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   日帝の戦時政策を粉砕し、
    障害者解放―日帝打倒かちとれ

                       
河原 涼




 ●一 相次ぐ障害者差別を許さず、障害者の自己解放かちとれ

 ▼①医療観察法による隔離、収容政策粉砕

 十月十九日都内において、阻止共闘主催による「『医療観察法における収容』を許さない討論集会」が行われた。
 集会では、医療観察法の施行から今年で十年目であり、当初の入院期間が十八カ月から現在平均二年であって、収容期間がどんどん延びていくことが報告された。
 また、一人あたり二千万円かけるという「手厚い医療」の下で、回復期「内省プログラム」の強制のため、入院期間が延びている実態が明らかにされた。「内省」を深めないと、次の社会復帰期に移れないという現実があるのだ。
 また、「家族の支援が期待できない」として入院処遇と判定される人もいる。
 鑑定入院は、家族はおろか弁護士さえ面会できないものである事も明らかにされた。こうした中、医療観察法のもとで、三十七名もの自殺者が出ているのだ。医療観察法を完全に撤廃しなければならない。

 ▼②全国で相次ぐ障害者差別許すな

 埼玉県内で視覚障害者の女生徒が脚を蹴られたり、盲導犬が傷つけられる事件が相次いだ。二〇一四年九月二十三日の新聞報道によれば、埼玉県視覚障害者福祉協会(熊谷市)が県内や東京都内などの視覚障害者にアンケートを行った結果、回答者の67%が「外出時に危険を感じた」と答えたという。
 厳しい言葉を浴びせられたり、「顔や体をたたかれたり、足を絡めて倒された」との回答もあった。こうした暴力や嫌がらせにとどまらず、多方面にわたって枚挙にいとまがないほど、障害者差別が横行している。
 障害者施設による虐待も然り、全国の施設、作業所や家庭内における差別の激化を許してはならない。

 ●二 永住外国人の生活保護へのバッシングを許すな

 次世代の党は、生活保護の給付対象から、永住外国人を除外する生活保護法改悪案を、今秋国会に提出することを目論んだ。
 在日韓国、朝鮮人を狙い撃ちにした卑劣な民族排外主義に貫かれたものであり、徹底粉砕しなければならない。
 これは、最高裁が、二〇一四年七月十八日、外国人は生活保護法に基づく生活保護の受給権を有しないとの判断を示したことを直接の根拠としている。
 この判例というのは、在留資格「永住者」を有する外国人が、生活保護法に基づく生活保護の申請をしたところ、当該の大分市福祉事務所長から申請を却下する旨の処分を受けたとして、却下処分の取消し等を求めた事件について、 福岡高等裁判所はこれを認めたが、最高裁が一転これを破棄したというものである。
 しかし、この判決は、生活保護法の「生活に困窮する国民」という文言を再確認したものであって、運用面での適用を否定してはいない。
 しかし次世代の党は、判決の趣旨を強引にねじ曲げて、運用面でずっと適用されてきた在日韓国、朝鮮人への生活保護の適用を除外することを強く主張している。
 自民党行政改革推進本部の無駄撲滅プロジェクトチームもまた、事業費が年千二百二十億円にのぼる外国人生活保護は「社会保障費削減の観点から現状維持は困難」「生活を維持する事が困難な場合は、国外退去を視野に入れるべき」とするきわめて差別的な主張を繰り返す。
 また、九月九日『東京新聞』によれば、千葉県習志野市議会において、永住外国人への生活保護の「支給停止」を求める陳情が提出される事態に至っている。
 この陳情は、「……法的な根拠がないまま、習志野市の裁量(慈愛の精神)で施してあげている(中略)『外国人への生活保護の準用(不適切執行)』を速やかに中止するよう求める陳情」というものであり、民族排外主義そのものである。これ自体は、「内容が差別的」という理由などで、不採用となっているが、外国人受給者への誹謗中傷を激化させることを許してはならない。
 一九四六年に成立した旧生活保護法は、「生活の保護を要する状態にある者」の生活を、国が差別的な取り扱いをなすことなく平等に保護すると規定し(同法一条)、その適用対象を日本国民に限定していなかった。しかし、生存権(憲法二五条)を保障した日本国憲法の成立を経て、一九五〇年に施行された現行生活保護法は、生活に困窮する「すべての国民」という表現に変えて、生活保護受給者の範囲を日本国籍者に限定した。
 しかし新法施行直後に、「放置することが社会的人道的にみても妥当でなく他の救済の途が全くない場合に限り」外国人を保護の対象として差し支えない旨の通知がされる(五〇年六月十八日社乙九二号)。さらに五四年五月八日、厚生省から各都道府県知事に宛てて、「……生活に困窮する外国人に対しては日本国民に準じて必要と認める保護を行い、その手続については不服申立の制度を除きおおむね日本国民と同様の手続によるものとする」通知が発せられた(「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」五四年社発第三八二号厚生省社会局長通知)。
 これは、植民地出身者の国籍剥奪を背景に、在日韓国、朝鮮人を中心とする多くの在留外国人が差別と貧困に苦しんでいたことに対する応急措置であった。
 八九年、「出入国管理及び難民認定法」(以下「入管法」という)が改正され、現行法へ引き継がれる在留資格制度の基礎が作られた。さらに九一年には「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」が施行され、在日韓国、朝鮮人を中心とする旧植民地出身者とその子孫について、新たに制定された「特別永住者」とされた。(引用 二〇一四年七月二十四日付『SYNODOS』永住外国人生活保護訴訟最高裁判決を読む――あらわになった日本社会の姿 山口元一 弁護士)
 こうした生活保護法の運用面での歴史は、一方において日帝の植民地支配の被害をうけた在日韓国、朝鮮人の生活を最低限度において保障するものである。こうした歴史をあえて差別排外主義の洪水の中にかき消して、国粋主義をはびこらせる事を絶対に許してはならない。

