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   「テロ対策」3法強行可決徹底弾劾

   
日帝―安倍政権の治安弾圧体制強化を許すな

          

  

 第一八七国会において、安倍右翼反動政権はカンパ禁止法改悪、テロリスト指定・資産凍結法、犯罪収益移転防止法改悪を強行した。「反テロ」キャンペーンを振りまき、治安弾圧立法を強行したことを、われわれは強く弾劾する。
 まず第一は、カンパ禁止法(「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等に関する法律」)改悪である。この法律は、マスコミでは「テロ資金提供処罰法」といわれているが、この法律の中に「テロ」という言葉は一切ない。
 法律上は「公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者」として規定している。国や地方公共団体、外国政府を脅迫する目的で、「航行中の船舶……その航行に危険を生じさせる行為」とか、「道路、公園、駅その他の公衆の利用に供する施設」や「建造物」に「重大な損傷を与える行為」などが列挙されている。
 これらの規定によれば、新基地建設に反対する辺野古での海上行動や、侵略戦争に反対する公園でのビラ貼りは「脅迫目的の犯罪行為」であり、その「実行を容易にするため」の資金などの提供や収集は処罰対象になるというのだ。この法律の反動的な本質が明確にあらわれている。「公衆等脅迫目的の犯罪行為」という規定そのものを許してはならない。反戦運動をはじめ、政府に反対する人民の闘いを「国に対する脅迫行為」とする法律など廃止に追いやらねばならない。
 この悪辣なカンパ禁止法であるが、今回の改悪で適用対象が大幅に拡大された。現行法では、「公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者」(国会審議では「テロ企画者」と言っている)による資金収集と「一次協力者」(「
テロ企画者」に直接、資金などを提供するもの)による資金の提供が処罰対象とされていた。今回の改悪では、資金にくわえて「土地、建物、物品、役務その他の利益」の収集や提供も処罰対象に加えられる。
 そして、「テロ企画者」と「第一次協力者」だけでなく、「第一次協力者」に資金などを提供した「第二次協力者」、その「第二次協力者」に資金などを提供した「その他の協力者」までも処罰対象に加えたのが今回の改悪だ。街頭でのカンパ活動を行えば、カンパを呼びかけた人も、その呼びかけにこたえてカンパした人も処罰対象になるということだ。
 第二は、テロリスト指定・資産凍結法(「国際連合安全保障理事会決議一二六七号等を踏まえわが国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法」)である。この法律の概要はこうだ。国家公安委員会が、個人団体を「テロリスト」に指定し、公告する。公告された「テロリスト」は規制対象財産を凍結される。また、「テロリスト」に対する規制対象財産の贈与なども禁止される。違反すれば処罰するという法律だ。
 まず、国家公安委員会による、「テロリスト」指定・公告はどのように行われるのか。二通りのやり方が規定されている。まず一つ目は、国連安保理決議に基づき安保理制裁委員会が指定するものを官報に公告する。二つ目は、国家公安委員会が独自に「テロリスト」を指定し、公告するのである。国家公安委員会は、次の三つのうち、いずれか一つにでも該当するものを、「テロリスト」と指定することができる。まず第一は、アメリカ政府など政令で定める国が「テロリスト」指定している個人・団体である。第二に、外為法及び外国貿易法十六条一項で「本邦から外国へ向けた支払いをしようとする……当該支払い又は支払い等について許可を受ける義務を課せられることとなる者」である。外為法に基づく送金などの許可は、閣議決定や主務大臣の判断で変更が可能である。その上、テロリスト指定・資産凍結法においては「義務を課せられることとなる者」となっている。つまり、外為法による許可を受ける義務が、現にあるかどうかは関係ない。国家公安委員会が「この個人・団体は、外為法の許可を受ける義務を課せられることになるだろう」と判断すれば、独立して「テロリスト」指定できるのだ。そして第三に、「公衆等脅迫目的の犯罪行為を行い、行おうとし、又は助けたと認められる」個人・団体である。「公衆等脅迫目的の犯罪行為」規定の反人民性は、先述したとおりである。「犯罪行為を行おうとし」たと、国家公安委員会が「認め」ただけで、その個人・団体は資産凍結の対象となる。突出した治安立法だ。
 つぎに、財産の凍結とは、具体的に何が行われるのか。「指定・公告テロリスト」は政令で定める規制対象財産(金銭、有価証券、貴金属、土地、建物、自動車など)の贈与や貸付、金銭債務の履行などを受けるなどを、都道府県公安委員会の許可なく行うことは禁止される。これでは、アパートやレンタカー、集会場や会議室の使用、ホテルの宿泊、銀行預金の引き出しなど、これらすべてに公安委員会の許可が必要ということになる。生活のほとんどを警察の監視下に置くというものだ。この財産凍結や「テロリスト指定」については、「仮領置」や「仮指定」も規定されていることも重大であり、見過ごすことはできない。
 そして、「指定・公告テロリスト」だけが禁止対象ではない。「指定・公告テロリスト」に対する規制対象財産の贈与・貸付なども規制される。あらゆる人が罰則の対象となる。罰則として一例だけ挙げておくと、「指定・公告テロリスト」の違反について、三年以下の懲役、もしくは百万円以下の罰金・科料となっている。
 マスコミでは「国連決議にもとづく、国際テロ資金凍結法」と呼ばれていたが、それはこの法律の本質を誤解させる名称である。安倍政権による「反テロ」キャンペーンは、「テロ」資金を監視・規制することを目的に設置された政府間連絡機関「金融活動作業部会」(FATF)からの勧告を利用したものだった。このFATFは、帝国主義各国を先頭にした政府の警察・金融当局者らの連絡機関であり、反民主的性格をもった機関である。「国際テロリズム」という規定や「国連決議に基づく」という文言は、口実に過ぎない。その本質は、国家公安委員会による治安弾圧手段の拡大強化であり、その狙いは反戦・反基地運動をはじめ、日帝―政府に抵抗し立ち上がる人民の運動を弾圧することなのだ。このことは、それはこれら三法案の国会審議中に法務大臣・上川が共謀罪新設の方針をあらためて示したことにもあらわれている。こうした政府の悪辣な意図を見抜き、衆議院解散を目前にした流動的な状況において国会行動が粘り強く取り組まれてきた。十一月二十日には、東京・日比谷公園において「テロ指定・資産凍結法制定を許すな」を掲げた集会とデモが行われた。
 日帝―国家権力の治安弾圧体制強化を、断固として許さずたたかいぬこう。新捜査手法の導入、共謀罪の新設を許さず、阻止するたたかいにたちあがろう。


 

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