共産主義者同盟(統一委員会)

 

■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームに戻る

  ■岩国基地大強化―愛宕山米軍住宅化反対

     岩国の闘いへの支援を強めよう!



 「米軍再編の見直し」を掲げた民主党政権がその公約を投げ捨て、そればかりか自民党政権時期にもまして「日米同盟深化」路線へとひた走り始めてすでに久しい。だが、辺野古新基地を許さない沖縄のたたかいが日米政府の米軍再編計画に巨大な打撃を与えている。そして神奈川など米軍再編計画の対象とされた米軍や自衛隊基地所在地の住民らは粘り強くたたかいを継続させている。
 普天間問題が宙に浮く中にあっても、「やれるところからやってゆく」(北澤防衛相)として、厚木艦載機部隊移駐などの岩国基地大強化計画は鳩山政権成立直後からも米軍再編「日米ロードマップ」に従って進められてきたところだった。何よりも、厚木部隊移駐でふくれあがる岩国基地所属兵員と家族らのために愛宕山開発跡地を米軍住宅などの米軍施設用地として取得するための費用百九十九億円が、今年度予算に計上されたことが政府の姿勢を如実にあらわしている。こうした政府の態度が明白になった昨年春以降岩国市民は、岩国基地強化に対する四つの訴訟をたたかい、五月一万人集会をたたかい、愛宕山跡地見守りの集い(一の日行動)を開始するなど、たたかいを継続させ発展させてきた。
そして、三月末の今年度予算期限の終了を前に、岩国市民はたたかいをさらに進展させている。

  ●岩国市民が県知事に要請

 二月二十一日、山口県知事との面談を求めて多くの岩国市民が県庁に登場した。支援を含めてその数百二十名。年度末を迎える中、愛宕山跡地の国―防衛省への売却をストップさせるための行動だ。とりわけ「愛宕山地域開発事業の処理問題の大きさ、切迫感」などのゆえに「県知事の姿勢・政治責任」を直接問いたいとして、県知事自身との会談を強く求めた行動であった。
 だが、県知事はその場に出席せず、県総務部理事と県岩国基地沖合移設対策室次長がこれに対応。
 岡村世話人代表をはじめ愛宕山を守る市民連絡協議会の方々、岩国市議、県議たちが次々と愛宕山跡地処理をめぐる県知事の考え方を質す中、県側からは「現時点では国への売却の環境にはない」との見解が明らかにされる。ただちに参加者から「それが県知事の見解、態度だと言い切れるのか。ただちに県知事をこの場に出せ」との追及が行なわれ、基地沖合移設対策室次長が県議らに連れられて県知事室へ向かうという一幕もあった。だが、県知事はそれにもかかわらず出席せず、沖合対策室次長から「県知事の直の発言として」としながら、跡地処理についての「地元の意向を尊重」というのは「市と市議会の協議した結果」のことだとして「住民の方々と直接会って意見を聞く考えはない」という点が語られる。それとともに「百九十九億円の跡地買い取り予算が年度末で期限切れとなるが、現時点で国から何のアクションもないし、今年度中の売却は事実上難しいと考えている。また県としても急いで売却しようとは考えていない。米軍再編に対する考え方も絡んでいる」との発言が伝えられた。
 後者の「米軍再編に関する考え方」に関してはさらに「米軍再編計画が不透明となっている。米軍再編計画は一つのパッケージと承知している。普天間問題が未解決で、岩国だけが計画通りに厚木艦載機部隊移駐が行われるというのは認められない」と県側が補足説明を行った。
 こうした県知事の見解・姿勢に対し、岡村代表世話人からすかさず「米軍再編計画が不透明な時だからこそ県として愛宕山を米軍住宅にするのには反対だという意思を表明すべきではないのか」などの追及がなされた。その後も県側とのやり取りが続いたのち、最後に岡村氏は「岩国での米軍再編が計画通りに進められるなら、岩国は完全に基地の街と化し、交付金に依存するばかりの活性化しない街になりかねない。そのことに強い危惧を抱いている。愛宕山への米軍住宅建設計画は岩国市の将来の発展の芽を摘む行動だ。跡地には民間活用なりの有効利用の方策を取ってもらいたい。知事にそのような観点はないのか、ぜひ直接会って話したい。今後も何度でも知事に会いにやってくる」と発言し、予定時間を大幅に超えた要請行動を終えた。
その後、県庁前広場で待機している岩国市民や支援の人々に合流し、その場で報告集会を開催。
 要請行動の概要が報告され、さらに運動を継続し、知事要請行動もさらに継続することを確認しあって、団結ガンバローでこの日の行動を終了したのだった。
 「地元―岩国市の意向」「国側の動き」などの留保条件付ではあっても、行動を通じて「予算期限切れとなっても愛宕山跡地売却を急がない」との県知事の態度表明を行わせた意義は大きい。

  ●「愛宕山開発事業廃止に法的根拠なし」と国が白状

 県知事要請行動から三日後の二十四日、広島地裁で愛宕山訴訟(愛宕山地域開発事業認可取消処分取消訴訟)第六回口頭弁論が開かれた。この日の法廷の焦点は、原告の旧地権者ら愛宕山地域住民が国―国交省に求めていた、事業認可取消処分の法的根拠の明示である。被告―国側はすでに二度にわたってこの点についての主張を延期してきたところであった。そして今回の準備書面において国側はついに、愛宕山事業の認可取り消しには「明文の規定はない」と白状したうえで、なおもこの処分は「行政処分の撤回」であり「個別の法的な根拠を必要としない」とその主張を明らかにした。
 決定的な言辞である。愛宕山の地権者から、「基地被害軽減と立派な住宅街建設のため」として愛宕山を取得し、それを掘り崩して基地沖合拡張のための土砂を採取し終えた時点で、「住宅地化しても採算が取れない」などとして、全市民の事業継続の願いを無視したままこの住宅地開発事業中止を決定した山口県住宅供給公社とそれを操作してきた山口県の行為には何ら法的根拠がないということを国自身が自白したのである。そしてそれを認可した自らの法的責任を回避しようと、事業の内容がなくなったのだから「認可を撤回したもの」と強弁するのである。そしてそれについても「明文の規定はない」と臆面もなく主張するのである。
 都市開発法および新住宅市街地開発法による開発事業とは、そのきわめて高度な公共性のゆえに、変更はありえても途中で中止することを予定した法的規定は存在しないしまたありえない。ところが法的根拠を完全に欠いた開発事業中止・廃止をこの裁判の実質的な被告である県当局は行い、それを被告―国が認可することで、県と国とが結託した愛宕山跡地の米軍提供用地化の路線が動き始めたのであった。この日の法廷で原告たちはこうした県や国側の行為がまさしく法的根拠を欠落させた行為であり、開発事業を廃止することはできず、新たな住宅街開発への事業継続こそ法の趣旨にそう行為であることを明らかにしたのである。
 法廷では旧地権者の原告が「先祖代々の土地を子孫に残すために造成地の一区画を買うことにしていたが、その夢も奪われた」と、県および国に対して怒りの陳述を行った。
 「岩国は負けない」の合言葉はますます健在であり、その言葉通り岩国市民は基地大強化―愛宕山米軍住宅化絶対反対のたたかいを継続し、発展もさせている。
 沖縄とむすび、神奈川とむすびながら、そして米軍存在とたたかうアジア地域の人々とも連帯しながら、岩国基地大強化反対の声と行動をさらに広げてゆこう。


 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.