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   新たな「共謀罪」
   (テロ等組織犯罪準備罪)の国会上程を許すな

       


 安倍右翼反動政権は、二〇年東京オリンピックでの「テロ対策」を口実に、「共謀罪」(テロ等組織犯罪準備罪)を新設しようとしている。当初は九月二十六日召集の臨時国会に法案の提出・成立を策動していたが、環太平洋連携協定(TPP)の成立を最優先させるために提出は断念された。しかし、来年の通常国会へと提出が先送りにされただけであり、「共謀罪」新設を目指す安倍政権の姿勢は何ら変わっていない。
 「共謀罪」は、これまで小泉政権時代に三度国会(〇三年、〇四年、〇五年)に提出されてきたが、人民の反対闘争の拡がりによって、いずれも廃案に追い込まれてきた。
 安倍政権は、七月参院選において、改憲勢力が三分の二の議席数を獲得したことをもって、改憲と「対テロ」戦争参戦を本格的に推し進めている。十一月には南スーダンへのPKO派兵に「駆け付け警護」任務を付与し、いよいよ戦争法の発動へと踏み込もうとしている。
 われわれは、「対テロ」戦争と朝鮮侵略反革命戦争参戦と一体に、国内治安管理体制の戦時的再編をもくろむ、新たな治安維持法というべき「共謀罪」(テロ等組織犯罪準備罪)成立を阻止するたたかいに、全力で取り組んでいかなければならない。

 ●1章 既遂処罰の原則を完全に逸脱、話し合っただけで処罰対象に

 日帝―安倍政権は「共謀罪」新設によって、日本労働者階級人民のあらゆる運動を根絶やしにし、戦争翼賛体制を構築しようと企てている。
 「共謀罪」とは、実際の犯罪行為がなくても、二人以上が話し合って合意しただけで、それを権力が「組織的犯罪集団」の「共謀」と判断すれば犯罪として処罰できるというとんでもない法律だ。日本の戦後刑法の原則であった「既遂処罰」(実行された罪を罰する)を完全に逸脱し、反権力の思想そのものを罰する戦前の治安維持法と同レベルの悪法だ。
 これまで政府が提出してきた「共謀罪」法案では、適用対象を「団体」とのみ記していたが、人民の反対の声をかわすために、新法案では「四年以上の懲役・禁錮の罪を実行することを目的とする組織的犯罪集団」なる規定に変更している。これにより法務省は適用対象が絞られたと主張しているが、まったくのペテンだ。
 そもそもこの法案の正式名称は「組織的犯罪集団に係る実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画罪」だ。政府はこの法案があたかも「テロ対策」に対象範囲を限定しているかのように印象操作し、ブルジョアマスコミもまた、こぞって政府の意向に沿った報道をしているが、「テロ等組織犯罪準備罪」は通称でしかない。法案の条文中には「テロ」という文言はいっさい出てこない。罪の構成要件も以前の「共謀罪」法案となんら違いはない。つまり新法案は「テロ対策」を口実とした「共謀罪」の新設以外の何ものでもないということだ。
 また、条文でいう「組織的犯罪集団」とは、どのような集団なのか具体的には明記されておらず、非常にあいまいな定義となっている。そして、ある団体が「組織的犯罪集団」にあたるかどうかを認定するのは捜査当局=警察権力なのである。
 適用対象となる「四年以上の懲役・禁錮の罪」の罪種は六百を超えている。道路交通法や公職選挙法、軽犯罪法なども含まれており、いくらでも拡大解釈して適用が可能なのだ。
 これでは革命党組織だけでなく、反権力をかかげた労働組合や市民運動、学生運動、諸政治サークルまでもが、警察権力の恣意的な判断次第で「組織的犯罪集団」に認定されてしまう。
 さらに新法案では「話し合い」だけでなく、「実行のための資金または物品の取得その他の準備行為」が条文に加えられている。さまざまな運動団体のカンパや物資支援活動が、権力の創作したでっち上げストーリーによって「準備行為」とされれば、処罰の対象とされてしまうのだ。
 また、新法案では「その他の準備行為」という文言を挿入することによって、何が「準備行為」に当たるかの明確な基準を取り払ってしまっている。これでは、「その他の準備行為」を理由にしさえすれば歯止めなしに処罰対象とすることが可能だ。国家権力は事実上フリーハンドの適用権限を持つと言っているに等しい。その点では、新法案は以前より悪質化しているといえる。
 すでにこの間、大阪府警公安三課による、京丹後Xバンドレーダー反対闘争への「白バス」でっち上げ弾圧(一五年)、伊勢志摩サミット反対集会の会場使用での「詐欺罪」でっち上げ弾圧(一六年)など、我々と共にたたかう諸団体や個人に対して、国家権力=公安刑事による「組織的犯罪」ストーリーのねつ造によって、「共謀罪」の先取りともいえるデタラメ極まりない予防反革命弾圧が繰り返されているのだ。
 そして、この新たな「共謀罪」は、本年五月に強行された刑事訴訟法の改悪とセットとなることによって、より凶暴に人民のたたかいを鎮圧するツールになっていくということだ。ここにこそ「共謀罪」が「現代の治安維持法」と称される極めて危険な本質が隠されているのである。

