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   米軍・自衛隊参加のもとで東京都が総合防災訓練

  10・29小金井現地闘争に決起しよう

 




 三月十一日の東日本大震災の被害にあわれた方々に心から哀悼の意を表します。いまだに四千余名もの行方不明者がいる。政府に対し一刻も早い復旧・復興と原発事故の収束と原子炉の廃炉を要求する。しかしながら民主党・野田首相は、根っからの核武装論者であり、八月十五日の「ヤスクニ参拝」問題では「A級戦犯は戦犯とは思わない」と発言して韓国、中国人民から強烈な弾劾を受けた。この政権は、菅のあいまいな路線に見切りをつけ、明確に経団連・日本ブルジョアジーの原発容認路線を推進するために生まれたのだ。また民主党・前原政調会長はアメリカにおいて、集団的自衛権行使の拡大、派兵時における武器使用制限の緩和、武器輸出の大幅解禁を公然と発言し、まさに野田路線を補強している。増税による人民からの搾取と軍事拡大路線でしか展望を切り開けない野田政権を打倒し、労働者が主人公の社会を打ち立てていこうではないか。
 東京都は、八月二十八日に予定していた例年の東京都総合防災訓練を十月二十九日に延期し、当初の予定よりエリアを拡大し、小金井市を中心に西東京市、武蔵野市、小平市で行うと発表した。東日本大震災の救援作業が継続中というのがその理由だが、被災地はまだまだ片付いてもいないし、復興計画も進んでいない。なにより「日本の国家テロ」とも揶揄されている福島原発の大爆発事故は、ますますその被害をひろげ、放射能を振り撒き続けている。福島周辺はいうに及ばず、東北、関東一円でも特に子供を放射能被曝から守ろうと、放射線量の測定や除染活動がなされつつある。いまだに緊急時にある時期にどうして米軍・自衛隊参加の防災訓練を強行しなければならないのか!怒りを禁じえない! 東京都にそのような資金と人手があるなら被災地の復旧にこそ使うべきだ!
 公表されるべき訓練内容もいつものように秘密裏に覆い隠されている。住民、児童の参加強制はもちろん、今回は検死、検索、身元確認まで訓練対象になっている。臨海部での訓練といっても、いつもの米軍艦艇の参加は直前まで公表されない。今回はブラインド方式も取り入れられ、内容は事前に知らされず、市民の行動をチェックするというのだ。東日本大震災を教訓化するといっても実際は住民がいかに指令に忠実に従うかが問題となるのだ。
 この間の救援活動に自衛隊と米軍が参加したことが過大に称賛されている。自衛隊十万人態勢はかつて無い大動員である。先般公表された『防衛白書』では今回の行動が自画自賛されている。米軍も陸海空三軍を動員したが、救援とは程遠いもので、まさに核攻撃があったことを想定したうえで、これに対処する軍事態勢の確立を最優先にして行動したのだ。その後多少アリバイ的に動員を行い住民の後片付けの手伝いを行ったに過ぎない。にもかかわらず「トモダチ作戦」とかいってその行為がもてはやされている。実態は核戦争を想定した訓練だったのだ。日米とも軍事同盟が強化・深化されたなどと喧伝している。今回の米軍、自衛隊の動きについては真実が覆い隠されている。そして防災訓練参加の強化に使われようとしている。実際八月に行われた南相馬市の放射能からの緊急避難訓練では、自衛隊が全面主導している。まさに戦争事態において国民保護法で想定されていることがそのまま防災訓練になっているのである。
 政権サイドでは「千年に一度の大災害」とか「想定外の事態」とかをことさらに強調し、責任を回避している。石原都知事などは言うことに事欠いて「天罰だ」と言い放ち、民衆の怒りをかった。しかし津波にしても原発事故にしてもその可能性や危険性が十分指摘されてきたのだ。過去の災害や原発事故の経験がありながらそれらが無視されたり意図的に隠されたりしてきたのだ。どれほど国家・政府責任があるのかがあいまいにされ、怒りを禁じえない。そうしたことの徹底した反省もなく、いまだ被災地では救援活動は続いているにもかかわらずすすめられようとしている東京都の防災訓練は、米軍・自衛隊を全面的に賛美するものになることは目に見えている。右翼ファシストどもの米軍、自衛隊を批判する者は「非国民だ」なる陳腐な批判を蹴散らして闘おう。震災時における米軍・自衛隊の行動を検証しなければならない。


