共産主義者同盟(統一委員会)

 

■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

ENGLISH

■リンク

 

□ホームに戻る

 ■控訴審闘争を終えて

  08年サミット弾圧裁判をふり返る




 四月十四日、「〇八年サミット弾圧」裁判の控訴審・判決公判が大阪高裁において開かれ、「被告人」とされたAさんに対して「控訴棄却」という許し難い有罪判決が出された。
 今年一月に弁護団から提出された、一審判決の誤りをただす控訴趣意書の内容に正面から答えることなく、わずか十分程度の公判をたった一度開廷しただけで、「有罪」であることをすべての前提に置き、無理矢理「理由」をこじつけて一審判決(懲役二年、執行猶予三年)を正当化しただけのものである。我々は徹底してこれを弾劾する。
 同時に、被弾圧者Aさんの完全黙秘のたたかい、不当逮捕直後から闘われた労組や大衆団体の抗議行動が、国家権力・京都府警の組織犯罪対策法適用のもくろみをうち破り、さらには公判闘争への大衆的な決起などによって、この弾圧の本質を暴き出したという成果をしっかりと確認しておこう。
 しかし、たたかいの発展の中で、弾圧は強まることはあってもなくなることはない。今回の弾圧に対するたたかいの成果をふまえ、反弾圧闘争の陣形のさらなる強化を勝ち取ろう。


 ●1章 「サミット弾圧」の経過

 二〇〇八年六月十日Aさんが、京都府警によって「詐欺罪」の容疑で逮捕された。その「容疑」とは、「二〇〇四年五月に、当時失業中だったAさんが職安で雇用保険の受給資格申請を行い、失業保険金の給付を受けたこと」、これが「詐欺」にあたるというのである。
 同じ日、Aさんの自宅やAさんの所属する労組や市民団体が共同使用する事務所、さらには統一委員会の事務所などに家宅捜索がおこなわれ、労組事務所からは労組役員名簿や会計書類などが押収された。
 Aさんは二十日に起訴(二十五日に保釈)され、八月からは公判闘争がたたかわれた。

 ●2章 G8サミット反対闘争への弾圧

 二〇〇八年六月は、北海道洞爺湖サミット首脳会合(七月)や、大阪・財務相会合(六月十三・十四日)、京都・外務相会合(六月二十六・二十七日)を控え、各地で反サミット運動が高揚していた。  
 すでに四年以上も経過した雇用保険受給を取り上げて「詐欺」事件として捜査を進めることなど、通常では考えられない。事実、「被害者」となる職安は、この弾圧を主導した京都府警警備部警備第三課に促されて、逮捕の直前に「被害」届を出している。また、労働組合の事務所に強制捜査に入り、「事件」とは何ら関係のない書類を押収したが、これらの書類は、裁判には一切証拠として提出されることはなかったのである。
 このような事実を見れば、その目的が反サミット闘争に対する事前弾圧であることは明らかだ。サミット直前の数ヵ月間に全国で百人近くの活動家が逮捕されるという空前の事前弾圧が行われており、この事件もまたその一環としてなされたものである。Aさんが所属する地域合同労組は、倒産や解雇、賃下げ、経営者のパワハラやセクハラなどに苦しめられる労働者の生活と権利を守るたたかいに地道に取り組んできた。この弾圧は、京都南部の労働者の「駆け込み寺」的な存在である地域合同労組を労働者大衆から遠ざけ、分断するという狙いも併せ持っていたのだ。京都府警は「労組活動家による雇用保険金(セーフティーネット)詐取」という構図を作り上げ、マスコミを通じてデマを流布する、という暴挙を行ったのだった。

 ●3章 組対法適用に向けたでっち上げ弾圧

 京都府警は詐欺罪だけではなく、「組織犯罪対策法」を適用し、統一委員会やアジア共同行動、労組などへの組織弾圧をもくろんでいた。「雇用保険金(失業等給付金)をだまし取ることを組織的に決定し、その金を組織に提供した」という筋書きをでっち上げ、Aさんに対する取り調べの中でも、捜査官はしつこく「誰の指示でやったのだ」「金をカンパしただろう」などと発言している。
 しかし、事実は全く違う。したがって捜索ではどの場所においても「証拠品」を発見することなどできず、Aさんからも当然、そのような供述は得られなかった。

