共産主義者同盟(統一委員会)






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 全国で闘いぬいている同志・友人の皆さん!
 現代世界は、金融恐慌の世界的拡大・深化によって激しく動揺している。
 帝国主義の中心国米帝は、アフガニスタンとイラクにおける侵略反革命戦争によって財政破綻に直面し、サブプライムローンのような巨大金融資本の錬金術・搾取システムの自己崩壊とあいまって、突出した軍事力は保持しつつも、世界支配におけるその政治・経済力を大きく後退させ始めている。国内では草の根保守勢力による「ティーパーティー運動」や「ウォール街占拠」を掲げる労働者階級人民による反失業反貧困、反金融資本の闘いの拡大など階級闘争が激烈に進行している。
 欧州帝国主義も、リーマンショック後、金融資本救済と経済危機対策のために膨大な財政出動を行い金融恐慌を封じたかに見えたが、今度はギリシャ、アイルランド、ポルトガルなどでソブリン(国家の信用)危機に直面し、金融危機と財政危機が同時進行する事態に陥っている。ユーロ圏の崩壊すら懸念される危機を迎えている。ユーロ危機の焦点となっているギリシャでは、増税や賃下げ、公共サービスの削減といった労働者に厳しい負担を強いる攻撃に抵抗する激しい街頭闘争が闘われている。
 日帝においても、国家財政破綻の危機が進行している。一ドル七十円台半ばで推移する歴史的な円高ドル安、一千兆円に迫る国債発行残高とデフレの進行による経済収縮が、財政・経済を直撃している。九月に発足した民主党野田政権は、この危機を辺野古新基地建設強行など日米軍事同盟の強化とTPP参加、そして消費税増税など労働者階級人民からの搾取の強化によって突破しようとしている。民主党は政権交代時の公約を放り出し、もはや自民党となんら変わらない日帝独占資本の下僕としての姿をさらしている。
 われわれはこのような情勢の中で、岩国行動二〇一一を闘おうとしている。われわれは岩国行動二〇一一を民主党野田政権による日米軍事同盟の強化との対決として、岩国市民と結びつきながら、愛宕山米軍住宅建設阻止・岩国基地強化粉砕を掲げて全国からの総力決起を実現し、現地闘争を闘い抜かなければならない。岩国基地の再編・強化は、辺野古新基地建設など在日米軍の再編の一環であり、岩国での闘いを米軍再編そのものを粉砕する闘いへとつなげていかなくてはならない。岩国行動二〇一一の成功に向けて、地域・職場・学園で奮闘しよう。


