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  ■8・29 東京都総合防災訓練反対に決起しよう

  差別・排外主義のもとでの戦争動員訓練を許すな




 東京都は二月十九日付で、二〇一〇年の「防災訓練」の日程を発表した。その内容とは@実施日は八月二十九日(日)とし、メイン会場を文京区としている。A目的としては、(イ)震災直後の自助、共助体制の確立、(ロ)各防災機関の対応の能力の向上、(ハ)九都県市間(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市)の連携の促進をうたっている。しかし、肝心の訓練内容の詳細についてはいまだに発表していないが、東大、東洋大の構内を使用することが明らかになっている。こうした大学構内の使用ははじめてである。また、自主組織の名目で今年は大量の高校生の動員が計画されているという。今回は明らかに都市型訓練の典型といえそうだが、これは十一月の「横浜APEC」をにらんだ都市型弾圧訓練にも繋がるものとして計画されているといえるだろう。
 例年どおりとはいえ、住民に内容を公表せずに訓練参加だけを強制するやりかたは、許すことができない。そもそも石原がぶち上げた二〇〇〇年「ビッグレスキュー」以降、自衛隊参加は当たり前になり、最近では米軍参加が恒常化している。また、防災訓練とは名ばかりなっており、自衛隊をどのように動かすのかとか、米軍や米軍基地といかにドッキングさせるとかいったことが大きな関心事となっている。まさにこれは戦争訓練なのかといった批判がたかまっていくなかで、ますます秘密化が進んでいるのだ。我々はこうした動きを、断固弾劾するためにも八月二十九日には米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練反対闘争に立ち上がろうではないか。
 石原都知事は、常に差別的暴言を振りまきながら排外主義を煽り、さも東京都の治安が悪いかのように扇動し、「治安の回復」を叫んでいる。彼にとって、「防災訓練」は治安維持訓練に取って代わるものだ。人命救助など、二の次なのだ。朝鮮民主主義人民共和国に対し、「ミサイルでも打ち込んで、軍隊で制圧でもしなければダメ」だと公言してはばからない輩なのだ。我々は、八十七年前の関東大震災時に虐殺された多くの朝鮮人・中国人の無念と痛苦な歴史の思いをうけとめ、二度とこうした蛮行を許してはならないとの立場から、東京都の石原の姿勢を徹底的に弾劾しながらこの十年間闘ってきた。一昨年は、排外主義右翼がインターネットを使い、集会破壊をもくろみ暴力的介入をなそうとしたが、断固集会を防衛しぬいて闘った。今日の「在特会」などとの闘いも重要な課題である。この十年間の訓練の特徴と闘いの意義を確認しておこう。


 ●(1)東京都総合防災訓練の狙い

 ▼@自衛隊、米軍の参加の危険性


 そもそもが関東大震災の悲劇を繰り返すなとの趣旨で、毎年九月一日に行われていたのが防災訓練だ。決定的に質的にかわったのは、二〇〇〇年の「ビッグレスキュー」からである。武装した自衛隊が、首都中枢の治安を担う練馬駐屯地から電車にのりこみ行進したり、銀座の歩道を装甲車が走行したのだ。まったく人命救助とは縁遠いことが防災訓練として喧伝されたのだ。当時、石原は帝国主義者どもによる朝鮮半島の緊張化策動を支持しながら、「不法入国で多くの三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返している」などと、差別的言辞を撒き散らしながら危機を煽っていたのだ。まさに震災時に軍隊、警察が体制の危機を煽り、自警団を組織し、朝鮮人たちを大量に虐殺していった歴史を見据えて発言していたのだ。自衛隊の参加は、これまでおおっぴらに住民参加の軍事演習が出来ない戦後体制に、ある意味では風穴をあける行動だったのだ。こんな防災訓練をどうして許せるだろうか。
 二〇〇〇年以降、自衛隊参加が恒常化しているが、その間日本はイラク、アフガニスタン戦争に参戦するなど、大きく右に舵をきってきた。防災訓練会場はそうした自衛隊の海外派兵―侵略反革命戦争に参戦することを肯定し宣伝する場ともなっている。また訓練会場で青少年相手に自衛官の勧誘が堂々と行われているのだ。住民参加のあらゆる形態での組織化は、自衛隊との合同訓練の絶好の機会となっているのといえる。
 最近の最大の問題は米軍の公然たる参加である。二〇〇七年に初めて、米海軍艦船「エルキャック」とホバークラフト型揚陸艦が参加した。続いて二〇〇八年には米艦船「エセックス」、二〇〇九年には初めて在日米陸、海、空三軍による、医療搬送がおこなわれた。このときは米海軍揚陸艦への陸上自衛隊ヘリの着艦訓練も行っており、戦争を想定した実働訓練そのものであり、年々その規模は拡大している。アメリカの戦争行動の拡大と米軍再編は世界から批判を浴びてきた。イラク、アフガニスタン戦争で大量の戦死者を出し続けている米軍にとって「防災」に名を借りた艦隊の展開や救助訓練は絶好の機会といえる。その際、トリアージ(識別救急)が位置づけられ、負傷者の選別、つまり戦場で生存確率が高いほうを優先して医療搬送を行うことが公然と言われているのだ。断じて許してはならない。日本の住民と直接交流することで自らの犯罪を免罪できるとでも思っているのであろうか。米軍は神奈川県下の関連基地、横田基地の使用を認め、日本での戦時訓練の一端を担っているのだ。まさに、石原によって防災訓練が治安維持訓練、戦争訓練へと変質しエスカレートしてきていることに注目し、徹底的に弾劾しなければならない。

