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   米軍・自衛隊参加の

   9・4東京都総合防災訓練に反対!

                               



 九月四日、東京都総合防災訓練が東京東部地域―葛飾区・墨田区を舞台に行なわれようとしている。二〇〇〇年、石原都知事による「三国人」発言に端を発した「ビッグレスキュー東京2000~首都を救え~」から十六年。我々は、自衛隊参加(二〇〇六年より米軍・自衛隊参加)の東京都総合防災訓練に反対する闘たたかいを続けてきた。東日本大震災や、相次ぐ水害・土砂災害、この春発生した熊本地震でも、自衛隊や米軍の「活躍」ばかりが大きく喧伝され、防災訓練会場が自衛隊の迷彩色やオリーブカラーに埋め尽くされる光景が、すっかり当たり前になってきた。
 すっかり当たり前の光景になること……それこそが、「防災」に名を借りた戦争動員訓練・治安出動訓練の、最も大きな目的とするところであっただろう。しかし我々は、かつて関東大震災時に軍・官・民衆が多くの朝鮮人や中国人を虐殺した九月東京の路上で、このような訓練が行なわれることを決して許すことができない。ましてや戦争法制成立さらには改憲が目論まれる中、今後どのように戦時訓練化が進んでいくのか、目を離すわけにはいかない。
 今年は葛飾区の都立水元公園・墨田区の東京スカイツリーなどがメイン会場になるとの発表を受け、周辺地域の仲間、全都の仲間による「米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対する実行委員会2016」が立ち上げられ、すでに様々な取り組みが準備されている。共に反対の声を上げよう。

 ●1章 自衛隊のPR活動と児童・生徒の動員を許すな!

 昨年九月に集団的自衛権の行使容認を含む安保法制が可決され、自衛隊員の活動範囲とリスクが大幅に拡大―今まで以上に人員の確保が要求される中で、我々は予想される、防災訓練会場での自衛隊のPR・リクルート活動を許すことはできない。過去十五回の訓練会場で、その年々に温度差はありながらも、一貫して行なわれてきたのが自衛隊の展示会と勧誘活動だ。災害現場で泥にまみれ活動する陸自隊員の写真展示はまだしも、空自の戦闘機・海自の艦船などの写真パンフが配布され、迷彩服を着て写真を撮ろう~のコーナーや、装備にさわらせるなどの「体験」コーナーに子ども連れの若い参加者が集まる。昨年立川市で行なわれた訓練会場においては、反防災実2015の仲間により「防災に関係のない自衛隊PR展示や勧誘活動などが行なわれないように」との申し入れが再三行なわれたにも関わらず、授業として参加・動員されて来た小学校二年生の児童らを自衛隊のジープに乗り込ませており、引率の教師が「乗れて良かったね」などと声をかける光景が見られたという。自衛隊のキッチンカーで炊いたカレーライスを中・高生らに配食させる、というのもお決まりとなっている。「自衛隊のお兄さんが優しく教えてくれた。僕も、私も、あんな風になりたい」との感想を持たせたいのだろう。高校生に「進路は決まってるの?」と露骨な声かけがされるシーンもあった。
 昨年(立川市)は小・中・高校生を授業として参加させる目的か平日の開催であったのだが、今年は日曜日に設定されており、「参加募集は町会単位で実施(小中学校単位での募集はしない)」旨と同時に、都立高校への参加協力依頼が出されている。高校生に焦点を絞ったとも言える。
 教育現場に浸透する自衛隊―は、もはや「防災に名を借りた」ものにとどまらない。都立田無高校の例に顕著な常軌を逸した自衛隊宿泊「防災」訓練、部活動の指導に自衛官、「職場体験」先に自衛隊、など以前は考えられなかったような事態が全国津々浦々で当たり前のように起こっている。
 すでに「経済的徴兵制」が始まっていると言われて久しい昨今、誰も疑問を持たず声を上げなければ、防災訓練会場から子どもたちを戦場へ送り出すことになるだろう。絶対に許すことはできない。

