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   5・20天神峰現闘本部裁判控訴審判決を弾劾する

  

 ●東京高裁包囲デモ

 五月二十日午前十一時、天神峰現闘本部裁判控訴審判決を目前にして、反対同盟、共闘団体など二百名近くが、日比谷公園霞門に結集した。
 警視庁公安ら私服が百二十人以上集まっていた。さらに、国家権力と金でいかようにも動く天皇主義右翼ども数団体が霞ヶ関周辺を街宣していた。右翼の一部は日比谷公園内に「突入」を演ずる者もあったが、車から降りることもできず、内容のない汚らしい文句をわめき散らしているだけだった。
 反対同盟は、北原事務局長が現闘本部裁判の歴史的意義を提起し、判決に向けて意思統一を行なって、霞ヶ関を席巻するデモに出発した。ぞろぞろと付いてくる私服刑事、街宣車でわめき続ける右翼どもを蹴散らして、反対同盟と三里塚勢力は東京高裁を包囲する戦闘的デモを貫徹した。
 二月の結審から判決言い渡し強行にいたる今日まで、反対同盟と弁護団は、弁論再開を要求し続けてきた。井上裁判長が拒否し続けた証人調べ、現場検証を行なうように、最後まで要求し続けてきたのだ。支援連は、早朝から裁判所前で情宣を行なった。昼の霞ヶ関デモにおいても、「証人調べを行なえ」「現場検証を行なえ」「反動判決を許さないぞ」と、東京高裁に向けたシュプレヒコールを繰り返し行なった。判決言い渡しを目前にした井上裁判長の耳にも、反対同盟の声が届いていたはずだ。

 ●超反動判決

 傍聴席抽選には百四十一名が並んだ。現闘本部裁判では毎回百名以上の人々が傍聴に駆けつけているのに、一貫して傍聴席は二十四席ということ自体が不当だ。井上裁判長は、この判決言い渡しにいたるまで広い法廷を用意しようとはしなかった。空港反対闘争をたたかう人々が傍聴席を埋め尽くすことを恐怖しているとしか思えない。法廷に入りきれない支援者は、裁判所四階の通路を埋め尽くした。
 井上裁判長は開廷するやいなや、判決を瞬間的に言い渡し、法廷から逃げ去った。
控訴棄却した上で、仮執行宣言を付けるという、一審を上回る超反動判決だ。反対同盟の控訴内容を一切否定した上で、上告しても、判決確定を待たずに、現闘本部の破壊撤去ができる「仮執行」を新たに付加したのだ。
 井上は、控訴審において証人調べ、証拠調べを一切行なわないばかりか、控訴人=反対同盟、弁護団の主張、弁論に対してまともな審理を全く行なわなかった。最初から超反動判決を決めた上での反動的訴訟指揮であり、一切を国策推進-空港会社側の主張全面支持の姿勢で貫くというものだった。かつ、三里塚闘争に対する恐怖で固まっており、結審強行でも、今回の反動判決強行においても、追及されることを恐れて、繰り返し法廷から逃亡している。結審を強行した前回口頭弁論では、裁判所の書記官も井上の言葉を聴き取れておらず、井上が後で勝手に指示して調書に書き加えている始末だった。
反対同盟と弁護団は、二つの重要な証拠調べを一貫して要求してきた。一つは、一審千葉地裁でなされなかった現闘本部そのもの検証である。天神峰に出向いて、現闘本部建物を実地検証すれば、建物が二重構造になって、登記されている現闘本部建物がそのまま存在していることは一目瞭然である。単純なことだ。地上権が反対同盟にあることは明白だ。千葉地裁―仲戸川裁判長も、東京高裁-井上裁判長も、この真実を見ることを頑なに拒んだ。
 もう一つは、一審において反対尋問がなされないまま証拠採用された石橋証人の尋問である。反証がなされないまま証拠採用され、それが判決の根拠となっているということ自体が違法不当である。しかし、その一審の問題点が明白になっている以上、控訴審の任務はその過ちをただすことであるはずだ。井上は、この二つの重要な証拠調べをはじめとして、まともな審理を全く行なおうとしなかった。
 井上が結審を強行した後も、弁護団は判決言い渡しの直前まで弁論再開、証拠調べを要求し続けた。しかし、事実に基づいて審理を行なうことを恐れる井上裁判長は、弁論を再開することなく、最後まで一切の証拠調べを拒否した。この不当な訴訟指揮に対して、弁護団は裁判長忌避の手続きをとった。本来、公正・公平な裁判をなすためには、裁判長忌避に関しては別の裁判官が判断しなければならない。しかし、井上は、自らへの忌避申し立てを自ら却下するという恐るべき不当手続きを強行し、判決言い渡しに突き進んだ。
 高裁―井上の判決は、一審仲戸川判決を大きく上回る超反動判決である。民事裁判での「仮執行」というのは、後で金銭的に補償のできる現金や動産に対してなされるものであって、今回のような不動産、それも金銭的な問題を争っているのではない事案に適用するようなものではない。三里塚闘争の拠点であることを十分承知した上で、民事訴訟の形式をとって破壊撤去しようというのだ。土地収用法、成田治安法など、国家権力が直接暴力的に農地を奪い、闘争拠点を破壊してきた攻撃を、今度は司法権力が受け継いで、「判決」としての強制力をもって破壊しようというのである。
 「仮執行」を強行することは重大な犯罪である。千葉地裁でも東京高裁でも、現闘本部そのものの検証はなされていない。現闘本部そのものが証拠としてこの裁判の最大の争点なのである。上告審の審理の前に破壊してしまうということは、裁判官による証拠湮滅である。証拠調べを拒絶し、事実を否定した、超反動判決の、自らの恥ずべき権力犯罪の根拠をあとかたもなく抹消してしまおうという、恐るべき意図が貫かれているのだ。
 弁護団は、裁判官が「法の番人」ではなく「権力の番犬」になっていると批判したが、まさにその通りである。井上は、この民事裁判において、空港会社と反対同盟に公平に相対して、双方の言い分を聞くという態度を、一度としてとらなかった。井上は自らが国家の意思を貫く者だと思い込んでいる。井上の判決は、国策の前に人民はひれ伏せと命じたに等しかった。判決直後の大弾圧において、井上の権力者ゆえの三里塚闘争に対する恐怖と憎悪は、より鮮明に表れた。

