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   集団的自衛権法制化阻止!
         戦争法案粉砕―安倍政権打倒

  
       

 自民党・公明党は三月十九日、昨年七月一日の集団的自衛権行使を「合憲化」する閣議決定にもとづき、「安全保障法制整備の具体的な方向性について」という与党協議のとりまとめ文書に合意した。安倍政権は、これを受けて五月中旬に集団的自衛権法制化を含む新たな安保法制(戦争法制)を通常国会に上程しようとしている。自民党の高村副総理は三月二十八日、関連法案を成立させるため「一カ月強、国会を延長する必要がある」と述べ、六月二十四日までの会期を七月末から八月上旬まで延長するべきだとの考えを示した。安倍政権は、何としても現在の通常国会で新たな安保法制の成立を強行しようとしている。また日米両国政府は、四月二十七日に日米安全保障協議委員会(2+2)において日本による集団的自衛権行使を組み込んだ新たな日米ガイドラインを締結し、四月二十八日には日米首脳会談を開催しようとしている。まさに、歴史の岐路とも言える日米軍事同盟の強化と日本の戦争国家化が一挙に進行しようとしているのだ。

 ●1章 集団的自衛権行使を「合憲化」した閣議決定

 現在の国際法(国連憲章)において、主権国家は個別的自衛権と集団的自衛権を保持しているとされている。個別的自衛権とは、武力攻撃を受けた国が自国を防衛するために武力を行使する権利である。集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある国が武力攻撃を受けた場合、自国が武力攻撃を受けていなくとも、その国を防衛するために武力を行使する権利だとされている。この集団的自衛権は、戦後世界においてアメリカをはじめとした帝国主義国が、他国への侵略戦争や軍事介入を正当化するための論理として使われてきた。アメリカによるベトナム侵略戦争、ニカラグア革命への軍事介入、アフガン戦争へのNATOの参戦、米英によるイラク侵略戦争などがそうである。また、旧ソ連によるハンガリー介入やアフガン侵攻も、集団的自衛権の行使として正当化された。
 戦後の自民党政権は、憲法九条による制約から「日本は集団的自衛権を保持しているが行使することはできない」との立場をとってきた。それは、憲法九条のもとで可能なのは「自衛のための必要最小限度の実力の行使」だとする憲法解釈を基礎とするものであった。再び日本による海外派兵や侵略戦争を許さないというアジア人民の批判と闘い、また日本の労働者人民の戦後の反戦平和運動が自民党政権にこのような制約を強制してきたのである。しかし、昨年七月一日の安倍政権の閣議決定は、このような歴代の政権の憲法解釈を根本的に変更し、限定的ではあれ集団的自衛権の行使を「合憲化」するものであった。すなわち、「自衛のための必要最小限度の実力の行使」であれば、個別的自衛権だけではなく集団的自衛権の行使も現憲法のもとで可能だとしたのである。内閣の閣議決定によって事実上の憲法改悪を強行したことは、まさに立憲主義の破壊に他ならない。
 安倍首相は、もともと個別的自衛権であれ集団的自衛権であれ、自衛権の行使に「自衛のための必要最小限度の実力の行使」などという制約を設けるべきではないという、集団的自衛権行使の全面的容認論であった。米英などのように、世界のどこにおいても他国への爆撃や武力侵攻、軍事制圧ができるようにしたいということであった。しかし、それがもたらす労働者人民の反発や公明党の離反を恐れて、安倍政権は七月一日の閣議決定では集団的自衛権の限定的容認論を採用せざるをえなかった。すなわち閣議決定では、①密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、②日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと、③必要最小限度の実力の行使にとどまること、という「武力行使の新三要件」を満たせば集団的自衛権の行使は可能だとしたのである。
 このような制約を強いられたものではあれ、安倍政権はついに自衛隊の海外派兵と海外での武力行使のための集団的自衛権の行使に踏みだしたのだ。確かにこの「新三要件」のもとでは、ただちにイラク侵略戦争におけるイギリスのように、アメリカによる侵略戦争に全面的に参戦することはできない。しかし、安倍政権がこの閣議決定を突破口として、集団的自衛権行使の全面的な容認へと向かうことは火を見るよりも明らかなことである。

