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  ソウルG20、横浜APECを粉砕しよう!

  横浜に総結集し、反帝国際共同闘争を闘おう

  日米首脳会談許すな!アジア米軍総撤収をかちとろう!




 百億円以上を投入した警備体制を敷いた横浜APECが迫ってきた。それには、二万数千名の警察をはじめ、海上保安庁・消防・自衛隊、さらに米軍も動員するというのだ。米帝、日帝、中国などアジア太平洋二十一カ国・地域の頭目が、十一月十三―十四日、横浜みなとみらいのパシフィコ会場に集う。「自由化」をかかげ、独占資本・金融資本の利潤追求と、それを守るための「対テロ戦争」が横浜APECによって強められる。こんなことが許せるはずがない。アジア共同行動(AWC)日本連など、人民の闘いがはじまっている。反グローバリゼーション・反資本主義闘争の発展をめぐる日和見主義潮流を批判し、反帝・国際主義を堅持して闘おう。ソウルG20サミットと闘う韓国労働者民衆との国際連帯行動を組織し、G20―APECに対する反帝国際共同闘争をすすめよう。


 ●1章 APECは労働者人民の搾取を強める域内機構

 APEC(アジア太平洋経済協力会議)は、オーストラリアと日本の主導で一九八九年からはじまった。欧州のEUや、米・カナダ自由貿易協定など、地域統合の動きに触発されて形成された「開かれた地域協力」をかかげる域内機構である。当初、オーストラリア、日本、ニュージーランド、韓国、米国、カナダ、フィリピン、マレーシア、タイ、インドネシア、シンガポール、ブルネイの十二カ国・地域からスタート。九一年に中国、香港、台湾が、九三年にパプア・ニューギニア、メキシコ、九四年にチリ、九八年にペルー、ロシア、ベトナムが次々と加盟し、現在に到る。九三年のAPECシアトル会合で、米帝・クリントンの主導で初の非公式首脳会議が開催された。以降、APEC首脳会合(サミット)が定例化し、米帝の巻き返しが強まる。
 九四年のインドネシア・ボゴールAPECは節目であった。「先進エコノミー(国・地域)は二〇一〇年までに、途上国エコノミーは二〇二〇年までに自由で開かれた貿易・投資を達成する」というボゴール目標が合意された。翌年の大阪APECでは、自由化にむけた具体的な行動計画や、円滑化・技術協力の推進が確認された。
 ほぼ二〇年にわたるAPECの主な経緯を振り返ろう。ボゴール目標設定の後、米帝は域内の市場開放圧力をいっそうつよめ、ヘゲモニーを握ろうとする。米帝はボゴール宣言を超えた「早期自主的分野別自由化」を九六年のマニラ行動指針に含めたが、日本、中国などがAPECの「自主性」で対抗する。米帝は、WTOによる法的拘束力をもって推進する分野と、APECで自主的に進める分野とに分類し、通商交渉を進めることとした。
 二〇〇一年、APECは対テロ戦争協力を確認した。9・11事件直後、上海会合で「テロ対策に関するAPEC首脳声明」が出された。〇三年、「テロ対策専門委員会」がAPEC内に設置される。米帝・ブッシュはアフガン・イラク戦争への「有志連合」形成にAPEC首脳会合を活用した。また朝鮮民主主義人民共和国の核開発問題にたいして、〇四年チリ・サンティアゴAPECでは圧力を強めた。バリ島で爆弾事件が起きた時、オーストラリア政府は域内の対テロ・先制攻撃に踏み切る宣言を発した。APECにおいて、「テロ活動」は域内の「不安定要因」であり、各国政府は貿易・投資・観光・流通など経済活動への「直接的挑戦」とみなし、対テロ戦争協力や治安弾圧などをきわめて重視し、位置づけている。
 またAPECは、WTO・IMF・世銀とおなじく、労働者人民に敵対する国際的機構である。金融資本や多国籍企業の侵出を促進する新自由主義政策は、現地の労働運動・労働基本権、農民運動・住民運動などを抑圧し、環境・生活・健康・いのちを破壊するとして、激しい対立を引き起した。各国地域の政府当局は、「ビジネス環境整備」や「非関税障壁」の対象として、労働者人民の闘いと権利を押しつぶすことが行ってきた。APECは独占資本の利益を擁護することで、格差を拡大し、労働者・農民・民衆の貧困化を拡大するのである。
 それ故、APEC開催地では、人民の激しい抵抗闘争がくりひろげられてきた。九五年大阪、九六年マニラ、九八年マレーシア、そして〇五年釜山、〇七年シドニー、〇八年リマなどで反APEC闘争が闘われた。それは、九九年十一月のシアトルWTO粉砕闘争や、〇一年七月のジェノバG8粉砕闘争など、巨万の反グローバリゼーション決起と同じく、広範な反資本主義・反帝国主義の国際的闘争の一環であった。
 香港WTO粉砕闘争ならびに各国の利害対立の激化によって、WTOドーハラウンドは完全に行き詰まった。かわって二国間や地域のFTA(自由貿易協定)締結が世界中で加速している。APECでも、〇四年、民間経営者代表で構成された「ビジネス諮問委員会」は、「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」構想を提案した。翌〇六年ハノイ会合で、米帝がFTAAPを公式に提案した。一方、米国抜きの経済統合の動きがASEAN+3(日韓中)や、それに印・豪・ニュージーランドを加えた東アジア十六カ国サミットで進行した。これに米帝が危機感をつよめ、FTAAPを出したのだ。
 APECは、米日豪の帝国主義諸国、中国など新興大国、韓国などが、権益を強化する道具であり、域内の労働者人民を搾取・略奪し、そのために対テロ戦争協力などの抑圧支配を強める域内機構である。労働者人民にとって、APECは粉砕の対象でしかないのだ。