 ●2章 軍隊は人を守らない! 関東大震災時朝鮮人虐殺を忘れるな

 いうまでもないことだが、自衛隊や米軍が有する装備やスキルは全て、戦場で殺戮を行なうためのものである。ビッグレスキュー2000のスローガン「首都を救え!」が、都民・人命よりも「首都機能」を救い維持しろということを意味して十六年、二度の安倍政権下で、人民の生命はより軽いものになっている。昨年成立した戦争法制により、自衛隊は文字通りの軍隊―実戦部隊として、更に更に再編が進んでいく。「自衛隊が来てくれなかったら、災害時に誰が助けてくれるんだ」と思い込まされている人には、「莫大な軍事費用を、本来あるべき防災・人命救助組織にあてて、あるべき設備や人員を育てれば、非効率な(命令通りにしか動くことができない、人命を見捨てるのも命令次第な)軍隊などに頼らなくてよいのだ」と伝えていこう。それどころか「首都機能の維持」を第一の任務として出動した軍隊が、「暴徒鎮圧」を名目に人民を危機にさらすことなど大いにありうるのだ。
 「軍隊は人を守らない」ことを重ねて訴えたい。沖縄では、元米海兵隊・米軍属の男により女性が虐殺される性暴力殺人事件が起きたばかりだ。沖縄の人々を蹂躙し、中東での殺戮を続けている米軍、共犯者になろうとしている日本軍・自衛隊による、街頭の支配を許してはいけない。
 二〇一一年東日本大震災から五年目にして、想定されていなかった熊本・大分を震源地とする大地震が発生した。東日本大震災のとき、福島第一原発の危機的状況をいち早く克明に知ることができた自衛隊が、被災者を見捨てて総員撤退したことは、のちに「棄民だ」と非難を浴びた。何者も太刀打ち出来ず原発の暴走を引き起こし、さらに棄民政策が被害を拡大させた3・11の教訓は、熊本地震でも全く生かされなかった。四月十四日に(のちに前震と言われる)震度7の地震が発生し、十六日以降に震度6~7クラスの地震が九州を縦断するような形で相次いだ。余震は未だに続いており、予断を許さない状況だ。驚かされたのは、あまりに悪質な安倍政権の対応だった。まずもって、再稼動中の川内原発を停止させる気がさらさらないことに、耳目を疑った。そもそも原発に関しては「地震だ火を消せ」も通用しない、原発そのものを無くすことが最大の防災であると3・11で思い知ったばかりではないか。
 安倍は熊本県からの最初の支援要請を全く取り合うことなく蹴っている。激甚災害指定よりもTPPの審議を優先、さらには地元の声を無視して「屋内退避」を指示したばかりに、十六日の本震で多くの命が失われた。一方で安倍政権はいち早く米海兵隊にオスプレイの出動を要請し、十八日から二十一日までの四日間で計八回の「オスプレイによる物資輸送」が行なわれている。初回はその距離たったの二十キロ―トラックで数分のところ、わざわざオスプレイの出番をつくるために被災者を待たせ、着陸地点に大きな公園を選定して、大勢の自衛隊員に出迎えをさせ、着陸時に巻き起こる熱風・砂埃対策のために散水までしたという。被災者は飢え、車中生活に疲弊し、命を奪われた者もいるというのに、被害を軽視する一方でオスプレイのお披露目に震災を利用したのだ。そんなアベコベな対応に批判が集中するや、選挙対策のために慌てて現地視察と激甚災害指定を行い、「万全な支援・迅速な対応」との印象操作に必死となる始末だ。
 そして我々が絶対に見過ごすことができないのが、熊本地震発生直後からネット上に溢れた「朝鮮人や部落民が井戸に毒を投げ入れている」等のヘイトデマだ。関東大震災時朝鮮人虐殺事件を模倣する、全くもって許せない差別扇動だ。
 反防災実は、未だ多くの人々が避難生活を強いられている被災地熊本からのゲスト田中信幸氏を招き、七月三十日に「9・4米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対! (中略)熊本地震で起きたこと……7・30学習・討論会」を開催(報告は追って)。 御自身も被災しながら「隣保館」避難所の運営に奔走、地域の仲間と共に命をつないだ田中さんらの活動と経験に学び、「震災」「防災」を利用した戦争動員を徹底検証し、差別排外主義を許さない思いを新たにした。
 九月四日訓練当日には、監視行動・抗議行動が予定されている。多くの仲間の結集で会場を包囲し、戦争動員訓練を許さないという声を叩きつけよう。

            (東京東部労働者)



 

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