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   フランスG20・APEC―TPPを粉砕せよ!

   帝国主義打倒!

    プロレタリア社会主義革命運動の歴史的再建をかちとろう
 





 世界恐慌が深化するなか、十一月三―四日、フランス・カンヌでG20サミットが開催される。そのあとにはハワイAPECが行われる。貧困と格差拡大・差別抑圧からの解放を求める労働者人民の革命的決起は、中東・北アフリカをはじめ、ギリシャ・ヨーロッパへ拡大した。そしてついに米帝本国でも爆発した。3・11大震災以降の日帝本国では、被災地支援の労働者人民の粘り強い闘いが組織され、9・19反原発六万人決起という大高揚を出現させている。今こそ、労働者人民の解放闘争の国際的前進を組織する世界史的局面である。反帝・反戦・反グローバリゼーションの国際共同闘争を発展させ、フランスG20に反対する現地闘争、APEC―TPP粉砕の闘いを組織していかねばならない。
 フランスG20粉砕の現地闘争は、一八七一年のパリ・コミューンから百四十年にあたる。パリ・コミューンは、できあいの国家機構を粉砕し、収奪者を収奪し、武装したコミューン議会を民主的に選出し、協同組合を軸とした新たな経済基盤を編成し、「世界共和国の赤旗」を掲げた。「血の一週間」を経て、ベルサイユ反革命軍により、パリ人民の三万人以上が大虐殺され、パリ・コミューンは鎮圧された。だが、それは世界史の新段階を切り開いた。
 いま〇八年に始まる世界恐慌は、第二幕へ到ろうとしている。緊縮政策・失業・貧富格差に苦しむ血叫びの労働者ストライキや街頭闘争の「未来」に、資本主義・帝国主義を打倒し、国際主義と社会主義革命を復活させる奮闘が各地で行われている。フランスG20粉砕、ハワイAPEC―TPP反対の国際共同闘争をともに進めよう。