 ●2章 市場争奪の主導権争い強める横浜APEC

 世界のGDPの54%、貿易額の52%、人口の41%を占める大経済圏であるAPEC。横浜APECは、自由化のボゴール目標を達成する節目である。域内の平均実行関税率は当初の16・9%から、〇五年で5・5%へと引き下げられたといわれ、ボゴール目標の達成は確実視されている。かわって、「貿易投資の自由化」「成長戦略と地域統合」「人間の安全保障」の三本柱による、FTAAP構想を二〇二〇年までに達成するという、新たな「横浜目標」が画策されている。「高成長」をとげるアジア太平洋経済の支配をめぐって、主導権争いも強まっている。とくに中国、米帝、日帝の間で激しい。
 GDP世界第二位となった資本主義大国・中国は、ASEAN+3(日中韓)を中心とする地域経済統合を主張し、具体化を急いでいる。すでに中国とASEANのFTAが実施され、十八億の人口で九割の関税撤廃が進んだ。中国周辺地域の貿易では人民元決済が確実に広がっている。二兆四千五百億ドルという世界一のドル外貨保有高を持つ中国は権益の買占めを強めている。世界各地の天然資源や食料用農地、先端技術や優良企業などがどんどん中国資本の傘下に組み込まれている。
 米帝はFTAAPを提案した。しかし、これは広範囲であり、「非市場国」と規定する中国を含み、APEC域内では「自主的」自由化を方法とするため、あまり期待していないのが実情だ。むしろ米帝は、APECに対しては新自由主義的「構造改革」や「市場開放」を強く迫っている。くわえて米帝主導の独自なFTA権益圏を進めている。それが、シンガポール・チリ・ニュージーランド・ブルネイに、米、豪、ベトナム、ペルーが参加した「環太平洋戦略的経済連携協定」(TPP)である。TPPは、二〇一五年までに全品の関税撤廃をめざすFTAである。マレーシア、韓国も参加を検討している。恐慌からの脱出策の一つとしてオバマ政権は、ドルの通貨安を放置し、五年以内の輸出倍増計画やバイ・アメリカン条項など保護主義化をもって国益重視の通商政策をとっている。
 長期デフレが続く日帝。横浜APECの議長国として、主導権の回復に必死である。二〇二〇年「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」実現の「横浜目標」を合意することは、日帝にとって死活的戦略である。菅民主党政権は、FTAAP推進を「『元気な日本』復活のシナリオ」の新成長戦略における重要な柱に据え、六月、閣議決定した。
 日本経団連は次のようなアジア太平洋戦略を提示して、政府を突き上げた。日本経団連は「アジア太平洋地域の持続的成長をめざして――二〇一〇年APEC議長国 日本の責任――」をまとめ、閣議決定の数日前に公表した。そのポイントの第一は、「アジア太平洋地域が持続的成長を遂げるか否かは、……わが国経済の担い手である企業の経営に甚大な影響をあたえる」と、FTAAPの死活的重要性を明確化したことである。第二には、FTAAPが日帝の生命線であるとしたことである。「アジア太平洋全域をカバーする制度インフラとして地域経済統合を推進し、経済的に国境を感じさせないシームレスな環境を実現することによって、経済活動の主な担い手である企業のこの地域における活動を支えることを持続的成長実現のための戦略の中核に位置づけるべきである」。第三には、FTAAP構築の道筋を提案した。二〇一五年のASEAN自由貿易地域(AFTA)の実現を戦略的に活用してASEAN+6の経済統合を確固たるものとすること、同時に、日帝も米帝主導のTPPへ参加し、アジア太平洋にまたがる経済統合の橋渡し役を担い、FTAAPへ繋ぐというのだ。第四には、FTAAPを日帝本国の構造改革と直結することである。「アジアを中心に世界とのヒト・モノ・カネの流れの障壁を除去すること、それらの日本への流れを倍増させることを目標にかかげ、重点的な国内改革を積極的に進める」というのだ。
 このため、農産物自由化の本格的開始が狙われている。はじまった農家への戸別補償制度を拡充し、農業自由化へ大転換しようとしている。またアジア太平洋各地で原発・スマートグリッド(次世代送電網)・鉄道・上下水道・幹線道路などのインフラ整備計画の莫大な利権が生まれている。日帝はこれを獲得するために、インフラ輸出戦略を立ち上げた。九月、日印EPA(経済提携協定)の大筋合意を決めたように、日帝はアジア権益支配の巻き返しを必死で探っている。
 まさに横浜APECにおいて、米日など帝国主義や、中国、韓国等、各地の大ブルジョアジーの間の市場争奪戦が激烈化している。それはアジア太平洋の労働者人民にたいする超過利潤獲得の拡大強化にほかならない。


