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   9・1関東大震災・朝鮮人虐殺から90年

        
いまこそ歴史の教訓を忘れず差別排外主義と闘おう
     



 本年は一九二三年の関東大震災、そして朝鮮人虐殺から九十周年である。その虐殺が住民の安全と生活を守らなければならない軍隊・警察が率先して行ったこと、また民間自警団もそれに加担して虐殺行為を行ったことは歴史的事実として明らかにされている。しかし、いわれなき虐殺の暴露をおそれる明治政府、軍隊、警察は徹底した差別と排外主義を煽ることで虐殺を正当化しようとした。「井戸に毒がいれられた」「暴動を起こそうとしている」等など、デタラメな報道が意図的にばら撒かれたのだ。真相が覆い隠され、虐殺数さえ確定できないままきているのだ。その後、治安維持法が制定され中国、アジア侵略が本格化し、世界大戦へと突き進んでいったのだ。
 しかし戦後、朝鮮・中国・東南アジアへの侵略・植民地化への反省・謝罪と賠償が徹底されなかったことが、今の日本の排外的現状を許しているといえるのだが、九十年前のこの朝鮮人大虐殺の真相を覆い隠したところにその端緒があるといえるだろう。まさに日本の差別と排外主義の原点というべきものがこの9・1虐殺にあるのだと自覚すべきである。こんにち吹き荒れる差別・排外主義やヘイトスピーチ(憎悪発言)は、こうした歴史を否定し歪曲してきたことが大きく作用している。私たちは今一度原点に立ち返ってこの朝鮮人虐殺の歴史を想起し、闘いを推し進めていかなければならない。
 極右政権である安倍は厚顔無恥にも「従軍慰安婦」は存在しなかったとか、そもそも日本がアジアを侵略したか否かの定義ははっきしないなどと、驚くべき発言を繰り返している。維新の会共同代表の橋下大阪市長の「慰安婦制度は必要だ」「戦争を行う男の休息に必要だ」との発言は、国内はもとより世界中から非難の声を浴びせられている。もう一人の共同代表である石原前都知事は「戦争と慰安婦は、歴史の原理みたいなものだ」と橋下を擁護した。
 政党の代表といわれる人物達が、公然と歴史を歪曲し、女性差別発言を平然と公言し、街頭では右翼どもがヘイトスピーチを撒き散らしている。たまたま偶然の時局とはいえない。新自由主義に遅れまいとする日帝の強権的政治がこうした風潮を生み出しているのだ。差別・排外主義と闘う意義を再確認していこう。

 ●1章 朝鮮人・中国人虐殺を忘れるな

 明治維新後の日本の近代化、すなわち日本資本主義の発展はまさにアジア侵略と共にあった。一八七四年の日本軍初の海外派兵である「台湾出兵」、日清・日露戦争、一九一〇年の「韓国併合」―朝鮮植民地化と中国・東南アジア侵略へと、日本資本主義は軍事大国化とともに進んだ。「脱亜入欧」「殖産興業」などが叫ばれた。植民地化され生活することが困難になった民衆が宗主国日本に流れ込んできたのは当然といえる。そうしたなか一九二三年大震災がおきた。朝鮮侵略で日本への抵抗が活発化するなか、日本国内の反乱と革命を恐れた日本政府はすぐさま戒厳令をしき、社会統制を強化したのだ。まさにそのさいに朝鮮人に対する差別的流言飛語がとびかい、民族差別丸出しの行為が、上から国家レベルで行われたのだ。当時の政府が国家的危機を乗り切るために十分にこの事態を利用したのは間違いない歴史的事実なのだ。
 墨田区・四つ木橋のたもとでは、朝鮮人虐殺があり河川敷に埋められたとの証言にもとづき、発掘調査も行われている。そして毎年「追悼」する会ももよおされている。近くには、「追悼碑」も建立され、シッカリと反省と謝罪がのべられている。しかし関東全域に碑があるが、こうした虐殺を認め、責任を問うた碑文はないという。ここに根深い差別・排外主義をシッカリ見ておく必要があるだろう。