 ●1章 米軍再編の実態と日米軍事同盟の強化

 以下においては、岩国行動二〇一一を組織し闘い抜くにあたって、あらためて米軍再編の全体像を確認し、民主党野田政権が画策する日米軍事同盟の強化の実態、その目的を暴露・批判する。在日米軍基地を戦略拠点として強化し、自衛隊を後方支援部隊として米軍に組み入れ、日米共同で世界のどこへでも侵略反革命戦争に打って出ようという日米帝国主義の策動が明らかになっている。日帝足下の労働者階級としてまた共産主義者として、われわれには、自国帝国主義の戦争攻撃との対決というプロレタリア国際主義の実践が厳しく問われている。国家権力の弾圧と民族排外主義と闘いながら労働者階級人民の組織化を進めていくことは決して容易なことではないが、この闘いの断固とした推進なくしてアジア人民連帯など空語だ。
 まず米軍再編のこれまでの推移を簡単に振り返り、米帝と日帝がどのような軍事同盟を築き、侵略反革命戦争を構想しているのかを確認していきたい。
 米帝が進めている米軍再編は、世界規模で展開する米軍基地の見直し作業であり、「ソ連・東欧圏」の崩壊により終結した東西冷戦後の軍事支配戦略の再構築と、IT技術を駆使したRMA(軍事における革命)による新戦力の導入である。それはあくまでも米帝の圧倒的軍事力を維持し、「ソ連・東欧圏」にかわる新たな「脅威」としてイスラム急進主義や反帝民族解放闘争を設定し、これに対する侵略反革命戦争体制を構築しようとするものなのである。
 米軍再編の具体的な展開は、二〇〇一年、二〇〇五年、二〇一〇年のQDR(四年ごとの国防計画の見直し)、米国内基地・施設の再編成計画(BRAC)、海外米軍部隊と基地・施設の再編成計画(GPR)などの諸計画のもとで、進行しているのである。
 二〇〇一年ブッシュ政権時のQDRでは、従来の「脅威ベースのアプローチ」から「能力ベースのアプローチ」への転換が明らかにされ、主権国家の正規軍同士の戦争からイスラム急進主義や民族解放闘争のゲリラ戦を標的にした、「非対称戦争」や戦争以外の軍事行動に対応しうる軍組織への転換を打ち出している。兵員数よりも戦闘能力を重視し、アジア、欧州の駐留米軍約二十万人のうち六~七万人を削減、従来の二正面作戦についても予測困難な大量破壊兵器、テロなどの脅威に機動的対処することを可能にする転換を打ち出している。またこのような軍組織・装備の転換とともに、米軍の作戦には同盟国・友好国の軍隊をできるだけ活用する、海外基地や施設の建設費・維持費は可能な限りその国に負担させる(国防費の削減が目的)ことも基本方針に据えられた。
 地域的には朝鮮半島から東南アジア、中東からバルカン半島、アフリカまでの地域を①大規模な軍事衝突が起こりやすい②力を伸ばす大国と衰退する大国が混在する③豊富な資源を持つ軍事的な競争相手が出現する④米軍基地や中継施設の密度が他の地域とくらべ低い地帯、と規定し、「不安定の弧」と名づけて侵略反革命戦争体制を強化していくことを打ち出した。
 二〇一〇年二月に公表したQDRでは、核・ミサイル開発を進める朝鮮民主主義人民共和国とイランに続いて、中国の軍備増強にふれ、「中国の軍備近代化計画の将来的な意図には多くの疑問符がつく」と中国脅威を扇動している。そして日米軍事同盟とともにオーストラリアやインドをも取り込みながら「中国封じ込め」の軍事態勢の構築が狙われている。また「グアムを地域における安全保障のハブにする」と、グアムを陸・海・空・海兵隊四軍の一大拠点として強化する計画が打ち出された。
 まさに米軍再編とは、米帝の軍事戦略の転換であり、それに対応した軍組織・装備の変革であり、世界的に展開する米軍兵力と基地再編なのである。そのなかに在日・在沖米軍基地の再編強化も位置づけられているのだ。
 在日米軍再編が具体的に着手されたのは、二〇〇二年十二月の日米安全保障協議員会(2+2)で、これから日米協議が本格化し、沖縄に代表される「基地負担の軽減」と「抑止力の維持」が二本柱にすえられた。
 この米軍再編協議とは別に、すでに日米軍事同盟の強化が進められていたことも忘れてはならない。一九九六年の「日米安保共同宣言」では、「ソ連の軍事的脅威」に代わり「アジア太平洋の平和と安定」の主張が登場し、「日米防衛協力の指針」(日米ガイドライン)の見直しが合意された。これをうけて一九九七年には、「日本に対する武力攻撃に際しての対処」と「日本周辺地域における事態で、日本の平和と安定に重大な脅威を与える場合(周辺事態)」への対処を名目にして新ガイドラインの見直しが行われ、周辺事態法(一九九九年)、船舶検査法(二〇〇〇年)がそれぞれ策定された。さらには、二〇〇三年には武力攻撃事態法など有事関連三法が、二〇〇四年には国民保護法制を含む有事の具体的な対処を定めた事態対処法制として武力攻撃事態関連七法が成立している。〇七年一月には、防衛庁が防衛省へ昇格し、「政策官庁」に昇格する。防衛省は、元事務次官守屋が言ったように、防衛省は「外務省と対等な関係になり、安保・防衛政策を正面から議論し、政策を立案、提案できるようになった」のである。事実、在日米軍再編の中心は、外務省ではなく防衛省である。
