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 ■08年6・10サミット弾圧と組織犯罪対策法
  



●1 組対法適用攻撃打ち破る


 昨年十一月六日、京都地裁は二〇〇八年サミット事前弾圧であるでっち上げ「雇用保険詐欺」事件に、「懲役二年(執行猶予三年)」という許し難い有罪判決を出した。被告とされた労働者Aさんと仲間は直ちに控訴し、京都府警と裁判所の弾圧結託を弾劾するたたかいに立ちあがっている。
 この事件は、一連のサミット事前弾圧のひとつであり、全国のでたらめなでっち上げ逮捕のひとつであった。サミット事前弾圧は、五・六・七月だけで二十件、被逮捕者数は七十名を超えた。「詐欺」「免状不実記載」などのあからさまなでっち上げも乱発された。異常な警備態勢と「反テロ運動」の組織化、闘う組織に対する組対法初適用など、画歴史的な弾圧がおこなわれたのである。
 いずれも、たたかう個人の日常を調べ上げありもしない容疑をでっち上げ、その「容疑」でたたかう組織弾圧をもくろんだものであった。「容疑」と関係のつかない多くの場所を家宅捜索し、不当な押収をおこない、更なるでっち上げ逮捕を狙ったのである。
「容疑」の材料を得るために、行政機関窓口の通常業務をむりやり変更させ「被害」をでっち上げた。Aさんの場合は職業安定所であり、九州では行政の障害者介護窓口が警察のいいなりになった。九州のこの事件では、初めて闘う組織に組対法(組織犯罪処罰法)を適用した。
 Aさんの事件は、完全黙秘闘争と闘う仲間の京都府警に対する抗議闘争で組織対策法弾圧を粉砕することに成功したが、京都地裁は警察のでっち上げに加担する判決を出したのである。
 警察庁は、本年二〇一〇年十一月の横浜APEC警備を、「サミット以上の厳しい警備態勢で、全力で挑む」と位置づけ対策本部を発足させた。二万人以上の警察官を動員、予算も増やし、地元神奈川県警などでは昨年六月段階から「対テロ武装訓練」を始めている。今年も〇八年サミット弾圧を上回るでっち上げ弾圧が乱発されることが十分予想される。日常的な警戒と身辺の整頓を、確実に実行しよう。
 一方で、共謀罪は五年にわたる攻防の末、自公政権の終焉と共に三度めの廃案となった。共謀罪は、二人以上が「共謀」した場合、その「犯罪」が実行されなくても犯罪が成立するという前代未問のものだった。「共謀」の内容が「取り囲んで追求しよう」なら監禁罪や脅迫罪に、「蹴飛ばしてやる」なら暴行罪になるわけだ。さらに、この「犯罪」を密告した者は免罪されるのだから、ほぼ百パーセント「でっち上げ法」である。この法律の運用の実際がどのようなものか、想像してみればその階級的性格がはっきりわかる。核は「共謀」であって、何らかの組織・グループが対象である。米帝主導の対テロ「国際的組織犯罪条約」批准のための新法という名目での、「組織犯罪」を防止―事前弾圧するための悪法だった。この稀代の悪法は廃案となったが、上述したように組対法が〇八年サミット弾圧で初適用されたことをはっきり確認しておく必要がある。
 組対法三法は九九年に成立し、これまでいわゆる「暴力団」や詐欺商法の何件かに適用された。しかし、オウム真理教に対する破防法適用のとん挫に対して「破防法は使いづらい。きちっとした組織犯罪法が必要」(当時の公安当局)という経過でできた法であって、当初から破防法代わりの法なのである。その政治目的に沿った初適用がサミットで解禁されたのである。組対法は、組織的犯罪処罰法、盗聴法、刑訴法―証人保護規定の三法である。
 組対法三法のうち、組織的犯罪処罰法の核心は、@組織犯罪の処罰強化とA犯罪収益規制の二つである。つまり、同じ「犯罪」でもそれが「組織的に」行われたとされれば加重処罰される。また、Aは「犯罪による収益」とそれ以外の「混和財産」も没収や処分禁止になる。さらに、「犯人」の隠匿や証拠隠滅、財産の隠匿も通常より加重処罰となる。つまり、Aさんの場合は、「詐欺」を組織的に行ったとして通常の「詐欺」より重い刑罰を課し、かつ、その「不正取得」した「雇用保険料」とそれ以外の組織的財産(とされるものは無限になる)を没収しようと狙ったのである。京都府警は、この事件でわが統一委員会の事務所を家宅捜索しており、あきらかにこの「組織」を統一委員会と定めてターゲットにしたのである。そのためにAさんを犠牲にしたのであり、改めて怒りを禁じえない。
 組対法は共謀罪と違って、「犯罪が行われた」ことが出発点になっている。しかし、Aさんの場合のように、その「犯罪」そのものをでっち上げられるなら、共謀罪と同じく闘う組織そのものを違法とする、存在そのものを「犯罪」とすることになる。まさしく戦時法、戦前の治安立法と同じである。闘う組織、闘う労働組合、あらゆる反戦勢力を非合法化するものになる。今後ともに、組対法適用を絶対に許してはならないのである。
 Aさんとその仲間は完全黙秘と連日の弾劾行動、宣伝戦で組対法適用を粉砕した。われわれはもう一度、Aさんたちのたたかいに学び、完全黙秘闘争の勝利を確認することができる。完黙闘争とは「黙秘権の行使」=「不利なことは話さなくて良い権利」一般ではない。相手に一切何も与えないという、全てを拘束された状態で出来る唯一のたたかいであり、誰にでもできる単純なたたかいだ。何も与えないということは、事態がそれ以上進まないということだ。完黙は万能の武器にもなる攻勢的なたたかいなのである。
 組対法ではその「犯罪」が「組織の意思決定に基づいて」おこなわれ、その「利益の団体への帰属」が証明されなければならない。「指揮命令」の系統関係や「任務分担」などの人的関係も立証されなければならない。つまり、統一委員会が「雇用保険の不正受給」を組織決定し、何時、だれだれの指揮命令によって確認されて、Aさんがそのことを分担し自覚の上で実行し、かつ、その利益を「組織収益」として提出したことが公判で立証されなければならないのだ。ありえないでっち上げだが、証言を強要し、弾圧を拡大することによってさらに状況証拠で「事件」を創るのだ。数々の冤罪事件も同じ「自白強要」によっていることは、あきらかになっている。しかし、警察が違法な情報収集でこれらのストーリーをつぎはぎしでっち上げようとも、完黙・非転向のたたかいで無効にすることができる。Aさんはでっち上げ弾圧に対して、一個の闘う労働者として完黙・非転向を貫いた。その闘いによって、彼らのストーリーを無効にし、組対法適用攻撃を打ち破ったのである。
 京都地裁の有罪判決は、Aさんの闘いに対する報復である。京都府警を弾劾し、控訴審闘争の勝利を勝ち取ろう。全国から公判闘争へ、「六・十サミット弾圧に抗議する会」へ支援を集中しよう。



