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   アジア各地で広がる反戦・反米軍闘争

    
朝鮮半島での戦争阻止



 三月から展開されてきた米韓による合同軍事演習フォール・イーグル、キーリゾルブによって、朝鮮半島における軍事緊張は極度に高められてきた。これと並行して、フィリピンにおいては米比合同軍事演習バリカタンが今年も強行された。米国・オバマ政権はアフガニスタン侵略戦争を継続しつつ、中国や朝鮮民主主義人民共和国を念頭にアジア太平洋地域における米軍の展開態勢を圧倒的に強化しようとしている。こうした状況のなかで、この四月、フィリピン、米国、韓国など各国で様々な反戦闘争が展開された。


  ●1章 米比合同演習に抗議(フィリピン)

 四月五日、新民族主義者同盟(BAYAN)をはじめとするフィリピンの民族民主主義勢力は、この日に開始された米比合同軍事演習バリカタンを弾劾し、マニラ首都圏から主要な演習地である中部ルソンに向けて抗議キャラバンを行った。
 今年のバリカタン演習は、四月五日から十七日までの約二週間、約八千人(うち米兵四千人)が参加しておこなわれた。この演習にはF/A18戦闘機など約三十機の戦闘機、揚陸艦トートュガなどの艦船、さらに沖縄・普天間基地に配備されているオスプレイ四機が投入された。また、期間中に実施された机上演習には昨年に続いて自衛隊やオーストラリア軍なども参加している。
 抗議キャラバンの参加者はまず、マニラ首都圏のアギナルド基地の前に集まり、バリカタン演習の開幕式にあわせて抗議行動がおこなった。その後、演習に抗議する横断幕を掲げたジプニーなどで中部ルソンに移動し、演習がおこなわれるかつてのクラーク空軍基地、スービック海軍基地のゲート前で抗議集会を開催した。
 この抗議行動においては米軍による環境破壊も弾劾された。昨年秋には米艦船から出た大量の有毒廃棄物を民間軍事請負会社がスービック湾に投棄していたことが明らかになった。また今年一月には、米海軍の掃海艇が地方自治体の警告を無視し、フィリピン南西部パラワン島近くのトゥバタハ環礁に侵入し、座礁した。掃海艇は三月末頃にようやく回収されたが、世界遺産にも指定されているさんご礁にとてもつない被害をもたらした。
 この米比合同軍事演習は、朝鮮半島における米韓合同軍事演習フォール・イーグルと並行して実施されたものだった。朝鮮半島における軍事緊張の高まりのなかで、フィリピンにおいては、「朝鮮半島で戦争が勃発するならば、フィリピンは米比相互防衛条約にもとづいて米国を支援する『義務』がある」といった発言がアキノ政権の閣僚からなされてきた。また、今年のフォールイーグル演習にはフィリピン軍も参加している。
 これに関連してフィリピン共産党(CPP)は、アキノ政権が朝鮮戦争危機を煽ることでバリカタン演習とフィリピンにおける米軍プレゼンスを正当化しようとしていると指摘しつつ、「フィリピンの人民と革命勢力は朝鮮人民と共に米国による朝鮮民主主義人民共和国に対する軍事侵略・軍事的包囲の中止を要求しなければならない」(四月七日付け声明)と檄を発している。
 CPPはまた、「米比相互防衛条約の下で、フィリピン軍は民主主義と民族解放を求めてたたかう人民に敵対し、米国の介入・侵略のための戦争を支援するために朝鮮(フィリピン朝鮮遠征軍として)とベトナム(フィリピン対民間行動グループとして)に派兵された。フィリピンの米軍基地はかつて朝鮮、ベトナムへの米軍の介入のための出撃拠点として使用された。フィリピンはまた、イラン、イラク、クウェート、アフガニスタンへの米侵略軍の出撃基地あるいは休息地とされてきた」(四月七日付・機関紙「アンバヤン」)と指摘し、フィリピンにおける米軍プレゼンスの強化に反対し、米国の侵略戦争への加担を拒否してたたかうことを呼びかけている。


  ●2章 無人機攻撃をやめろ(米国)