 ●3章 反グローバリゼーション運動の歴史的課題

 世界恐慌が深まっている。米帝のFRB議長・バーナンキは、九月、「政策を総動員しているのに、失業率低下につながるほどの景気回復にいたっていない」と嘆いた。9・5%、一千万人を超える失業を抱え、過剰債務・金融危機から抜け出せない米国経済。ギリシャ、ポルトガル、スペインなど南欧諸国の巨額な財政赤字を噴出させる欧州経済も沈没したままである。いうでもなく日帝の経済危機も深い。中国でさえ、不動産バブル崩壊―不良債権化の危機を抱え、貧富の巨大な格差、貧困層・失業問題など、その社会的危機は深い。
 世界の貧富格差はまったく酷い。富裕層(居住用不動産をのぞく資産が百万ドル以上)は、前年比17%増、約一千万人となった。日本では21%増の百六十五万人を数える。
 世界の貧困層は、年収入三千ドル(約二十五万五千円)以下で暮らす人口が四十億人である。三十億人が一日二ドル以下で生活し、八〇年代後半に比して、10%増えているのだ。
 日本の年収二百万円以下の貧困層は一千万人を越え、ワーキングプアが約七百万人弱もいる。生活保護受給者が百九十万人(六月)に達し、毎月一―二万づつ増えている。米国でも七人に一人が貧困層である。
 失業状態も厳しい。ILOによれば、二十五歳未満の若者の世界平均失業率は、今年末で13・1%へ悪化。北アフリカや中東など「イスラム圏」では23%である。若者の失業者八百二十万人に上る。世界の失業者は平均6・5%、数は二億一千万人となる。雇用破壊と使い捨て化により、労働者の非正規化も増え続けている。
 すさまじい現代帝国主義のグローバリゼーション支配。これに歴史的な抵抗運動が反グローバリゼーション闘争として沸き立ってきた。まず九四年一月のNAFTA発効と同時にメキシコ・サパティスタが蜂起した。「我々は五百年間も闘ってきた。我々の、そして子どもたちのための平和や正義はどこにもない。だから、今こそいいたい。もうたくさんだ」と。以降、IMF・世銀、WTO、APEC、G8、G20などに対して、強烈なインパクトをもつ大衆決起がつづいている。ポルトアレグレ、ムンバイの世界社会フォーラムでは「もう一つ世界は可能だ」のスローガンが溢れかえった。
 こうした闘いの発展を牽引していかなくてはならない。その際、我々は、マルクス・エンゲルスの資本主義批判やレーニン『帝国主義論』を継承する。これをもって、現代帝国主義打倒とプロレタリア社会主義革命の総路線を鍛え、取り組んでいかねばならない。
 マルクスは、『共産党宣言』で、当時のグローバリゼーションを次のように描写した。「大工業はすでにアメリカの発見によって準備されていた世界市場をつくりあげた。世界市場は、商業、航海、陸上交通に計り知れない発展をもたらした。この発展はまた工業に反作用して、それを大きく伸ばした。」「自分の生産物の販路をつねにますます拡大しようという欲望にかりたてられて、ブルジョア階級は全地球をかけまわる。」「一言でいえば、ブルジョア階級は、かれら自身の姿に型どって世界を創造するのである」と。そして「党宣言」の結論は明解である。「支配階級をして共産主義革命の前に戦慄せしめよ!プロレタリアはこの革命によって鉄鎖のほかに失うなにもない。彼らの得るのは全世界である。万国のプロレタリア団結せよ!」と。