●2 見せしめの裁判員裁判


 昨年五月に開始された裁判員制度にもとづく裁判は、八月三日の最初の適用公判から昨年だけでも百四十二件、今年に入ってからはどんどん増えている。最も多い東京高裁の場合、今年三月は連日一〜三件の裁判員裁判が行われている。適用当初は反対運動を意識し比較的軽い事件から始めた結果、重罪事件や否認事件が滞り、今年に入ってペースをあげている。裁判員の辞退も多く出頭率も低下し続け、最高裁判所が三月に発表した「平均値」ですら三割程度であって、現状はもっと低くなっている。この「現代の赤紙」に理由なく不出頭すれば、本来過料が課せられる。しかし、辞退希望者があまりに多く、辞退をみとめざるを得なくなっており、今のところ過料の適用はないようだ。
 懸念された問題は次々現実となっている。公判前手続きの結果、裁判員裁判でもあらかじめ争点が整理されていて、法廷はおさらいにすぎず「裁判の公開」のためのショーである。日程は予測通り、三日間が三分の一、残りは四日間で行われている。超スピード裁判である。また、判決内容も検察求刑どおりが圧倒的に多く、軽くなったのは以前に比してあきらかに少なく、重罰化が顕著である。制度開始前の保護観察付判決は数パーセントにすぎなかったのが、裁判員裁判の判決では六十パーセントにもなった。
 検察は、広告会社を使って立証をビジュアル化し、まさに「(犯行を)解りやすく」した。ワイドショーのような印象付けが行われ、事件があたかも真実であるかのように提示される。これらは、すべて素人の裁判員に理解しやすくするためとされている。実際は、情報操作であり誘導である。裁判員裁判で弁護した弁護士は「全く公平ではない。九割が検察のペースだ」「検察が必ず勝つ」「弁護士は立会人にすぎない」と述べている。また、被害者参加も多数行われた結果、「被害者の気持ち」にひきずられた判決が多く出た。また、裁判員から「どうして助けなかったのか」などの糾問的質問や証拠と関係のない質問が行われるなどした。被害者家族からの被告人尋問も行われ、法廷は三人の裁判官、六人の裁判員、検事数人、被害者家族という中で被告人と弁護人が指弾される雰囲気が支配することが多々あった。
 裁判所は公判終了後に裁判員の記者会見をセットし、制度の順調さをアピールしているが、その会見からも裁判員の負担が重いことが漏れてくる。マスコミ報道からも「酒を飲んで泣いた」「疲れた」「思い出したくない、二度とやりたくない」「守秘義務に自信がない」などの声が多い。これから積み残した重罪事件や否認(無罪)事件が沢山行われる。裁判員の負担は一層重くなる。
 裁判員制度は一連の司法改革の仕上げの制度であり、裁判のスピード化、密室化、重罰化、報復化を国民動員の下に行うものである。冤罪が増えるのは目に見えている。近代刑法は、事実と社会的背景を究明して犯罪を予防する考え方に立ち、無辜の救済、公正が裁判の根幹であった。裁判員裁判は、事実も背景もどうでもよく被告人を断罪することに重きを置く、野蛮な見せしめである。
