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   「四者協議会」弾劾!

     
成田空港の24時間化阻止!第3滑走路計画粉砕!

       


 九月二十七日、成田空港会社と国、千葉県、空港周辺九市町は「成田空港に関する四者協議会」(以下、四者協議会)を開催した。空港会社が提案した「夜間飛行制限の緩和」と、第三滑走路の位置、B´滑走路の北延伸がこの場で確認された。
 三里塚空港周辺地域を極限的な騒音地獄に叩き込み、新たな立ち退き・騒音地域拡大の空港建設を一挙に推し進めようとする攻撃だ。絶対に許してはならない。反対同盟とともに断固たたかいに立ち上がろう。

  ●1章 9・27四者協議会開催抗議行動たたかう

 九月二十七日に開催された四者協議会は、成田空港会社社長・夏目誠、千葉県知事・森田健作、成田市長・小泉一成らが出席し、成田空港の機能強化についての合意がなされた。
 具体的には、現行午後十一時から午前六時までの夜間飛行制限を三時間削減して、午前一時から五時にするというものである。これに伴って、現行の午後十時台の便数制限も廃止するとしている。
 一方、滑走路に関しては、現在のB'滑走路の南側に三千五百メートルのC滑走路(第三滑走路)を新設し、B'滑走路そのものも北側に千メートル延長し三千五百メートルにするとしている。
 空港会社は、第三滑走路を二〇二〇年台半ばの完成を目指すとしており、夜間飛行制限の短縮に関しては「地域の理解を得られた段階で実施したい」としている。
 A滑走路、B'滑走路の建設強行によって、現在でも東峰・天神峰をはじめとする周辺地域は、騒音、排気ガスに苦しめられている。この上、さらに空港を巨大化し、この被害を時間的にも地理的にも拡大しようというのだ。この空港会社と利権集団の悪辣な野望を絶対に許してはならない。
 反対同盟と支援連は、四者協議会に対して即座に抗議行動に立ち上がった。
 開催前日九月二十六日、千葉県庁前で抗議情宣を行なった。当日二十七日午前、成田市役所前で抗議行動を行なった上で、四者協議会の会場となった幕張アパホテル前で協議会を弾劾する怒りの情宣に立ち上がった。

  ●2章 成田空港の24時間化を狙ってきた成田空港会社

 二〇一〇年十月に羽田空港は国際化した。そして二〇一四年三月三十日の羽田国際線ターミナルの拡張によって、羽田空港の国際線発着枠はそれまでの一・五倍の年間九万回に拡大された。
 欧州線、東南アジア線を中心に羽田国際線にシフトする動きがあり、簡単に増便できない成田は「衰退するのではないか」と報道される状況だった。成田空港会社は「活路を求め」て、格安航空会社(LCC)の誘致をはかった。昨年四月には、LCC専用の第三ターミナルを開業した。
 一方、「羽田国際化―成田衰退」に対しては、千葉県の成田空港周辺地元ブルジョアジーも危機感を抱いていた。彼らは二〇一四年四月、「成田第3滑走路実現する会」を立ち上げて、「地元の要望」として「第三滑走路」建設を要求し始めた。
 自民党現幹事長・二階俊博や衆議院千葉十区選出の自民党国会議員・林幹雄が中心になった「自民党成田国際空港推進議員連盟」(以下、自民党推進議連)は、この動きと呼応しつつ、昨年七月に「第三滑走路建設をはじめとする成田国際空港の更なる機能強化の具体化に向けた決議」をあげた。この決議において明示した方策は、「第三滑走路」と「夜間飛行制限の緩和」であった。
 さらに、この動きに拍車をかけたのが、新たな利権が動くことに敏感に反応した石毛博道や相川勝重(芝山町長)などであった。彼らは昨年春、「成田第3滑走路実現を目指す有志の会」を立ち上げた。
 成田空港会社は、「第三滑走路」という利権に群がる地元ブルジョアジーや、空港反対運動からの転向者、そして、自民党国会議員、県会議員が動きだしたところで、この地元の「要望」をくみ上げる形をとって昨年九月に「四者協議会」を開催し協議を開始した。
 成田空港会社副社長・斉田正己は、地元紙のインタビューに対して「現在進んでいる新滑走路の議論は、国、NAA、県、空港周辺市町による『四者協議会』が合意形成の場だ」(『千葉日報』二〇一六年七月三十一日)と答えている。空港利権に群がる者どもが面つき合わせて決定した内容を、地元との「合意」だと強弁すると言っているにすぎない。石毛や相川がここに列席することは、この空港会社の主張を反動的に補強するものである。絶対に許すことはできない。
 斉木はさらに続けて、次のように主張している。
 「住民全てに納得してもらうのは難しいが、きちんと騒音などの対策を示していく。ただ、今も反対を続けている人らにまで説明するのは難しい。納得してもらう努力をする価値があるのかということもある」。
 「今も反対を続けている人」は、説明の対象ではないと言い放っているのだ。
 成田空港会社と空港利権を貪る人だけで社会が成り立っているとでも考えているのか!

