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 ■「日の丸・君が代」強制反対! 教員免許制度改悪阻止!

  国際主義を掲げて改悪教育基本法路線と対決せよ!

                               




  ●1 改悪教育基本法路線と対決せよ


 〇六年当時、自民党安倍によって教育基本法改悪が強行された。それは多くの労働者・大衆の声を無視した文字通りの暴挙であった。この歴史的暴挙を行った自民党は国政選挙に大敗し、政権を民主党にゆずることになった。

 その選挙に「大勝」した民主党は、政権につくや否や旧来の自民党的路線とは違った方策を出そうとするものの、ブルジョア議会政党なるがゆえの政策のブレが表面化してきている。安保―基地問題の領域においては、選挙公約を反故にするかのような路線転換を行ってきた。

 そして教育政策においては、教育三法改悪の柱であった「教員免許更新制度」を廃止し、一方で教員免許の取得に関して「教員養成六年制」を打ち出している。

 確かに民主党は教育政策において免許更新制度の廃止や全国学力テストの抽出方式化等、人民受けのする耳触りのいい「公約」を公言してはいるが、その内実は自民党と大差がないということを確認しなければならない。そもそも、免許更新制度や全国学力テスト等は政権交代以前からその限界が指摘されており、廃止は自然の流れであってことさら特筆すべき問題ではない。

 むしろ我々が着目しなければならないのは、〇六年当時の教育基本法改悪攻防の過程で、民主党という党派の本質が明らかになっているいるということである。

当時、民主党は教育基本法改悪に対して何ら対抗することなく、むしろこの改悪を自らのヘゲモニーのもとで実現しようとした。最大野党であった民主党は教育基本法改悪案の「代案」なるものを提示し、野党的立場から教育基本法の改悪に手を差し伸べたのである。教育基本法の改悪成立を許すのか否かという局面にあって、攻防の焦点を改悪案の「中身」の問題にすり替え、基本法改悪そのものを積極的に容認していった党派が民主党であった。すなわち、教育基本法改悪と断固として闘い、戦争のための教育再編を許さないという全国の教育労働者と労働者階級人民の闘いに対して、民主党はかかる闘いを支援するどころか足を引っ張る存在でしかなかったのである。

 この歴史的事実は何を意味するか。それは自民党から民主党に政権が移行しようとも、本質的な教育政策路線に変化はないということであり、日帝の教育政策路線の根幹として既に改悪教育基本法路線が位置付けられているということである。

 改悪教育基本法路線とはなにか。それは「愛国心」教育と「差別・選別」教育の徹底であり、新自由主義を基調とした競争原理の導入による教育現場の分断支配の貫徹である。同時にそれは、国家イデオロギー注入とともに、一部エリート集団の育成とその他の被支配階級を明確に線引きするための選別機関として学校教育を改編しようということである。

 それは現在、商業マスコミ用語で「教育格差」と表現されている事態でもある。「教育格差」とは、明らかに改悪教育基本法路線がもたらしたものである。

 そして「日の丸・君が代」攻防とは、こうした改悪教育基本法路線との先鋭的闘いの一形態でもあり、今後も熾烈さを増すであろう。

 実際、民主党に政権が交代して以降でも文部科学省は、天皇在位二十年式典当日の十一月十二日に合わせての「日の丸」掲揚を各教育委員会を通じて公立学校に要請している。奈良県教育委員会では、この要請を受けた形で県内各小中高校の実施状況を調査したとされている。本来から言えば、教育活動に関係のない天皇式典に合わせての「日の丸」掲揚義務なぞ存在しない。しかし、現実には天皇式典に合わせた「日の丸」強制が強行されているのである。

 以上の事実からも明らかなように、民主党政権になろうとも改悪教育基本法は既に規定路線として教育現場で走り始めているのであり、民主党にこれを阻止する決意も無ければ能力もないことは明らかである。

 我々はあらためて、民主党政権下における改悪教育基本法路線と対決していかなかればならない。すなわち、教育基本法が改悪されてなお現場で頑強に闘う教職員との連帯を堅持し、ともに闘っていかなければならない。「教え子を戦場に送るな」という日教組結成の精神を継承して、反戦の中身で「愛国心」教育と差別・選別教育と闘う教職員を孤立させてはならない。教育現場の分断支配を乗り越える団結の創造をもって、改悪教育基本法路線との総対決を構えていこうではないか。

 今夏、闘う教職員はアジア共同行動日本連絡会議の仲介によって韓国ツアーを実現し、韓国・全教組内左派との討論・結合関係を深化させてきている。時局宣言弾圧に対する日本側の抗議運動が準備されて、国境を越えた団結関係を作り上げようとしている。

 プロアレタリア国際主義を掲げ、改悪教育基本法路線と対決しよう!闘う教職員との連帯し、「日の丸・君が代」の強制に反対しよう!教育基本法改悪反対運動の地平を継承・発展させ、改悪教育基本法路線と全人民規模で対決せよ!