 有事法制の整備と同時に、日帝は〇一年テロ特措法でインド洋に海上自衛隊を派兵し、米帝をはじめアフガニスタン侵略軍に給油支援を行い、〇三年にはイラク特措法をもってイラク・サマワに陸上自衛隊を派兵し、航空自衛隊には米兵輸送を担わせた。また〇三年にはミサイル防衛の導入を決定し、〇四年には武器輸出三原則の緩和を実施した。
 在日米軍再編の協議では、およそ三年半の協議をへて、二〇〇五年十月、中間報告にあたる「日米同盟:未来のための変革と再編」が、また翌〇六年五月には最終報告である「再編実施のための日米のロードマップ」が発表された。
 合意文書の骨子は①施設整備費は日本側、運用費は米国側が負担する②普天間飛行場をキャンプ・シュワブ沿岸部に移設、二〇一四年までの完成が目標③嘉手納基地以南の基地の全面または一部返還。ただし、全体的なパッケージの中で、沖縄に関する再編案は相互に結びついている④在沖縄海兵隊約八千人を一四年までにグアムに移転。移転費一〇二・七億ドルのうち六〇・九億ドルを日本側が提供する⑤キャンプ座間の米陸軍司令部を改編(米陸軍第一軍団司令部の日本移転)、一二年度までに陸自中央即応集団司令部を併置する⑥空自航空総司令部を一〇年度に横田基地へ移転。防空とミサイル防衛を担う日米統合運用調整所を設置する⑦空母艦載機を厚木基地から岩国基地へ移駐する⑦嘉手納飛行場での訓練の全国自衛隊基地への分散⑧施設の共同使用。航空自衛隊は嘉手納基地で、陸上自衛隊はキャンプ・ハンセンで訓練実施、などである。
 この他に、二〇〇八年九月には米海軍横須賀基地において通常型空母キティホークから核空母ジョージワシントンへの交代が行われ、来年十月には時期主力海兵隊輸送機として垂直離着陸輸送機オスプレイが普天間基地に配備されようとしている。
 最終報告のなかで合意されている「米陸軍第一軍団前方司令部の座間移転」は中止されている。二〇〇七年十二月に第一軍団前方司令部がキャンプ座間に設立され、〇九年三月から運用を開始したが、要員の大半は在日米陸軍司令部との兼務で、第一軍団の専従はわずか三人である。理由は不明だ。
 在日米軍再編の基軸に「負担の軽減」が掲げられていたが、負担の軽減策とされるのが、嘉手納基地の戦闘機訓練の自衛隊基地への移転と、普天間基地の辺野古移設・沖縄海兵隊約八千人と家族九千人のグアム移転である。
 しかしすでに内部告発サイト「ウィキリークス」で暴露されているように、「実際には沖縄には一万三千人しか海兵隊員はいないのに、予算上の最大定数を国民に示すことで、あたかも沖縄には一万八千人が駐留しているかのようにみせかけ、削減効果を過大にアピール」していたこと、家族九千人も「日本での政治的価値を最大化するため意図的に極限まで増加された」数字なのである。米帝はあつかましくも、八千人の移転費用を日本政府に請求し、日本政府も唯々諾々とこれにしたがっているのである。「ゆすり、たかりの名人」は誰なのだ! 実際にグアムに移転する海兵隊の兵員数は三千人程度で、沖縄にはグアム移転後も一万人が残るのである。
 さらに辺野古新基地は、普天間基地の代替施設などではなく、海兵隊次期主力輸送機オスプレイのための千八百メートルV字型滑走路二本をもち、普天間基地にはなかった装弾施設や大型軍艦が接岸できる軍港を持つなど、各段に強化された新基地として計画され、「沖縄の負担軽減」のための移設という名目のもとで費用はすべて日本が負担することになっており、その総額は一兆円を超えるといわれている。
 海兵隊グアム移転も普天間基地の移設も、「沖縄の負担軽減」ではなく、実際には日本政府の負担で市街地のど真ん中にあり使い勝手の悪い普天間基地を、機能を著しく高めた海上新基地に変えるとともに、「不安定の弧」を睨んだ戦略拠点としてグアムの強化を進める米軍の「負担の軽減」に他ならない。この移転のために日帝は、「グアム移転協定」によって労働者階級から搾り取った税金のなかから約六十億ドルも提供しようとしている。すでに〇九年度には三百四十六億円、一〇年度は四百六十八億円が支払われている。
 戦闘機の訓練移転においても、すでに「本土」移転されている海兵隊の実弾砲撃訓練同様、千歳、百里、築城など全国六カ所の空自基地が使用され、また嘉手納基地やキャンプ・ハンセンでは自衛隊の訓練が行われるなど、米軍と自衛隊基地がお互いの基地・施設を利用することで日米軍事一体化策に利用されている。
 日米帝国主義は、「不安定の弧」を新たな侵略反革命戦争の主戦場と睨み、戦略・兵站拠点としての在日・在沖米軍基地の強化と自衛隊と米軍との融合化=日米軍事一体化を強行しているが、その計画は岩国や沖縄での頑強な反戦反基地の闘いの前に、大きく阻まれている。われわれは、反帝民族解放闘争の虐殺者=米帝との対決として、また帝国主義の生き残りをかけて米帝との軍事同盟強化に突き進む日帝との対決として、岩国や沖縄における闘いと断固として結びつき、その勝利のために貢献しなければならない。