 ●2章 新安保法制(戦争法制)批判

 安倍政権が準備している新たな安保法制は、このような集団的自衛権行使の法制化を中心としつつ、自衛隊の海外派兵と海外での武力行使をいくつもの領域において一挙に拡大していくことを狙うものである。これまでの安保法制では、有事法制の中心的な法律として武力攻撃事態法があり、それとは別に自衛隊の海外派兵を根拠づける派兵法として、周辺事態法、イラク特措法などの特措法、そしてPKO法の三つがある。三月十九日の与党合意などから、国会に上程される新安保法制は次の五つを基軸とするものとなるであろう。
 第一には、武力攻撃事態法(二〇〇三年制定)の改悪である。これまでの武力攻撃事態法は、日本が武力攻撃を受けた場合の対応を定めた有事法制の中心的な法律で、自国を武力で守るという個別的自衛権の発動しか規定していない。安倍政権は、この武力攻撃事態法に集団的自衛権の行使を付け加えようとしている。この改悪によって、武力攻撃事態法は個別的自衛権の発動を根拠づけるだけではなく、集団的自衛権行使に法的根拠を与え、「海外武力行使法」という性格を併せ持つものとなる。この法改悪によって、どこまでが可能となるのか、現時点ではその詳細は未だ明らかになっていない。しかし、少なくとも日米安保にもとづいて展開する米艦船の防護、米本土に向かう弾道ミサイルの迎撃など、日米共同作戦体制の飛躍的な強化が進行することは必至なのだ。
 第二には、周辺事態法(一九九九年制定)の改悪である。これまでの周辺事態法は、「日本周辺地域で日本の平和と安全に重要な影響を与える事態が起きた場合に実施する対米協力」を定めた法律である。主要に朝鮮半島有事を想定し、米軍に対する兵員・物品の輸送などの「後方地域支援」を規定してきた。安倍政権は周辺事態法を「重要影響事態法」に名称変更するとともに、日本の周辺という地理的制約をなくし、また米軍以外の他国の軍隊への支援も可能にしようとしている。すなわち、「重要影響事態」(日本の平和と安全に重要な影響を与える事態)であれば、地球上のどこにでも自衛隊を海外派兵し、米軍など他国の軍隊への「後方支援」を可能とするものである。安倍政権は朝鮮半島有事など日本周辺で発生する事態への対応にとどまらず、中東から日本に原油を輸送する石油タンカーが通過するホルムズ海峡などのシーレーン(海上輸送路)が機雷で封鎖されたとき、この周辺事態法の改悪によって自衛隊による機雷の掃海も可能になると説明している。
 第三には、自衛隊の海外派兵のための恒久法の制定である。これまで政府は、周辺事態法に規定する「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」でなかったとしても、「国際社会の要請」だとして、イラクへの自衛隊派兵などを行ってきた。それらは、イラク特措法などの特措法をそのつど制定するという形で実施されてきた。安倍政権はこの特措法方式をとりやめ、「国際社会の平和と安全のために活動する他国軍隊への支援活動」について「国際平和支援法」という派兵恒久法を制定しようとしている。そして、「国連決議に基づくものであることまたは関連する国連決議があること」を要件として、政府の判断でいつでもどこにでも自衛隊を派兵し、他国軍隊への「後方支援」を可能にしようとしているのだ。また、これまでの「戦闘地域」「非戦闘地域」の区別をなくし、「現に戦闘行為を行っている現場」でなければどこででも他国軍隊への支援を可能にしようとしている。そして、「国会の事前承認を基本とする」とすることによって、国会の事前承認なしの派兵をも否定していない。
 第四に、PKO法(一九九二年制定)の改悪である。PKO法は、二〇〇一年の改悪によって、国連平和維持軍(PKF)本体業務への参加が可能となった。今回の改悪では、「実施できる業務の拡大および業務の実施に必要な武器使用権限の見直しを行う」としている。すなわち、治安維持などの業務の実施のための武器使用を解禁することである。また、「国連が統括しない人道復興支援活動や安全確保活動等の国際的な平和協力活動」にまで、自衛隊の参加を拡大しようとしている。NATOや有志国連合などが実施する治安維持活動などにも参加する道が開かれる。
 第五に、船舶の臨検のための船舶検査活動法の改悪、「在外邦人の救出」のための自衛隊法改悪、グレーゾーン事態に対応する自衛隊法改悪などである。このなかでも、「在外邦人の救出」のための自衛隊法の改悪はきわめて危険なものである。現在の自衛隊法では、「在外邦人」の輸送業務が規定されているだけで、救出は規定されていない。安倍政権は三月十一日、自衛隊が武器を使って「在外邦人」を救出するケースとして、以下の五事例を公明党に提示した。①(国外退避のための)集合場所に向かう唯一の輸送経路がバリケードなどで通行妨害にあった場合、②集合場所が暴徒らに取り囲まれた場合、③集合場所に向かっている邦人が誘拐された場合、④日本の大使館・領事館などが占拠された場合、⑤日本の航空機がハイジャックされて空港に着陸している場合である。これらの場合、安倍政権は「在外邦人の救出」という任務遂行のための武器使用を可能にしようとしている。自国民の救出のための武力行使は、歴史的に他国への武力介入の恰好の口実とされてきたものであり、そこから戦争へと突入することもありうるものなのだ。また、「グレーゾーン事態」とは武力攻撃とただちに認定できない領土、領海に対する外国勢力からの侵害で、警察や海上保安庁では対応できない状況とされている。今回の法整備では、釣魚諸島(尖閣諸島)などの離島が占拠される事態への自衛隊の対応や平時から米軍の艦船など同盟国軍の「武器等防護」を可能とする法整備がなされようとしている。