  ●2「教員免許制度改革法案」を許すな


 教員養成課程について民主党は「マニュフェスト」のなかで「六年制(修士)とし、養成と研修の充実を図る」と記載し、川端文部科学相は就任直後に「着手は早速にさせたい」と発言している。十月十四日鈴木文科副大臣は、「来年度中に新しい制度設計を進める。環境が整い次第、現行制度から移行していく形で発展進化させたい」と述べ、はやければ二〇一一年度の導入を示している。そして、教育基本法改悪直後に行われた教育三法改悪に基づいて導入された「教員免許更新制度」には慎重に対応するとしている。

 民主党にとってこの「教員免許取得六年制」は「マニュフェスト」と称される選挙公約にも掲げられた、いわば民主党版「教育改革」の柱である。そして今年四月に導入した「教員免許更新制度」については廃止が決定された。

 日教組を支持団体とする民主党にとって、「教員免許更新制度」廃止は自民党政治の刷新でもあり、今後の選挙をにらんだうえでの「教員票」獲得のための手段でもあろう。

 しかし、その「代案」として出された「免許取得六年制」は、けっして人民の側に立ったものではなく、むしろより巧妙に改悪教育基本法の路線に従ったものであると言わざるを得ない。

 民主党は今年三月の通常国会で参議院に、「教育職員の資質及び能力の向上のための教職員免許の改革に関する法律(案)」なるものを提出している。来年一月通常国会に提出されるであろう「免許改革法案」のひな型である。

 この改革法案文章は全十条で構成されている。

 第一条には「目的」として、「この法律は、質の高い学校教育を実現するためには、高い資質及び能力を有する教職員……学校教育に携わることが不可欠である……」と述べている。すなわち、言外に言わんとするのは、日本の教育がダメになったのは教員の質が低下したということであり、従来の教員免許制度の下では教員の質を高めることはできないということである。こうした論議は明らかに教育基本法改悪当時に行われた論議を継承するものである。それは、現在の教育問題―矛盾の主原因を個々の教職員の「資質」に還元した発想であり、その底流には「戦後民主主義教育」に対する「限界」としての旧教育基本法の否定的評価がある。

 そして第五条の一では「教諭の普通免許状は、専門免許状及び一般免許状に区分すること」となっている。この「専門免許状」とは「教諭として一般的に必要とされる資質及び能力の基礎の上に、教科指導、生活・進路指導等又は学校経営の各専門分野において、更に研究と修養を積み、資質及び能力を向上させた者に対して授与する免許状」と位置付けられているものである。

 そしてこの「専門免許状」なるものを取得する資格は、「一般免許状」を有するとともに、「教諭の実務その他これに類する教育に関する実務(学校経営についての専門免許状を受けようとする者については、企業、団体等における組織運営の実務を含む)に八年以上携わったこと」とされている。そして、これら資格条件を満たしたうえで「必要と認めれる科目の単位を教職大学院において修得」して「専門免許状」が授与される。これは明らかに教職員の分断攻撃である。一般と区別された「専門免許状」とは「主任教諭」制度にも対応した免許制度であることは間違いない。

 この間東京都では、教育現場に「主任教諭」なるものを導入し、旧来の教職員の賃金体系を改悪し職務・職階制度を導入することをもって職場を分断・支配しようという攻撃が発生している。民主党が考案した「一般免許状」と「専門免許状」なる制度も、こうした教職員の職場現場の分断支配策として機能することは間違いない。

 また「専門免許状」で危険なのは、「学校経営についての専門免許状を受けようとする者については、企業・団体等における組織運営の実務を含む」経験が必要、とされている点である。これは明らかに、校長等の管理職を民間から引っ張ってくることをも想定した内容である。

 改悪教育基本法下において、民間企業の役員経験者が学校経営―管理職として就任するという状況が意識的に追求されてきた。「民間の活力」なるものを閉鎖的な教育現場に持ち込み活性化を促すという考え方である。新自由主義を理念とする改悪教育基本法にとって、こうした民間活力の導入―すなわち競争原理の徹底による全体の活性化という方向性は当然である。しかしその実態は差別・選別教育の徹底であり、経済的余裕のある家庭の子どもたちだけの学力が保障されるという、「教育格差」と呼ばれる状況を作り出すことである。

 そして「一般免許状」であるが、それは「修士の学位を有し……一年間の教育実習その他の教科および教職に関する科目の単位を教職員大学院その他の大学院若しくは大学において修得した者」と定められている。

 すなわち、教職員専門大学の大学院まで行き、かつ一年間の教育実習を受けなければ教員免許は発行されないということである。従来であれば、教員養成専門の大学でなくても教職課程を履修していれば教員免許は発行されたのであるが、免許が授与されるまでのハードルが格段に高くなる。この制度が成立するれば、教員になるためには少なくとも教員専門大学院までの六年間が必要になる。しかもこれまではせいぜい三〜四週間程度に過ぎなかった教育実習を、今後は一年間経験しなければならないとされる。
 まさに医師免許なみに教員免許のハードルをあげる、ということだ。