 ▼A住民組織化の危険性

 最近のもうひとつの危険な傾向についても見ておかねばならない。これまで警察、消防をはじめとする公共団体や大手民間企業への支援、協力要請そして各町内会への参加要請はなかば強制的に行われているのが「自主的防災」の実態である。東京都は、その組織化の輪を広げようとし、その目を青少年に向けているのだ。〇七年の足立区会場では地元の高校生が動員され訓練の組織化が強制された。〇八年の多摩地区四市一町参加のメイン会場には小学生から高校生が動員されている。昨年の調布の市街地では、少年少女の消防友の会の団体が街にくりだし被害等のチェックをさせられているし、高校生が民間の警備会社員やその他の機関と一緒に任務分担され救援活動に動員されている。
 またここ数年、メイン会場では、派手な救助パフォーマンスが繰り広げられ、およそ実際の救助訓練というよりは自衛隊や米軍参加を見せ付けるイベントと化してる。関東大震災時における、差別や虐殺の真実はいまだに覆い隠されていることこそ問題にしていかなければならない。

 ▼B「国民保護」実働訓練との一体化

 二〇〇四年に有事立法の一つである「国民保護法」が成立した。アメリカの「対テロ戦争」支援を名目にしているが、有事法制の仕上げというべき内容であり、まさに「戦争の出来る国家」づくりそのものなのだ。軍隊と住民と民間企業が合同で合法的に戦争訓練できる体制を作りたいという日本国家の目論見である。その後各自治体に条例化が強制された。しかし、地元に米軍基地等を抱えるところでは米軍基地を治外法権並みに扱ってなんの防衛なのだといった皮肉な反論もあり、条例化していない自治体もあるのだ。名目はテロリストによる施設の襲撃と破壊からの防衛と避難がメインだが。まさに問題なのは、この間防災訓練で培ってきた組織と行動がそのまま生かされ、あたかもそれが防災訓練であるかのように言われ、ますます住民・行政・企業の参加の組織化が強化され強制されてきていることだ。防災訓練なのか戦争訓練なのかわからないままなし崩し的に訓練が計画され実行されている。その組織の要には警察、自衛隊が入り込み、訓練計画をコントロールしている。しかし、あまりにもおぞましく、荒唐無稽の襲撃想定のため、住民からは常に批判の声が出ている代物なのだ。
 国民保護法は制定されて六年がたつが、図上、実働訓練を含めてほとんどの都道府県で実施されている。二〇〇五年、福井県で「原発がテロ攻撃を受けた」と想定したはじめての実働訓練以来、生物兵器をはじめありとあらゆる戦争行動を想定し、訓練計画が練られている。また「洞爺湖サミット」前の北海道訓練や東京での都職員による警備と不審人物のチェックが当然のこととして実施されている。
 この十一月の「横浜APEC」に向けた動きがある。さる六月二十五日に九都県市首脳会議(座長・石原)なるものが開催され、首都圏における防災対策強化と同時に「国民保護の推進」に係わる国への提案なる会議がおこなわれているのだ。そこには「我が国の政治・経済の中心である首都圏は、複数の国際空港や国際港湾を擁しており、武力攻撃事態や大規模テロ等の発生時には、首都機能や経済機能に重大な影響が出ることが予想され、また、その事態は、自治体の対処能力を超えるもものと危惧される」そのために「国民保護法」が制定されたのだから、国が率先して具体的対応をすべきであると提言しているのだ。
 すでに東京では「横浜APEC」への警視庁からの正式の警備要請として、七月十三日に「テロ防止 東京パートナーシップ訓練」と銘打った訓練が都庁内で行われ、銃器対策部隊による逮捕、爆発物対策実演等々が行われている。新自由主義グローバリゼーションの推進役としての日本での会議開催は日帝ブルジョアジーにとっての死活問題でもあるのだ。この機に一挙に反動政治と弾圧を強めようとする攻撃と断固闘い、「国民保護」実働訓練を許さず、「横浜APEC」粉砕闘争にも決起しようではないか。