 米国・オバマ政権は現在、戦争のIT化を推進し、アフガニスタンなどで無人機による攻撃を中心とした「対テロ」戦争を激化させてきた。米国のある上院議員が明らかにしたところによれば、この数年で約四千七百人が米軍の無人機による攻撃によって殺害されている。こうしたなか、米国のANSWER連合などによって四月十三日、「米無人機はアフリカ、中東、アジア等から出て行け!」というスローガンを掲げた集会・デモが全米各地で取り組まれた。
 ANSWER連合は次のようにこの取り組みを呼びかけている。「米国のオペレーターは標的から何千マイルも離れたオフィスでルーチン的に『ボタンを押して』、見えない無人機から発射した地獄の炎のようなミサイルで地上の標的を殺している。パキスタンやアフガニスタンで、村人たちが無人機によって殺害された子どもたちを近くの畑で火葬し、無人機攻撃に抗議している。米国政府は大統領と軍指導部に暗殺するべき人物を選んで『殺害リスト』を作成することを認めている、まさに暗殺団政府だ。法的手続きも、裁判も、証拠もなく、殺害されるべく選ばれた人物が殺され、近くにいた多くの民間人も殺されている。……世界に対して米国の民衆は『米無人機はアフリカ、中東、アジア等から出て行け!』と要求していることを知らせよう」。
 この日、米国の東海岸の様々な都市からバスが仕立てられ、多くの人々が首都ワシントンDCのホワイトハウス前に集まった。「無人機攻撃=戦争犯罪」「無人機が子どもたちを殺している」などのプラカードを掲げた人々は、そこからゼネラル・アトミック社に向けたデモ行進をおこなった。同社は米国最大の無人機製造メーカーのひとつである。ゼネラル・アトミック社の門前には模造の棺が置かれ、無人機攻撃でなくなった人々の名前が読み上げられるなか、抗議のダイインが行われた。
 この日の行動は、ワシントンDCをはじめ、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ボストンなど全米十一都市で同時に取り組まれた。
 ANSWER連合はまた、これに先立つ三月十九日、ニューヨーク市の米陸軍リクルートセンター前での米韓合同軍事演習と韓国・済州島海軍基地建設に対する抗議行動にも参加している。この行動は在米朝鮮人団体などによって取り組まれ、「戦争ゲームをやめろ―今こそ平和への対話を」「(共和国への)制裁をやめろ」などのスローガンが掲げられた。


  ●3章 戦争ではなく今こそ対話を(韓国)

 朝鮮半島の軍事緊張が高まるなか、四月十二日、米国務長官ジョン・ケリーが韓国を訪問した。これに対して、韓国の平和・統一団体「平和と統一を開く人々」(ピョントンサ)は、「対決の悪循環を終わらせて、今すぐ米朝、南北対話を始めよ」と要求して、韓国外交部前での行動をおこなった。
 この日の行動のなかでは、「ただちに平和への対話を」「(共和国への)制裁の中断を」「平和協定の締結を」などのプラカードが掲げられた。ピョントンサは行動のなかで、「朝鮮半島で戦争危機がなくならない根本原因は米朝間、南北間の敵対状態が解消されないでいるため」と指摘しつつ、「米国は対北朝鮮敵対政策を廃棄し、北は核兵器をやめて、南北軍縮を実現する朝鮮半島平和協定を締結しなければならない」と主張した。あわせて、「東北アジアでのミサイル防衛(MD)構築、韓日軍事協定締結、防衛費分担金など、韓国の国民に負担を負わせる韓米首脳会談の議題ではなく、駐韓米軍の犯罪、不公平な韓米行政協定改正など、屈辱的な韓米関係を清算する議論を始めるべきだ」と要求している。
 ピョントンサはまた、四月十五日には「世界軍縮行動の日」の国際同時行動の一環してアメリカ大使館前での行動をおこない、同月十八日には韓国国防部によるアパッチヘリ導入決定を弾劾する抗議行動に取り組むなど、連日のように反戦闘争を展開している。
 韓国においてはまた、四月三日に進歩連帯や全国農民会総連盟などの諸団体によって「戦争反対平和実現国民行動」が発足した。また、民主労総も「すべての戦争の最大の犠牲者である労働者・庶民のために、戦争の危機を助長するすべての勢力と闘っていく」という声明を十日に発表した。在韓フィリピン人移住労働者団体も連名で「朝鮮半島における侵略戦争に反対する」という声明を発表している。
 同時に、韓国・済州島においては現在も海軍基地建設反対の実力攻防が続いている。警察と韓国海軍による反対運動への不当弾圧・不当逮捕も連日のように繰り返されている。この海軍基地建設は、米軍のアジア戦略と連動し、米軍艦の寄港を前提として計画されようとしているものだ。

                      ※ ※ ※ ※ ※

 アジア共同行動日本連絡会議もまた、米韓・米比合同軍事演習を弾劾する抗議行動に取り組み、全国から五月沖縄現地闘争に決起しようとしている。朝鮮半島における戦争の危機の高まりとアジア太平洋地域における米軍展開の強化という状況のなかで、沖縄―岩国―神奈川における米軍基地の強化を許さず、アジア民衆へとその銃の矛先を向ける日米安保体制と対決するたたかいのさらなる前進をかちとっていくことはますます重要になっている。アジア・世界の民衆と連帯し、国際的な反戦・反基地・反米軍の国際共同闘争の前進をかちとろう。
 


 

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