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   被爆71年 8・6広島青空式典に集まれ

                     
侵略反革命と闘う被爆二世の会
  



  ●1章 オバマ、安倍の広島訪問を徹底弾劾する


 本年五月二十七日、私たちは平和公園に向い、AWC九州・山口実行委員会の仲間と共にオバマ大統領の広島訪問に断固抗議した(詳細は『戦旗』第一四八四号二面参照)。
 この日、外務省は平和公園周辺を「静音保持指定地域」に指定し、抗議の声を上げることさえ許さなかった。オバマ米大統領が来る時間が迫ると、平和公園内は何人も入れなくした。韓国からオバマ大統領に謝罪と補償を求めた書簡を渡すために日本にやってきた韓国の被爆者(二世)や平和を願う市民も平和公園から排除された。排除された韓国の被爆者(二世)たちも平和公園の向かいの道路で抗議行動を行った。
 被爆者や被爆二世・三世、核廃絶を願う市民を排除して行われたオバマ米大統領の広島訪問を徹底弾劾する。
 被爆七十一年目にアメリカ大統領として初めて被爆地広島を訪れたオバマは、たった十分間の原爆資料館の見学の後に謝罪もせず、所感で「七十一年前、晴天の朝、空から死が降ってきて世界が変わりました」と言ってのけた。トルーマン米大統領の命令で、一九四五年八月六日広島、八月九日長崎に米軍が爆撃機を使って、米兵の手によって原子爆弾を投下した事実から目をそらしたのだ。
 これは、二〇〇九年のプラハ演説で「核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任がある。米国だけではこの活動で成功を収めることはできませんが、その先頭に立つことはできます」と語った内容よりもはるかに後退している。
 そして、オバマは所感の中で、原爆被害を原爆が投下された七十一年前の瞬間だけの問題として捉え、現在も続く原爆症の問題や被爆二世(三世)に続く放射能被害の世代を超えた影響をも無視して核被害を過小評価した。我々は、これを絶対に許すことはできない。
 併せて、「十万人を超える日本の男性、女性、子どもたち、多くの朝鮮半島出身者、そして捕虜となっていた十数人の米国人を含む犠牲者を追悼するためだ」と日本人被爆者、朝鮮人被爆者、米軍捕虜被爆者を同列に並べたことにも抗議する。
 また、このオバマの広島訪問は米軍岩国基地の強化と一体のものであることをしっかりと見ておく必要がある。伊勢志摩サミット終了後、大統領専用機「エアフォース・ワン」で岩国基地に到着したオバマは、米海兵隊員や自衛隊員、岩国市長など約三千人の前で十分余の演説をした。その内容は日米同盟を再確認し、黄川田外務大臣政務官、福田市長の名前をわざわざ挙げてお礼を言った後、「米国海兵隊は自衛隊と力を合わせ、平和を守り、域内のパートナーと連携し人道支援および災害救援を行っています」と発言した。しかし、数日前に起きた元米海兵隊員で軍属による女性虐殺事件に触れることはなかった。その後、四機のオスプレイを従えて、海兵隊の大統領専用ヘリで広島に向かったのだ。岩国でも広島同様「静音保持指定地域」の指定が行われ、空にも、飛行制限区域が設けられていた。
 今回のオバマ大統領の広島訪問は、決して核兵器のない世界を実現するためのものではない。
 安倍首相は、地元山口県で行われる原爆死没者追悼・平和式典には秘書も来たことがなく、メッセージさえもよこしていない。しかも、二〇〇二年官房副長官時代に、早稲田大学で「自衛のための必要最小限度を超えない限り、核兵器であると、通常兵器であるとを問わず、これを保持することは、憲法の禁ずるところではない」と日本の核武装を公然と主張しているのだ。
 日米両帝国主義は、日米軍事同盟の強化と核抑止力の保持を確認し、被爆者との和解を前面に押し出して、過去の侵略戦争の被害と加害を清算する場としたのだ。これを絶対に許してはならない。
 五月の連休明け、オバマの被爆地広島訪問が決定するやマスコミはこぞって、「歓迎」ムードを煽り立て、被爆者や被爆二世の「謝罪はいらない」という声のみを大きく取り上げた。オバマ大統領の広島訪問を実現するために、日本政府により、被爆者・二世が本当の事が言えない状況が作られていったのだ。
 日本被団協の田中事務局長は、オバマ大統領に送った要望書に謝罪を求めることを盛り込まなかったことに対して、「時間を巻き戻してでも謝罪を盛り込んだほうがいいと言いたい気持ちがあった」(五月二十六日)と言い、六月十六日の日本被団協の定期総会の後には、「『空から死が降ってきた』は、絶対被爆者は許せない。訪問翌日、(演説直後にオバマ所感を)評価する発言をしたことを、冷静になってすごく反省し、心が痛んだ」と述べた。
 今こそ被爆者(二世・三世)の心の底からの声を米帝オバマに知らしめるべきだ。原爆を投下し多くの民衆を虐殺してきた国の責任者として、米大統領に全ての被爆者への謝罪と補償を要求しよう。米大統領が原爆投下が誤りであったことを認め、被爆者(二世・三世)に謝罪して初めて、真の核兵器廃絶の歩みが始まるのだ。
 今回の米帝オバマと日帝安倍の広島訪問は帝国主義の側からする過去のアジア侵略戦争の清算と日米両政府の欺瞞的和解による被爆者問題の終結策動である。私たちは満腔の怒りを持ってこれを弾劾する。
 昨年末の日帝―安倍と韓国大統領―朴が行った元日本軍「慰安婦」問題の欺瞞的決着と歴史的歪曲に続く攻撃であり、日米両帝国主義が新たな侵略反革命戦争を行うために、自らの戦争責任―戦後責任を清算しようとしているのだ。
 私たちは、これを許さない。すべてのたたかう民衆に、八月六日広島原爆ドーム側(そば)の青空式典に結集することを呼びかける。日韓同時行動を成功させよう。