 ●1章 若者・労働者の抗議行動が世界各地で爆発

 米国ニューヨークでは、九月中旬から、若者を中心とした「ウォール街占拠運動」が数千名規模で続いている。中東・北アフリカの人民民主主義蜂起やギリシャ危機の欧州人民闘争に続く決起だと、彼ら彼女らは自らの闘争について語っている。貪欲な資本主義・金融資本の中心地=ウォール街で反貧困反失業の抗議告発が燃え上がっている。エジプト革命の拠点となったカイロ・タハリール広場の人民占拠=解放区と同じ闘い方である。「富める1%と貧しい99%」「貧富格差を生んだのは大企業だ」「本当の民主主義を」「銀行家を監獄へ」など貧富格差、失業、緊縮政策、政治抑圧、企業支配を糾弾する。そこにレイオフや賃金・社会給付の削減、労組つぶしをうける労働運動も合流をはじめた。
 十月一日、ウォール街からブルックリンへ向かう約五千名デモに、警察権力が襲撃し、約七百名が逮捕された。それでもニューヨーク・ウォール街をはじめ全米各地で若者を中心とした反資本主義・反グローバリゼーションの闘いは繰り返されている。十月五日、教師・公務員・運輸関係など労働組合運動もウォール街占拠運動を後押しし、二万人規模で闘った。ワシントン、ボストン、シカゴ、マイアミ、ロサンゼルスなどでも連動する抗議行動が取り組まれた。イラク・アフガンからの米軍即時撤退やNATOのリビア空爆に抗議する反戦闘争と結合しながら、若者を中心とした米国労働者人民の反貧困・反資本主義の決起は高揚している。アメリカ労働総同盟産別会議(AFL―CIO)のリチャード・トラムカ会長は、「労働組合は全国レベル、地方レベルの双方で『ウォール街占拠』に参加している。今や金融経済は実体経済に対してコントロール不可能なほどに肥大化している。そのバランスを実体経済に引き寄せなければならない」と語った。コミュニティ単位で労働者の権利擁護や住宅問題、貧困問題等を扱ってきたコミュニティ運動も「ウォール街占拠運動」と繋がってきた。
 ギリシャなどヨーロッパの闘いも激しい。ギリシャ危機は深刻化している。多額の財政赤字を抱えるギリシャ政府は、債務を支払えないデフォルト(債務不履行)の危機にある。ギリシャ国債を抱える欧州大銀行の連鎖破綻も起ころうとしている。イタリア・スペイン・アイルランドなども同じ債務危機にある。さらなる世界恐慌の拡大深化が進行中なのだ。EUとIMFなどは、破綻したギリシャ政府への二次に渡る緊急融資を行った。二〇一四年までギリシャの資金繰りを支え、三ヵ月ごとに緊縮財政の実施状況をチェックし、約八十億ユーロのつなぎ融資を行う。十二月末まで返済分六十四億ユーロを調達できないのがギリシャ政府の現状だ。強まる緊縮政策―増税・公務員削減・年金削減・福祉切捨てなど、ギリシャ労働者人民へ犠牲転化は増大するばかりである。これにギリシャ労働者人民は激しく抵抗している。パパンドレウ政権は完全に行きづまっている。主要産業の観光・飲食店部門では、九月の付加価値税10%アップを許さず、徹底抗戦した。交通・航空部門もストライキを連続して組織した。公務員労組が波状的にストを組織し、10・5ゼネストを行った。ついに全労組は10・19ゼネストで巨万の労働者決起を生み出した。EUとIMFからのギリシャ政府への緊縮の強要は、ギリシャ労働者人民の団結した反政府抵抗闘争を激発させるだけである。それはギリシャ発の南欧・ヨーロッパ階級闘争の内乱的激突を拡大しているのだ。
 イタリアでも、九月六日、最大労組の労働総同盟(CGIL)が八時間ストを呼びかけた。全国数百箇所で闘われた。ベルルスコーニ政府が二〇一三年までの財政再建として四百五十五億ユーロ規模の財政予算削減を打ち出した。付加価値税21%へ増税、民間女性労働者の法定退職年齢の六十五歳までの引上げ、年収五十万ユーロ以上の高額所得者に3%特別課税などだ。大増税・大収奪これにイタリア労働者人民が反撃した。
 スペインでは九月、二万五千名規模の労働者が首都マドリードで大規模なデモに立ち上がった。財政赤字の上限規定を導入する憲法改悪案に反対した。スペインの労組の二大ナショナルセンターがよびかけた。九月末、教育予算削減に抗議し、教師、保護者、学生生徒がデモ。全十七州の十州で展開された。マドリード州政府は週の授業時間を増やす一方で、授業準備時間を削減した。これに怒った教育労働者は「教育は未来への投資だ」と訴え、抗議ストを組織した。
 イギリスでは八月に若者の「大暴動」が起こった。アフリカ・カリブ系移民コミュニティの銃犯罪取締り警官が無実の男性を射殺。これに抗議するロンドン北部トットナム地区住民の行動が発端となった。またたくまに暴動はロンドンの二十一ヵ所に広がった。第二の都市バーミンガム、中部リバプール、マンチェスター、南部プリストルにも拡大した。暴動の背景には、キャメロン保守党政権の超緊縮政策がある。GDPの10%を越す財政赤字を五年間で1%以内とする超緊縮である。若者への失業対策予算も削減された。大学授業料も大幅に値上げされ、昨年末、これに反対する学生デモが高揚した。暴動は「混沌、絶望、貧困の中で生きている人々が行った」と言われている。人種差別主義を煽る警官の暴力的抑圧もその大きな原因だった。
 南米のチリでは、新自由主義教育制度の改革と教育費無償化を求める学生・教育労働者十八万人がデモに立ち上がった。革命過程にあるエジプトでは、教育労働者の労働条件改善を求める全国ストが闘われた。これらはほんの一部の具体例にすぎない。確かなことは、世界各地で労働者階級や若者が前面に登場し、強力な階級闘争を開始しているという事実だ。
 欧州労連は、九月、ポーランドの欧州非公式財務相会合に抗議し、一万七千人のデモを行った。「優先するべきは、雇用・社会的権利・連帯だ」「新自由主義経済が欧州に押し付けられているが、緊縮政策が問題解決に役立つどころか、まったく反対の結果をもたしている」と叫んだ。パリのG20雇用担当相会合を前にして、国際労働組合総連合(ITUC)、国際金属労働組合連盟(IMF)など主要な国際労働団体も声明をだした。「緊縮政策でなく雇用創出を。財政赤字削減の財源に金融取引税の導入を。団体協約で賃金決定を。高額報酬者へ政府の直接介入の実施を。最低賃金の引き上げ。国際労働機構(ILO)強化」等をもとめた。