 また、検事の不起訴(にした案件)について検討する検察審議会制度も裁判員制度と共に改変されたことも注目しなければならない。これまでは、検察審議会が「起訴すべき」という議決をしても、それに拘束されることはなかった。申し立てのうち「不起訴不当」議決はこれまで、三〜九パーセントという低いもので、かつ、議決を受けて再捜査から起訴となったのは一割に満たなかった。ところが、改変後は審査会が「不起訴不当」議決をしたのち起訴されない場合、再審査し、再び同じ議決が出ると強制的に起訴となるのである。そして、起訴するのは検察官でなく、裁判所が選ぶ「指定弁護士」が行い、法廷で立証活動をする。場合によっては捜査もするのである。これはどういうことか。裁判員制度とおなじで、国民から選ばれる審査員の議決が拘束力を持つことになったということで、「不起訴不当」が起訴につながる率が飛躍的にあがることになった。審議会への申し立てはだれでもできるのであり、被害者からの申し立て、起訴という流れも強まることになる。ここでも重罰化が国民を動員して行われる。小沢一郎の「土地取引きを巡る事件」も審査会に申し立てられており、新制度での審議の行方が注目されているのである。
 司法改革の、ひとつの柱である弁護士の増員はどう進んだか。今年三月、日弁連会長選挙が始まって以来の再投票で主流派ではない宇都宮弁護士が勝利した。争点は、弁護士の増員反対であったという(二年前の会長選の争点は裁判員制度であった)。司法改革推進主流派も「見直し」に言及しており、弁護士増員は混乱要因となっている。弁護士の増員は「規制緩和」のひとつとして財界から要求されたものだった。弁護士も市場の競争下に置き、「法と正義」ではなく、資本家の利益を守る能力を競わせようとするものである。司法改革に屈服協力した日弁連の主流派までも、その結果に危機を感じている。
 毎年三千人、これまでの六倍もの弁護士を誕生させようという計画は、実際には法科大学院卒業者の司法試験合格率が低く届いていない。四年目にして、合格者を一人も出せなかった法科大学院の一つはすでに閉校となった。しかしそれでも、この四年間で弁護士は大幅に増え、失業状態の弁護士が千人いると言われている。一方で、解禁された広告を駆使して、専門業務で売り上げを伸ばしブランドを確立する事務所も増えた。まさに、財界の思う通りの事態が進行した。資本は金にまかせて弁護士をふるいにかけ、安く買いたたく。「人権派」弁護士は、収入を得る仕事から締め出され、干上がってしまう構造になった。裁判員裁判で被害者に付き添い、被告を追及する、あるいは、検察審議会議決を受けて起訴立証するという、これまでにない「職務」を弁護士がおこなう。弁護士の職務である「法と正義、人権の擁護」のために活動することは、ほんの一部になってしまうのだ。
 司法改革は、法テラス(日本司法支援センター)による弁護活動の取り込みと弁護士自治の破壊を行った。法テラスは「法的トラブルでお困りの時は法テラスへ」と呼びかけている。それまで弁護士か弁護士会に行ったはずの人々を、国の法テラスが奪い取り、配下のスタッフ弁護士が処理する。国選弁護人も、法テラスの契約弁護士から選ばれる。まさに、国の法律事務所だ。弁護士の自治によって保障される司法の独立は破壊された。
 今回の日弁連会長選挙は、司法改革を問いなおすことは直接争点になってはいない。裁判員制度に反対しているわけでもない。しかし、地方の弁護士会が東京弁護士会などの大きな会で構成する主流派(改革推進派)の候補を拒否し、宇都宮氏を支援したことははっきりしている。前回の高山氏(裁判員制度反対をかかげた)は四十パーセントの支持を得た。この二氏の支持層はかなり重なっていると見られる。司法改革に疑問を持ち、裁判員制度に反対する弁護士、弁護士会も多いのだ。司法改革に無頓着、無関心であった民事中心の弁護士にも、ようやくその本質が見えてきたのだ。
 司法改革、裁判員制度に反対する闘いは、これからが本番になる。