 ●2章 辺野古新基地建設阻止! 沖縄人民に連帯して闘おう

 以下では、沖縄と岩国にかけられている攻撃と人民の反撃の現状について確認していきたい。
 辺野古新基地建設をめぐる情勢は、大きく動きはじめている。十月二十六日にアジア歴訪のため初来日した米国防長官パネッタは、一川防衛相、野田首相、玄葉外相と相次いで会談した。その中でパネッタは、「米は太平洋国家であり、この地域へのプレゼンスを維持し、兵力投入をつづける」「太平洋地域における兵力を維持するだけでなく、強化し続ける」と述べるとともに、国防費削減を目指す上院議会から普天間移設の「具体的前進」があるまでグアム移転経費の凍結を突きつけられていることを念頭において、新基地建設の前提となる環境影響評価書を年内に沖縄「県」に提出することを要求し、公有水面埋め立て許可申請も「可能な限り早く」と日本政府を恫喝した。
 民主党野田政権は、米帝オバマ政権の恫喝に慌てふためいて、辺野古新基地建設に向けた攻撃を激化させている。十月に入り民主党野田政権は、外務相、防衛相、官房副長官などを相次いで沖縄に訪問させ、新基地受け入れを仲井真知事に要請し、来日したパネッタ米国防長官の指示通りに、環境影響評価書の年内提出を策動している。また沖縄振興策や一括交付金を条件に、辺野古移設受け入れさせようとしたり、名護市での基地受け入れ容認派の組織化など許しがたい策動を続けている。沖縄人民に連帯し、何としても辺野古新基地建設を粉砕しなければならない。差別軍事支配からの解放をかけて闘う沖縄人民に連帯し、沖縄―「本土」―アジアを貫いた反戦反基地反日米軍事同盟の大衆的反帝闘争を創り出していかなくてはならない。
 そして辺野古新基地建設ともに、現在大きな焦点となっているのが、オスプレイ配備問題だ。
 オスプレイは海兵隊の次期主力輸送機として開発され、垂直に離着陸が可能で、かつ固定翼機のように水平飛行が可能な新型輸送機で、すでにイラク戦争に投入されている。しかし試作段階で四回も墜落事故を起こし、三十人が死亡しており、「未亡人製造器」とも言われる欠陥機、危険な輸送機として知られている。開発した米軍でさえ当初予定していた「要人輸送ヘリ」の候補からオスプレイを除外しているのだ。実戦に投入されて以降もイラクやアフガニスタンで事故を起こしているのだ。
 このようなオスプレイを住宅密集地の中にある「世界一危険な飛行場」普天間基地に配備するなど絶対に許すことはできない。多くの市町村で配備反対の決議があがり、全「県」に反対の動きは広がっている。
 これまで日本政府は、沖縄からの再三の指摘や質問に対して、オスプレイの普天間配備どころか、辺野古新基地への配備も一貫して否定してきたにもかかわらず、今年六月に一転して配備を発表している。沖縄「県」と宜野湾市は、日本政府に「米国やイラクなどにおける配備状況」「二〇一三、一四年度に一中隊ずつ配備予定のオスプレイ中隊の配備スケジュールの詳細」「配備に伴う環境影響評価の実施も含めた説明」など二十九項目にもぼる質問状を出しているがいまだ回答はない。沖縄人民に連帯し、オスプレイ配備阻止の闘いに立ち上がろう。
 また日本政府は、昨年十二月に決定した新防衛大綱に基づいて、来年度防衛費のなかに陸上自衛隊の「沿岸監視隊」と航空自衛隊の「移動警戒隊」の配置・展開にための用地を与那国島に確保するために十五億円を概算要求している。与那国島では、町長を筆頭に基地誘致派もいるが、大多数の島民は反対であり、中国・台湾との観光と交流に島の活性化を見出そうとしている。自衛隊基地誘致は島の過疎対策にはならないし、逆に基地に依存する過疎の島になってしまうと、強く反対している。「動的防衛力」と中国の脅威や領土防衛を扇動し、沖縄への自衛隊配備を強化し、民族排外主義の下へ組織化しようとする民主党野田政権の策動を、与那国島民に連帯し、何としても粉砕しよう。


 ●3章 愛宕山米軍住宅建設阻止! 艦載機移駐を阻止しよう!