  ●3章 LCCの経営体質と飛行時間制限短縮

 外国人観光客の増加、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催などを口実にして航空需要が増大する、それに見合った空港の機能強化というのが、成田空港第三滑走路建設と二十四時間化の根拠のように主張されている。
 しかし、前述したように、成田空港の機能強化の議論は、羽田との空港間競争の中から出てきたのである。羽田に路線が移転するなら、むしろ成田の機能は縮小すればよいではないか。「民営化」された国策会社―成田空港会社は、この経営縮小のチャンスに際してわざわざLCC専用ターミナルを建設して、LCCを誘致した。
 しかし、LCCは格安で集客するために、徹底的にコストカットを行なっている。人件費を切り下げ、機材(保有航空機)を極限まで減らしている。少ない航空機で運用するためには、回転数をあげる。つまり、従来なら一機で一日三往復する路線で四往復させる。当然のことながら、時間的余裕はない。できるならば、二十四時間の運用を行おうとする。時間制限内で路線を決めていても、さまざまな条件で、遅れがでれば、航空機が戻れず、翌日の運航が不可能になる。
 それゆえ、LCCが成田空港に参入して以来、LCC側の一貫した要求は、飛行時間制限の緩和、撤廃なのである。
 成田空港会社社長夏目や副社長斉田は「経営者」として考えているのだが、それは空港問題の根本において間違っている。
 羽田空港が満杯で、新たな国際空港が必要になったのではないのか。羽田が再度国際化して、成田の需要が減るという事態であれば、それは危機ではなく、滑走路を減らし、廃港にすればよいだけのことだ。成田空港会社の「経営」としてわざわざLCCを誘致し、しかも、そのLCCの要求に応えて、住民に騒音を押し付け、睡眠時間を破壊していこうというのだ。まさに、本末転倒の論理である。

  ●4章 24時間空港化に向けた矢継ぎ早の攻撃

 九月二十七日の「四者協議会」で、第三滑走路の位置、夜間飛行制限の三時間短縮について「合意」したとする成田空港会社は、十月三日から地元住民への「説明会」なるものを強行している。
 この「説明会」なるものは、開催日時・場所などの広報による周知徹底はなされておらず、すべての住民の声を聴くものとはいえない。空港会社側の主張を一方的に垂れ流す「説明会」を拙速に開催して、実質的な二十四時間空港化に突き進もうという魂胆なのだ。
 しかし、事態は空港会社の思惑通りには進んでいない。空港会社の悪辣な意図はすでに多くの住民に見破られ糾弾されている。十月六日に行なわれた横芝光町の「地元説明会」では、「開港当初の約束を厳守してもらいたい」「四時間しか眠るなということか」「成田空港が空港間競争に勝つことが、私たちの生活にとって何のいいことがあるのか。国の政策の犠牲になるのはまっぴらだ」という声が次々にあがった。住民はその怒りを空港会社に突きつけている。
 反対同盟が続けてきた一斉行動は、この状況の中でこそ重要な意味をもってきている。
 市東さんの農地強奪阻止! 第三滑走路反対のたたかいが、周辺住民に本当に届くときがきた。

  ●5章 市東さんの農地強奪阻止!

 市東さんの農地をめぐる裁判が最高裁段階にあり、反対同盟と三里塚勢力は、最高裁五万人署名運動を軸にして、市東さんの農地を守る運動を全力で進めてきた。
 成田空港会社は死活的利害をかけて、国、県、周辺市町、そして空港反対運動からの利権転向者と結託して、第三滑走路建設と二十四時間空港化に向けて突き進み出した。
 空港会社は「第三誘導路裁判」で、市東さんに対して「騒音の発生源である空港敷地に住む市東については、騒音を受けない権利を保護する法律はない」と、怒りなしには読めない主張を平然と行なっている。このように農民を蔑視する空港会社は、「地元説明会」をアリバイ工作としか考えていない。
 夜間飛行制限の短縮に関しても、「今も反対を続けている人らにまで説明するのは難しい。納得してもらう努力をする価値があるのか」という考えで、反対運動を握りつぶすつもりだ。
 二十四時間空港化阻止、第三滑走路建設粉砕を先頭でたたかっているのは反対同盟農民だ。市東さんに対する農地強奪攻撃は市東さんだけに対する攻撃ではない。日本の農民総体に対する攻撃だ。農民、住民をないがしろにしてきた空港会社の体質は五十年間何も変わってはいない。五十年たたかい抜いてきた反対同盟こそが、夜間飛行制限短縮阻止、第三滑走路建設粉砕の軸心となって、空港反対運動を大きく再興していくだろう。



 

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