 レーニンは『帝国主義論』で社会主義革命の不可避性を次のように訴えた。「帝国主義とは、独占体と金融資本との支配が形成されて、資本の輸出が顕著な意義を獲得し、国際トラストによる世界の分割がはじまり、最大の資本主義諸国による地球の全領土の分割が完了した、そういう発展段階の資本主義である」「独占は、自由競争から生長しながらも、自由競争を排除せず、自由競争のうえにこれとならんで存在し、そのことによって幾多のとくに先鋭で激烈な矛盾、あつれき、衝突を生み出す。独占は資本主義からより高度の制度への過渡である」「生産は社会的となるが、取得は依然として私的である。社会的生産手段は依然として少数の人々の私的所有である。形式的に認められる自由競争の一般的な枠は、依然として残っている。そして少数の独占者たちの残りの住民にたいする抑圧は、今までの百倍も重く、きびしく、耐え難いものとなる。」
 「帝国主義は社会主義革命の前夜であること、社会排外主義は社会主義に対する完全な裏切りであり、ブルジョアジーの側への完全な移行であること、労働運動のこの分裂は帝国主義の客観的条件と関連するものであること」など。
 レーニンは、日和見主義・改良主義の誤った態度・戦術を批判し、帝国主義との闘いに勝利した。ロシア革命を実現したのだった。
 現代においても、革命運動の理論と経験は総括的に生かされていくべきだ。すなわち、労働者階級・被抑圧人民の国際的に団結した闘いを建設すること、排外主義を粉砕すること、改良派・日和見主義を批判し、独占ブルジョアジーとその暴力国家である帝国主義を実力で打倒する社会主義革命派の国際的潮流を台頭させていくこと、これらは歴史的課題である。
 なかでも排外主義・人種差別主義を粉砕する闘いは特に重要となっている。今日、世界中で排外主義攻撃がすさまじい。フランスでは、サルコジ政権がロマ人民への迫害を激化させている。ロマ人民・キャンプを襲撃し、東欧圏へ国外退去させているが、これに八万人規模の抗議デモが組織された。日本でも、在特会による在日朝鮮人・韓国人、外国人労働者、障害者など被差別大衆への襲撃事件が多発してきた。やつら排外主義集団は、若者たちの失業・困窮・閉塞感につけこんで、これを被差別大衆への憎悪や攻撃へと駆り立て、日帝の危機の右からの突破―天皇制強化と戦争国家化を策動している。ぜったいに許してはならない。各地で意識的な闘いが取り組まれている。
 反グローバリゼーション・反資本主義の自然発生性を引き出し、労働者、被抑圧人民、被差別大衆の生活・権利・文化などの諸要求を組織し、排外主義勢力を粉砕し、国際主義とプロレタリア社会主義革命の闘いへと牽引していかねばならない。


 ●4章 ソウルG20―横浜APEC粉砕の闘いを推進しよう

 ソウルG20や横浜APECに反対するさまざまな動きが進んでいる。日韓の入管・治安弾圧当局は、国境を越えた闘いを弾圧するために、活動家のブラックリスト化・入国拒否・事前弾圧などを強めている。弾圧をはねのけ、広範な闘いをつくりだそうではないか。アジア共同行動(AWC)日本連、労働運動活動者評議会、反侵略アジア学生共同行動・あすじゃの三団体よびかけによって、「戦争と貧困にNO! 金融資本・多国籍企業の支配を打ち破れ! ソウルG20―横浜APECに反対する国際行動」が組織されている。われわれは、この反APEC国際行動の闘いを断固支持する。