 ●(2)反動強める石原都政を許すな

 ▼@差別・排外主義者石原を許すな

 石原は都政を食いものにしてきた。「新東京銀行」の破産と一千億にものぼる不明金問題では開き直り、その付けをまたもや都民に押し付けている。オリンピック誘致運動では数百億円も湯水のように経費を使い、度重なる海外出張での使途不明金問題は数知れない。貧困と格差問題への取り組みはまったくなおざりにされ、当事者にその気が無いのが問題などと悪罵を投げつけている。石原によれば、差別―貧困―格差などは個人の能力の無さ、努力の無さの結果と見なされる。実際、石原は、民衆支配は一部の選ばれたエリートが行えば良いといっている正真正銘のファシストなのだ。
 先の参院選では石原は、平沼や与謝野らの「たちあがれ日本」なる極右ブルジョア政党の立ち上げに参画した。しかし彼らはなんら躍進することは無かった。憲法改正と外国人への参政権反対なるものだけを掲げ、排外主義を煽るだけの連中は見向きもされなかったともいえる。それにしても防災訓練をめぐるこの十年の闘いはファシスト・石原との闘いといってもいいほどだ。防災訓練反対闘争においては、会場周辺からの野宿労働者の排除や追い出しを許さない都庁交渉を行ってきた。こうした闘いの地平を引き継いで「防災訓練」反対運動を闘おう。

 ▼A治安管理目的の反動条例弾劾

 石原は、東京の治安維持管理のために様々な悪政を敷いている。昨年、改悪した東京都「安全・安心まちづくり条例」は、我々の思想信条・表現の自由を奪うとんでもない条例だ。そもそもが「防犯」を目的に作られたものなのだが、あえて「改正」しようとしたのは、これまでの一文に「繁華街等における安全・安心の確保等」というものを付け加えるというものだが、具体的な処置は「指針」にゆだねると抽象的になっている。問題はこの「指針」なるものの基準を出した「有識者懇談会」なるものの答申書である。簡単に言えば「大衆に迷惑となるようなパフォーマンス、街の秩序を乱す行為の防止」すなわち街中でのデモや情宣、抗議行動などをいつでも恣意的に規制できるというものだ。また、繁華街は「外国人の不法就労の温床」とも決め付けており、取締りの対象ともいっている。まさに街全体を監視と取締りの対象に出来るという反動条例なのだ。
 さらに石原は「ネットカフェ規制条例」なるものも押し出してきた。今日言われている「ネットカフェ難民」といわれる人々の実態においては、野宿労働者や派遣切りにあい宿舎を追い出された人が一時的休息に利用していることが多いことも判明している。まさに貧困と格差が生み出した現実なのだ。それに対し石原はあたかもそれが「悪の温床」であるかのように描き出し、利用者は「身分を明らかにするものを提示せよ」と義務付けしたのだ。失業者たちをさらに追い詰め、放り出しているのだ。これも「安全・安心街づくり条例」の一環であり、警察主導の「監視社会」の推進なのだ。
 まさに石原の街づくりとは治安管理弾圧体制作りそのものである。資本主義社会の崩壊に恐れおののく石原にはファシスト的手法でしか社会の動揺を抑えることができないのだ。極悪右翼そのものなのだ。こんな輩は一刻も早く打倒しなければならない。


