共産主義者同盟(統一委員会)






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   破綻した日帝の原発政策

        
強権と弾圧をもってしかできない再稼働

       


 安倍政権は、戦争法制を成立させるために国会を九月二十七日まで延長した。延長国会中である七月中に衆議院で戦争法制を通過させ、八月川内原発の原発再稼動と安倍談話の発表を行ない憲法改悪にむけた突破口をこじ開けようとしている。九州電力は、八月中旬に川内一号機を再稼動させ、十月半ばに二号機の再稼動も狙っている。いよいよ再稼動をめぐる決戦段階へと突入した。地元鹿児島の闘う人々とともに全国の力で川内原発の再稼動を阻止しよう。
 現在まで再稼動申請をおこなった原発は、十四原発二十一基。そのうち川内原発一、二号機は「審査」を終了。高浜原発三、四号機は福井地裁(樋口裁判長)が再稼動を認めない仮処分を決定し、今後の司法手続きによる取消しがないかぎり再稼動が不可能になっている。また、伊方原発三号機については新基準の「合格」審査書案が決定され、四国電力は今冬にも再稼動を行なおうとしている。
 六月、経済産業省の有識者会議は、三〇年度の総発電量に占める電源ごとの割合(電源構成)を原発20~22%、再生可能エネルギーを22~24%とする政府案を了承した。しかし、この案は廃炉の決った原発などを考慮すると原発の運転期間延長や新増設を前提としたものであり、原発を重要なベースロード電源として位置づけたエネルギー基本計画にもとづいている。これを受けて今年の電力会社の株主総会においては原発の早期再稼動と新増設にまで踏み込む発言が相次いだ。一方、「脱原発」を求める株主提案は、すべて否決された。
 政府、電力各社は今年を「再稼動元年」と位置づけ、なにがなんでも川内原発を再稼動させ全国の原発再稼動、老朽化した原発の運転延長さらには上関原発などの新たな原発の増設をもくろんでいるのだ。

 原発再稼働阻止、全原発廃炉へ!