 医師免許がそうであるように、今後は教員免許を取得する場合にもそれなりの費用ががかかるということであり、学生が教員になるための経済的問題が発生してくる。そればかりではない、「一年間の教育実習」の間の生活費はどうするのか。教育実習に費やす一年間には賃金が発生するのか、それともあくまで「実習」としてタダ働きさせるのか。角度を変えて見れば、医者のインターン制度がそうであるように適当に、働かせることができる安価な労働力として教育実習を位置付けることもできる、ということでもある。

 そして「免許制度改革法案」の最大の問題は第九条にある。そこには「教職員が法令の規定に故意に違反し、又は教職員にたるにふさわしくない非行があって、その情状が重いと認められるときに、免許状を授与した者がその免許状を取り上げることができる制度を設ける」と書かれている。

 すなわち、「日の丸・君が代」反対運動をはじめとする闘いに決起した教職員に対して、教員免許を取り上げることが可能となるということである。ある意味、「免職処分」より悪質な攻撃である。当局はこうした処分を乱発することを極力避けようとするかもしれない。しかし、たとえそうであったとしても、このような「免許改革法案」が成立すれば、それだけで現場教職員の反発―闘いを押さえ込むための恫喝として十二分に機能できる。これは明らかに、闘う教職員の現場からの排除・一掃を目的とした改悪教育基本法の中身そのものである。

 以上、我々は以下の観点をもって民主党が提起する「教育職員免許制度改革法案」に反対する。

 第一に、これは「一般免許状」と「専門免許状」の分断に表現されるごとく、教職員の分断支配攻撃そのものである。東京都の「主任教諭」制度と対応した職務・職階制度導入の全国化につながる攻撃である。そして「一年間の教育実習」なる制度も、「実習」の名のもとに教職員を目指す者を一年間働かせるということであり、事実上の不安定雇用―非正規雇用的に労働力を使うということである。非正規雇用形態の拡大としての職場分断攻撃である。

 第二に、教員免許取得まで大学院まで含めた六年が必要となり、そのために当然学費の増大を引き起こす。各人の経済的問題が教職員になれるか否かを左右する、ということである。まさしく教員免許を取得するにも「格差」の問題が横たわるということであり、「貧困」に苦しめられる労働者階級人民はそこから排除されてしまうということである。

 第三に、民間出身でしかも専門大学院で修得できる程の経済的余裕を持つ者に学校経営者への門戸を開くことをもって、教育現場に徹底した競争原理を導入しようという攻撃である。それは、差別・選別教育の拡大としてより一層の「教育格差」をもたらす攻撃である。

 第四に、免許状を取り上げる制度を導入することをもって、闘う教職員を教育現場から排除しようという攻撃であり、教職員の闘いを事前に弾圧しようという恫喝攻撃に他ならない。

 そして最後に、以上の中身は「愛国心」教育と新自由主義―市場経済的競争原理の導入を旗印とする改悪教育基本法路線そのものである。すなわち、民主党が準備する「教員免許改革法案」とは改悪教育基本法路線の民主党的表現に他ならない。よって我々は、教育基本法改悪反対闘争の地平を継承・発展させる立場から、断固としてこの「教員免許改革法案」成立に反対するものである!来年一月の法案成立阻止に向けて闘っていこうではないか!



  ●3 国際主義を掲げ改悪教育基本法路線と対決しよう


 今夏、闘う教職員は韓国・全教組と交流関係を深化すべく、韓国ツアーを貫徹した。「韓国・全教組と交流する教職員と市民の会」として行われた本ツアーは、江華島での歴史学習なども含んだ大衆的ツアーとして行われたのである。そして、このツアーにおける全教組との交流討論の課程で、「時局宣言」というインターネット署名運動を行った全教組に対する不当弾圧に抗議する運動を日本で起こせないかという提起がなされた。これをうけ、ツアー参加者が抗議署名運動を準備中である。我々はこうした国境を越えた反弾圧の闘い―実践的連帯関係の構築を断固支持するものである。改悪教育基本法路線との闘いは、一国的課題ではけっしてない。むしろ、広く国際主義の観点に思想的・実践的にアプローチせねば展望は開かれない。

 プロレタリア国際主義の旗を掲げて、改悪教育基本法路線と対決しよう!

 来年一月の通常国会において、民主党案の「教員免許改革法案」が提出される。我々はこれこそ民主党による改悪教育基本法路線攻撃としてとらえ、断固とした反対運動に決起しようではないか。そして二月には「都教委包囲ネット」に集う闘う教職員が春の「日の丸・君が代」攻防を見据えた集会を提起している。闘う教職員との連帯にかけ2・6集会に結集しよう。そして来春、「日の丸・君が代」攻防を闘おう!民間右翼―排外主義者の妨害をはねのけて、地域住民と連帯した教科書採択攻防を闘おう。


 

 

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