 ●2章 歴史の歪曲・差別暴言許すな

 安倍、石原、橋下らは恐るべき差別発言を繰り返している。具体的に一つ一つ暴き、そのデタラメさを確認することは大事だ。橋下「維新の会」代表は五月に「慰安婦制度は必要」と発言し、「戦場での男の休息も必要だ」とも言い放ち「慰安婦制度は必要だ」を繰り返した。すかさず石原は「軍と売春はつきもので、歴史の原理みたいなもの」とありもしない原理をほざき橋下を擁護した。また橋下は沖縄米軍海兵隊司令官に「沖縄で性犯罪を抑止するために風俗業の利用をすすめた」と得意げに語った。さすがに沖縄米軍海兵隊司令官も肯定できない話であるため、このニュースは世界中を駆け巡り、橋下は恥ずべき政治家、女性差別者として世界中から弾劾されたのだ。
 アジア侵略の際、植民地国の女性を日本軍が捕虜・監禁し、慰安婦にしたてたことは国際裁判でも確認されている事実なのだ。橋下はそれでも「慰安婦制度を認めたのではない。しょう当時の事実を言ったまでだ」と開き直り、自己弁明の論理にすりかえた。その差別性、歴史認識のデタラメさに、一斉の抗議行動が起きたのは当然だ。
 韓国からは二人の「元軍隊慰安婦」の方が来日し、その身の上を話し、「軍隊慰安婦制度」の実態について証言した。お二人は橋下発言の撤回と謝罪をもとめたが、橋下は開き直り続けたのだ。さすがに、選挙民の支持率は落ち、維新の会は急落した。橋下は安倍首相の威を借りてあたかも自分たちの主張が正しいかのように振るまっているが、根底はあの在特会どものヘイトスピーチと同じで、なんの論証も出来ず、大衆の顔色を伺っては、受けを狙うといった稚拙な発言なのだ。一見、民衆の思いを代弁しているかのように発言しているが、実際は民衆を見下げ、差別することで優越感を煽るものでしかないのだ。かつてのファシストどものやりくちそのものなのだ。
 したたかな安倍は橋下擁護の発言を慎重にしつつ、批判の矛先が己に向かないようにかわした。しかし安倍は常々、談話とはいえ政府見解である慰安婦制度に軍の関与を認めた「河野談話」(一九九三年)、アジア侵略を認めた「村山談話」(一九九五年)に対し否定的態度をとり続けていたのだ。その意味では安倍こそ確信犯であるのだ。二〇〇〇年、日本で「女性国際戦犯法廷」が開かれ、「従軍慰安婦など日本軍の戦争犯罪は日本国と天皇に責任がある」としたドキュメントをNHKが放映しようとしたことを、中止させようと圧力をかけた中心人物が安倍だ。まさに安倍こそ確信犯なのだ。安倍の歴史認識が保守右翼勢力の後押しとなって、今現在様々な歴史歪曲、暴言が撒き散らされているのだ。
 安倍第一次内閣のスローガンは「戦後レジュームからの脱却」と「美しい国、日本」という、まさに戦争や侵略を忘れ去り、戦後政治を清算してしまおうとするものだった。そして安倍は、教育基本法の改悪や防衛庁の省への昇格などの反動政治をやりとげ、政権を投げ出した。いままた亡霊の復活のように舞い戻り「戦争の出来る国家」づくりを狙っている。 したたかな安倍政権にこそ我々は注意しなければならない。安倍のいう「世界に貢献し、信頼される国」とはいつでも海外派兵し戦争の出来る国家を意味しているが、まさに戦争と差別・排外主義はメダルの裏表であることが判る。現在の状況は一過性のものではなく、資本主義社会の危機と新自由主義がもたらすある意味では構造的な現象なのだ。貧困と失業の増大はその憎悪の矛先が常に外国人労働者に向けられ、排斥運動がおきるのだ。日本ではまずは在日韓国・朝鮮人にその矛先が向けられてきたのだ。新自由主義グローバリゼーションは、競争原理が無条件に認められ、多国籍大企業の経営基準が標準基準とされ、生き延びるためには力で市場を制圧することが許されるとし、また国家がそれを後押しすることで支配階級としての存在を維持している。こうしたことが常に労働者の搾取と切り捨ての強化なしには出来ない相談なのだ。貧困と格差の世界的拡大がその結果なのだ。
 アベノミクスはひたすら資金の垂れ流しと為替操作で危機を乗り切ろうとする弥縫策でしかない。すなわち破綻している国家財政は大増税でしか救えないのは分かりきったことなのだ。こうしたデタラメで無知蒙昧な政治家の跋扈を許してはならない。
 石原は右翼のスピーカーとして妄言をくりかえし、好きなことを言う政治家として自己を売り込んできた。まさに差別・妄言の類を重ねる最悪の人物だ。中国や朝鮮民主主義人民共和国を意図的に挑発し、国防の強化を夢見るファシストそのものである。このような連中が政治を牛耳ることを許すな。