 ●1 「救援」名目に戦後最大の作戦を展開した自衛隊

 先般刊行された『防衛白書』では、大震災救援特集をあえて組み、自衛隊の活動を自画自賛している。しかしその中身は救援とは違う一面があることをみておかねばならないだろう。『白書』によれば、三月十一日の大震災後の十四日には陸自の東北方面総監の指揮下に海自、空自が入り、三軍統合司令部が設置され五万人の自衛官が投入された。原発対策には中央特殊武器防護隊を中核として五百人の部隊を編成した。また戦後はじめて即応予備自衛官および予備自衛官の招集をおこなっている。なんとその数は最大時で十万七千名にものぼった。航空機約五百四十機、艦艇約六十隻を動員したという。人命救助はもとより入浴サービスまで行い、最大限貢献したとうたっている。今回の態勢は単に災害が大きいから規模が大きくなったとだけ見てはならないだろう。あとで見るように米軍との緊密な連携、すなわち核戦争を想定した訓練の格好の材料として利用されたといえるのだ。
 今回の三軍統合司令部の設置は異例のものであり、災害救援とはいえ、三月十四日には自衛隊が初めて三軍の統合指揮所を作ったのだ。東北方面総監に三軍の統合司令部を置いた。ほんらいは地元災害救援本部の指示のもと行動しなければならないが、自衛隊独自の、防衛省独自の判断・指揮・作戦下で動いているのである。阪神・淡路大震災時において自衛隊の救援出動が遅れたという批判に応えた対応ではあるが、そもそもが自衛隊は災害救助隊などではなく、「敵」と対峙し攻撃する暴力装置そのものなのである。まさに最大の戦災が起きたことを想定した総合訓練なのだ。この自衛隊に投入された金と人と物量をとにかく人命救助にあてたのならどれだけの人々が救助されたかしれないのだ。
 つぎに見ておかねばならないのは、三軍統合司令部は点ではなく面で地域を制圧し住民、自治体職員等を指揮下において行動したということである。救助や遺体収集の優先順位、地域の立ち入り禁止設定、避難施設の管理運営等々が自衛隊中心に組織されていったのだ。地方自治体を飛び越えて自衛隊が独自に行動することはたとえば戒厳令などを想定した行為につながる恐れがあり注視しなければならない。
 自衛隊の圧倒的物量が災害救援においてもそれなりの威力を発揮するのは当然のことだ。福島原発処理行動においても自衛隊は核戦争を想定した装備を充実させていることがハッキリした。すべてが軍事行動の規範に乗っ取って行動しているのだ。今回の大震災を格好の材料として、自衛隊が三軍統合演習をやった事実を明確に見ておく必要があるだろう。
 次に見ておかなければならないのは米軍との連携だ。