 ●2章 残された被爆者問題

 そもそも厚生労働省は、「被爆者は放射線を浴びた影響で、(一)病気やケガにかかりやすいこと、(二)病気やケガをしたとき、その病気やケガが治りにくいこと、(三)病気やケガをしたことによって認定疾病を誘発するおそれがあること等から、被爆者援護法に基づき各種手当や医療費助成などが行われている」と説明している。
 しかし、原爆被爆の影響を受けながら現在も放置されている被爆者が多数存在することを忘れてはならない。以下、三点にわたって説明する。

 ▼2章―1節 在外被爆者へ被爆者援護法の完全適用を

 日本外に住む在外被爆者は被爆者援護法から適用除外とされてきた。在外被爆者本人が裁判を起こし、勝訴する中でほとんどが適用されるようになった。しかし、手続きの煩雑さなどまだ課題が残っている。そもそも証人がいないため被爆者手帳を取得できない在外被爆者もおり、在外被爆者の実情に応じた制度の適用が望まれる。どこに住んでいても日本に住む被爆者と同じ援護を受けられるよう、これからも「被爆者はどこにいても被爆者」と日本政府に強く求めていこう。

 ▼2章―2節 原爆の人体への影響の過小評価を許さない

 被爆者が「原爆症認定却下取消訴訟」に立ち上がった結果、国の却下処分を覆す判決が相次いだ。日本政府は二〇〇八年と〇九年そして一三年と認定基準を改めたというが、被爆者の実情には沿っていない。そのため新たな訴訟が起きている。福岡高裁は新基準でも認められなかった原告五人のうち三人を原爆症と認定した。この高裁判決を受け入れ、厚生労働省は上告を断念した。東京地裁は、昨年十月末の第一陣の原告十七人を原爆症と認めた判決に続き、本年六月末に第二陣の原告六人全員の原爆症を認定した。国は控訴しないで、原爆症と認めるべきだ。各所で同様の裁判は続いている。
 また、長崎原爆に遭いながら制度上は被爆者と認められていない「被爆体験者」が、国や県、長崎市に被爆者健康手帳の交付などを求め、たたかっている。第一陣原告団に対し福岡高裁は長崎地裁に続き原告全面敗訴という不当判決を下した。原告団は最高裁に上告した。また第二陣原告団に対して長崎地裁は原告一部勝訴の判決を下した。被告(長崎県・市)と敗訴とされた原告はそれぞれ控訴している。
 広島原爆の投下後に降った「黒い雨」について、日本政府が指定している区域外でも多くの人が「雨が降り、健康被害を受けた」と訴えている。広島県、広島市も黒い雨の降雨区域を約六倍に拡大するよう要望した。しかし、厚生労働省は二〇一二年七月、拡大を見送り、支援事業でごまかそうとしている。
 広島での原爆では、放射性降下物を含む「黒い雨」に遭って健康被害を受けたとして、六十四人が被爆者健康手帳などの交付を求めて広島地裁に提訴している。
 これらの諸問題に貫かれているのはヒバクの過小評価である。これは福島第一原発事故被害者にもつながる問題であり、決して見過ごすことはできない。共にたたかおう!