 ●3章 「防災」に名目にした治安訓練許すな

 東京都は毎年九月一日を記念日的にとりあげ、その前後に防災訓練を行ってきた。しかしその質は確実に変化してきた。二〇〇〇年石原がぶち上げた「ビックレスキュー」は自衛隊が銀座を闊歩した。「防災訓練」が「治安訓練」に変わったのだ。その後米軍が参加するようになり、空母や揚陸艇が動員されたのだ。二〇一一年3・11東日本大震災で「トモダチ作戦」と称して米軍は大規模動員を行った。福島原発の爆発すなわち核戦争の模擬訓練でしかなく、放射線量が高いととっとと引き揚げていったのだ。防衛大臣の小野寺は最近「防災訓練には米海兵隊やオスプレイの参加を考えている」とマスコミに答えている。すでにアメリカ本土では自衛隊と米軍が救出訓練と称してオスプレイを使っている。「戦争の出来る国家」づくりが理想の安倍内閣の一員ならではの発言ではないか。十一月あきる野市を中心に計画されている東京都防災訓練をゆるしてはならない。近隣に立川・横田基地を抱える地域での訓練にオスプレイの登場を画策している。秋の東京都防災訓練反対闘争に立ち上がろう。

 ●4章 差別排外主義集団の登場許すな

 維新の会は都議選、参院選で当初の意気込みも薄れ伸び率は低かったが、自民党改憲補助勢力としては充分存在意義はあるのだ。野党などと言っているが安倍政権のいう、憲法改悪発議を率先する尖兵となるだろう。しかし、在野の右翼・排外主義どもは危機感を募らせ、いっそう憎悪をあおり敵対構造を作り出そうとしている。だが、関東では東京・新大久保を中心とする悪質なヘイトスピーチ集会・デモは逆に市民に包囲され弾劾の嵐にさらされている。しかしその悪あがきを日暮里、川崎など在日の密集地に広げることで危機をのりきろうとしている。戦争の危機の時代には必ずこうした現象がおきる。労働者階級の格差・貧困化はますます拡大し、その矛盾は解決できないスパイラルに入っている。内患を外患の危機で乗り越えようというのだ。われわれは、関東大震災時の朝鮮人虐殺、第二次大戦でのアジア人民二千万虐殺という歴史的事実をハッキリ認め、加害者、抑圧民族としての責任を自覚しよう。一九二三年の朝鮮人虐殺以降日帝は一層ファシズム体制を強め、本格的アジア侵略に突き進んでいったことをあらためて想起しなければならない。その尖兵としてたちふるまう排外主義・ファシスト集団の登場を許してはならない。

 ●5章 安倍右翼反動政権打倒に立ち上がれ

 参院選で勝ったことで、安倍政権は本格的な改憲攻撃を仕掛けようとしている。まずは憲法九六条を改悪し、国会発議の条件を三分の二から二分の一にし、いつでも改憲ができうる状態を作りだそうとしている。安倍は発議だけで改憲は国民投票で決まるのだからと詭弁をろうしているが、権力を握っているものが有利に事態を進められるのは、子供でも分かることではないか。最終的には、憲法九条を廃止し、自衛隊を国防軍にしてしまおうというものだ。なんとしても改憲策動をストップさせよう。
 「アベノミクス」はなんのことはない、大幅金融緩和と大型公共事業の推進であり、その国家財政の借金は消費税でまかなおうというものだ。労働者の税金を大企業に使ったうえにさらに税金を取るというものだ。労働者を死に追いやる矢を放ったのだ。現に大企業だけが潤っており、内部留保金は二百六十兆円にものぼっている。にもかかわらず、労働者の収入には反映されてなく、その格差は広がるばかり。まさに1%のためのアベノミクスだ。非正規職労働者が二千万人以上(労働者全体の38・2%)に上っている。またTPP参加では大企業だけが有利で、農業などは壊滅状態になるのだ。
 どうしても許せないのは、安倍は原発の再稼動を推進しようとしていることだ。原子力規制庁は世界一安全な基準を作ったなどとほざいているが。いま、福島はどうなっているのだ。十五万人近い人は県外避難したままだ。帰宅地域を拡大したというが、除染しても効果が無いために、昼だけ帰ってもいいという、まったくふざけきったことを住民に押し付けている。福島の棄民政策は絶対に許せない。原発福一は収束どころか、廃液が海に流れ込む事態がおき、汚染が拡大しようとしている。原発は津波でやられたとしているが、実は最初の地震でやられた可能性が大いにあるのだ。その検証もできないまま再稼動を急いでいる。核のゴミはたまる一方でなんの解決策もない。
 安倍政権は自ら原発セールスマンとなって世界に原発を売り込んでいる。中東、東欧そしてインドへと売り込んでいるのだ。原発を売るには、原発を動かさなければならない。軍需産業で生き残るためにも原発は日本ブルジョアジーの生命線ともなっている。人民への犠牲をなんとも思わない安倍政権を倒すことが、アジア民衆に対する我々の責任だ。安倍政権打倒を共に闘おう。



 

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