 ●2章 反帝国際主義でフランスG20を粉砕せよ

 G20は、〇八年九月のリーマンショックを契機に爆発した世界恐慌への対処のために形成された。米欧日と中・ロ・インド・ブラジルの新興大国など二十カ国地域で構成され、IMF・世銀・WTOと連携する。これまでに、ワシントン、ロンドン、ピッツバーグ、トロント、ソウルで、G20サミットが開催された。〇九年四月のロンドン会合では各国政府が五兆ドルを超える財政出動に合意した。大銀行と大企業を公的資金や補助金・公共投資で救済し、世界資本主義経済の崩壊を阻止するためであった。昨年のトロントとソウルのG20会合は、この間、膨れ上がった政府財政赤字を二〇一三年までに半減する数値目標を確認した。緊縮政策・増税などへ舵を切る、いわゆる「出口戦略」が合意された。GDP比230%を超える最大の財政赤字国・日本は例外扱いとされた。こうした国際協調の仮面の下で国益が激突している。通貨安による輸出競争や、資源・市場などの争奪戦が激化している。非正規化・低賃金・失業・貧困・福祉切り捨て・民営化・増税など、剥き出しの新自由主義攻撃は労働者人民を各地で襲っている。こうした動きは、世界恐慌の深化と階級対立の激化を結果する。ギリシャ債務危機など欧州ユーロ圏の危機はまったく収束の見込みがない。米国は債務上限引上げ法案を可決してデフォルトとドル暴落を先送りし、高失業・倒産増のまま、住宅・消費部門などで大不況がつづいている。中国も不動産バブルの不良債権化と金融引き締めで景気は下降しはじめた。
 ILO・OECDの労働市場報告によると、世界の失業者は二億人を超えた。一九二九―三三年の大恐慌時に匹敵する。G20地域では、〇八年以降、現在までに二千万人の失業者が増加した。来年までに、さらに二千万人の失業増が予測されている。長期失業、若者の失業、非正規雇用の増加などが、最も弱い社会階層に集中して直撃している。ILOは、フランスG20サミットに対して、雇用と社会保障に焦点をあてた討議と政策実施を求めた。当然である。欧米の若年失業率(二十五歳未満)は、驚愕の数値を示している。スペインで46・2%、ギリシャ42・9%、イタリア27・8%、米国も17・7%。総務省発表で10%前後の日本は、欧米と同じ基準であれば20%を超える。
 世界各地の貧富格差と貧困化が拡大している。米国の貧困層(四人家族で年収二万三千三百十四ドル〔百七十一万円〕以下の世帯)は、四千六百十八万人(人口の15%)となった。過去五十二年間で最高である。医療保険未加入者は四千九百九十万人(16・3%)を数える。
 フランスの貧困層も増えている。生活の中間値である年収一万九千八十ユーロ(二百二万円)の六割相当の月額九五四ユーロ(十万千円)が八百二十万人となった。人口の13・5%だ。日本も年収二百万円以下の貧困層は約千百万人を超える。非正規社員は38・7%となり、過去最高だ。七月の失業率は4・7%(二百九十二万人)で、実際はその倍である。
 歴史的な略奪と虐殺支配を受けてきた第三世界諸国人民は、低賃金と膨大な失業を強制され、多くが契約化など非正規労働者、貧農などの地位に叩き込まれている。この間の食糧・燃料など生活必需品の高騰は、第三世界諸国人民に極度の困窮を強いている。こうしたアジア、アフリカ、ラテンアメリカのなかで、ベネズエラ、ボリビア、フィリピン等、帝国主義と新自由主義を打破する反帝民族解放―社会主義革命もしくは人民民主主義革命が激烈に闘われ、その力量を高めている。
 フランス・カンヌG20サミットでは、財政再建と経済成長の確保をめざすG20行動計画が策定されようとしている。またギリシャの債務不履行と欧州危機を防ぐために安定化のあらゆる行動を実施することも討議される。欧州金融安定化基金(EFSF)の拡充、EU共同債の促進、欧州の大銀行への公的資金注入、金融取引税導入、為替相場の過度な変動の阻止も議題となる。しかし、どれもこれも、これまでと同じく金融資本と大企業の儲けを支え、各国が負う財政赤字削減は、結局、緊縮と極端で急激な新自由主義政策によって労働者人民に犠牲を強いることになるのだ。それがカンヌG20サミットの本質である。
 雇用創出、社会保障の拡充、社会的公正をもとめる世界各地の労働者人民が、G20への抗議と包囲にぞくぞくと集結を開始している。カンヌ近郊のニースでは、十一月一日から、フランス反資本主義政党や戦闘的労働組合、若者、世界社会フォーラムを進めてきた諸団体などが結集し、大規模な抗議行動が取り組まれる。大衆的な反戦反グローバリゼーションの現地闘争を一貫して闘ってきたAWC日本連は遠征団を送る。彼らはフランス現地にて、関西生コン労組や韓国、フィリピン等の人民運動とともに闘う方針である。断固注目し、支援しよう。


 ●3章 ハワイAPEC―TPPをぶっつぶせ!