 ●4章 大衆的反撃戦を展開

 Aさんは勾留された宇治警察署での取り調べに対して完全黙秘を貫き、一枚の調書も作成させなかった。同時に、労組などを中心に宇治警察署への抗議とAさんへの激励行動、弾圧を主導した京都府警、逮捕・捜索を許可した京都地裁への抗議と申し入れなどの行動が闘われた。こうした行動の結果、Aさんは起訴後の六月二十五日に保釈され、当日夕方に京都市内で行われたサミット外相会談反対集会で、当逮捕・弾圧を弾劾する発言を行った。
 以降二年にわたって闘われた京都地裁・大阪高裁での公判闘争には、京都や大阪の労組、アジア共同行動や反サミット闘争をともに闘った多くの仲間が毎回、傍聴・支援に結集し、不当・不法な捜査・逮捕を許さない、でっち上げ弾圧を弾劾するという姿勢を改めて示した。

 ●5章 公判闘争(一審・京都地裁、二審・大阪高裁)

第一回公判は〇八年八月八日に開かれ、Aさんと弁護団は、捜査・逮捕・起訴が政治弾圧を目的とした不当なものであること、起訴状にあるような「詐欺」の事実はないことなどを挙げ、「公訴棄却」「無実」を主張した。その後、十ヵ月の間に計七回の「期日間整理」手続きを経て、第二回公判(〇九年九月九日)、第三回公判(九月十六日)、第四回公判(十月二日)が連続して闘われた。この中で、次のような重大な点が明らかにされた。
@京都府警の無法な捜査
 第二回公判に証人として出廷した堀英明(当時の役職は京都府警本部警備三課課長補佐)は、雇用保険の「不正受給」や「詐欺」事件などの管轄でない警備課が、なぜ今回、雇用保険に関わる「詐欺」事件を摘発したのかという弁護人の質問に対して、「事件」に着手する前に、Aさんに関わる公共料金の契約名義や、住民票、さらには銀行口座などの照会を、何の具体的な嫌疑もないまま行ったこと、それだけではなく「京都の活動家についてはすべて問題意識を持って」このような捜査を行っている、などと、京都府警が日常的に政治弾圧のために活動家の日常生活を、あらゆる方法で監視している驚くべき実態が明らかになった。
A職安窓口での「切り捨て」
 第二、三回公判には、当時Aさんを担当した職安職員、京都労働局職業安定課雇用保険監察官がそれぞれ出廷し、失業認定の取り扱いについて厚労省通達に反した運用を行い、失業者のセーフティネットである失業保険を申請段階で切り捨てていく不当な取り扱いをしていることが明らかになった。こうした「水際作戦」によって、日本の失業者の77%は失業保険を受給できないでいる。
B経営の側の違法行為は一切摘発しなかった警察・検察の差別捜査
 Aさんは当時、M社からF運輸への派遣ドライバーとしてアルバイトをしていた。そしてこの二つの会社は、派遣法違反、労基法違反(労働契約書なし、就業規則なし、三六協定も所定労働時間も残業代もなし)、雇用保険法・労災保険法違反など、重大な違法行為を重ねていた。警察・検察は、捜査の過程でそれらのことを熟知していたにもかかわらず、このような違法を重ねる企業を摘発せず、Aさんだけを逮捕・起訴したのだ。
 しかし一審・京都地裁(宮崎英一裁判長)は、この不法きわまりない京都府警の捜査を「違法な点は見あたらない」として是認し、法令に基づかない職安窓口の取り扱いには「合理性がある」と認め、他方でAさんに対しては〇九年十一月六日、懲役二年(執行猶予三年)の有罪判決を出したのである。
 控訴審・大阪高裁(森岡安廣裁判長)もまた、弁護団提出の控訴趣意書の論点に正面から答えることなく、控訴棄却という不当な有罪判決を出した(二〇一〇年四月十四日)。
 一審・二審判決を批判し続けるとともに、今回の弾圧が反G8サミット闘争と国際連帯運動、反戦・平和運動、労働組合運動などへの弾圧・解体攻撃である点をしっかりと見据え、こうした闘いをより発展させていくことで、今回の弾圧への新たな反撃としていく。

 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.