 ●3章 歴史の岐路としての新たな安保法制

 安倍政権が通常国会に提出する新安保法制は、このように集団的自衛権の法制化を中心に一挙に自衛隊の海外派兵と海外での武力行使を拡大するものである。新安保法制を批判するにあたって明確にしておくべきことは、以下のことにある。
 第一に、新安保法制は集団的自衛権行使の突破口であり、安倍政権は憲法九条改悪と結合させて、集団的自衛権の全面的行使に向かおうとしていることである。集団的自衛権法制化阻止闘争は、憲法改悪阻止闘争と連続した一体の闘いとして組織していかねばならない。
 昨年七月の集団的自衛権行使を「合憲化」した閣議決定は、憲法九条の明文改憲を回避し、憲法九条のもとで可能なのは「自衛のための必要最小限度の実力の行使」であるという憲法解釈を維持したままで、その範囲であれば集団的自衛権の行使も可能だという限定的容認論にもとづくものであった。その結果、新安保法制において「重要影響事態法」(改悪周辺事態法)や「国際平和支援法」(派兵恒久法)で可能となる海外での武力行使は、弾道ミサイルの迎撃や機雷の掃海、米艦船などの防護、船舶の強制的な臨検などに限定されている。米軍など他国軍隊への支援もまた、そのほとんどが「後方支援」までである。
 日本の帝国主義ブルジョアジーや安倍政権は、新安保法制を突破口としてこのような制約をいずれ取り払い、海外における全面的な武力行使を何としても可能にしたいと熱望している。しかし、そのためにはもはや憲法九条の明文改憲が避けられない。安倍政権は、来年の前半に憲法改悪案を策定し、夏の参議院選挙後にいよいよ国会における改憲の発議に向かおうとしている。憲法改悪は、日本の戦争国家化の総仕上げであるとともに、「主権在民」から「国家主権」へと日本の国のあり方そのものを根本的に転換させようとするものである。集団的自衛権法制化阻止闘争は、憲法改悪阻止闘争へと連続していく闘いなのだ。その意味からも、新安保法制の制定を何としても阻止し、総力を結集してここで日帝・安倍政権のもくろみを打ち砕いていかねばならない。
 第二に、新安保法制は沖縄・日本における基地の新設・強化、自衛隊の侵略戦争を闘う軍隊への再編、戦争司令部としての日本版NSCの確立・特定秘密保護法の実施など、実際に戦争を発動できる準備と一体のものだということにある。集団的自衛権法制化阻止闘争は、これらの実際に戦争を発動できる準備との闘い、とりわけ辺野古新基地建設阻止闘争をはじめとした基地の新設・強化との闘いと一体のものとして組織しなければならない。
 安倍政権は、新安保法制の制定と並行して、辺野古新基地建設をはじめとした米軍基地の新設・強化を強行しようとしてきた。それはまさに、侵略戦争のための日米両軍の出撃拠点を建設するものである。辺野古をめぐっては、昨年一月の名護市長選挙、九月の名護市議会議員選挙、十一月の沖縄知事選挙、十二月の総選挙において、辺野古新基地建設に反対する候補者が圧勝した。沖縄の民意は余りにも鮮明である。そして、辺野古のキャンプ・シュワブ前や海上において、激しい大衆的実力闘争が組織されてきた。しかし、安倍政権・沖縄防衛局は、機動隊・海上保安庁による大弾圧をもって、いよいよ七月には埋め立て・本体工事の着工を強行しようとしている。また、二〇一七年の厚木基地から岩国基地への米艦載機移駐、F35ステルス戦闘機の配備に向けて、普天間基地のKC37空中給油機の移駐やオスプレイの運用拠点化など、岩国基地の大強化が進行している。京丹後では昨年、近畿で唯一の米軍基地として米軍Xバンドレーダー基地が建設され、今年はその二期工事や米軍住宅建設が開始される。他方で、陸上自衛隊西部方面隊の水陸機動団の創設、オスプレイの導入など、自衛隊の中に海兵隊機能をもつ部隊を編成し、侵略戦争を闘う軍隊へと自衛隊を再編成する動きも急速に進んでいる。
 第三に、安倍首相の戦後七十年談話によるアジア植民地支配と侵略戦争の歴史の歪曲・正当化と集団的自衛権法制化による戦争国家化が深く結合していることである。安倍政権は第一次安倍政権の段階から、「戦後レジームからの脱却」を掲げてきた。その基底にあるものは、日本国憲法に示される主権在民・平和主義・基本的人権の尊重などの理念と制度をGHQの占領下でおしつけられたものとして憎悪し、アジア植民地支配と侵略戦争の歴史を歪曲・正当化しようとする志向である。安倍首相は、今夏の戦後七十年談話で戦後五十年村山談話などを継承すると言いつつ、侵略と植民地支配の謝罪を示す部分を改ざんし、安倍政権が推進する集団的自衛権の法制化などを「積極的平和主義」として賛美しようとしている。そして、元日本軍「慰安婦」などの被害女性、植民地支配と侵略戦争の犠牲者への国家としての謝罪と賠償を求める闘いに敵対を強めていこうとしている。われわれは、これを絶対に許すことはできない。