 十一月十二―十三日、米国ハワイ・ホノルルでAPEC首脳会合が開催される。ここでは、「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」を二〇二〇年に実現する「横浜ビジョン」をさらに推進しようとしている。APEC二十一カ国地域の経済統合の道筋には、中国が主導するASEAN+3(日中韓)や、日帝が推進するASEAN+6(日中韓、インド・豪・ニュージーランド)、そして米帝が巻き返しをねらうTPP(環太平洋経済連携協定)、この三つがある。APECは、貿易と投資の自由化、円滑化をかかげ、新自由主義を強める。それは米日中など大国の独占資本―金融資本が争闘戦を繰り広げながら、アジア太平洋労働者人民を侵略し搾取するための地域機関である。また「人間の安全保障」と称して、米帝の「対テロ」戦争への協力、ならびに革命運動や労働者農民など戦闘的人民運動を弾圧することなど、暴力的抑圧機関の役割もある。
 反帝闘争をたたかうAWC運動は、開催地の労働者人民と連帯し、APEC粉砕の直接抗議行動を組織してきた。一九九五年の大阪から、マニラ、クアラルンプール、釜山、シドニー、横浜において闘ってきた。昨年、AWC日本連などの反帝勢力は、横浜APEC反対実を結成し、闘った。広範な現場共闘の抗議デモの一翼も担い、かつ先鋭な反帝国際共同闘争を行った。海外から、韓国AWC委員会、フィリピン・バヤン、台湾労働人権協会、インドネシア労組連盟(KASBI)などを招請し、またアイヌ先住民族の闘いと連帯し、闘いを貫徹した。
 APECホノルル・サミットでは、米、中、日などの利害が激突する。開催国の米帝は、中国の大経済圏づくりに対抗して、TPPによる経済覇権の巻き返しを強めてきた。今回のAPECホノルル会合は、米帝主導のTPP交渉が一つの焦点となる。米帝は日帝に普天間基地の辺野古移設とともにTPP参加の恫喝を強めている。これを許してはならない。断固として、APEC―TPP粉砕を闘おう。
 日帝・独占資本は「二〇一一経団連成長戦略」(九月十八日)をまとめた。このなかで経団連は、自らの事業環境の困難な阻害要因として、①高い法人税、②派遣法改正案など労働規制強化の動き、③原発事故と脱原発などの電力エネルギー不足、④EPAの遅れとTPP反対世論などをあげ、規制緩和を進めにくいことを問題視している。これらの「課題を解決する」として大キャンペーンを繰りひろげている。
 経団連のTPP参加論をみてみよう。
 まず中国、米国、EUとのEPA締結を不可欠と規定する。その上で、「TPPは幅広い分野で新たな時代に対応したルール作りをめざすものであり、FTAAPのみならず、グローバルなルールへ発展する可能性がある」「TPPに参加すれば、関税・非関税障壁・ルールの整備を通じ、わが国企業の競争条件・ビジネス環境の改善、貿易・投資量の拡大につながる」と主張する。不参加なら、日本経済の輸出減少や生産拠点の海外移転(国内空洞化)を招くと警鐘をならす。並行して、ASEAN+6の推進、EUとの経済統合協定の開始も求める。さらに経団連は、農業に関して、輸出競争力の向上や海外需要の拡大を図り、大規模集約化と株式会社による農業経営化を要求する。また日本に忠誠を誓う外国人移住者を促進し、外国人労働者の「使い捨て」「輸入自由化」を求めている。現代版の「奴隷貿易」に等しい。
