。一つ目は「国家と革命――それはいま何を意味するか?」

 参加者のほとんどが二十歳代だった。ニューヨークの活動家の服は胸の部分にカマトンカチのイラストがあり、その下にSOVIETと書かれてあった。発言が相次いだ。

 「移民労働者、ブラック・モスリムなどにたいする暴力が警察のみならずKKKやギャングを使って行われている。今後数年、PSLも弾圧に備える必要がある。」

 「労働者が自分たちの利益を守るためには国家と闘わなければならない。」
 「国家が経済危機の中で何を準備しているかを知り、われわれは何を準備すべきかを知らせるべきだ。」

 参加者のほとんどが事前に『国家と革命』を学習して分科会に臨んでいた。自分たちの運動経験や警察による弾圧の具体例が次々に挙げられた。

 二つ目の分科会は「銀行と雇用主の攻勢から人民を守るために新たな労働者運動を建設する」。パネラーが順にマイクを握る。倉庫労働者でチームスター労組員の二十歳代の党員が、休日労働の手当てなし、残業手当なし、時間給七ドルというひどい労働条件について述べてから、団体交渉を通じて10%の賃金引上げと休日労働の賃金支払いを勝ち取ったと報告した。

 ニューヨークの活動家は一九三〇年代の経験について語った。

 「米社会の状況は一九二九年のときと非常に似ている。それまで労働運動は防衛的だったが、二九年以降の三年間は攻勢に出た。三三年のストライキ数は三〇年の二倍に達した。三七年は三〇年の十倍に達した。最大の理由は共産党の果たした役割だ。当時のアメリカには「革命の現実性」があった。ロシア革命の影響が全米レベルで存在した。三〇年に被雇用者協議会が結成された。三〇―三二年の三年間、共産党が労働者の闘争に深く関与した。一九三〇年に共産主義者が大量に生まれた。しかし弾圧が激しくなり、一九三九年には激減した。

 今の経済的激震は三〇年代を上回る。われわれの任務はなにか。地域を、政治闘争を、労働運動をどう組織するかだ。」

 午後、「社会主義運動にとっての次の段階」と題して全体で総括集会が行われた。国際連帯に関しては、ラテンアメリカの闘いを「われわれの希望」とし、朝鮮民主主義人民共和国とフィリピンでの反米帝闘争を評価。今後の方針として、宣伝戦としての地方選挙闘争、反戦闘争、国際連帯闘争、労働運動の推進が提起された。最後にインターナショナルを歌った。

 ●日米の労働者階級と被抑圧人民は団結せよ!

 こうして二日間にわたる社会主義全国集会は終わった。その後も討論と交流を重ねて多くのことを学ぶことができた。最後にメキシコ料理店で歓迎会まで開いてくれた米国の仲間たちは、金はなくとも怒りと情熱と希望を燃やして献身的に活動を推し進めていた。革命思想・階級観・運動論・組織論をはじめとするさまざまな点で見解や評価が一致することも少なくなかった。機関紙誌活動の充実が組織基盤の拡大と大衆運動の前進における最大の鍵であること、党基本文献の指定と系統だった学習活動を柱とするカードル養成過程の内容確定が急務であることなどを改めて確認しつつ、PSLの同志たちとがっちりと握手を交わして帰国の途に着いた。

                             (高橋功作)

 

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