 われわれはいま、歴史の岐路に立っている。新自由主義グローバリゼーションによって世界的に貧富の格差が拡大し、貧困と無権利にあえぐ労働者人民がますます増大している。ソ連崩壊後の世界を支配してきた米帝の位置は後退し、労働者人民のさまざまな反抗が拡大するなかで帝国主義による世界支配は大きく揺らいできている。そのような中で、安倍政権が集団的自衛権の法制化を中心とした新安保法制を制定する目的は以下のことにある。
 第一には、日本帝国主義を米帝・EU帝とともに世界を支配する帝国主義へと飛躍させることにある。帝国主義の世界支配が大きく揺らいでいるにもかかわらず、米帝はもはや単独でこれを維持することはできない。東アジア重視戦略へと転換しつつ、EU帝・日帝などの同盟国との軍事同盟を強化し、帝国主義による世界支配を維持するための責任を分有していくことを要求する以外に道はない。このような中で、安倍政権は米帝からの要求に積極的に対応し、そうすることで帝国主義としての歴史的な飛躍をとげようとしている。そのために不可欠なものこそ、集団的自衛権の法制化と憲法改悪によって海外での全面的な武力行使を可能とすることである。新安保法制の制定を突破口として、安倍政権はイラク侵略戦争や「イスラム国」に対する有志国連合による戦争など、帝国主義による世界支配を維持するための戦争に参戦することをめざしている。これまでのような「後方支援」にとどまるのではなく、他国への爆撃や武力制圧を行い、他国の人民を殺戮することまで可能にしようとしているのだ。
 第二には、朝鮮民主主義人民共和国への軍事的包囲と戦争体制を維持し、また台頭する中国と対抗し、軍事的に封じ込めていくことなど、東アジア・東南アジアにおける日米共同作戦体制を強化していくことにある。日本が死活的な利害をもつこの地域では、朝鮮半島をめぐる緊張が持続し、中国が経済的にだけではなく軍事的にも大国として登場してきた。また、日中間では領土問題をめぐる対立と緊張が先鋭化してきた。このような中で、日米両帝国主義にとって、共和国への軍事的包囲と戦争体制を維持すること、そして中国を軍事的に封じ込めていくことが共通の課題となってきたのである。
 第三には、自国の海外権益を自らの軍事力で防衛できる帝国主義へと飛躍することにある。このことを強く要求してきたのは、グローバル化した日本の多国籍資本であった。経済同友会の「実行可能な安全保障の再構築」(二〇一三年三月)は次のように言う。「日本の国益は、日本固有の領土・領海と国民の安全のみではなく、地域、世界の安定と分かちがたく結びついている」と指摘し、「在外における資産、人の安全」や「日本の繁栄と安定の基盤をなす地域と国際秩序」も国益に含まれるとする。そして、これまでの領土・領海と国民の安全を中心とした専守防衛などの安全保障政策を転換させ、世界に展開する日本企業とその権益を防衛するために、地理的制約なしに自衛隊を派兵できるようにすることを要求してきた。ここに多国籍資本の率直な本音が示されている。
 この数年、低賃金と劣悪な労働条件で労働者を酷使する海外の日系企業の工場では労働争議・ストライキや工場占拠などが続発してきた。また二〇一三年には、アルジェリア南部イナメナスでの日本企業も参画する天然ガス施設が武装勢力によって襲撃され、日本人七人を含む四十人が拘束・殺害された。このような事態がますます増大していくことは必至である。そして、日系企業が進出した国や地域が混乱状態に陥れば、企業活動を継続することはできない。日本の多国籍資本は、このような事態を想定して、海外権益を自らの軍事力で防衛できるようになることを要求してきたのである。そのとき、集団的自衛権の法制化は不可欠の課題となる。なぜなら、日系企業の海外の工場や施設が占拠されたり、武装勢力に襲撃されたとしても、また日系企業が進出した国や地域が混乱状態に陥ったとしても、個別的自衛権を根拠にしては、自衛隊の海外派兵と武力行使を行うことはできないからである。このような事態では、集団的自衛権にもとづき、当該国の政府からの要請があった場合にだけ海外派兵と武力行使が可能となるのだ。
 以上から明らかなように、集団的自衛権の法制化を中心とした新安保法制は、日本帝国主義を米帝・EU帝とともに世界を支配する帝国主義へと飛躍させるものであり、世界各地に展開する日本企業とその海外権益を防衛するために、他国の労働者人民に銃口を向ける道をひらくものである。何としてもこれを阻止していかねばならない。

