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   労働者を使い捨てる労働法制改悪許すな

   


 
 日帝―安倍政権は、「日本を世界で一番企業が活動しやすい国にする」と労働法制の改悪を行い、労働者を使い捨てる政策を推し進めようとしている。今秋、この日帝の目論見を粉砕する労働者階級の闘いを爆発させよう。

  ●1章 広がる貧困と格差

 二〇一三年、全労働者に占める非正規労働者の割合は35・2%と過去最高となった。また、年収二百万円未満の労働者は二〇〇六年連続して一千万人を超えた。安倍は、「景気は順調に上がっている」とし、「雇用が増えているのがその証拠だ」と言っている。しかし、実態はどうか。総務省が公表した今年四月~六月期平均非正規労働者数は、一年前より六百万人増の千八百八十一万人で、正規雇用労働者は五十三万人減っている。つまり、増えているのは、低賃金不安定雇用の非正規労働者なのである。しかも、安倍はこの非正規雇用労働者を更に増やす労働法制の改悪を行おうとしている。まさに資本の必要な時だけ働き、いつでも首を切れる労働者を増やすことで「世界で一番企業が活動しやすい国」を作ろうとしている。

  ●2章 労働者はモノではない

 日帝―安倍は、六月十四日「日本再生戦略」とそれを受けた「規制改革実施計画」を閣議決定した。この計画の労働分野については、「産業競争力会議」や「規制改革会議」等ブルジョアジーと御用学者の出した答申に基づいて作られたもので、「人材こそがわが国の最大の資源」として労働者をモノのように扱う計画になっている。この計画では「人が動くように多様な働き方を、柔軟性をもたせる」としているが、この「人が動く」とは、必要な部署に必要な人を必要な時だけ配置するという労働者の在庫管理を行う発想に貫かれているものに他ならない。そして、具体的には「限定正社員」制度、派遣法の改悪、有料職業紹介、企画業務型裁量労働制度の見直しなどである、また議論の過程においては解雇の金銭解決も俎上に上っていた。以下これらの内容についてその概略を見ていきたい。
 「限定正社員(ジョブ型正社員とも呼ばれる)は、正社員と非正規社員の中間に位置し、勤務地・職務を限定された期間の定めのない労働者だという。遠隔地への転勤や不慣れな仕事への配転がないので労働者側によい制度のように見えるが、規制改革会議の場での長谷川首相補佐官の「限定正社員をその勤務地がなくなれば解雇できる制度にする」という発言や競争力会議の場では「正社員を限定正社員に切り替得れれば解雇してよいという話だろう」とあけすけに語られたように、勤務地や仕事がなくなれば解雇できるという制度なのである。工場閉鎖や移転に際して労働者は闘いを繰り広げ、雇用の保証を勝ち取ってきた。こうした闘いに対して労働法で解雇ができるようにしてしまおうというのである。
 今、この制度の先取りであるかのように、郵政労働者の職場では、「新人事制度」が開始されようとしている。郵便局で働く正社員を管理的仕事をする「地域基幹職」と転勤範囲範囲は狭いが労働賃金や生涯賃金の低い「新一般職」に分けようとしている。現在、郵政職場には、約十七万七千人の非正規雇用労働者が働いているが、この非正規雇用労働者を「新一般職」に登用する道はないに等しく、退職した正規社員を「新一般職」に置き換え総人件費の抑制を行おうことがその狙いである。そして、郵便局の廃止があれば解雇することができる可能すらある。また、橋下市政の大阪では、市場原理主義に立った民営化、公共サービスの切り売りが行われようとしており、民営化に伴いそこに働いていた公務員の分限免職が強行されようとしている。職場がなくなれば解雇が当たり前を合法的に行おうとするこうした動きに対して、郵政の職場で、自治体職場で今反撃の闘いが開始されている。
 次に派遣法の改悪については、「今後の労働者派遣制度のあり方に関する研究会」報告として八月六日にまとめられ、八月三十日から労制審での審議が開始されている。
 現在の労働者派遣法では、通訳や秘書など専門的な二十六業種以外は、企業が派遣を受け入れられる期限を原則一年(最長三年)とし、その後は禁じている。これは、派遣法が、一時的、臨時的な業務がある場合に備え、労働者供給事業を禁じた職業安定法四四条の例外として設けられた制度であるからである。つまり、恒常的に労働力が必要な業務には正社員を直接雇用ればよいという当たり前の働き方、働かせ方に基づいている。しかも、二〇〇八年のショックに伴う大量の派遣切りが行われ、年越し派遣村が出現し社会的にもこの派遣としう働かせ方にたいする大きな批判の声が上がった。これを受けて不十分ながら派遣法の改正(日雇い派遣の原則禁止・マージン率等の情報公開、三年を超えた派遣に対する派遣先への労働契約申し込みなし制度の創設)が二〇一〇年十月一日に施行されたばかりである。
 しかし、今回の報告においては、専門的な二十六業種という枠を取り払い、全ての業種において「派遣の仕事」を作り、この「派遣の仕事」となった業務に従事している労働者は、派遣元との間で無期限の派遣契約を結んでいる場合を除いて三年で派遣先から追われることになるが、派遣先は、派遣元に対して人を変えて派遣するように求めることができる。つまり、職場の中に「派遣がやる仕事」の固定化が生まれ、資本側がこの「派遣がやる仕事」の範囲を拡大していけば、ほんのわずかな管理的正社員を除いて一般業務は労働賃金の低い安上がりな派遣社員が行い、必要な時には派遣元に労働者の供給を要求し、必要なくなれば打ち切りができるという、まさに労働者をモノのように在庫管理するというシステムが完成しするのである。現在でも行われていることではあるが、労働者を育てるという仕事は全て派遣元の仕事となり、派遣元では使い勝手の良い労働者と悪い労働者の差別選別に一層拍車がかかることは想像に難くない。この上に、有料職業紹介事業の規制緩和が行われれば、労働者は働き始めた途端から「紹介料」という借金を負うことになる。まさに、派遣労働がワーキングプアの温床になっているという認識のもとに不十分ながら行われた派遣法改正が緒についたばかりだというのに、時計の逆戻しが強行されようとしている。これに対しても労働者は、上部団体の枠を超えて反対の声をたたきつける行動が八月三十日の労制審において行われ、今秋の大きな課題となっている。
 一方正社員に対しては、企画業務型裁量労働制の見直し(残業代ゼロ)が行われようとしている。現在、サービス残業という名の賃金不払いが横行し、長時間労働による過労死・過労自殺が増えているにもかかわらず、「事務系や研究開発系等の労働者のうち、一定の者については労働時間法制の適用のあり方を見直す」「フレックスタイムの利便性を高め、一週間当たりの労働時間が四十時間を越えない範囲で労働させる期間の見直し」(規制改革会議答申)が行われようとしている。更に、安倍政権は、今秋の臨時国会に「産業競争力強化法案」として、国の規制緩和法の成立に先駆けて企業単位で規制緩和が行われるようにしようとしているが、この中に「年収で八百万円を超える社員を想定して時間外労働に対する残業代などは支払わない上、休日、深夜勤務での割り増しなどはない。仕事の繁閑に応じて自分の判断で働き方を柔軟に調整できる」ようにすることが含まれている。
 第一次安倍政権の時に「残業代ゼロ法案(ホワイトカラーエグゼプション)」として労働者の怒りの結集の結果廃案になった法案が形を変えて出てきたのである。安倍政権の再登場と共に浮上したこの策動を許さず、安倍政権と共に葬り去る闘いに立ち上がろう。



 

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