 ▼2章―3節 被爆二世・三世にも被爆者援護法の適用を

 被爆二世とは、両親またはどちらかが被爆者で一九四六年六月一日(広島被爆)か六月四日(長崎被爆)以降に生まれた人のことを言う。一九九四年に成立した「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」の附帯決議に「5.被爆者とその子及び孫に対する影響についての調査・研究及びその対策について十分配慮し、二世の健康診断については、継続して行なうとともに、その置かれている立場を理解して一層充実を図ること」とあるが、被爆二世に対し国が行っているのは年一回の健康診断(単年度措置)のみだ。しかも各自治体にまかせているため、自治体によっては二世が健診を希望しても「予算の都合」という理由で健診ができなくなる場合がある。
 全国被爆二世団体連絡協議会(以下、全国二世協)は三十年以上にわたって、日本政府に対し被爆二世、三世に被爆者援護法の適用を求めてきた。
 厚生労働省は、本年より被爆二世健診の中に多発性骨髄腫の検査を加えた。今までの運動の成果であり、これを突破口にして、被爆二世健診に全てのガン検診を追加するとともに、被爆三世にも検診を拡大していかなくてはならない。あわせて国が発行する被爆二世(三世)健康手帳を実現して、在外の被爆二世(三世)の援護も含めた被爆者援護法に基づく医療補償のある援護施策を実現することは、急務の課題だ。
 現在、西日本を中心に各県に新たな被爆二世の会ができつつある。全国二世協や韓国被爆二世の会など様々な被爆二世の会と連携しながら被爆二世・三世への被爆者援護法の適用を求める運動を強めていこう。
 また、被爆七十一年が経過し、被爆者の平均年齢が八十歳を越え、被爆体験(戦争体験)や戦後の暮らしを語ってくださる被爆者が少なくなっている中で、幼い頃に被爆し被爆体験の記憶がない若年被爆者や被爆二世(三世)は、原爆被害をいかに語り継いでいくかを全国各地で模索している。被爆者解放運動の中軸を担う被爆二世(三世)活動家を作り出していくことは焦眉の課題だ。

 ●3章 8・6広島青空式典に集まれ

 日帝安倍政権は、核兵器の材料となるプルトニウムを保持し続けるために、原発の再稼動とMOX燃料の使用に突き進もうとしている。これを絶対に許してはならない。
 七月末、川内原発に続く、四国電力の伊方原発三号機の再稼動を許さず、現地闘争に立ち上がろう!
 また、中国電力の上関原発建設計画を白紙撤回させよう。七月に行われる上関原発予定地の田ノ浦と祝島において行われる山口地裁の現地進行協議は、祝島島民の生活と命をかけた生存権と自然と共に生きる誇りを直接伝える場である。田ノ浦を含めた上関の自然が、希少生物の宝庫であり「奇跡の海」と呼ばれる大切な場所であることを知らしめる重要な機会だ。原告と祝島島民をしっかりと支え抜こう。
 すべての原発の再稼動を許さず廃炉にして、原発の輸出をやめさせ、新規原発を作らせないことは、核廃絶にとって重要な取り組みだ。こうした運動の力で、日帝の核武装を断固阻止しよう!
 合わせて、東京電力福島第一原発事故被災者の援護と避難する権利をかち取ろう!
 現在も、福島第一原発事故は収束しておらず、多くの原発被曝労働者が命を削りながら、収束作業にあたっている。原発被曝労働者を生涯にわたって援護する原発被曝者の援護法制定も勝ち取ろう。
 昨年、日帝安倍政権は多くの民衆の反対にもかかわらず、安保法制を強行成立させた。これを絶対に、許さない。民衆の声で安保法制を断固廃止しよう。軍隊は、民衆を守らないことは、沖縄を見ても明らかだ。米軍犯罪を許さず、二度とアジア侵略反革命戦争を繰り返してはならない。米軍岩国基地の拡大強化を阻止しよう! 空母艦載機部隊の岩国移転を許さず、愛宕山の米軍住宅建設を阻止しよう! 憲法改悪を断固阻止して、安倍自公政権を退陣に追い込もう!
 全てのたたかう仲間の皆さん、八月六日広島原爆ドーム側の青空式典に集まれ!



 

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