●3 民主党政権の治安対策


 民主党はマニュフェストで、@取り調べの可視化 A警察機能の拡充 B人権救済機関の設置をあげている。共謀罪は反対だが「国際組織犯罪条約」の批准は必要という立場であり、野党時代に修正案を出した。また司法改革は賛成、裁判員制度については賛成だが一部反対という立場だった。
 鳩山政権は法相に社会党出身で弁護士の千葉景子を据え、一方で、国家公安委員長・拉致問題担当・防災担当大臣に中井洽を置いた。中井は旧民社党出身で、歴代の新党結成に参加し、羽田内閣時には法相をしている。また、拉致議連の会長代行を続けている。
 中井国家公安委員長は就任当初から、国家公安委員会の体制強化をぶちあげた(ちなみに、連合の高木も委員になった)。また、民主党公約の「取り調べ可視化」について「一方的」と批判し、犯罪摘発率を上げてスピード化するために「おとり調査と司法取り引き」の導入とセットでなければならないと述べている。さらに、高校授業料無償化について、朝鮮学校だけををはずすよう執拗に要請し差別排斥の先兵となっている。法制政審議会をとおった時効廃止についても、積極的に支持発言をしている。
 予算案では拉致対策本部の人員の拡充を図り、民間人として脱北支援活動家を登用する。費用を五億八千万円から十二億六千万円へと倍増。警察を八百人増員。また、「安心、安全街づくり」のための監視カメラ増設費用として十五億円、入管の強化に十四億円を増額している。全体的に公安予算が増加されていることがはっきりしている。
 また、法務省予算では、治安維持のための職員の増強、法秩序の確立、司法制度改革の推進など、項目的にも、内容的にも自公政権を受け継いだものでしかない。核心は、小泉政権以来の「司法改革」という名の司法独立の破壊、弁護士自治の破壊であり、ここに手を触れないで、「取り調べの可視化」を付け加えただけである。が、それも、中井公安委員長の横やりで「とりあえずは研究会発足」という処に保留となった。氷見事件柳原さんや足利事件菅谷さん、布川事件や鹿児島の志布志事件、狭山事件の石川さんの訴えを切り捨てた。しかも、前政権時の昨春参院を通過したにもかかわらず引っ込めたわけで、大裏切りだ。
 民主連立政権はインド洋沖給油を中止しながら、アフガニスタンへの民生支援(治安維持部隊としての警察官育成を含む)を行う。この活動は攻撃される可能性が十分ある。また、ハイチ大地震に際しては、「PKO五原則」(停戦合意、両当事者の承認など)を「内戦ではなく、治安の悪化とみなす」と無視し、論議なしで自衛隊を派遣した。社民党が「復興支援に限る」という条件で賛成したことも見のがしてはならない。現地は、どんなに言い繕おうとも内戦状態があり、平和的な支援一般ではすまない局面もあるのである。武器携行の派遣は、自衛隊の海外派兵そのものである。
 七月参院選まで、自民党勢力の分解、必死の巻き返しで政局ははっきりしないが、民主党のブレはこの短時間ですでに明らかになった。民主党が二大保守政党の一方でしかなく、改憲による戦争のできる「普通の国家」をめざすものであるとしても、政権交代に託した国民の声をはやばやと捨て去った。普天間基地問題しかり、派遣法しかりである。こと治安対策に至っては階級的性格がむき出しになる領域だ。人権救済機関の設置も、今のところ限りなく後景化させており、「可視化」を棚上げしたら、新味すら何もない。ブルジョア政党としての民主党はこの領域では、自公政権「よりまし」かどうかすらあやしいのである。
 闘う勢力は、民主党連立政権の司法・法務・治安対策に何ら幻想を持つことはできない。
 貧困と切り捨てに対して反撃に立ちあがる労働者階級と共に、たたかいと拠点を防衛し、革命的組織をしっかりと建設しなければならない。組対法適用攻撃、組織壊滅弾圧とたたかい、横浜APECを迎え撃とう。

 

 

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