 ●2章 刑訴法改悪と一体となって現代の治安維持法に

 本年五月に刑事訴訟法の改悪が強行された。その骨子は、取り調べ録画など一部「可視化」、司法取引の導入、盗聴法の対象の大幅拡大の三つだ。これらが新たな「共謀罪」と結びつくことにより、戦時的刑法への再編が一挙に進んでいく。新たな戦前というべき時代の到来だ。労働者人民の抗議の声を国会に叩きつけ、「共謀罪」を絶対に廃案へと追い込まなければならない。以下にその危険性を明らかにする。
 第一に盗聴法改悪によって、盗聴法(通信傍受法)の対象犯罪がこれまでの①銃器犯罪②薬物犯罪③集団密航④組織的殺人の四類型から、傷害、詐欺、恐喝、窃盗などを含む一般犯罪にまで大幅に拡大された。
 また、通信事業者の常時立会制度は撤廃され、傍受対象通信を警察施設に送信し自動記録ができることになった。これらの通信傍受は、一切が秘密の内になされる。
 大分の地区労事務所が、大分県警警察官の取りつけた隠しビデオカメラによって、人の出入りを盗撮されていたことが発覚し、現在問題となっている。これらの例を挙げるまでもなく、公安警察は、さまざまな諸団体への違法な住居侵入や盗聴・盗撮、尾行などの情報収集活動を日常的に行なっている。
 盗聴法改悪によって、それらが「合法的」に、無制限的に範囲を拡大して行なわれることになったのだ。そして新たな「共謀罪」法案成立を許すならば、「共謀」を証明する「証拠」の収集を理由に、警察権力の盗撮や盗聴が、ますます強化されていくことは必至だ。
 反権力をかかげるあらゆる団体が、公安警察に常時監視・盗聴され、隙あらば「共謀罪」によって、でっち上げ逮捕されるという時代が到来しつつあるのだ。まさに反権力の思想そのものを処罰の対象とする戦前特高警察型の治安弾圧体制の再来だ。こんなことを絶対に許してはならない。
 第二に、「共謀罪」と取り調べ「一部可視化」や司法取引導入がセットになることによって、権力の取り調べに屈服した自白・転向者などが「共謀罪」の「準備行為」を立証するための証人として、権力に利用されていくことになるのだ。
 取り調べ「一部可視化」は、拷問的取り調べによる自白強要を抑止するものではまったくない。その真逆の事態がすでに起こっている。今市事件でも明らかなように、有罪立証に都合が良い所だけが部分的に切り取られ、「証拠」として警察権力に悪用されているのだ。
 また、スパイを事前に組織内に潜入させておき、逮捕の際には権力の創作した「共謀」のストーリーをスパイに「自白・証言」させ、それを証拠に「共謀罪」の「準備行為」をねつ造することも可能となる。例えば、家宅捜索によって押収した貯金通帳や工具類などが、スパイや転向者による「自白証言」をもとに、「組織犯罪準備」の証拠としてでっち上げるということができてしまうのだ。
 新たな「共謀罪」は、刑訴法改悪とセットになった時、現代の治安維持法としての悪らつな本性を露わにする。法案成立を絶対に阻止していかなければならない。

 ●3章 東京五輪翼賛体制と対決し完黙・非転向で闘おう

 安倍右翼反動政権は、二〇年東京オリンピックを名目として、「対テロ」戦争・朝鮮侵略反革命戦争参戦のための翼賛体制づくりを進めている。
 安倍独裁に対する人民の怒りを投票運動へと収れんさせる議会主義野党勢力と分岐した、大衆的実力闘争を支持・推進する原則的左派勢力が今こそ総結集し、これが軸心となって日本階級闘争を牽引していかなければ、日本階級闘争の展望を切り開くことはできない。
 プロレタリア国際主義と、階級的労働運動、大衆的直接行動を結集軸にし、宗派的セクト主義による分断を乗り越えてたたかおう。原則的左派の結集構造と、そのもとでの新たな階級闘争構造を創り上げていこう。
 戦争突撃を進める安倍政権による治安弾圧攻撃は今後一層強められていくことは必至だ。不当弾圧に対しては運動と党組織を防衛する完全黙秘・非転向闘争こそが唯一の勝利の鍵である。革命的警戒心を研ぎ澄まし、国家権力=公安警察のでっち上げ不当弾圧に対してたたかいぬいていこう。



 

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