 ●(3)差別・排外主義集団の襲撃を許さず闘おう

 一昨年の江東区、中央区をメインとした「防災訓練」に反対する実行委の集会・デモに対して突然右翼どもが襲いかかり、妨害してきた。「朝鮮、部落、野宿者の排除」を叫び、聞くに堪えない罵詈雑言を発し続けた。聞けば、インターネットで呼びかけて押しかけてきたという、まさに今日の在特会のはしりだったのだ。何の内容も無い奴らの発言は、ただひたすら、今日の社会の問題、すなわち戦争、貧困、失業等々は、「在日外国人が日本にいるから生起する」のだとか、「人権だとか、差別だとか、権利を擁護する連中がいるから社会がダメになる」だとか言い放ち、矛盾の矛先を外国人に向けているだけなのだ。まさに戦争前夜にドイツではユダヤ人排斥が、イタリアではファシズムが、日本では朝鮮、中国への植民地化攻撃と民族排斥、軍国主義が蔓延したようなことが起きているのだ。
 かれらは在日朝鮮人を標的にした攻撃を激化させている。京都の朝鮮第一初級学校への言われなき襲撃、「慰安婦」問題を闘う者への襲撃はエスカレートしたが、しかし同時に在日をはじめとする民衆の怒りも大きくなり、在特会弾劾・追放包囲網が作られ、京都集会、全関西集会と連続した反撃を組織し、勝利的に推移してきている。首都圏においても、不法滞在を口実に親子が引き離されることに抗議し闘うフィリピン家族に対し、あろうことか在特会らは居住地域に押しかけ、日本からの追放デモをやっている。また日韓連帯集会破壊を目論んでの暴力的介入、朝鮮学校の無償化を求める集会へ破壊介入しようとするなど、その攻撃はますますエスカレートしてきている。戦争責任に目をつむり、歴史を平気で歪曲し、在日を恐怖に落としこめようとするこうした輩をどうして許せようか。貧困と格差にあえぐ若者の心情につけこみ煽り、組織化し、襲撃させている。こんなことは絶対に許してはならない。
 我々の反「防災訓練」の原点は、体制防衛のために他民族を虐殺し、歴史まで隠蔽してきたあの関東大震災時の悲劇を二度と起こさないというところにある。いまこそ、こうした輩の跋扈を許さない闘いが必要なのだ。襲撃への断固とした防衛と同時に、かれらを社会的に追い詰め、放逐していく運動、あらゆる階層、地域を網羅し、かれらの登場を許さない広範な運動を推し進めていこうではないか。
 おりしも、前鳩山政権は全高校の無償化を公約した。しかし、あの中井国家公安委員長・拉致問題担当大臣の発言にあるように「拉致被害者をもたらした国の出身者にも援助を出すのはいかがであろうか」という、何の根拠も、必然性も無い論理で、朝鮮学校だけは除外するという前代未聞の決定をおこなったのだ。朝鮮高級学校が、日本の他の高校と同等の水準で教育が行われているのは、いまや当たり前の常識なのだ。それを押しのけてまでの朝鮮高校の排除は差別そのものである。断じて許してはならない。東京ではすでに三月と六月に朝鮮高校の無償化の実現を要求する集会とデモが、多くの在日朝鮮人高校生なども参加し、日本人との共闘としても成功裏に勝ち取られている。この当たり前の要求が認められるか否かはこの日本での差別排外主義扇動に勝利できるか否かの試金石でもある。鳩山の「友愛政治」なるもののポリシーがとんでもない差別と排斥の代物であったことを忘れてはならない。
 「防災訓練」反対運動は、決して一過性の一課題で済まされるものではない。今日の戦争と排外主義攻撃との闘いでもある。多くの仲間の皆さんが八月二十九日の早朝監視行動と抗議の集会・デモに参集されんことを心から訴えたい。


 

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