 ▼@ソウルG20との闘い

 ソウルG20サミットが十一月十一―十二日に行われる。警察と国軍を出動させた「対テロ」警備を敷き、同時に米韓合同軍による朝鮮民主主義人民共和国への朝鮮戦争重圧態勢をとりながら、G20サミットが開催されるのだ。G20警護安全特別法が制定された。警護区域に指定されたG20サミットの関連場所では、集会デモを禁止し、いっさいの弾圧が可能とされるという。十月一日のこの弾圧法施行に、国際抗議行動が集中した。
 G20は、G8メンバーに中国・ブラジル・インド・オーストラリア・韓国などとEUで構成されている。首脳会合は〇八年十一月、恐慌の真っ只中ではじまった。正式には「金融と世界経済に関する首脳会合」。世界恐慌の深刻化や大銀行・大企業の連続倒産に歯止めをかけ、それらの救済がG20会合で国際調整された。ロンドン・サミットでは、総額五兆ドルの財政出動の実施や四千五百億ドルの途上国支援を合意。腐りきった大銀行や大企業の救済に莫大な国家資本=税金が投入され、一億円を超える高額報酬がブルジョアジーたちへ配られた。開催地の各地で、失業・住宅喪失・貧困に苦しむ労働者人民が雇用・住宅・医療・教育の保障を求め、反G20闘争を繰りひろげた。昨年のロンドン、米国・ピッツバーグ、今年は六月のカナダ・トロント、そしてソウルとつづく。ソウルG20の焦点は、「金融と財政の健全化」「保護主義阻止」などである。金融資本の投機的暴走を抑え、その被害対策のために金融取引税や銀行税を導入すること、ならびに中核的自己資本比率7%規制に合意すること等である。膨大な財政赤字を三年後に半減するトロント合意のために(日本除外)、各国で増税・構造改革・リストラ合理化などの反労働者・反人民政策の点検もはじまる。
 韓国労働者民衆は、十月二十日のG20対応大討論集会、十一月七―十二日を抗議週間と定め、民主労総などの広範な民衆運動・社会団体を集めた「G20対応民衆委員会」を結成した。民主労働運動をきりひらいたチョン・テイル烈士の遺志を継ぐ11・7全国労働者大会、その後のソウル国際民衆会議、そしてG20サミット当日の11・11国際共同行動デーの闘いが予定されている。弾圧をはねのけ、現地派遣団を送り出し、反グローバリゼーション国際共同闘争の一翼を担う意義は決定的である。韓国労働者民衆の闘いに連帯し、ソウルG20反対の現地闘争・国際共同行動をぜひとも組織化しようではないか。