 日帝―独占資本のTPP参加論には、自動車・IT家電・インフラ輸出など巨大独占資本のほんの一握りの利益追求がある。ほかは切り捨てる。前原は「GDPの1・5%(農林水産業)のために、98・5%を犠牲にできない」と言って、TPP参加の論陣をはった。とんでもない暴論である。前原は産出量や数字(金額)の割合だけで、膨大な農民・漁民を切り捨てると宣言しているのだ。かつ、農林水産業は食糧生産の基盤であり、きわめて重要な戦略的基幹産業にほかならない。中山間地の水田・畑・山林などが環境保全・温暖化ガス削減・景観保持・地域社会コミュニティの絆となり、多面的機能を持つことはいまや常識である。
 TPPは、米帝がアジアの経済覇権をにぎるための戦略事業となった。ブルネイ・シンガポール・ニュージーランド・チリに、米国、豪、ペルー、マレーシア、べトナムが参加表明し、締結の十年後には例外なき関税撤廃がめざされている。TPP交渉では二十四のワーキンググループがある。工業品、農業、繊維・衣料品、衛生植物検疫、金融、電気通信、電子商取引、投資、政府調達、知的財産、労働、環境、紛争解決などである。そして保険・医療、商法・司法制度などを含む非関税障壁も撤廃される。TTP参加各国の経済主権はほとんどなくなる。
 TPP「労働に関する覚書」第二条では、「締約国が保護貿易主義的な目的のために法規制、政策と労働慣行を定めることは不適当」とする条項がある。資本の利益の下に労働条件・労働基本権を劣悪化させるルールが組み込まれようとしている。衛生植物検疫が自由化されると、米国産牛肉、遺伝子組み換え食品、食品添加物の安全審査は大幅に緩和される。食べ物から命と健康の安全安心が破壊されるのだ。
 TPPの農業への打撃は甚大である。農水省試算によると、外国産自由化が食糧自給率40%を14%へと激減させ、総額十二兆円の農業生産額は四兆円減少し、GDPの八兆円減となる。コメ六十キロ当たり一万二千三百円~一万六千円の生産費は、六十キロ三千円の外国産輸入によって激減する。米豪のアグリビジネスによって、安く安全性の低い外国産コメがどんどん流れてくる。それは、国産コメの割合を10%へと低下させ、生産量減少率90%となる。ほかの国内農作物も激減する。確実に農村・農協・生協などが再編淘汰される。土地や景観がズタズタにされ、公共財の水や空気もどんどん金儲けの売買対象となるのだ。TPPは断固粉砕されなくてはならない。
 昨年からTPP反対世論が高揚しはじめた。農民、農協、生協、地域社会の住民、中小零細企業、労働者、公務員など、全人民が広範にTPP反対で総決起してきた。こうした闘いを支持し、TPP参加を阻止しようではないか。大震災の復興計画においてもTPP推進を持ち出してきた。規制緩和の「特区」づくり、農業・漁業・地域の大規模な集約化、工業品・部品の供給網、これらをむりやりAPEC―TPPと結び付けようというのだ。多国籍企業―独占資本の利害の下に、被災地と被災者を差別選別し、大量の失業者、棄民化・地域崩壊をうみだそうとしている。被災地の農民、漁民、中小零細の生産者や労働者・失業者は激怒し、特区構想による復興計画を批判している。漁協・農協・生協なども、そう主張している。被災地人民の自己決定権にもとづく復興活動を断固支援していこう。ホノルルAPEC―TPPへの広範な反対闘争をつくりだし、新自由主義を拡大強化する日米同盟を粉砕しなくてはならない。