 沖縄とともに、核空母ジョージワシントンの艦載機の移駐が目論まれている岩国基地の情勢も緊迫してきている。
 十月には渡辺防衛副大臣が、山口県知事と岩国市長を訪れ、愛宕山地域開発事業跡地の百六十八億円での買い取りを提示している。日本政府―防衛省が企んでいる愛宕山開発跡地の活用案は、①厚木から移り住む予定の約四千人の米兵・家族のための住宅、全千六十戸のうち二百七十戸を愛宕山に建設し、残りの七百九十戸を基地内のゴルフ場エリアに建設する、②愛宕山の東工区十七ヘクタールに野球場などの運動施設を建設し、市民に開放するというものだ。これに要する経費は、跡地の購入予算として百九十九億円が確保されており、米軍住宅建設費六百億円、運動施設整備費百億円と言われ、総額は約九百億円にのぼる。高級将校のための二百七十戸の建設経費は一戸一億円とも言われている。
これに対して岩国市民は、二〇〇五年十月の「米軍再編」中間報告で、岩国市民の頭越しに、地元合意もないまま合意された艦載機移駐に反対して粘り強く闘いぬいてきた。もともと岩国基地の滑走路沖合移設事業は、戦闘機の離発着による墜落事故の回避と騒音公害の軽減を名目に進められ、土砂搬出が終わった愛宕地区では「愛宕山地域開発事業」による新しい街づくりが行われるはずであった。ところが、空母艦載機の移駐が突如として浮上してくると共に、広範な市民の反対を押し切って事業計画の中止が決められ、米兵・家族のための住宅建設が進められているのだ。岩国市民が滑走路の沖合移設・愛宕山地域開発事業にかけた思いを踏みにじり、これまで以上に基地の強化・拡充をはかり、恒久的に岩国を海兵隊基地の下に組み敷こうとする米軍再編に、岩国市民の積年の怒りは爆発した。
 岩国市民は、二〇〇六年三月に艦載機受け入れの是非を問う住民投票において、圧倒的な反対の民意を示し、市民の反対を無視して米軍再編受け入れを進める山口県、岩国市に対して四つの裁判闘争を闘ってきた。通称「海と山と空とテーブルの裁判」である。
 昨年八月から開始された「愛宕山見守りの集い」では、毎月一、十一、二十一日に午前中の座り込みが続けられており、既にその回数も四十回を超えた。地元住民を中心に県内外から広範な人々が座り込みに集い、「愛宕山を守る市民連絡協議会」には岩国周辺の市民運動が総結集して運動を支えている。岩国市民の闘いを支え、激励し共に闘い、米軍住宅建設をなんとしても阻止しなければならない。
 岩国市民の粘りづよい闘いが継続しているなかで、民主党野田政権は、岩国基地の強化を進め空母艦載機受け入れの準備を強行している。「思いやり予算」四千億円で新滑走路に諸施設が建設されている。また岩国にやってくる艦載機の陸上空母離発着訓練(FCLP)の訓練基地を、日本政府は岩国から四百キロメートル離れた鹿児島県の馬毛島に建設することを決定している。地元住民は、馬毛島での訓練基地建設に反対する議会決議や署名運動に取り組み、多くの署名が集まっている。
 さらに、岩国基地に空母艦載機の受け入れ施設ができれば、横須賀基地と共に長崎県佐世保基地も米核空母の準母港とされ、アジア太平洋に展開する空母機動部隊が格段に強化されることになるのだ。米国防総省は〇六年二月に公表した「四年ごとの国防計画見直し(QDR)」で太平洋の空母五隻態勢を六隻態勢に増強することを明らかにした。追加される一隻の母港は、ハワイとなるが、米海軍は佐世保基地を準母港化する計画を進めているのだ。
 米空母が佐世保に入港する際、艦載機を岩国基地に着陸させれば一ヵ月程度の長期休暇が可能となる。岩国を中間に挟み、核空母ジョージワシントンの母港になる横須賀、第二の核空母の準母港となる佐世保の三カ所により、空母機動部隊の拠点「空母トライアングル」が形成されることになるのだ。
 岩国行動二〇一一の成功ために奮闘しよう。そしてさらに岩国市民との絆を強くし、米軍住宅建設を阻止しよう。岩国の勝利を、米軍再編そのものを打ち砕く拠点としていこうではないか!


 

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