 ●4章 左派勢力の総結集で、階級情勢転換させる闘いに

 集団的自衛権の法制化に反対して、東京など首都圏では「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」と「戦争をさせない1000人委員会」を中心に「総がかり行動」が取り組まれてきた。われわれは、新安保法制の上程を阻止し、廃案に追い込むために、このような最も広範な全人民政治闘争のための構造を全国・各地に形成していくたたかいの一翼を担う。しかし、日本共産党・社民党や平和フォーラムの立場は、これまで海外で戦争をしなかった戦後日本を擁護するというものである。そこには、ついに集団的自衛権の法制化によって本格的な海外での武力行使、侵略反革命戦争の発動に向かう日本の資本主義・帝国主義への批判が欠落している。われわれがいま直面している歴史的岐路とは、戦後日本を防衛することができるかどうかにあるのではない。集団的自衛権法制化阻止・安倍政権打倒闘争は、日本帝国主義の打倒とプロレタリア社会主義革命に向けた日本の階級闘争の反転攻勢へと組織していかねばならない闘いなのだ。
 労働者人民に貧困と無権利を強制し、戦争をする国づくりと原発再稼働に突き進む安倍政権に対して、この数年労働者人民の新たな闘いが生みだされてきた。日本の資本主義・帝国主義への批判と新たな社会への希求を内包して、辺野古新基地建設阻止闘争をはじめとする反基地闘争、原発再稼働に反対し、すべての原発の廃炉を要求する闘い、労働法制改悪に反対し、人らしく生きるための闘いなどが組織されてきた。そして、街頭における直接行動、大衆的実力闘争を重視し、街頭行動の中から展望を切りひらこうとする闘いが無数に組織されてきた。われわれは、このような虐げられ、抑圧されてきた労働者と被抑圧人民・被差別大衆の自己解放闘争に徹底して立脚する。集団的自衛権法制化阻止・安倍政権打倒闘争を、このような闘いを総合流させ、その中から日本帝国主義の打倒とプロレタリア社会主義革命の新たな展望を切りひらいていく闘いとして組織していかねばならない。
 そのためのわれわれの任務は鮮明である。「集団的自衛権法制化阻止・安倍たおせ!反戦実行委員会」(反戦実)が呼びかける6・21集会を左派勢力の総結集をもって成功させ、国会闘争への総決起をつくりだしていかねばならない。日本の階級情勢を転換させていくような闘いを左派勢力の総結集をもって切りひらいていこう。そこにおいて、ブントの責任は大きい。六十年安保闘争、七十年安保闘争において、ブントは階級闘争の先頭に立つことによって、闘いを牽引した。いまこそこのようなブント主義を復権させ、戦術的な牽引をも含めて、集団的自衛権法制化阻止・安倍政権打倒闘争を先頭に立って牽引していかねばならない。そして、われわれは反帝国際主義派として、この闘いをアジア太平洋地域の反帝国際共同闘争へとおしあげ、政治的に牽引していかねばならない。集団的自衛権法制化阻止・安倍政権打倒闘争の渦中で組織される六月アジア共同行動各地集会をぜひとも成功させていこう。決戦のときは来た。死力を尽くして闘いぬこう!


 

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