 ●2 米軍「トモダチ作戦」の欺瞞を許すな

 米軍は、3・11震災と直後の福島原発の爆発をいち早くキャッチし行動を開始している。福島原発のメルトダウンを確信した米国は三月十八日には関東米国人九万人全員避難の準備を開始した。韓米軍事演習に参加予定の空母・レーガンは予定を変更し宮城沖に急行し待機した。上陸用強襲艦は岩手沖に待機した。沖縄嘉手納基地からは第三海兵隊が、普天間、岩国からは航空機が出動した。これまた災害救援とはいえ軍事演習を中止してまでもの最大限の動員をみ行ったのだ。「トモダチ作戦」の第一の狙いは、朝鮮民主主義共和国との軍事的緊張の中で、核戦争をも想定した軍事シュミレーションと演習を行うことにあったのだ。横田基地内に早々と司令部を設けた。当初、指揮官は在日米軍と第五空軍司令官を兼ねるフィールド空軍中将だったが、ハワイから太平洋艦隊司令官のウォルシュ海軍大将が乗り込み、三月二十四日から指揮をとる体制を作り上げた。沖縄、岩国、神奈川などの在日米軍基地から海兵隊と空軍をはるばる遠征させたが、救援活動なんかできるはずもなくすぐさま引き揚げたのだ。実際米軍がやったことは、輸送機の離発着を可能にするための仙台空港の整備と物資輸送、放射能の拡散状況の調査などにすぎない。大型艦船を動員して見せたが、浅瀬で瓦礫で埋まった沿岸救助には何のやくにもたたなかったのだ。すなわちこれ以上放射能が拡散するようなら米国関係者全員を退避させる予定でいたのが真実なのだ。後に友好のしるしみたいに宣伝された瓦礫の撤去などは演出された作業にすぎないのだ。第二の狙いは、日米両軍の軍事連携を図上ではなくて実践的にやって見せることにあった。アメリカ太平洋司令官ロバート・F・ウイラード大将は言っている。今回のトモダチ作戦は日米軍事同盟の連携を確認し深化させたのに大いに役立った」と。横田基地の司令部を核に、沖縄・嘉手納空軍基地、同じく海兵隊普天間基地、青森・三沢基地、神奈川・厚木基地、山口・岩国基地等々と日本全国の基地が自衛隊と連携しながら動いたのである。実際の救援より日米の三軍が共同で情報を流し、動いたことが成果なのだ。その結果、第三の狙いであった多額の「思いやり予算」を獲得したのである。辺野古の新基地建設が進展しないなか日米の関係はギクシャクしていたが。この「トモダチ作戦」を契機に急遽、日米安全保障協議委員会(2プラス2)が開かれた。当時の菅政権は千八百八十一億円を五年間支払うことを約束している。海兵隊グアム移転には四千億円、「トモダチ作戦」にも六十億円の資金を支払っているのだ。また「沖縄県民はゆすりの名人だ」なる差別発言で更迭されたメイヤー米国務省日本部長を震災担当の調整役に任命するなどというふざけた対応をとり、あたかも差別発言を帳消しにできるかのような行為まで行っている。今回の救援出動であたかも日本の盟友であるかな様なポーズを作ってみせて日本に恩を売るかのような態度なのだ。こんな日米同盟の深化などはいらない、米軍支援の予算はすべて被災地の復興・復旧に使うべきだ。またこうしたことで我々のアジアからの米軍基地撤去のたたかいを一ミリたりとも後退させてはならない。
 沖縄では辺野古新基地建設を許さない闘いが確実に前進している。岩国では米軍基地大強化に反対する地元住民の方々は、強行建設しようとしている米軍住宅を被災地避難住民に提供せよという画期的な提案をしている。一年以上にもなる座り込み行動を断固支持しよう。また韓国・済州島では米海軍基地建設が強行されている。地元カンジョウン村の住民は座り込み闘争を逮捕も辞さず闘い続けている。いまや「米軍はアジアから出て行け!」の声はアジア人民の圧倒的な声なのだ。

 ●3 10・29小金井現地闘争に決起しよう

 あまりの無内容さと薄汚い差別言動でしかおのれらの存在をアピールできなく、相手にもされなくなっている「在特会」などの差別・排外主義者と同じ水準でしかない。彼らは今回の米軍・自衛隊の救援活動を「愛国的」とか「英雄的」とか最大限に賞賛し、これを否定したり、福島原発「廃炉」を要求するものは「非国民」などとまったく批判にもならない言動を繰り返し敵対している。
 すでに見てきたように、今回の防災訓練は津波・原発被害の責任と悲惨な現状を覆い隠し、自衛隊、米軍、消防、警察等の賞賛の場になることは目に見えている。情報の伝達や避難指示が不徹底のため多くの方々の命を救えなかった防災のあり方こそ反省していくべきであろう。今回の訓練周辺地域の住民のなかには、こうした訓練のあり方に大いに疑問や批判があるのだ。いつもその訓練内容の詳細、特に軍関係の内容は直前まで公表されない。周辺の住民、学生が強制的に動員され組織化されていくのだ。このことに疑問や意見を言うことさえ弾圧・排除の対象にされてきている。
 我々は八十八年前の関東大震災時における、朝鮮人・中国人虐殺をわすれない。軍隊による戒厳令下において、軍隊の主導で情報が流され、自警団が組織され、大量の虐殺が起こったことを。今回東北においても外国人にたいする誹謗中傷が飛び交い、自警団が組織されたり、警察、自衛隊が地域まるごと治安制圧する口実に使われている。未曾有の大震災とか、かつて経験したことの無い事態との言いようのなかに、差別や排除の問題が押しのけられていることが危険なのである。米軍・自衛隊の全面賛美を許さず、東京都の一方的なやり方を許さず、我々の批判や監視行動を暴力的に排除する行為を許さず、闘いを貫徹しようではないか。ともに闘わんことを訴える。



 

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