 ●4章 資本主義・帝国主義打倒の革命的決起を創り出そう!

 ソ連・東欧の「社会主義」崩壊後、国際階級闘争を牽引した潮流の一つは、反グローバリゼーション運動であった。一九九四年一月、メキシコでは、NAFTA発効に反対するサパティスタ蜂起が起こった。「もうたくさんだ!」と叫び、資本主義・帝国主義による略奪を告発した。それは、五百年間以上も欧米帝国主義から虐殺・略奪・奴隷化・差別抑圧をうけた先住民、ラテンアメリカ人民、アフリカ系人民の解放を求める血叫びであった。以降、一九九九年シアトルWTO会合粉砕闘争の爆発、二〇〇〇年代からブラジルなどで「もう一つの世界は可能だ」と変革をもとめる世界社会フォーラムが続いた。IMF―世銀・APEC・G8・G20など帝国主義支配を強める国際会合には、必ず、激烈な反資本主義闘争・反帝国際共同闘争が高揚した。時を同じくして、帝国主義・IMFによる侵略・新自由主義の過酷きわまる支配を打破するベネズエラ―チャベス政権やブラジル―ルーラ政権、ボリビア―エボ・モラレス政権などが登場し、新自由主義から離脱し社会主義的政策を実施している。
 世界恐慌の深まる今日、世界各地で反資本主義・反貧困の決起が爆発している。国際階級闘争の世界史は新段階へ突入している。貧困・失業・差別にあえぐ社会的多数派の労働者・被抑圧人民そして若者が、「より良い世界」への変革をもとめ、各地で行動している。まさしく世界史的な変革運動が巻き起こっている。これらの世界史的変革運動の先頭にたち、その階級的発展を全力で牽引していくことが求められている。重要な任務について、提起する。
 第一には、若者や労働者人民の反貧困・反失業・反戦平和の自然発生的決起を徹底的に促進し、改良資本主義の枠を突破し、反帝・プロレタリア国際主義の階級隊列へと成長させていくことである。新自由主義グロ―バリゼーションによる社会・生活・コミュニティ・命と健康への無慈悲な破壊攻撃に抵抗する人民決起は、トコトン促進されなくてはならない。そのなかで連帯と団結を強め、国際的に結合しあうことは決定的となる。労働者階級・被抑圧人民の自らの解放要求と直接行動を徹底化することは、なによりも重要である。そうしたなかに、資本主義・帝国主義ブルジョアジーの打倒、その国家機構の粉砕、国境を越えた労働者人民の団結と共同行動、すなわち反帝・プロレタリア国際主義への階級的発展が創出されるのだ。このような活動内実こそが、帝国主義ブルジョアジーの小手先のごまかしである「改良」や差別分断化攻撃を突破することができ、いっそうの解放運動・革命運動へと発展できるのである。
 第二には、活発化する反革命的役割を強めるファシスト・排外主義勢力を粉砕することである。拡大する貧富格差など階級矛盾・対立の激化の中で、反資本・反貧困運動の対極において、人種差別主義・民族排外主義のファシスト・排外主義勢力が活発化し台頭している。これらのファシスト・排外主義勢力は、帝国主義・ブルジョア階級の別働隊であり、反革命である。そして、閉塞感にある若者を移民労働者・マイノリティなど被差別大衆への襲撃・排外主義攻撃への扇動・行動に駆り立てている。こうした人種差別主義・排外主義勢力の襲撃・攻撃を阻止し、やつらを実力で社会的に一掃していくことは、第一級の階級的任務である。
 日帝本国では、在特会などが台頭し、在日朝鮮人などの被抑圧人民・被差別大衆や戦後補償運動への敵対と襲撃を激化させてきた。また、高揚する反原発運動など反政府闘争を敵視し、日帝の核武装や天皇制を軸にした戦争国家化を推進している。まさに天皇制右翼・反革命の突出した排外主義勢力である。やつらファシスト・排外主義勢力との闘いにおいては、ACAN関西の闘いのように各地で広範な現場共闘をつよめることが必要である。若者や労働者・被抑圧人民の「未来」をやつらに絶対に明け渡してはならないのだ。
 第三には、世界史的規模の変革運動をプロレタリア社会主義革命へと発展させるために創意工夫し、意識的活動・理論作業を強めることである。スターリン主義などの敗北した路線・組織・戦術を教訓にしなければならない。新たな社会変革・革命の理論と実践を、今日決起する多くの労働者人民が求めている。これに応えなくてはならない。マルクスとエンゲルス、レーニンなどの諸理論・実践を創造的に現代革命へ適用することが要請されている。
 フランスG20、APEC―TPPへの反対闘争アピールを締めくくる上で、マルクス・エンゲルスの『フランスにおける内乱』を引用する。「労働者階級は、できあいの国家機構をそのまま掌握して、自分自身のために行使することはできない」、だから「コミューンの最初の政令は、常備軍を廃止し、それを武装した人民とおきかえることであった」。マルクスは、コミューン四原則をもって「プロレタリアートの独裁」を理論化した。「コミューンは、多数の人間の労働を少数の人間の富と化する、あの階級的所有を廃止しようとした。収奪者の収奪を目標とした。それは、労働を奴隷化し搾取する手段となっている生産手段、すなわち土地と資本を、自由な協同労働の純然たる道具に変えることによって」「彼ら(労働者階級)がなすべきことは何らかの理想を実現することではなく、崩壊しつつある古いブルジョア社会そのものの胎内にはらまれている新しい社会の諸要素を解放することである」「どこでも、どんな条件のもとでも、階級闘争がいくらか恒常性を持ってくるときには、国際労働者協会の会員がその最前線に立つのは当然である。……どれほどの大量虐殺によっても、国際労働者協会を根絶することはできない……これを根絶するためには、労働に対する資本の専制を――根絶しなくてはならない」「労働者のパリとそのコミューンとは、新社会の光栄ある先駆者として、永久にたたえられるであろう」。


 

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