 福島第一原発事故以降、四年を超える反原発―再稼動阻止―全原発廃炉にむけた全国的な闘いは、原発再稼動に一片の正当性も説得力もないことを日々明らかにし、安倍政権と電力各社を着実に追い詰めている。最近の世論調査(NHKや朝日新聞など)でも今もって六割の国民が再稼動に反対し、賛成は二割から三割に過ぎないのは、なぜか。
 第一には、安倍がいかに福島第一原発が「アンダー・コントロール」されていると言おうとも、事故の収束は依然として見通せず、汚染水対策すら十分にできていない現実がある。福島第一原発は、現在四十年以上とも言われている廃炉の過程に入っている。四号機の燃料棒が燃料プールからやっと取り出されたものの、人が近づけば一時間以内に死亡するという極めて高い放射線量により一~三号機の内部状況が今もって十分に確認できていない。最近のミューオン(ミュー粒子)を使った透視調査で一号機の七十トンともいわれる核燃料が原子炉を突き抜けて格納容器のどこかに核デブリとなって存在していることが漸く判明しはじめている段階だ。しかし、二、三号機を合わせてどれだけのデブリがどこにどのような状態にあるのか、それをどう取り出すのか。それがいつ可能なのかもわからない状態である。一旦、過酷事故がおきた場合にその収束方法も確立されていない中で、原発の再稼動などありえないと考えるのは、まったくの当然の理である。
 第二には、今も十一万人を超える避難住民の過酷な現実を前にして、それを支え支援しようとする全国的広がりの中で放射能汚染のすさまじい現実を全国民が目の当たりにしていることである。 子どもの甲状腺ガンは多発し、長期にわたる避難生活は、避難住民の健康や生活を破壊し、家族や共同体をも破壊している。一旦事故が起こるといかに広範囲で長期にわたる被害となるのかを肌身をもって経験しているがゆえに、安倍がいくら口先で「世界で最も厳しい基準」を吹聴しながら新たな「安全神話」を生み出そうにも、すでに国民の多くが政府の言うことなどまったく信用していないのである。今や安倍や電力資本、御用学者の連中に国民を説得し、再稼動を納得させられるような内容も論理も持ち合わせてはいないのである。
 第三には、全原発が停止して以降、実際に電力不足が起こっていないことや原発はまったく経済的でもないことがあきらかになったことである。電力各社は、全原発がと止まった当初、電力不足による停電を声高に叫び、生産活動に多大な影響をでると喧伝した。しかし、四年が経過した今日まで猛暑といわれた夏も冬の電力需要のあがる北海道や東北でも停電は起こらなかった。原発なしでも十分に生活できることが明確になり、原発ゼロの生活が日常になっているのである。
 第四には、原発再稼動を審査する「適合性審査」そのもののデタラメさが全国の反原発闘争の中で次々と暴露され、今も各原発の再稼動審査を追い詰めていることである。規制委員会委員長である田中みずからが「適合性審査」は「安全基準ではない」と明言している。
 これに対して安倍や政府は「安全審査」と言い換え、規制委員会が「合格」としたものについては、「(再稼動を)粛々とすすめる」としか言えないのである。さらに、原発事故が起こった場合の住民の避難計画についてその非現実性、さらに住民の被曝を前提とした避難計画の実態に対して原発立地自治体の住民から次々と不審が表明され、怒りとともに徹底した住民説明会を求めるなどの闘いが三十キロ圏を超えて全国的に拡大してきていることである。住民の避難計画が「適合性審査」の対象にもなっておらず、原発がなければ必要のない避難計画の作成と実行が地元自治体任せにされたあげく、電力会社は「避難に協力します」という程度のあまりにもひどい避難計画に再稼動反対の声は怒りとともに今後ますます全国的に拡大していくことは不可避である。
 今日、政府・電力資本が進める原子力政策は完全に破綻している。国民をまったく納得させられいばかりか、議会での多数と警察権力を使った弾圧をもってしか原発を再稼動させることができない状況にまで追い込まれているのである。警察権力は活動家の狙いうちや微罪による逮捕を行い、電力会社は再稼動の差止め請求に対して損害賠償圧力をかけるなどスラップ訴訟を経産省と一体となって国民への恫喝を本格化させてきている。さらに、政府は、避難住民に対する強制帰還、支援の打ち切りを開始しようとしている。安倍政権は、まったく不十分な除染にもかかわらず除染完了と避難解除を理由に避難者(約五万五千人)への慰謝料の支払いを一八年三月を目処に停止する検討に入った。これは、除染が完全に終了したわけではなく、あくまでも損害賠償額を確定し、東電の救済と再建策を立てるためにである。また、福島県は自主避難者に対する住宅支援を打ち切る方針を明らかにした。今もって劣悪な補償しかしてこなかった東電と政府がさらなる避難住民の切捨て、見殺し、新たな被曝の強制をおこなうというのである。絶対に許すことはできない。
 八月川内原発再稼動阻止!再稼動阻止の現地闘争へ全国から結集しよう!
 五月二十七日、規制委員会は川内原発の「審査」終了を宣言し、いよいよ燃料棒の搬入から再稼動と本格運転を許すのか否からの決戦局面へと突入した。こうした中、この間、九電本社に対する「公開質問状」の提出と再稼動に対する説明責任を追及する闘いは、九電の審査申請内容のいいかげんさと審査決定内容のデタラメさを徹底して暴露しぬいている。直ちに「審査書」の決定を撤回、破棄させなければならない。
 川内原発の審査では、地震問題をめぐって一三年に政府・地震調査委員会が、九電がこれまで国に報告していた原発周辺の活断層評価を大幅に見直す報告書を公表していたが、九電は「適合性審査」を申請した際、この地震調査委員会の報告を無視し、従来の九電評価のまま提出している。これに対して規制庁の職員からクレームが出されていたほどである。また、原発の安全上重要な施設は、基準地震動に対して無事であることが求められているが、そのために「内陸地殻内地震」「プレート間地震」「海洋プレート内地震」について地震動を検討することになっているが、九州電力は内陸地殻内地震しか検討しておらず、これは「法令違反」の可能性もあると指摘されている。
 また、川内原発をめぐっては重要な課題として火山の噴火問題が焦点のひとつとなってきたが、九電は、「巨大噴火は、予知可能」との前提で、そうした場合、燃料棒を運び出すから大丈夫だと強弁している。しかし、日本火山学会原子力問題対策委員会は、規制委員会に対して昨年火山影響評価のガイドラインを見直すように提言している。鹿児島地裁が四月に下した運転差止めを求める裁判で九電は、「モニタリングを行うことで少なくとも数十年以上前に(破局的噴火の)兆候を検知できる」と主張している。これに対して火山、防災の専門家からは「もし、それほどの長い猶予期間をもってカルデラ火山の巨大噴火予知ができるなら、それは噴火予知の革命です。九州電力には、ぜひ国際学会で発表していただきたい」と酷評されており、「九州電力の主張は荒唐無稽、学問への冒涜」とさえ言われているのである。
 現実には、稼働中の原子炉から取り出した核燃料は崩壊熱が収まるまで長期間冷却しなければならず、すぐには搬出できないこと。すでに川内原発には使用済み燃料を含めて千九十トンの核燃料が置かれており、搬出場所も決っていない。これが火山噴火対策として承認された「審査合格」の中味なのである。
 他にも過酷事故対策として原子炉容器から溶け出した核燃料に対して、コアキャッチャーの装備が世界基準となっているが、九電は水を溜めて冷やすとしている。これについては水蒸気爆発の危険性が極めて高いとの指摘がされている。そして、九電はこうした再稼動をめぐる公開質問状に対する回答においてもまったく誠実かつ十分に答えることができず、あろうことか警察権力を動員して逃げ去るという暴挙にまで出てきているのである。あげればきりがないほどの不備、課題、問題点があいまいなまま「審査合格」とされているのだ。
 九電のかかえる川内原発と玄海原発は、日本のもっとも西の位置にあり、事故が起こった場合放射能被害はまたたく間に日本中に広がる恐ろしさを九電も原子力規制委員会もまったく真剣にとらえていないのである。
 四年間に及ぶ反原発の粘り強い闘いは着実に安倍政権と電力会社を追い詰め、闘いぬけば必ず勝利できるところまできている。そして、今後、再稼動を強行しようとすればするだけ全国的な反撃はより一層拡大していくであろう。大飯判決にみられるように司法の一角においても脱原発を求める新たな動きがかち取られたではないか。火山学会も活発化する火山活動に直面し、現状をはるかに上回る火山噴火の可能性と原発の危険性について警鐘を鳴らしている。再稼動の条件などまったく存在しないのだ。
 地元鹿児島の住民を先頭に闘う福島の人々、全九州、全国の力で川内原発の再稼動を阻止しよう。経産省テントや久美崎浜のテントを身体をはって守る人々と連携し、実力で全国の原発再稼動を阻止しよう。原発再稼動、辺野古新基地建設、秘密保護法、安保関連法、そして改憲という安倍のかかげるあらゆる政策に国民の過半数以上が反対の意思を表明している。川内原発再稼動阻止を突破口に安倍政権打倒の闘いを切り開こう。敗戦七十年目の今年、安倍右翼反動政権打倒をかちとり日帝の改憲―戦争策動の息の根を止めよう。全国の人民は、八月川内原発再稼動阻止の現地実力闘争に総力で決起しよう。

 

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