 ▼A横浜APEC反対、日米首脳会談粉砕

 闘いの第一は、横浜APECがもたらす格差拡大・貧困化、反労働者の攻撃を全面暴露し、階級的労働運動の決起をつくりだすことである。「貿易・投資の自由化」は、独占資本の生き残り競争を激化させ、労働者人民の搾取と使い捨てを強め、雇用破壊と貧困を拡大する。そうした「底辺への競争」を激烈化する。新自由主義的「規制緩和」によって、長時間労働・低賃金・非正規化を強め、「解雇の自由化」をも進めるのだ。それは、労働基準法を空洞化・改悪し、団結権・団体交渉権・スト権など労働基本権を抑圧し破壊するものとなる。資本は、とくに女性や若者、外国人労働者を強搾取の対象とし、非正規化・使い捨て・無権利化を強制しようとしている。APECでは、「ビジネス環境整備」と称する「労働市場の自由化・柔軟化」を各地で強制し、原則的な労働運動へ敵対・破壊を強めようとしている。APECの反労働者政策を暴露し、階級的労働運動勢力による闘いをすすめよう。
 第二には、差別分断・排外主義と闘い、学生・青年の総力決起や被差別大衆からの抗議を組織することである。若者の貧困化と不安定雇用、失業は、きわめて深刻である。日本でも若者の完全失業率は10%を越え、実際はその倍である。新自由主義の教育政策は、公費助成を削減し、能力主義・成果主義の差別選別を強め、学校に行けない・行きたくない若者を増やし、教育の機会均等を破壊した。格差社会化の攻撃が学生・青年を襲っている。学生・青年労働者を疎外感・閉塞感から解き放ち、連帯と団結を形成し、ブルジョアジーとの階級闘争へ組織することは決定的に重要である。学生・青年の全国的総決起をつくりだしていこう。
 新自由主義攻撃は「弱肉強食の自由化」であり、差別排外主義攻撃に他ならない。人間生活のいっさいを「商品化」し、市場競争原理に叩き込み、差別排外主義を促進し、生活・健康いのちと尊厳を破壊する。被差別大衆の自己解放闘争の前進と反APEC闘争を結合し闘おう。在特会など排外主義集団を解体する闘いを断固推し進めていこう。
 第三には、反帝国際共同闘争・実力抗議行動として闘うことである。反APEC闘争は、反グローバリゼーション反戦闘争として、国際共同行動が開催地で組織された。アジア共同行動(AWC)日本連は先駆的に闘ってきた。九五年の大阪から、マニラ、マレーシア、釜山、シドニー、そして今回の横浜と闘いを組織してきている。香港WTO反対闘争や、G8洞爺湖サミット反対の現地抗議行動も闘った。先にふれた「横浜APEC反対国際行動」には、韓国、フィリピン、台湾、インドネシア、米国や、先住民族など闘う団体が結集し闘おうとしている。大阪でも反APEC実行委がAWC大阪や労闘などによって形成され、十一月横浜闘争に合流する予定だ。
 この闘いの持つ積極的意義は、広範な労働者・学生青年・被差別大衆の決起をすすめ、反帝国主義・国際主義を鮮明にかかげ、排外主義勢力と闘い、資本主義的搾取制・帝国主義打倒―社会主義革命への闘争方向を内包していることにある。反グローバリゼーションの自然発生的闘いの内部には、「改良派」「日和見主義」潮流が少なくない。国際主義の思想と実践にたち、帝国主義打倒―プロレタリア社会主義革命の闘いへと牽引する反帝闘争派の国際潮流を登場させていくことは歴史的要請である。
 広範な労働者人民の決起を組織し、AWC日本連、労活評、あすじゃ三団体よびかけの「横浜APEC反対国際行動」を共に推進しよう。十月十七日の国際行動結成集会、同日の大阪集会、十一月十三―十四日の横浜現地闘争が準備されている。その後、横須賀反基地行動やAWC国際幹事国・地域会議(CCB)横須賀会合も予定されている。11・6APEC財務相京都会合に抗議する全関西闘争も、AWC京都実を軸に進められている。いっさいの弾圧をはねのけ、「横浜APEC反対国際行動」による決起集会、国際フォーラム、抗議集会・デモに総決起しよう。金融資本・多国籍企業の支配を粉砕する反帝国際共同闘争の歴史的前進をかちとろう。
 第四には、反基地反戦反核闘争と連帯し、日米首脳会談を粉砕することである。横浜APECにオバマが来て、日米首脳会談がある。辺野古新基地建設、岩国基地強大化・愛宕山米軍住宅、神奈川の基地強化、思いやり予算など米軍支援費用の増額、集団的自衛権行使など、米軍再編・日米軍事一体化を強め、新日米軍事同盟を固めることが狙われている。権益争奪が激化している東アジア情勢。朝鮮戦争危機、台湾海峡、釣魚台(日本名、尖閣諸島)などへ、日米帝の戦争出動が画策されている。
 辺野古新基地や米軍・自衛隊の増強を許さず、日米帝の差別軍事支配に抗して、自己決定権をもって闘う沖縄人民。防衛省の愛宕山買取・米軍住宅化の攻撃、轢殺事故や爆音、性暴力事件など岩国米軍基地被害の多発化、これらに「負けない」と裁判闘争・座り込みなど粘り強く闘う岩国住民。そしてAPEC開催地の横浜・神奈川における反基地闘争。これらの闘いと連帯し、結合して闘おう。加えて、アジア太平洋における反帝共同闘争として、アジア米軍総撤収、日米首脳会談粉砕、基地撤去―安保粉砕の闘いをすすめよう。
 福井の六月APECエネルギー相会合で原発大増設計画も確認されている。絶対に許せない。反戦反核被爆者解放闘争と横浜APEC反対を結合し、闘おう。
 以上、ともに闘わん。

 

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