 ●執行停止申し立てと大弾圧

 判決後、反対同盟弁護団は直ちに、上告の手続きをとるとともに、「仮執行」の執行停止申し立てを行った。この手続きのため、弁護団は高裁民事第十五部で井上裁判長との交渉に臨んだ。しかし、井上は弁護団との面会を二時間にわたって拒否し続けた。高裁民事第一五部前では、反対同盟と支援も、この交渉がどうなるかを注目し、民事十五部前で待機した。逃げ回っていた井上は、このまま執行停止申し立てを却下すれば、反対同盟と支援にさらに強く抗議されると恐れ、機動隊を庁舎内に導入した。警視庁は、井上の意を汲んで、庁舎内にいた人々に対して「全員逮捕」を強行した。北原事務局長をはじめとする反対同盟八名をふくむ五十名を「不退去罪」で逮捕したのだ。
 この大量不当逮捕を強行する中で、井上は執行停止申し立てを却下した。
 逮捕された五十名は、警視庁管内の留置場に分散留置された。五月二十二日に、反対同盟八名を含む十二名が釈放された。三十八名は勾留されている。
 警視庁は、五月二十六日から三十日にかけて、戦旗社や赤池物流、被弾圧者の自宅など、全国各地で数十ヵ所の家宅捜査を強行した。
 裁判所で弁護団が法に基づいた交渉を行っている最中に、この利害関係人が裁判所庁舎内で不当逮捕されるなどということはあってはならない。これは前代未聞の大弾圧である。
 分立しているはずの司法権力が国家権力寄りの判決を出したなどという生やさしい事態ではない。井上裁判長自身がまさに国家権力そのものとして発想し、農民、労働者、学生のたたかいである三里塚闘争への憎しみを露わにし、警察権力と結託して弾圧に踏み込んできたのだ。空港会社、裁判所、警察権力が一体となった大弾圧であり、三里塚闘争破壊攻撃だ。
 井上よ! 裁判官が階級的憎悪をむき出しにして弾圧に踏み込んだら、その結果が一体どういうことになるか、震えおののきながら、しっかり考えてみることだ。われわれは必ず、この弾圧の責任をとらせる。
 全国の同志、友人諸君! 完黙-非転向で闘いぬく獄中同志とともに、国家権力の大弾圧を打ち破り、三里塚闘争の勝利をつかみとるまでたたかいぬこうではないか。



 

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