 ●三 医療制度改悪を許すな

 十月一日付け東京新聞によれば、六十五歳以上の支払う介護保険料の滞納が急増している。
 厚生労働省によると、二〇一二年度に徴収できなかった額(未収額)は、過去最高の二百七十二億円(対前年度比29%増)で、介護保険開始時より七割増した。介護保険料負担が高齢者に重くのしかかっている。ただでさえ、困窮する高齢者は、このままでは必要な介護サービスが使えずに、ますます困難な状況に陥っていくことは不可避である。
 こうした対象者は、市町村からの通知により個別におさめる普通徴収分(保険料の一割強)の人達である。「自己責任」で格差がひろがり、貧困にあえぐ多くの高齢者が生まれているのだ。
 医療保険制度改革の波がとどまる所をしらない
 七月三日新聞報道によれば、厚労省は、一般病棟の入院食費を倍近くに値上げし(一食負担二百六十円から四百六十円へ)、医療保険財政を労働者人民に賄わせる狙いである。
 こうした労働者人民に、洪水のようにふりかかる社会保障制度の崩壊の嵐は、ブルジョアジーによる、日帝権力への要請によって引き起こされたものである。
 二〇一四年五月十三日、日本経済団体連合会は、「医療保険制度改革に関する要望」と題した要望書を公開した。そこでは、「一、際限なき保険料負担増の抑制」として、「高齢者医療への拠出金負担が現役の医療保険者の運営を圧迫し、保険料の引き上げを余儀なくされている」と述べ、「国民医療費の約六割を占める高齢者医療費は高齢化の進展に伴い」増大しており、「早急に、高齢者医療制度の見直しに向けた議論を開始すべきである」「自助を基本としつつ、自助で賄いきれないリスクは社会保険料による共助、保険原理を超えたリスクへの対応や世代間扶助は税による公助」でという考え方を徹底させ、「前期高齢者も含め高齢者医療給付への税投入の拡大を図るべきである」とする。
 「まずは自己責任」という価値観を強烈に強制し、社会保障制度の意義を空洞化させる大義名分を主張するのだ。十月十六日『東京新聞』によれば、厚労省は十月十五日社会保障審議会の部会を開き、後期高齢者医療の保険料軽減特例廃止で一致した。
 また、九月十七日共同通信によれば、障害者が働く作業所でつくる団体「きょうされん」が、訪問介護を受ける六十五歳以上の障害者のうち、86・2%の人が介護保険への制度切り替えにより、サービス利用時の自己負担分を支払っている、との調査結果を発表した。
 障害福祉制度では低所得者がサービスを受けた時の自己負担はゼロだが、六十五歳以上になると原則一割負担の介護保険に切り替えられ、低所得者にも自己負担が生じる。厚生労働省によると、障害福祉サービスの利用者全体で自己負担を支払っている人は6・6%にとどまっており、六十五歳を境に多くの障害者に負担が発生しているという。
 貧困に喘ぐ高齢者が、高額な介護保険料を払えず、サービスの対象からはじき出されている。高齢の障害者も障害者福祉サービスから介護保険への切り替えを強制され、自己負担を強制される構造である。
 障害者総体、労働者人民にのみ多大な負担を強要し、ますますの貧困を強制する一方、自らは法人税の実質的軽減や、規制緩和、金融緩和による多大な利益をほしいままにするブルジョアジーを絶対に許してはならない。

 ●四 障害者の自己解放―日帝打倒に向けた取り組み

 こうした、日帝の戦時障害者政策、労働者人民に対する社会保障制度の崩壊は、戦争と差別を強硬に押しすすめる安倍政権の基本的な方向のもたらした結果である。われわれは真っ向からこうした攻撃を粉砕すべく、障害者解放―日帝打倒闘争を全国におしすすめてきている。
 首都圏においては、保安処分粉砕闘争と同時に、駅周辺の路上生活者への声かけ、河川敷のテント生活者への支援を模索し、路上生活者支援運動の一定の成果を地道に獲得しつつある。
 特に、地域弁護士会、地域生活支援センターとの運動的連携が功を奏している。地域行政による、生活保護政策改悪の一角を崩し、民間診療所所有の緊急一時宿泊所を利用し、そこにテント生活者を住まわせ、そこから生活保護申請の実績をつくていくということで、地域での独自の路上生活者支援の具体的なとりくみの道すじをこじあけたことは大きな成果である。
 また、山口地区においては、地域の障害者の親子が、普通高校に進学したいと県の教育委員会と交渉しているが、その支援を通して、学習する権利の獲得をめざして取り組んでいる。
 また8・6広島青空式典においては、韓国との同時開催ということが昨年から行われているなかで、日韓の民衆の交流を盛んにおしすすめ、学生介護者を獲得している。
 地域での反戦、反差別運動への積極的な取り組みをおこなっている。
 こうした、取り組みを通して、障害者の自己解放運動の一層の前進と、日帝打倒闘争の戦略的推進をはかっていく決意である。ともに闘わん!


 

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